
本が好き子さん
なるあすく
太田出版
思っていた「本好き」とは、ちょっと違かった。
一言で言うなら、本が好きな女の子の話というよりは、超人的な身体能力を持つ女の子の話でした。 CGやワイヤーアクションでしかあり得ないような人間離れした動き。 エクストリームアイロニングのような、「なんでそんな状況で!?」とつっこまざるを得ないような読書環境。 本好き・読書好きというよりは、その常識外れのシチュエーションを楽しむ方向の作品でした。 もちろん、普通の身体能力しかない人間にも共感できるような読書エピソードも豊富なので、「本に対する愛情なら自分も負けはしない!」というひとは挑戦する気持ちで読んでみるとよいかと思います。
4投稿日: 2016.02.09アル中ワンダーランド
まんしゅうきつこ
SPA!BOOKS
割りと、他人事じゃない。
アラフォー漫画家・イラストレーター(そして主婦)の著者が、自身のお酒にまつわる失敗談を赤裸々に描く本作。 そのエピソードの一つ一つが非常に痛々しく、読んでいて時折つらくなってくるほどだ。 泥酔して記憶をなくすことたびたび。 仕事であるトークイベントに酩酊状態で出席し、ステージ上で寝てしまう。どころか多数の観客の前でおっぱいまで晒してしまう。 近所の人からはキチガイ扱いされ、実の弟からは「クソ野郎」「生きる才能ゼロ」とまで言われる始末。 通院と断酒会への参加により完全に断酒に成功。 だからこそ著者はこの作品を描くことが出来た訳で、そう言った意味では「ハッピーエンド」であることが分かっているので安心して読むことが出来る。 回復しているからこその、笑い話。 しかし回復に至るまでのそれぞれのエピソードが、つらい。 多少なりともお酒をたしなむ自分としては、他人事とは思えずなおのことつらい。 読みながら思わず我が身を振り返る。 お酒が好き、または周囲に酒好きな人がいる。 そんな人は、読んで損はない。 アルコール依存症に対する具体的な対処法が描かれている訳ではないが、 「あれ? もしかして俺、アルコール依存症かも?」 と気づくきっかけにはなるかも知れない。
5投稿日: 2015.12.06ファムファタル(1) ~運命の女~
シギサワカヤ
電撃G'sマガジン
一筋縄ではいかない、恋(?)。
彼氏持ちのサークルの先輩に、不本意ながら惹かれてしまう主人公・ハイ。 無邪気・無神経な「天然」の彼女に振り回され、ちょっとしたことで一喜一憂。自分で自分が分からない。 周りの人間も表と裏を使い分けてて、もう何がなんだか。 はっきり言って、ハッピーエンドになる気がしない。 全3巻の本作品の、そんな第1巻。
2投稿日: 2015.11.01インテリぶる推理少女とハメたいせんせい In terrible silly show.Jawed at hermitlike SENSEI
米倉あきら,和遥キナ
HJ文庫
主人公に全く共感できないし、どちらかと言うと嫌悪感しか湧かない。
平たく言うと、主人公である「せんせい」が、女子中学生を強姦し続けるお話。 ここで言う「強姦」が、残念ながら比喩表現ではない。 作中詳細な描写はされていないが、主人公は生粋の強姦魔であるため、教え子である生徒を次々と強姦していく。 ちなみに作中でも「強姦」という単語が繰り返し繰り返し登場し、読んでいてげんなりする。 「メタ」であるとか「叙述トリック」であるとかミステリーらしい説明がなされたり、過去の様々なミステリー作品について触れられていたり、 取り敢えずはジャンルとしてミステリーに分類されるのかも知れない。 HJ文庫というレーベルと、かわいらしい絵柄の表紙と挿絵であることから、ライトノベルというものなのだろう。 けれどその双方が好きだとしても、この作品をお勧めする気にはなれない。 まじめな読者であれば、多分胸糞悪いだけだろうから。 誰に向けて書かれたものなのか、正直分からない。 しかしこれが出版・販売されているのだから、求めている層が間違いなくいるということなのだろう。 少なくとも自分は、その層ではなかった。 買って読んでしまったことを後悔はしないが、読んでよかったとは全く思えない。 (余談だが、自分としてはこの作品よりマルキ・ド・サドの『閨房哲学』の方がまだ共感できる)
2投稿日: 2015.07.05僕と先輩のマジカル・ライフ
はやみねかおる
角川文庫
魅力的な登場人物。けど物語はまだまだ途中。
自称常識人の主人公、井上快人(午後9時には寝るのが日課)。 その幼なじみの女の子、川村春奈(本物の霊能力者)。 そして他の寮生からは恐れられている、何歳なのか何年生なのか何学部なのかすらよく分からない先輩、長曽我部慎太郎(あやかし研究会課長)。 3人が身近におこる「あやかし」を研究し解いていく、大学生活青春ミステリー。 主要登場人物の3人はくせ者ぞろい。 そして寮の先輩方も、なかなかの個性派ぞろい。 このひとたちが動き回るだけで、かなりおもしろいことになりそうなのだけど……。 如何せん、ページが足りない。 この本ではひとつひとつのエピソードの「あやかし」は解明されているのだけど、おそらくこの物語最大の謎である「長曽我部先輩は何者なのか?」といったところが、全く解明されずに終わってしまっている。 作者もあとがきで書いているが、これはぜひとも続編を書いてもらわないと。 エピソードはそれぞれ「騒霊」「地縛霊「河童」「木霊」と題されているけれど、おどろおどろしい内容ではなく、そしてガチガチのオカルト趣味というわけでもありません。 子供から大人まで楽しめます。 長曽我部先輩のビジュアルをどうイメージするかによって、受ける印象がだいぶ変わってくるかも。
