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総合評価

457件)
4.3
192
193
53
6
1
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    3年半ぶりに再読 なるほどという展開に驚きつつ、どこまでも不幸に取り憑かれる一家に心が苦しくなる。主人公の憎めないキャラにクスッとさせられるのが救い。

    2
    投稿日: 2021.08.24
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    少女失踪事件を捜査する刑事・相馬は、現場で奇妙な印を発見し、23年前の苦い記憶を蘇らせる。台風一過の翌日、川岸にランドセルを置いたまま親友が消えた。そこにも奇妙な印が残され…。司法の信を問うミステリー巨編。 前作があるとは知らずに読み始め、序盤は興味を惹かれる展開で「これは傑作かも」と期待した。ところが中盤からややダラダラした展開と、とても子どもとは思えない判断が現実離れしていて興醒めしてしまった。 (Ⅽ)

    0
    投稿日: 2021.08.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    やっぱりシリーズで読んで正解!ちょこちょこ過去話が出てきたり、人となりは読んでないとにやにや出来ないなーと思いました。 もう、今すぐにでも実写化出来るだろうなぁってくらいの一冊でした。ストーリーのスピード感もキャラクターの作りも魅力的。 私としては「犯罪者」のボリューム感を期待していたところがあり、あら?もう真相!?って言うスマートさを感じました。良い意味での回りくどさを期待していると、480頁は短く感じます。 今回は相馬の過去に焦点を当て、物語が進んでゆきます。なんだろう…鑓水の勘の良さと修司の潔さ、行動力が目立ち、もう、相馬さん!ぼんやりして〜!っていう謎の愛しさを感じつつ。相変わらずの3人に推し力を強めてしまいました。 内容は切なかった。なんか、どこかでもうちょっと違ったら…どこから違えばよかったのか…こんなことにならないで済んだのか…。人を殺しておいて悪くないはないけれど、もっと世界が正しかったなら、こんなこと起こらず笑顔で暮らせていたのかな…。 犯罪の被害者にとっての加害者と、一度は加害者とされた冤罪の被害者。冤罪を生んでしまった司法は罰せられず。常磐の話した内容も理解はできますが。。 私も自分の身に起こらないと想像もできず、警察は正しく捜査してくれるって信じている一人です。そしてこれはノンフィクションではないけれど、たまに聞く冤罪について現実にあることなんだと思い、読んでいて辛かったです。

    51
    投稿日: 2021.08.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    冤罪をテーマ 冤罪が生まれる司法構造や冤罪による悲劇の連鎖が描かれる。 登場人物は、太田愛の前著「犯罪者」から鑓水・修司・相馬が出てくる。 鑓水と修司の興信所に、謎の美女が前金と共に23年前に失踪した息子の捜索を依頼してくる。一方で、警官の相馬は、女児失踪事件の捜査の応援をするのだが...。

    1
    投稿日: 2021.08.15
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    ドキドキしながら読み進められた作品。 冤罪によって本人だけじゃなく、家族も人生が変わってしまう‥そんな過程を目の当たりにした気持ちでした。

    0
    投稿日: 2021.07.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    裁判での有罪率99%の裏にある検察官に圧倒的な有利な法律や制度。「それでもぼくはやってない」という映画で冤罪が取り上げられていたが、この本を通して人権とは…と考えさせられた。疑わしきは罰せず(この本には別の言葉で書かれていたが)という言葉があるが、本の中で元裁判官が言っていたように、一般の人間からしたら真犯人を10人逃がしても無罪の人間を守る、のではなく1人を犠牲にしてでも10人の犯罪者を捕まえるのを望んでいるということ。それも一理あるんだよな。でも、冤罪被害者にしたらたまったもんじゃない。この先の人生を暗闇の中彷徨い続けることになる。 尚も拓も冤罪被害者の家族でありながら自ら犯罪に手を染めてしまった。決して許されることではないが、やりきれない思いを持ってしまった。

    1
    投稿日: 2021.07.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ほろ苦、というか激苦い。 何という悲しい運命、哀れな親子、兄弟。。。 それが現在の司法制度の歪みから生じてしまう残酷さ。 作品紹介・あらすじ 「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」毎日が黄金に輝いていたあの夏、同級生に何が起こったのか――少女失踪事件を捜査する刑事・相馬は、現場で奇妙な印を発見し、23年前の苦い記憶を蘇らせる。台風一過の翌日、川岸にランドセルを置いたまま、親友だった同級生は消えた。流木に不思議な印を残して……。少年はどこに消えたのか? 印の意味は? やがて相馬の前に恐るべき罪が浮上してくる。司法の信を問う傑作ミステリー。日本推理作家協会賞候補作。

    26
    投稿日: 2021.07.05
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    前作の犯罪者が面白かったので読んでみました。とても面白く、あっという間に読み終えました。 でも、クライマックスに至るところの説明多すぎ感や、行動の動機にいまひとつ同意出来なかったことで星三つ。

    0
    投稿日: 2021.07.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かった。 読み始めると止まらなかったです。 尚と拓を抱きしめてあげたくなりました。 しかし、 最後もう少し尚に救いを与えてほしかった。

    1
    投稿日: 2021.06.24
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    ページ数が多くて最初は大丈夫かな、、、と思ったが心配無用だった。次々に展開が変わり、まるで1本の映画を見てる様だった。エネルギーに満ち溢れている作品。最後まで飽きることなく読了。また再読したい。

    4
    投稿日: 2021.06.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「自白の強要による冤罪」を扱った司法の信を問うミステリ。社会構造に虐げられた弱者による逆襲も、強者に大きな瑕を付けるには至らないという現実的な結末に、悲哀を感じざるを得ませんでした。 ―― https://bookmeter.com/reviews/74997052

    1
    投稿日: 2021.06.15
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    犯罪者同様ストーリーがちゃんとしてる 犯罪者よりこっちの方が面白いかも ただ、読みやすくはない なんというかサクサク読めない 犯罪者同様に文章が少しまわりくどいのかもしれない

    2
    投稿日: 2021.05.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「犯罪者」の続編と知らずに読み始めたので、修司と鑓水の登場に嬉しい驚き。前作がとても良かったので、否が応でも本作への期待も高まります。 前作を思い返してみると、あちらは修司の過去がフォーカスされていたように思いますが、本作は刑事の相馬の過去にスポットが当たっていますね。 そんな相馬と尚・拓兄弟など主要人物の過去をしっかりと、じっくりと描いているためか、相馬を含む各キャラクターのバックボーンには相当な厚みが感じられます。半面、展開のスピード感は事態の緊迫感もあって、前作の方が上だったように思います。 それでも、尚の行方や現場に残されていた印など、謎が少しずつ明かされ、けれど拓の死などの新たな謎が出てくる流れは、読むモチベーションを維持するには十分。終盤の展開は前作と同等の緊迫感が溢れ、スリリングな内容を楽しめました。 前作はヒットマンからの逃亡劇的な部分もあってアクション性が高かったように思うのですが、本作はヒューマンドラマ色が強かった印象。微妙に質が異なるので単純比較はできませんが、前作と比肩し得る素晴らしい作品でした。

    3
    投稿日: 2021.05.27
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    感想書くの忘れてた…あまり覚えてないが、そんな事は無理なんじゃないか?と思ったようなそうでないような??

