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ramsさんのレビュー
いいね!された数852
  • 女神のタクト

    女神のタクト

    塩田武士

    講談社文庫

    私はこれで塩田さんのファンになりました

    塩田さん 文章が洗練されている訳でもなく、ストーリーに突っ込みどころも多い にもかかわらず、人の心を揺さぶる力を持った作家さんだと思います その中でもこの「女神のタクト」はコミカルで読みやすく 笑った後に感動と共にフッと温かみが押し寄せる快作で 塩田さんの始めの一冊にピッタリです

    6
    投稿日: 2014.12.16
  • 床屋さんへちょっと

    床屋さんへちょっと

    山本幸久

    集英社文庫

    父と娘の物語

    お仕事小説の名手、山本さん なかでも私はこの話が一番好きです 真面目に誠実に働いてきた男とその娘 家族の歴史を遡りながら描かれる物語に 床屋さんのシーンが良いアクセントとなっています 家族のために働く父親 特に娘を持つ父の胸を熱く打つお仕事小説です

    1
    投稿日: 2014.12.11
  • ジョーカー・ゲーム

    ジョーカー・ゲーム

    柳広司

    角川文庫

    スパイとして生きる人の内面を深くえぐった作品

    舞台は戦時中の日本 密かに設立されたスパイ養成機関「D機関」 そこでは自らの存在だけを信じる若き精鋭たちが鍛錬に励んでいた そんな彼らとD機関の責任者でもある一人の男の姿を描いた短編集 スパイ物といっても007シリーズのような派手なアクションシーンはほとんどなく ここに描かれるスパイの実情はそれとは全く異質なものでした 目立たず、殺さず、死なず ターゲットの言動や髪の毛ほどの違和感から その裏にある真実を手繰り寄せていく姿に驚愕しました

    27
    投稿日: 2014.12.06
  • RDG2 レッドデータガール はじめてのお化粧

    RDG2 レッドデータガール はじめてのお化粧

    荻原規子,酒井駒子

    角川文庫

    和のファンタジーRDGシリーズの第2巻

    悩んだ末に東京の高尾にある鳳城学園に入学する事となった主人公 不安を抱えながら高校生活をスタートするが この鳳城学園に違和感を覚えるようになる 慣れない高校生活に戸惑いながらも 新しい環境で自分を変えていこうと奮闘する主人公 特殊な生徒が多く集まるこの高校に彼女は馴染むことが出来るのか 少しずつですが物語が動き出してきたこの第2巻 期待を胸に第3巻に進みます

    4
    投稿日: 2014.11.15
  • 腕貫探偵

    腕貫探偵

    西澤保彦

    実業之日本社文庫

    腕貫探偵登場!

    「市民サーヴィス臨時出張所」 大学、病院など場違いな場所に掲げられたこんな張り紙 役所のような机とパイプイスで待っているのは腕貫をした無表情な男 何だかミステリアスですよね 吸い寄せられるように相談にきた市民の相談をズバリと解き明かす腕貫探偵 あなたの正体が一番の謎なんですけどー! 正直、謎解き自体は難解で少々無理もあるので、謎解きに挑むよりも 人の心理を解き明かす妙を楽しむのが良いのではと思います 1編自体が短くサクッと読めるのでReader向き 謎のままで終わった腕貫探偵のプライベートに触れられているらしい 続編も気になります

    4
    投稿日: 2014.10.28
  • 木暮荘物語

    木暮荘物語

    三浦しをん

    祥伝社文庫

    タイトルと表紙のデザインからは想像できない、あの話満載の大人の物語

    このタイトルこの表紙のデザイン ゆったり仄々とした時間の流れに浸れる話なのかと思いません? さすがは三浦しをん 良い意味での不意打ちと言うか、そんな予想をあっさりと裏切ってくれます 味のあるボロアパート小暮荘で繰り広げられる人間模様を 妖しく、温かく、爽やかに?描いています なるほどこれは築ウン十年の小暮荘ならではの話だわ 文句なく面白かったです

    8
    投稿日: 2014.10.24
  • チーム

    チーム

    堂場瞬一

    実業之日本社文庫

    ヒートの原点がここにある

    一人の天才ランナーと30キロまでの男と揶揄される 不運なランナーのドラマを描いたヒート ヒートで描かれた天才ランナーの原点がここにある 究極のチーム競技といわれる駅伝のなかで 唯一、個の寄せ集めチーム学生選抜 彼らは何のために襷を繋ぐのか 走る意義さえ見出せないなかで競技に臨む男たちの姿に迫る

    5
    投稿日: 2014.10.15
  • ロマンス小説の七日間

    ロマンス小説の七日間

    三浦しをん

    角川文庫

    肩の力を抜いて単純に楽しめる作品です

    月魚のような繊細な静けさを描いたものも有れば こういった肩の力を抜いて単純に楽しめるものも三浦さんの魅力 幅の広い作家さんですね 翻訳家の若い女性主人公の苛立ちなどを 翻訳を曲げて行く事で鮮明にしていくあたり さすが三浦さんと言ったところでしょうか 何気ない父親の愛情も温かくて良かったなぁ

    8
    投稿日: 2014.10.05
  • 5年3組リョウタ組

    5年3組リョウタ組

    石田衣良

    角川文庫

    学校物は作品に作者の感性が反映されやすいので、その辺りを楽しんで読みました

    学校物、特に小学校を題材にした作品は そこに起る一つ一つの問題に対して単純に善悪だけで動けない事も多く 作者の考え方や人間性が作品中に現れやすいと思います この作品では子供の目線から物事を考えようとする先生像が描かれており 自然体で直感的に動く若い先生の清々しさが、ストレートに心を打ちます ただ他の先生との会話の不自然さ、恋愛話の必要性 また宙ぶらりんのままとなってしまった話題の結末など 中途半端に感じる部分も多く有ったように思い そこだけは残念でした

    5
    投稿日: 2014.10.03
  • 天使はモップを持って

    天使はモップを持って

    近藤史恵

    文春文庫

    ごみ一つからここまで解ってしまうとは、こわっ…

    いわゆる日常の謎解き系ですが 舞台がオフィスという事もあり少々軽快感に欠けてしまった感じが キュートなギャル風掃除人キリコが 掃除をしながらそこに残された痕跡を頼りに事件を解決していく姿は爽快 新人会社員大介が抱く淡い恋心の行方も気になります それにしてもラストにはやられたなぁ

    6
    投稿日: 2014.09.25