3投稿日: 2015.06.29やわらかい。課長 起田総司(1)
カレー沢薫
週刊Dモーニング
あまりにも内容がひどすぎて、おすすめしかできない。
EDを治そうとするサラリーマンが主人公なだけあって、基本的には全編下ネタだらけです。 表紙のさわやかさはどこに行ってしまったのかと思うような、下ネタのギャグマンガです。 しかしただのギャグマンガではありません。 ところどころに男女の本音がちりばめてあり、ある意味実用書であり哲学書と言えるかもしれません。 「おんニャの子の体は順番通りにボタンを押せばイく機械じゃニャいですよ」(飼い猫の台詞) 「どんだけイケてても自分に関心持ってくれない男は女子にとって無価値ですから!」(同上) 「「俺に優しい女」は 「他の男にも優しい」とは思わないんですか?」(同上) 「おっぱい見たい=好きというわけでは!」(主人公) などなど。 ある意味名言だらけなので、ぜひ登場人物の人間関係を把握した上で、台詞を味わっていただけたらと思います。 (万人受けする作品でないことは重々承知した上でおすすめしています。 試し読みできるなら、試し読みから始めてください。 ちなみにこの作品は「モーニング」の電子版である「Dモーニング」でしか連載していませんので、本屋での立ち読みができません。 私はこの作品を読みたいがために、Dモーニングを購読しています。)
6投稿日: 2015.06.21逆境ナイン(1)
島本和彦
月刊サンデーGX
これほどまでに「力」のあるマンガは、そうそうあるもんじゃない。
自分は何故この作品が好きなのか。 それは、「元気になる」からだ。 ふさぎ込んでいる時に、なんとなく手にとってしまう一冊。 それがこの『逆境ナイン』だ。 現実のいやなことを忘れるため・目をそらすための、現実逃避としての読書もあると思う。 しかしこの作品は違う。 この作品を読むということ、それは現実と力いっぱい向き合うための読書なのだ。 荒唐無稽とも言える、バカバカしいほどの逆境。 本人たちは真剣なのに、あまりの熱量に笑えてしまう登場人物たちの行動。 そんな彼らから飛び出てくる、名言の数々。 それらが、プラスの、暑苦しさを伴う正のエネルギーでもって迫ってくる。 読めば、力が沸いてくる。 出来ないことはないんじゃないかと思えてくる。 全てのひとに、ぜひとも、マンガの力を感じとってもらいたい。
4投稿日: 2014.08.31ニンジャスレイヤー(1) ~マシン・オブ・ヴェンジェンス~
ブラッドレー・ボンド+フィリップ・N・モーゼズ,余湖裕輝,田畑由秋,本兌有・杉ライカ,わらいなく・余湖裕輝
ヤングエース
自分が6兆円ぐらい持ってたら
スポンサーになるので、是非とも実写映画化してほしい。 漫画の感想としては間違ってるかも知れないが、そう思った。
1投稿日: 2014.07.23中の人などいない@NHK広報のツイートはなぜユルい?
NHK_PR1号
新潮社
ツイッターとは何か? という問いに対する一つの名回答。
ツイッターのNHK公式アカウント「NHK広報局」の中の人のエッセイです。(「中の人などいない」のですが、その理由も本文中で述べられています。) フォローしている人なら、頷きながら楽しく読めると思います。 実際のツイートを見ていない、フォローしていないという人は、その楽しさがちょっとだけ減ってしまうかも知れません。 でも、ちょっとだけです。 どのようなツイートをしていたかはいくつか引用がありますし、何より本文中にも「NHK+白石さん+のだめちゃん+バカリズムさん」+「まじめ、誠実、優しい、おもしろい、天然」ぶりがにじみ出ているので、本書だけで十分楽しいのです。 (ちなみにかぎかっこ内の性格は本文からの引用です。) 私は購入後、一気に最後まで読んでしまいました。 楽しい、だけではありません。 東日本大震災に関する章は、当時の緊迫した状況や著者の葛藤が伝わってきて、胸が熱くなります。 クビを覚悟しての、ネットの違法配信についてのリツイート。 国からの正式発表がなされていない状況での、原発事故にかかる避難の呼びかけ。 そして「日常を取り戻すためのきっかけ」としての、「日常的なユルいツイート」宣言。 批判を受けながらも信念をもってぶれずにツイートを続けるその姿には、ただただ、頭が下がります。 NHKが好き。 ツイッターに何かしら関わりがある(やってる)。 そんなひとなら、読んで損はない一冊だと思います。
4投稿日: 2014.05.15磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜 1
仲間りょう
週刊少年ジャンプ
今の少年ジャンプで二番目に好きな作品
ある意味、とてもおもしろい。 毒にも薬にもならぬ、「くだらねぇ~(笑)」と脱力するだけの作品。 この作品の連載を決めたことは、編集部の英断だと思います。 食わず嫌いのひとも多いと思うけど、実際に読んで「何がおもしろいの?」というひとも多いと思う。 万人におすすめはしないけど、 私は大好きです。 単行本としては、本編のみならず編集者のコメント(あらすじ)も楽しかったです。
7投稿日: 2014.05.03