    0
    投稿日: 2021.05.24
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    冤罪のために人生を狂わされた家族の物語。 鑓水が経営する小さな興信所に、水沢香苗という女性が突然訪ねてくる。 「23年前に失踪した息子を探して欲しい」と。 同時期に、常盤理沙という少女の誘拐事件が発生する。あることがきっかけで(これが最後までなんだか分からないのだ)交通課にまわされた相馬は、捜査の手伝いに現場へ行き、そこにある樹木に刻まれたある印をみて驚く。23年前、ひと夏を一緒に過ごした尚という少年が失踪した場所に残されていた印と全く同じだったからだ。 相馬は、この誘拐事件が23年前の尚の失踪と深く結びついていることを確信する。 実は鑓水と相馬は大学時代の友人同士で、この2つの事件に関して、お互い情報を共有しながら色々と調べを進めていくうちに、過去の事件と現在の事件のある関連性が徐々に浮かび上がってくる。 警察が本当にこういうやり方をするんだったら、本当に恐ろしいと思う。でも昔は結構そういうこともあったみたいだよって、知り合いが言っていた。 ちょっと話が(設定が、かな)現実離れしているように思えて、わたしにはあまりしっくりこなかったというのが、読み終わったあとの感想だ。

    1
    投稿日: 2021.05.14
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    胸が焼け焦げるような切なさ、驚きや怒り。さまざまな感情が呼び起こされ深夜になってもページを捲る手を止めることができませんでした。 魅了されました。

    2
    投稿日: 2021.05.05
  • あの夏の日がなかったら。。。。

     ドラマや映画において、見ている我々が犯罪者の方に肩入れをしたくなるストーリーは多々ありますが、このミステリーも私にとっては、まさにそのような小説でありました。  冤罪については、これまでも何度も問題にされています。松本サリン事件や、いまだ再審中の事件も多々あります。しかし、この小説の中で書かれているように、冤罪に導いた人達に対する行為が罰せられるケースはあまりないように思います。厚生労働省の村木厚子さんのように、関与したか否かのような場合は別として、殺人事件ような場合は、真犯人を取り逃がすという大罪を、警察も検察も犯しているわけで、もっときびしく断罪されるべきでしょう。それにしても、いつ自分自身がそのような状況に追い込まれるか判らないと思うと、おちおち街を歩けなくなりますよね。  さて、この小説そのものはミステリーでありますから、その内容についての感想を詳しく書くと、これから読む人に申し訳ないので書けませんが、久々に長編ミステリーを読んだ私は、完全にのめり込みました。  謎が謎を呼び、一体何がどうなっているか、先が気になって仕方ありませんでした。おそらく実際にはこんな形で冤罪が成立してしまうのだなと言う戦慄、そして、まるでスタンドバイミーのような幼き頃の夏の思い出。結局、ウラに隠れている大きな闇は世間に公表されることはなかったという結果に終わりましたが、今なら文春が暴露するところでしょう。これに頼らざるを得ないのも情けない話です。  社会的闇を追及しつつ、夏の日の記憶をたどるストーリー展開は、とても読みごたえがありました。私はこの小説を最初に読んでしまいましたが、主要人物が出会う話がこの前にあるようで、そちらも是非手に取りたいと思っています。

    0
    投稿日: 2021.05.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私の拙い語彙力で言葉にすると、急に安っぽくなってしまうから多くは語らない、語れない。 けれど最後の、亮介が尚へ向けた「帰ろう」というセリフがものすごく温かくて、でも同じくらい切なくて胸が締め付けられた。 たった一ヶ月の幻のような夏のことであっても、いくら月日が経とうとも、彼らの中ではずっとその思い出が褪せることなく鮮明に生きているのだと思うと涙が止まらなくなった。

    11
    投稿日: 2021.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2021/4/16 ああ、しっかりした本だ~ ちゃんとしてはるわ。よくできてるわ。 そういう距離感。距離取らんとしんどい。 だって被害者がまだ被害者のままなんだもの。 もっと悪い奴らを悔しがらせて後悔させてよ。 この後尚は裁判して真実を明らかにするのかな。 でも拓は死んでしまってるやん。つらいやん。腹立つやん。 なんでゴルフとかしてんのよ。 ちゃっかり天下りして役員に収まってるのよ。 苦しめた分苦しめよ! そこまで見せてよ。 せめてフィクションでは因果応報が機能して欲しいのです。

    1
    投稿日: 2021.04.16
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    太田さんの作品は読みやすい。 今回も3人組が大活躍でした。 「十人の真犯人を逃すとも、一人の無辜を罰することなかれ」 がただの飾りになってしまった世の中。 今は安全のために十人の真犯人を捕まえるために一人の罪もない人が罰せられているという残酷な内容を描いている。 んー確かに普通に生活してる人にとっては十人の真犯人を捕まえられない方が嫌だけど、、、 そのために1人の人生が狂ってしまうのもなんとも言えない、、、 不良品を出さないために検査を厳しくするとものが流れない。かといって消費者からすれば不良品を買ってしまうのは辛い。 難しい問題だ。

    11
    投稿日: 2021.04.15
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    どんどん明かされていく真相に夢中になった。 冤罪についても勉強になる。 柔軟に生きていこうと思った。 暗号の答えには驚いた。 途中で気づけたのかもしれないけど自分はずっと違う意味だと思ってた。 答えが出た瞬間の感動と興奮が凄まじかった。 なんて切ないお話なんだ……。 余韻があって想像も膨らみます…。 他の2作も読みたくなりました。

    2
    投稿日: 2021.04.10
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    少年時代の回想で始まり、そして回想で終わる作りはずるいって!そんなんされたら嫌でも心に残るじゃないか。別に嫌じゃないけど。

    1
    投稿日: 2021.03.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    続きが気になりすぎて止められず会社遅刻寸前。 全ては大切な家族を守るための行動。そのためにしんどい人生を進むしかなかった彼の本懐を遂げさせてあげたかった。ていうのが正直な感想。そもそもの悪いことしたヤツらが大したダメージくらってなさそうなラストが悔しくて悔しくて…どうか描かれていない物語の続きの世界で、彼が少しでも楽になれますようにと願うばかりです。

    1
    投稿日: 2021.03.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まったく違うが「スタンドバイミー」が見えた。 23年前 あの夏、何があったのか。ここへ向かうミステリー。 読了してみて、あらためて秀逸なタイトルだと思った。 少年時代の無垢な友情と、対照的な殺人事件。 両者を対比して浮かび上がるのは、 正義とは何か。 閉鎖的な日本における司法制度の闇。 冤罪が引き金となってドミノ倒しのように不幸の連鎖が生まれ、社会に浮かび上がる。 ストーリーの面白さはもちろんのこと、社会派ミステリーだとも思う。

    2
    投稿日: 2021.03.19
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    もう真相に胸が張り裂けそう。23年前に行方不明になった少年。最後の目撃現場に謎のマークが残されていた。そして今少女失踪事件が起こる中、23年前と同じマークが発見される。23年前のとある事件が現代の事件を引き起こしていたのだった。やり切れなくて悲しい物語に目が潤む。とはいえ1章までは読み辛く「前作を読んでいない」というのが思いのほかハンデだった。主役級の3人の関係性がサッパリわからず、特に修司が何者なのかと。文章も硬い感じなので戸惑ったが徐々に慣れていき、常に自分の予想のちょっと上を行く展開に心掴まれた。

    2
    投稿日: 2021.03.13
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    以前書評を見て読みたかった小説。久しぶりの小説だったけど引き込まれて一気に読みました。 懐かしい少年時代と現代の誘拐事件が絡まって、展開も予想外で楽しめました。 他の2作も読んでみます。

    1
    投稿日: 2021.03.13
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    読み進める間に何度も驚きの波が押し寄せ、つらくなった。 これから尚が歩んでいく長い長い道のりを思うと気が遠くなるけれど、尚のことだから、拓の罪にも向き合っていくんだろうなぁ。 そして相馬はそんな尚に、距離は離れていても寄り添い続けるんだと思う。 たった一ヶ月の幼馴染みでも。

