まくらたかさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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老人喰い ――高齢者を狙う詐欺の正体
鈴木大介 / ちくま新書
高度に組織化された詐欺集団の内情に、驚愕する。
7
裏家業の収益金を奪う少年たちを描いた漫画『ギャングース』のストーリー共同製作でもお馴染みの鈴木大介氏の著書。
特殊詐欺に手を染める犯罪加害者たちに取材を重ねただけあって、詐欺を行う集団がどのような組織…なのか、どのように業務に当たっているのかが驚くほど詳らかにされている。
著者自身が「はじめに」で述べているように、本書には防犯知識が書かれている訳ではなく、防犯のための専門書という物ではない。
しかし特殊詐欺を行う側の内情や心情を読んでいると空恐ろしくなってきて、自然と防犯意識が高まってくる。
詐欺の組織運営状況など、部分部分が物語の様に書かれており、非常に読みやすく、分かりやすい。
特殊詐欺の被害者は大半が高齢者だが、生きている以上誰もがいつしか高齢者になる現実を思えば詐欺被害はけして他人事ではない。
特殊詐欺被害が一向に収まらない現状、それが何故なのかを探るためにも読んでおくべき一冊と思う。 続きを読む投稿日:2017.01.09
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磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~ 1
仲間りょう / 週刊少年ジャンプ
今の少年ジャンプで二番目に好きな作品
7
ある意味、とてもおもしろい。
毒にも薬にもならぬ、「くだらねぇ~(笑)」と脱力するだけの作品。
この作品の連載を決めたことは、編集部の英断だと思います。
食わず嫌いのひとも多いと思うけど、実際に読ん…で「何がおもしろいの?」というひとも多いと思う。
万人におすすめはしないけど、
私は大好きです。
単行本としては、本編のみならず編集者のコメント(あらすじ)も楽しかったです。 続きを読む投稿日:2014.05.03
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マンガで分かる心療内科(1)
ゆうきゆう, ソウ / ヤングキング
紙版と電子版と、比較してもしょうがないけど。
6
紙の単行本から移行しようと思い購入しました。
電子版は、紙版に比べて「削られて」いる部分があります。
(どんな作品でも同じようなことが言えると思いますが)
詮無きことですが、参考程度に記しておきます。…
・目次がない。(紙版では1ページ1コマのネタマンガです)
・裏表紙がない。(紙版では本編にはない1ページマンガになっています。書籍説明にある、背負い投げ云々のくだりです)
・本編の合間の作品解説がない。(原作者ゆうきゆう医師のコラムというか本編解説です。ネタを交えながらも、マンガで扱った内容をさらに深く解説しています)
紙版と比べて値段も安いし、場所も取らない電子版。
小説などでも、作品解説なんかは電子版にはなかったりしますね。
(権利関係の問題でもあるのでしょうが)
しょうがないのかなと思います。
本編で扱っている内容は、ロリコンとかEDとか幻聴とかうつとか、おもしろおかしく分かりやすく、学術的なことが楽しく理解できるように描かれています。
個人的には、シモネタもあまりきついものではなく、愉快でした。
掲載誌は、どちらかと言うと男性向けの青年誌ですが、女性や少年でも楽しめると思います。(責任は持てませんが)
純粋にマンガとしても、入門書としてもおすすめです。 続きを読む投稿日:2014.02.19
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やわらかい。課長 起田総司(1)
カレー沢薫 / 週刊Dモーニング
あまりにも内容がひどすぎて、おすすめしかできない。
6
EDを治そうとするサラリーマンが主人公なだけあって、基本的には全編下ネタだらけです。
表紙のさわやかさはどこに行ってしまったのかと思うような、下ネタのギャグマンガです。
しかしただのギャグマンガではあ…りません。
ところどころに男女の本音がちりばめてあり、ある意味実用書であり哲学書と言えるかもしれません。
「おんニャの子の体は順番通りにボタンを押せばイく機械じゃニャいですよ」(飼い猫の台詞)
「どんだけイケてても自分に関心持ってくれない男は女子にとって無価値ですから!」(同上)
「「俺に優しい女」は 「他の男にも優しい」とは思わないんですか?」(同上)
「おっぱい見たい=好きというわけでは!」(主人公)
などなど。
ある意味名言だらけなので、ぜひ登場人物の人間関係を把握した上で、台詞を味わっていただけたらと思います。
(万人受けする作品でないことは重々承知した上でおすすめしています。
試し読みできるなら、試し読みから始めてください。
ちなみにこの作品は「モーニング」の電子版である「Dモーニング」でしか連載していませんので、本屋での立ち読みができません。
私はこの作品を読みたいがために、Dモーニングを購読しています。) 続きを読む投稿日:2015.06.21
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あれよ星屑 1巻
山田参助 / 月刊コミックビーム
画に力がありすぎる。
6
戦後、偶然再会した「班長殿」こと川島徳太郎と、戦場で川島の部下だった黒田門松。
この二人を中心として、様々な人たちの「戦後」が魅力的な画で描かれています。
なんと言っても、人物の表情が素晴らしい。
生…き生きとしていて、存在感があります。
戦中という過去を抱えたそれぞれの人物像も魅力的。
この第一巻では戦後の彼らがどう生きているかが主に描かれていますが、ラストで戦時中の部隊へと場面が移ります。
川島と黒田はどのように出会ったのか。
どのような部隊生活を送ってきたのか。
二巻へと話が続いていきます。 続きを読む投稿日:2016.04.29
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さよならもいわずに
上野顕太郎 / 月刊コミックビーム
愛するひとをなくしたとき、世界はこんなにも歪んでしまうのか。
6
ギャグ漫画の印象が強い著者の、自らに降りかかった悲劇を題材としたドキュメンタリー。
うまい言葉、いい言葉が出てこないのだが、「愛するひと」がいる、全てのひとに読んでほしい。
ひとは必ず亡くなるもので…、誰もその悲しみを避けることはできないから。 続きを読む投稿日:2013.09.25