    8
    投稿日: 2021.03.05
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    引き込まれるように読んだ。 序盤はなかなか話に入っていけない本もあるが、 この作品は始めからスッと入っていけた。 太田愛さんの作品は初めてだったが、評判通りの秀作だった。面白かった。 他の2作品、「犯罪者」と「天上の葦」もいつか読んでみたいと思う。

    1
    投稿日: 2021.03.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公が12歳のころ、友人が行方不明になる。奇妙なメッセージを残して。主人公はその後刑事になるが、担当した失踪事件現場に、その時と同じメッセージを見つける。 なぜあの時と同じメッセージが今残されているのか。行方不明になった友人はどこにいるのか。 内容は冤罪に対する司法の有り様を問うもの。後半ちょっと駆け足というか、いかにもドラマにありそうな展開だった。でも十分に楽しんで読めたし、展開が早いのでテンポ良く読める。 冤罪というテーマで、最初から最後まで重苦しい雰囲気があるなか、12歳の頃の思い出だけが輝いている。現実があまりに辛く悲しいので対比させているのかなぁ。誰も幸せにならなかったような気がして、読後感はあまり良くない。

    1
    投稿日: 2021.02.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み終わって、哀しかった。本当に、心から哀しかった。 哲雄と香苗、尚と拓。この家族の誰にも罪など無かったのに、「法の暴力」をふるった運用者達に、踏みにじられ、それぞれに誤解を着せられたまま、別離せざるを得なかった小さな家族。 ヒトゴロシ、たった12歳の少年が背負う必要など、絶対にない言葉だ。それが、まさにあの階段坂を転がるように、暗い方へ、昏い方へと、止めようもなく落ちていく。 罪を被せられた父、その父を我知らず殺した子。母は息を潜めるように生きてきたのに、病を得て早くに旅立っていく。 弟は狂い、兄はすべてを捨てて、喪って、それでも壊された家族の為に、火に焼かれるような道を、心を殺して生き尽くそうとした。 悪くないんだよ!あなたも、あなたの家族も、誰も悪くないんだ。生きて、必ず生きて帰って来て欲しい。その場所に家族はいなくなってしまったけれど、あなたと夏を共にした友達と、その仲間(もちろん四郎も)が、今度こそ、あなたの帰る場所で待っているから。 ……と、心のなかで尚に叫びながら、エンディング近くは、ぼろぼろと泣きながら読んだ。 冤罪という言葉が、現在もそう遠くない日常にあるからこそ、作者はこの苦しいテーマに挑んだのでしょう。 泣かせる、とか、そういう安っぽいコピーとは無縁の作品だが、泣いてしまうことを止められなかった。短い夏の、長く哀しい物語です。

    2
    投稿日: 2021.02.23
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    切なくて悲しくて、真相を知った時、なみだがとまらなかった。 でも、ひと夏の思い出が、それを鮮明に覚えていた相馬の存在が、登場人物たちの光になってればいいとおもいました。

    1
    投稿日: 2021.02.18
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    太田愛さんは今1番のミステリー作家なのかも知れない。緻密なストーリーと人間描写で引き込まれる。本作は更に主人公の少年時代ともリンクしとても切ない。相馬、鑓水、繁藤の三人組シリーズ。三人とも魅力的。

    1
    投稿日: 2021.02.11
  • ある種の理想型

    シリーズ前作「犯罪者」ですっかり虜になってしまった。 前作では息もつかせぬスピード感、誰が生き残り誰が死ぬのかとハラハラし通しだったが、今作品は謎解きの牽引力はそのままに、だか一味違う切なさがある。 base~あの夏を忘れない、や、井上陽水の少年時代を聴くと沸き上がる郷愁、二度と戻れない子供時代の儚さ… 推理小説の中に切なさを封じ込めた、私にとってある意味理想的な小説だった。 もちろん、冤罪の構造的な問題など硬派な社会的テーマも抜きがたく主題となっている。

    0
    投稿日: 2021.02.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「犯罪者」にシリーズ2作目。 水沢家の辿った運命がやりきれなくて、救いはなかったのだろうか‥ 父は家族に迷惑がかからないことを願いやってもいない罪を認め、母は家族を守るために夫を捨て、尚は弟を、拓は兄を思い‥ それなのに、不運の一言では片付けられないこんなことって。 脚本家さんの書く話だからか、前作に同様、映画化されそうだなーと思った。 私の中では「犯罪者」下巻頃から勝手に、相馬は星野源さん、鑓水は綾野剛さんに変換されています。←このドラマ既にあるけど 次の「天上の葦」にも期待!   

    1
    投稿日: 2021.02.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    前作の犯罪者の面白さに圧倒されて、続編も。 犯罪者の時の登場人物がじゃんじゃん登場し、キレの良いやり取りも相変わらずでこちらもあっという間に読破。 個人的には前作の方が度肝を抜かれたかな、と思うも、今回も予想をどんどん裏切られる展開で目が離せなかった。最後のジェットコースターのような手に汗握る展開も相変わらず! 冤罪は本当にあってはならないこと。 日本は取り調べの内容が非公開であり、強い取り調べがまかり通っていること、かつ検事が被告人に有利な証拠を隠しても罪に問われないとを知って愕然。 そんなことが許されていいのか…。 冤罪事件のせいで、本人だけでなく家族が不幸の渦に巻き込まれて行くのが悲しすぎた。まだ12歳の尚が家族を守るために全てを捨てて失踪をするのも、真実を知った拓が心を病んで罪に手を染めるのも… こんな事件さえなければ、聡明で快活なまま成長して行けただろうに。 犯罪者を取り逃さないことはもちろん大前提として大切だが、冤罪被害者を作らないために日本の法律を見直してほしいと切に思った。

    1
    投稿日: 2021.01.23
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    12歳の少年のひと夏の友情。 ・ ・ ずっと一緒に成長していくと思ってたのに、ある日忽然といなくなった尚。 ・ ・ そして尚がどうして失踪して、どうやって生きて来たのかが分かった時は切なくてジーンとした。

    1
    投稿日: 2021.01.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    伏線盛りだくさんの序盤は少し億劫だったが、中盤からの盛り上がりはこれぞミステリーという感じ。逆に、「これいる?」みたいな細かい描写が、最後は見事に回収されていた。必然性にかける部分や動機が強引だった箇所もないこともないが、読者の期待を裏切らないミステリーだと思う。 日本の司法構造の問題点だけでなく、「効率性・合理性が重視される社会」、「全員の正義の為なら1人は犠牲になっても仕方がない社会」の問題点をつく一冊だったように思う。 もう1つ付け加えるとすれば、3人の少年の一夏がかなり丁寧に描かれていたことだ。(蝉の声、百日紅やカンナの花、石段等の)情景がありありと浮んだし、儚くも切ない一夏として際立って情緒的に描かれていた。

    2
    投稿日: 2021.01.20
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    あっという間に読了 早く読めてしまう 先を急いで次々と 早く読めるから良い作品って訳じゃない けど瞬間で物語に引き込まれて 切なさに胸を締め付けられて…    //=|   

    1
    投稿日: 2021.01.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    冤罪を生み出す日本の司法の構造を炙り出す小説。 逮捕する段階で犯人だと断定しているので、取り調べる側はそれを正義と信じて、非人道的な環境下においてでも自供を迫る=叩き割り 冤罪で服役し、晴れて潔白が証明されて家族に会いに行った哲雄は、我が子尚に会い、兄の尚を守ろうとした拓に石を投げられて死ぬ。12歳の尚は幼い拓と母を守るために、水沢尚という人格を捨てて出奔し、23年の時を経て、司法構造の闇を暴くために幼女誘拐・殺害を企てる。 結局被害者である哲雄や拓は死んで、尚も犯罪者となる取り返しのつかなさ。

    1
    投稿日: 2021.01.11
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    普段深く考えない冤罪と日本の司法について考えさせられた。 尚はなぜ突然いなくなったのか… あの夏に何があったのか… その真相が衝撃的だった。

    1
    投稿日: 2021.01.07
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    うーん。何かなあ。 これ、単独で読んだんだけど、あんましオモロなかった。 それなりに引き込まれて、短時間で読み終わったが、感動が無かったわ。何でやろ? 無理筋気味の展開が気に入らなかったんやろね。

    0
    投稿日: 2020.12.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    正義? 不良品コストを見据えた生産性? ヌーの群が河を渡り切るために ワニに差し出す一頭? それで1と10は割り切れてる? 10人の為に犠牲になるのは私かもしれないのだ。 生きるのもギャンブル。 冤罪被害者になりうる確率は、 宝くじに当たるくらいの確率らしいw 平等な世界なんてないし バランスなど取れてるフリしてるだけ。 『犯罪者』の存在を知らずに ブクログのおすすめで購入読破した。 すぐにも前作と後作に手をつけたい。 一気読み必須だろう。

    1
    投稿日: 2020.12.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ミステリーである本作は「ぞわっ」とする、また「あっ」と驚く仕掛けが詰まっており、先が気になり夜更かし必至の作品。 テーマは「冤罪」。冤罪により1つの家族が崩壊し、それが事件の動機となっている切ない話だった。冤罪に関与した3人を通して、冤罪を生み出すこの国の司法制度の問題点を指摘しており、可能性は極めて低いながらも、こうした事に巻き込まれたら自分・周囲の人生が滅茶苦茶になる恐ろしさを感じた。関与した3人は終始嫌な人物に描かれていたので、もっと不幸になってもいいと思ったが、少々のダメージしか負わないところがリアル。 また少年時代のエピソードが切なく、結末を思い浮かべながら読むと泣けてくる。

    1
    投稿日: 2020.12.20
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    これ単体でも勿論面白いんですがやはり犯罪者を読んでからのほうが3人の関係性を把握出来ているので話がスムーズに入ってきてやりとりなんかにもにやりと出来て良いと思います 相馬、やっぱ碧子さんと良い感じになってやがった 冤罪をテーマに再び弱者と巨大な存在との闘いを描く 過去と現在がリンクして動いていく物語 散りばめられた伏線 二転三転していく真実 終盤の怒濤の展開にははらはらでした 家族皆、互いの事を想うばかりに引き起こされた悲劇 ノスタルジックな雰囲気、美しい表現相まって切なかったです 中高生の放火のくだりは過剰過ぎるとは思いました

    1
    投稿日: 2020.12.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    太田愛さんの作品を読んだのは2作目。 前回は大作の天上の葦。 両作共に、読後感が辛いんですけど。 何やら重いものが‥。 でも、こういうことって実際にもあったんだろうな‥。 あってほしくないけど聞いたこともあるし。 今日の日本でも。 もう‥誰よりもまずはお父さん可哀想すぎでしょ‥。 そこからの不幸の連鎖。 本当なら幸せに暮らしてるはずなのに。 前回と引き続き、 社会の?大人の?日本の? 汚さが見えて悲しい。 お母さんは、全て分かってたんだろうな。

    1
    投稿日: 2020.12.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    犯罪者から一気に読みました。 叩き割りと呼ばれる冤罪を作り出してしまうやり方や12才の少年が追い詰められる描写など、読んでいて息苦しくなる程でした。 この作者の作品は出来るだけ沢山の人に読んでいただきたいですね。 尚少年が誰にも救いを求められずに失踪しなきゃならなかった事は現実に成るかもしれない。 制度や仕組みは変えられないかもしれないけど、色々と考えさせられました。 続けて天上の葦を読もうと思います。

    20
    投稿日: 2020.12.06
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    情景が目に浮かぶ。息子を持つ母目線で読み苦しくなったが、なにか昔を思い出し郷愁の念を抱く。温度感のある作品。登場人物が出る他作品も絶対に読みます。

    9
    投稿日: 2020.12.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    デビュー作「犯罪者」に続けて本作も読み終えました。 「犯罪者」「天上の葦」を読み終え、本作「幻夏」と比較した時に読みながら少し中弛みをした点を考慮し、他2作よりも低い評価をつけたが、十分に読み応えのある一冊でした。 「犯罪者」の主人公は修司、「天上の葦」の主人公は鑓水、本作「幻夏」の主人公は相馬。 しかも、本作は相馬の子供時代まで遡り、結果的にそこから鑓水の見事な推理にて全ての謎が解き明かされる。 「天上の葦」で著者の作品に出会い、どハマりし、比較的短期間で3作を読み終えました。 全体像とそこに仕掛けられた多くの謎。 絡まって玉になった毛糸を解していくかのような謎解きの世界と現実の社会問題との融合。 個性的な3人の主人公と、犯人、警察や関係する登場人物全ての心理描写の妙。 実に深い。 相馬、鑓水、修司、それぞれを物語の中心に据えた3作を読み終え、本シリーズがまだ続いていくのかが気にはなるものの、例え別の物語になったとしても、次作を楽しみに期待している自分がいます。 説明 内容紹介 23年前の夏、失踪した親友は何を求め、何を失ったのか―― 「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」毎日が黄金に輝いていたあの夏、同級生に何が起こったのか――少女失踪事件を捜査する刑事・相馬は、現場で奇妙な印を発見し、23年前の苦い記憶を蘇らせる。台風一過の翌日、川岸にランドセルを置いたまま、親友だった同級生は消えた。流木に不思議な印を残して……。少年はどこに消えたのか? 印の意味は? やがて相馬の前に恐るべき罪が浮上してくる。司法の信を問う傑作ミステリー。日本推理作家協会賞候補作。 内容(「BOOK」データベースより) 毎日が黄金に輝いていた12歳の夏、少年は川辺の流木に奇妙な印を残して忽然と姿を消した。23年後、刑事となった相馬は、少女失踪事件の現場で同じ印を発見する。相馬の胸に消えた親友の言葉が蘇る。「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」あの夏、本当は何が起こっていたのか。今、何が起ころうとしているのか。人が犯した罪は、正しく裁かれ、正しく償われるのか?司法の信を問う傑作ミステリ。日本推理作家協会賞候補作。 著者について ●太田 愛:香川県生まれ。1997年テレビシリーズ「ウルトラマンティガ」で脚本家デビュー。「TRICK2」「相棒」など、刑事ドラマやサスペンスドラマで高い評価を得ている。2012年、本作『犯罪者 クリミナル』(上・下)で小説家デビュー。13年には『幻夏』を発表。日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補となる。17年には3作目『天上の葦』を刊行。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 太田/愛 香川県生まれ。「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマの脚本を手がけ、2012年、『犯罪者クリミナル』(上・下)で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    22
    投稿日: 2020.11.27
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    終始めまぐるしい展開で、ハラハラドキドキさせられっぱなしでした! 著者の太田愛さんは、相棒やTRICKの脚本を手がけている方のようで、本著を読み進めていると、まるで重厚な2時間ドラマを見ているような感覚に陥ってしまいました。 警察、検察、裁判所が生み出す冤罪事件。 謎の暗号が残された誘拐現場と、いま明らかになる23年前の少年失踪事件の真実…。 いかにも実写化したら映えそうですね(笑) テレビ映えしそうな展開が幾度も巻き起こる一方で、水沢尚くんの悲しい生き方が、この物語の全てを形作っているとも言えると思います。 小さな少年が一人で背負ってしまったものの大きさを知った時、胸が苦しくなりました。 大好きな弟とお母さんを守りたくて必死だった少年を、ぎゅっと抱きしめてあげたい。 少し切ない余韻が残ってしまう小説でした。

    25
    投稿日: 2020.11.14
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    「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」毎日が黄金に輝いていたあの夏、同級生に何が起こったのか―― 少女失踪事件を捜査する刑事・相馬は、現場で奇妙な印を発見し、23年前の苦い記憶を蘇らせる。 台風一過の翌日、川岸にランドセルを置いたまま、親友だった同級生は消えた。 流木に不思議な印を残して……。 少年はどこに消えたのか? 印の意味は?  やがて相馬の前に恐るべき罪が浮上してくる。 つい先日読んでいた本も冤罪がテーマだったなぁ・・・。 この物語も冤罪がさらなる悲劇を起こす。 脚本家も手掛ける作者なだけあって、次から次へと巻き起こる事件から目を離せなくなるような展開。 展開も速いし、興信所の鑓水、修司、そして、交通課の刑事 相馬の連携プレーもかなり面白い。 あいつを殺したのは、きっとコイツで、だから姿を消して、復讐を企てようとしているに違いない。 なんて予測しながら読んでみたが、予測は少しずつ修正されながらもなかなか結論が見えないところも面白い。 その先の真実が気になって、眠くてもページを捲りたくなる、そんな本だった(*^-^*)

    45
    投稿日: 2020.11.08
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    どんどん物語に引き込まれていって、先へ先へと読みたくなる作品。途中、どうなるんだろう?と、とてもハラハラしながら読み進めていくと、思いがけないラストが待っていました。

    1
    投稿日: 2020.10.29
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    物語への引き込みが非常に上手い 小説は没入するまでが肝心だと思っているのだが、プロローグで一気に興味を惹かれるところが好きだった 伏線は3作の中で最も巧妙に感じた

    1
    投稿日: 2020.10.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    やりきれない思いでいっぱいです。書きたいことはいろいろありますが、うまくまとまりそうにないです。「流転の月」を読んだときも思ったんですが、私たちの社会は既に崩壊してるように感じます。怖い。この小説は現実の話ではないけれど、近い現実だと思います。 尚は死なせてあげたかったです。幸福な時間に帰してあげたかったです。家族の元に帰してあげたかったです。

    2
    投稿日: 2020.10.28
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    【犯罪者】の設定に続き物語が展開。 前回の【犯罪者】も壮大ですごかったのですが、今回も壮大なんだけど無理を感じない物語で素晴らしい。兄弟愛、母親への愛を感じるだけに寂しくもなる。

    2
    投稿日: 2020.10.14
  • 久しぶりの、読み始めたら止まらない!本でした。

    そして、泣ける!パズルのピースがはまっていくほどにやるせない。 現実の世界では、刑法に携わる人の中にも、警察関係の人の中にも、もう少し心ある人がいてくれたらと、願うばかりだ。

    0
    投稿日: 2020.10.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    このストーリーの悲劇がどうにか回避できなかったのかと重い気持ちになる。警察が勝手に作り上げた犯人像、そのために逮捕、刑罰を受けた自分の父親に対する母親・兄弟の心情はどれほどのものだったのか。とある夏の日、兄の尚が消えた。23年後、母親が尚の消息を明らかにするため興信所の鑓水に依頼する。更に少年時代にこの兄弟を知る警察官の相馬が真相に近づく。司法組織体制の闇、あるいは病理、これがここまで普通の家族を壊してしまった。尚の23年間を想うとこれ以上の拷問は思い浮かばない。久しぶりに「憎む心」を目の当たりにした。

    48
    投稿日: 2020.10.04
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    物的証拠も改竄し、自白も嘘の強要、悪魔のような警察官が出世する…被疑者と取調官、どちらが犯罪者がわからないや。全ての警察官に読んでもらいたい。

    5
    投稿日: 2020.10.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    毎日が黄金に輝いていた12歳の夏、少年は川辺の流木に奇妙な印を残して忽然と姿を消した。23年後、刑事となった相馬、左遷され交通課勤務は、少女失踪事件の現場で同じ印を発見する。相馬の胸に消えた親友、尚の言葉が蘇る。「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」冤罪だった。美人の母、身重が弁当を届ける「あの人は人を殺せません」が刑事は「自白した」(嘘)そのショックで早産。刑事は弁当を見せる。救急車のサイレンで妻が運ばれたの知り、やりましたという。 別件逮捕した男が真犯人。冤罪を訴える前に本人が死んだため、尚は人殺しの子。ばれる都度に引っ越す。 3才したの弟拓は知らない。家の相続で相続放棄をしろと叔父に言われて、全てを知った。 父親が9年後出所して三島に会いにくる。その日に階段で転落死 尚と母は死体確認。 あの夏、本当は何が起こっていたのか。今、何が起ころうとしているのか。人が犯した罪は、正しく裁かれ、正しく償われるのか?司法の信を問う傑作ミステリ。日本推理作家協会賞候補作。 探偵事務所の鑓水に23年前に行方不明になった息子を探してくださいと美しい40-60才の女性の家に呼び出され依頼される。300万円と鍵を渡され断れず。 女性はそのままいなくなった。車で待っていた修司が追ったが駅のホームで見失う。 相馬は元最高検察庁次長刑事の孫の理沙の失踪事件の捜査本部にいた。手柄取りを狙う刑事達から全く情報がとれていない。 相馬刑事が尚と幼馴染。現在の失踪事件と23年前の事件の発生場所には同じ印があった。 捜査本部にいた研究員が興味を持ち調べた。 研究員が尚だった。 父は冤罪。真犯人がわかり、離婚した妻と二人の息子に会いに行く。 石段で二人の息子に遭遇。尚は、人殺しの父が嘘をついていると思った。拓はそれを知らない。石段から拓が投げた石が父に当たり階段から転落。死亡。アリバイを作る為に、家の時間をずらす。夜の仕事で働き、午前中は寝ている母を起こす。父が死んだ時刻は家で昼食。犯行時刻、近所の耳の遠い老人宅から聞こえた豪華客船紹介番組。内容を記憶。刑事が来て、父の死と冤罪を伝えてた。弟の拓を守る。刑事は母を疑っている。死体確認に同行。 刑事が豪華客船番組のアリバイを疑う。テレビを見てないので、豪華客船の写真を見せられたたらアリバイが崩れる。神戸まで新幹線で観に行くが台風で既にに出向。疾走することにした。ランドセルを川沿いに置く。教科書の中が失踪した翌日だった。//=|を失踪した場所に残す。ナオを分解した記号。 施設で育ち刑事になり、自白による冤罪を研究。 法学部の学生になった拓が叔父の遺産放棄要求から、父親の冤罪について全てを知る。 精神的の壊れた。無垢な人間を撲殺し社会に復讐。 尚が//=|のマークに気がつく。拓に会いに行き、殺した。 父の冤罪に関わる裁判官、検察官、担当刑事を巻き込む誘拐事件を起こす。 殺害し、海に死体遺棄と自白させたが死体がない。尚は記者会見の直後、誘拐した少女と飛び降り自殺をはかる。自白が検察側の捏造だと証明する為に。 相馬、鑓水、修二の誘拐された少女はまだ生きている。尚にこれ以上、人殺しをさせないように追いかけた。制服警官が飛び込む寸前で尚に発砲。一命はとりとめたが寝たきり状態 孫が誘拐された最高検察庁自供検事は冤罪に対しても、法的に問題なしとゆずらない 父親の無罪を証拠のアリバイ発言を検察側が持っていたことを告げても変わらず 尚は、父が最後に言った、あいつらは何だってできるんだ。一度疑われたら、やっていようがいまいが、どうあっても犯人にされてしまう。 相馬が偶然、捜査本部で会った研究官、倉吉が尚だったこと。 尚の父が冤罪だったこと。その復讐だったことは3人と相馬の上司のみ知る

    0
    投稿日: 2020.09.18
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    日本の司法の闇に迫ったストーリー。冤罪について知りたい人は読むべき。というか知るべき。 一昔前のものだと思っていた警察の取り調べが話の中で描かれており、出版した年を確認すると2013年。マジかよ、最近じゃん。 本当に悲しい話なので普通に眠れなくなりました。謎解きにも睡眠を削られました。死ぬほどフラグが立てられているのに、暗号の意味、父親を殺した犯人、少女を誘拐した犯人……何一つ分かりませんでした。笑。伏線の回収は非常に鮮やか。 兄弟の両親は劣悪な環境に置かれていたのに、何故こんな良い人たちなんだろうな…切ない…。

    2
    投稿日: 2020.09.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み進むにつれて面白さが増していく作品だった。 細部ではどうかと思う所はあったが、上手く構成されていると思った。 脚本家らしくその場面の映像が想像しやすい。 と言うよりは自然と映像が浮かんでくる感じがする。 文章の行間を味わうとは違った読み応えがする。 不思議な感じがした。 少年時代の切ない想いと今のスリリングな展開が交差する。 秀作だ。

    8
    投稿日: 2020.09.10
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    2020.09.06.読了 太田愛作品は3本目。 読む順番を間違えてしまったが、あまり問題はなかった。 星数が語っている通り、この作品が1番おもしろかった。 どんどん引き込まれて先が読みたくてしょうがなくなる。 テーマは、冤罪。 日本の刑法、捜査システムなど多くの問題点を指摘しながら物語は進んでゆく。 悲しく切ない物語に季節感、時代や風景が絡んで目の前に情景が浮かんでくる オススメの逸品!

    1
    投稿日: 2020.09.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    辛い。こじれまくって、もうどうにもならない慟哭が余韻として残ります。四郎、かわいがっていると思ったけど、こんないきさつがあったんですね。

    1
    投稿日: 2020.09.05
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    冤罪を真正面から取り上げた物語。『十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれ』という法格言は日本の裁判では絵に描いた餅。 でも自分の立場が変われば考え方が変わってしまう可能性もある。 だから学ぶことを止めてはいけないな……。

    1
    投稿日: 2020.08.31
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    レビューを拝見して、読みたくなった本です。ありがとうございます。 大変面白く、読みごたえがありました。 文庫版の帯に、 「そんな!こんな切ない展開あり…!? 誰か嘘だと言ってくれ!! 12歳の夏、突然消えた親友は何を求め、何を失ったのかー」とあります。 単行本が出版されたのは、2013年ですが、私が最近読んだミステリーの中ではダントツに面白かったです。 テーマは冤罪。 かなり深いところまで警察管や検事の病理が描かれています。 ストーリーは、母と息子、兄と弟の関係が本当にせつなく、やりきれないとしか言いようがなかったです。 この作品の作者はドラマ『相棒』の脚本家の方なんですね。この作者の他の作品も是非読んでみたいと思いました。 以下、途中までのストーリー。 23年前、警察官の相馬亮介のかえがえのない、ひと夏の親友だった12歳の少年、水沢尚が失踪しました。 母親の水沢香苗が捜して欲しいと、今になって相馬の友人のやっている興信所に頼んできますが、香苗と尚の弟の拓はともに300万円置いて行方をくらまします。 尚の父で香苗の夫だった柴田哲雄は、殺人犯としての九年の懲役が終わってから、冤罪が晴れて23年前の尚のいなくなる四日前に香苗の家の近くで転落死しています。 そして23年後、哲雄の事件にかかわった検事の孫娘が失踪。同じく裁判官の息子が容疑者として逮捕されます。 果たしてこれは復讐なのか。 そして、事件は二転三転としていきますが…。

    68
    投稿日: 2020.08.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    おもしろかった。次々に展開していくストーリーにのめり込む。恩田陸のドミノって作品があったけど、登場人物多くて辟易したあの作品と同じくらいのテンポで進んでいくそのリズムが息をつかせる暇もなかった。いや、それは言い過ぎたかも。そのテンポは全て、尚の失踪に残された多くの謎から端を発していて、ちょっとこじつけめいたところも感じなくはないけど、ちゃんとミステリーだった。拓も尚も亮介も、あの夏のまま、幸せでいて欲しかったな。この作品のテーマが、司法の信を問うためのものなら、この胸糞展開も「これでいいのか!」っていうメッセージに受け取れなくはないんだけど、いかんせん勧善懲悪好きの私としては、哲雄氏の冤罪に関わっておきながらのうのうと開き直って生きている輩全てが不幸のどん底に陥るラストを期待していました。というわけで、ラストの裏切られ感に星三つ!

    6
    投稿日: 2020.08.16
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    犯罪者に続く2作目。個人的には、1作目と3作目の方が好きだけど、これも面白いよ。 ぜひ続きもので読んでみよう。

    1
    投稿日: 2020.08.10
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    夏になったら読もうと思ってたこちらの作品。『犯罪者』に続いて、太田愛さんのご本は2冊目。 前作と主要人物は同じで描かれている。 今回は冤罪事件が題材。 警察の人とか司法の人は、もし自分が冤罪事件に関わっていたら、こんなに簡単に忘れてしまうものなのかな?などなど、ちょっと疑問に思うことがあった。 自分だったら一生悔いそうな気がするんだけど…。 でもこの本で語られている通り、証拠の捏造などがあった実際の冤罪事件が起こったのを考えると、ちょっと何もかもが信じられなくなってしまった。 怖いよね…。 太田愛さんはTVドラマ『相棒』の脚本もされている方なので、読んでると『相棒』でありそうな権力とかそういうのへの反発とかが描かれてる。 そして読んでると、これあの俳優さんぽいなぁとか『相棒』に当てはめて考えてしまうよ。 

    2
    投稿日: 2020.07.26
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    作者2作目は前作の続編で、相馬の子供の頃に遡る。鑓水と修司との関係が前提となるが、続編と思わなければどうだったか。河原に佇むところや物語のキーとなる階段など映像が浮かぶのは脚本家ならではか。エンディングは切なくも少し優しい気持ちになった。次も楽しみ。

    1
    投稿日: 2020.07.26
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    たぶん気合を入れたのだろう。凝りすぎたプロットが読みにくくしている。更には子供が描けていない。ここに登場するのは子供の姿をした大人だ。謎解きの説明もセリフで行われることが目立ち、ドラマ性を失う結果となっている。それでも並みのミステリよりは面白い。今回は刑事である相馬の物語である。 https://sessendo.blogspot.com/2020/06/blog-post_98.html

    0
    投稿日: 2020.06.22
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    尚、拓の兄弟と、亮介の一夏の出会い、そして兄弟の父親の冤罪の誤解から来る悲しい事件。 作者がドラマや映画の脚本家ということから、映像とストーリーを意識した作風と感じた。 あまりにも悲しい一家だ。

    1
    投稿日: 2020.06.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    前作に続き社会派ミステリ。3人の話をまた読めて嬉しい反面、前作よりも救いがなくて少し切ないラスト。もっと相馬が報われる話が読みたい…

    2
    投稿日: 2020.06.11
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    面白い。 先が見えない展開。かと言って、奇抜ではなく、あり得る設定。登場人物はそれぞれ魅力的で、自分を持ってる。 よくこんなストーリーを思い付くものだと感心する。 日本の検察は特殊らしい。起訴すると有罪率99%だそうだ。出来レース?冤罪も起こるだろう。

    5
    投稿日: 2020.06.09
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    「犯罪者」の主役たちがまた活躍する。今度は、相馬が深ーく関わる事件、23年もの長い間頭から離れなかった「//=-」との突然の再開。一方で鑓水にも唐突で不可解な調査依頼。両者が交わる行末には・・ 今回も読み進める手は休ませてくれなかった。

    6
    投稿日: 2020.05.26
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    内容(「BOOK」データベースより) 毎日が黄金に輝いていた12歳の夏、少年は川辺の流木に奇妙な印を残して忽然と姿を消した。23年後、刑事となった相馬は、少女失踪事件の現場で同じ印を発見する。相馬の胸に消えた親友の言葉が蘇る。「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」あの夏、本当は何が起こっていたのか。今、何が起ころうとしているのか。人が犯した罪は、正しく裁かれ、正しく償われるのか?司法の信を問う傑作ミステリ。日本推理作家協会賞候補作。

    0
    投稿日: 2020.05.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    冤罪によって人生を壊された兄弟 尚、拓の復讐。 なんの罪もない家族がバラバラにされた犯人に同情してしまい、杜撰な捜査をした警察や真相をうやむやにした検察官が憎かった。この物語においては悪はこいつらだと。 そして、冤罪の他にもう一つ悲劇は無罪となり家族に会いにきた父を誤って殺してしまったこと。(ほぼ事故)なんて運が悪い。 これさえなければ失った時間を少しずつ取り戻すことができたのに。小学生の我が子に石ぶつけられて階段から落ちて死ぬとか… んなアホな!みたいな死に方で死にきれんでしょ。 あとミステリーの構成について。 出会う人出会う人それぞれ情報持っててちょっと都合良すぎる感じした。なんかRPGゲームみたい。とりあえず関わりあったっぽい人に片っ端から話しかけて情報集めればオッケーみたいな。23年後でこんなに簡単に情報集まるなら当時の警察も冤罪じゃなく解決できたんじゃ… また主要登場人物3人がそれぞれ動くもんだから誰がどの情報を把握しているのか分かりにくくて混乱した。 読者の自分は失踪事件や過去の冤罪事件をひと繋がりの情報としてみてるからこいつはコレ、あいつはアレの情報とか分けて整理するのが大変。でもオチとして3人全員が知ってたらダメな部分もあったし、そのオチのために読みやすさを犠牲にした感じを受けた。

    2
    投稿日: 2020.05.11
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    「犯罪者」に続く二作目。 23年の時を経て、消えた尚の過去と冤罪事件があきらかになっていく。 父親の顔も知らなかった拓や、冤罪だと知った香苗、自分さえ居なくなればと僅か12歳で消えた尚の気持ちを考えると、読んでいて苦しくなった。 台風前夜は何でかわくわくして、懐中電灯やらお菓子を準備していたのは過去の自分とかぶり懐かしい気持ちになった。 次は鑓水にスポットがあたる作品らしいので、是非読んでみたい。

    15
    投稿日: 2020.05.09
  • ハラハラドキドキ秀作です。

    面白いストーリー展開で、特に後半は、ハラハラドキドキの展開で、秀作だと思います。

    0
    投稿日: 2020.04.30
  • 水沢尚の幻夏は再生されるのだろうか?

    脚本家だけあってストーリーが三重にも四重にもなっていて読んでいて全く飽きなかった。前作の『犯罪者』も含めて脱帽するしかない。それにしても冤罪に端を発した悲しく、切なすぎる物語だった。警察・検察・裁判官の無謬性を信じて疑わないみずあず態度が冤罪を生み出す温床になることに腹も立つ一方で、池袋暴走のじじいやゴーンなどは一方的に叩きのめしてほしいという心情もある。水沢尚が終章でカーテン越しに見た”本当にあった夏”は、幻夏として終わって欲しくない;水沢尚の後半生に幸あれと願わざるを得ない。次作『天上の葦』は積読状態だが、楽しみとしてしばらく置いておこう。

    0
    投稿日: 2020.04.27
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    夏休みの間に仲良くなった相馬と尚と拓。 楽しい夏休みを過ごし、このまま楽しい学校生活も過ごせると思ったが…尚は突然、姿を消す…そして謎の印。 刑事になった相馬は、ある事件をきっかけに尚の失踪事件を追う。 冤罪がテーマ。切ないです。 冤罪が起こる裏に何が起こっているのか。 そして、今まで表沙汰になってない冤罪もあるんだろうな…と考えてしまう。 そして、決して人ごとではない。恐ろしいですね。

    0
    投稿日: 2020.04.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    シリーズ2冊目。 私は、一作目の方が好きだけど、この作品もなかなかテンポが良くて面白く読める。 冤罪の話し…実際にはこんな物語は無いのだろいうけど、人が人を裁く限りこの様な事があり得るのだろう… そして、司法も完璧じゃない事を教えてくれる…この物語の中での言葉に唸った。。。 「捜査官は自分の筋読み通りの容疑者を逮捕しようと努力し、検察官は起訴した被告に関して有罪判決を勝ち取ろうと努力し、裁判官は事件の処理件数を上げようとする。その結果、たまに冤罪が起こってもだれも責任を問われず、咎められない」 「冤罪が生まれるのは偶然じゃない。捜査、起訴、公判、判決、全てを含めた司法構造から必然的に冤罪は生み出されている。この構造がある限り、冤罪被害者は永久になくならない。」 そして一番驚いたのが日本では捜査で見つかった証拠のうち、被告人に有利な証拠は裁判には提出されないという。。本当なら….それで有罪率99.9%って…裁判員制度が復活してもこれでは意味がないと思ってしまう。 冤罪は無いと信じたいがしかし…あるのも事実。 この物語の構成はもちろん「犯罪者」と同じ様に素晴らしいの一言。だがそれ以上に、この物語の母と子、また兄弟の描写が感情移入してしまう。ラストの方で段々と見えてくる事実に涙しそうになる。「犯罪者」は息も付かせぬ展開で夢中になっって読んだが、今回の作品は中々のスピードと人間模様がプラスされたエンターテインメント小説。お勧めです!

    10
    投稿日: 2020.03.29
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    このシリーズを読むごとに、警察が嫌いになっていく。 後半は悲しくて苦しくて辛くて。尚も拓も香苗さんもお父さんも、みんなみんな可哀そうで、やるせない気持ちでいっぱいになった。 前作もそうだったけど、勧善懲悪というか、すぱっと解決してほしんだけどな。こっちの方が現実に近いっていうのはわかってるけどさ…。 *** 23年前の夏、失踪した親友は何を求め、何を失ったのか―― 「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」毎日が黄金に輝いていたあの夏、同級生に何が起こったのか――少女失踪事件を捜査する刑事・相馬は、現場で奇妙な印を発見し、23年前の苦い記憶を蘇らせる。台風一過の翌日、川岸にランドセルを置いたまま、親友だった同級生は消えた。流木に不思議な印を残して……。少年はどこに消えたのか? 印の意味は? やがて相馬の前に恐るべき罪が浮上してくる。司法の信を問う傑作ミステリー。

    1
    投稿日: 2020.03.25
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    前作「犯罪者」に引き続き、相馬、鑓水、修司の3人が、事件解決に挑む。 今回は「冤罪」を主題として、司法の構造、テレビ報道の在り方という社会派ドラマ仕立てになっている。 23年前の相馬の少年時代の思い出が、鑓水、修司の探偵事務所へ持ち込まれた行方不明の息子の捜索依頼と、今まさに発生している少女失踪事件を結びつけ、絡み合っていく。 今回もストーリー、登場人物の描写やエピソードが、「映像を見ている」よう。 特に、尚と拓の兄弟と母香苗の人生、相馬少年との夏の思い出は、美しく且つ残酷で物悲しい。 23年前の夏休みの終わりは、次第にセピア色となって読者の脳裏に焼き付く。 やる気ゼロのオヤジが営む弁当屋での出会い 耳の遠い老人宅から聞こえる高校野球の中継 隣の部屋で寝ている友達の母親の白いふくらはぎ 長い石段坂と百日紅の香り、セミの声 3人だけの秘密基地 宿題のエッフェル塔 子供たちだけの台風の夜 「オレの父親はヒトゴロシなんだ…。」 事件は「尚の失踪理由の解明」を中心に進む。 「謎の記号 //=Ⅰ 」の意味と兄弟の絆に涙し、 ラストシーン、窓からのやわらかな陽射しの匂いが、しばらく頭の中に留まる。 だから、読書は楽しい。

    1
    投稿日: 2020.03.24
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    一人の少年が行方不明になった23年後、当時の関係者がかかわる誘拐事件が起こる。冤罪をめぐる司法のあり方に目を向けた、社会派ミステリー。 日本の裁判における有罪率は99%。 その裏には、被告人に有利な証言は警察と検察にもみ消され、過重労働の裁判官は簡単に有罪判決を下すという恐ろしい現実があるという。さらに冤罪が生まれる背景には、犯罪者を罰するためには強権の行使を容認するという一般人の願いがある、と作者は説く。 作者はテレビドラマの脚本家だったそうで、そのせいか説明口調の文章は味気なく読みにくい。さらには、登場人物の言動がいまひとつ表面的で魅力に欠け、少年の冷静すぎる行動も非現実的。 というあら探しはさておいて、日本の司法制度の現状を問題視し、冤罪の悲劇を取り上げた意味は大きい。シリーズらしいので、ほかの作品も読んでみたい。

    1
    投稿日: 2020.03.21
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    控えめに言っても、とんでもなく練りに練られたストーリーだ。まさに謎が謎を呼ぶ展開で、物語が矢継ぎ早にどんどん進んでいく。 しかも昔の推理小説のように最後に一気に謎が解き明かされるではなく、読み進めるうちにどんどん謎が解かれていくのに、同様に新たな謎が次々と生まれてくるような内容。半分にも到達しない時点で、すでに通常のミステリー小説1冊分に近い読み応えがあるような作品だった。 ストーリーだけ評価すれば満点に近いが、星4つにしたのは、前作に続いて主役を張る登場人物3人が、いずれも魅力にかけるからだ。3人とも、普通はひとりくらい気に入ったり面白いと感じるキャラクターがいそうなもんだが。。 物語性が抜群なだけに、実にもったいない。

    4
    投稿日: 2020.03.18
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    興信所を営む鑓水のもとに、23年前に失踪した息子を探してほしいと言う依頼がくる。当時12才だった少年・水沢尚は鑓水の友人で刑事の相馬の友達だった。尚の失踪は尚の父・柴谷哲雄が犯したとされた傷害致死事件が全ての発端だ。何故尚は家族や相馬の前から居なくなったのか、大切な母や弟を残し姿を消した理由を知り、尚が歩んできた人生を思うとひとつ歯車が狂ったことで尚と弟の拓、母の香苗の人生をここまで狂わすのかと読みながら尚に感情移入し辛くなった。その原因を作ったのは警察、検事、裁判官だが、彼らはそんな意識は全くなく、それどころか選民意識か強く、過ちを認めないクズだった。唯一の救いはラスト、大人になった尚と相馬が再会し、かわらぬ友情をお互いに持っていることが感じられたことだ。

    1
    投稿日: 2020.03.18
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    なんてやるせねえんだ!! 地団駄踏みまくりです。 相馬、おまえ結構スタンドバイミーな少年時代だったんだなと思いつつ、君たちがまた再会できるようにと祈るばかりだよ。

    2
    投稿日: 2020.03.15
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    尚と拓と亮介が一緒に過ごしたひと夏はキラキラとしていた。 幸せな夏とその前後の時間ににツタのように巻きつく現実の辛さが切なすぎる。 突然消えた尚も尚を取り巻く全ての人も愛おしい。 愛おしいだけに切ない。 ストーリー展開も最後まで面白いが、それ以上に心を惹きつけるのが、それぞれのあの夏の思い出。 あの夏の日、いつもと同じ日常生活の中での会話や仕草が、終盤になって、その裏にある心情を知り切なくなる。 読み終えて、全てを知った後でもう一度読み返して、あの夏の毎日に触れたくなる。 秀逸の作品。

    1
    投稿日: 2020.03.13
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    「犯罪者」で登場した相馬、鑓水、修司の三人組が、新たな事件に立ち向かう。23年前に不可解な状況で失踪した子供を探して欲しいという依頼を、今になって母親から受けた鑓水。そしてその過去の失踪事件と、現在進行形で起こる失踪・誘拐事件が奇妙な一致を見せながら展開していく。 冤罪や取調べ体制など、日本の司法制度への問題提起が主なテーマだろう。ただし、一方的に腐すのではなく、それがメリットに場面も多々あることが強調されるのは好印象。 物語としては伏線回収が本当に見事。前作よりもミステリー色強めで良かった。また、最後までハラハラドキドキの展開が続く素晴らしい小説でした。

    1
    投稿日: 2020.03.12
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    想像を超えてスリリングな大作だった。 父親がヒトゴロシなんだ、と友人に告白した夏に行方不明になる少年。 その23年後に起きる少女誘拐事件。 冤罪をテーマに、法のあり方を深く考えさせられる。 10人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれ、という刑事裁判の原則、一方で一人の無辜を守るために10人の真犯人が逃されてもいい社会を人々が望むのか。しかし、その「一人の無辜」とその家族の人生は人権はどうなるのか。やはり人間が人間を裁く以上、納得のいかない歪みは生じてしまうのかもしれないと思うとやり切れない。 事件を追うのは、派手なシャツを着た興信所の所長鑓水と、その部下の修司という破天荒ながら鋭い勘をもつコンビと、鑓水の友人の警察官相馬。ヘビーな題材ながら、興信所コンビがコミックリリーフのような役割を果たしていて、ちょっと息をつくことができる。 それにしても子供が関わる犯罪は読んでいて切ない。 シリーズものになっているとのことなので他の作品も読んでみたい。

    6
    投稿日: 2020.03.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これはおもしろかった!  前作「犯罪者」は、私の頭が悪いのか、理解するのにやや頭を使いましたが、これはすんなり。 清水潔さんの「殺人犯はそこにいる」を読んでも思ったけど、冤罪ってホントに怖い。 一度疑われてしまうと、自分はやってないって証明するのがいかに大変か。 くれぐれも、犯罪者だと疑われるようなことだけはないように願いたい。 尚、拓、香苗たちはかわいそうだったな。 切なくて辛いけど、尚が生きていてくれてよかった。 最近はやりの、推薦文的なものがいっぱい書かれたブックカバー、あれはなかなかハズレなし。

    1
    投稿日: 2020.03.05
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    シリーズ2作目。 一気に読んでしまった、と言うか読まされた。 冤罪が発生する日本の司法の問題点について書かれている(現在は改正されている部分もある)。 とても面白く考えさせられる内容であった。 本書の帯に「そんな!こんな切ない展開あり...!?誰か嘘だと言ってくれ!!」とあったがまさにそういう展開であった。 読後に表紙及びタイトルを見ると内容にマッチしていてとても良いと思った。 3作目の「天上の葦」も購入して読みたいと思う。

    1
    投稿日: 2020.03.01
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    2020/2/16読了。 文句なしに面白い。 謎が謎を呼ぶ印象で、先が気になって一気に読んでしまう。 「犯罪者」の次に読んだので、人間関係が分かりやすく、スムーズにストーリーに入っていけたが、現在の司法制度の難点には驚愕せざるを得なかった。  ちょっとしたことで、人生は大きく狂ってしまう。 楽しかった12歳の夏の日々と、23年後の「今」の対比が辛い。本当に切ない話で、最終章は思わず涙。

    3
    投稿日: 2020.02.24
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    小説を読むことに目覚めて初めて涙がでました。 読書量はまだまだ少ないですが、私の記憶に残る本になりました。

    1
    投稿日: 2020.02.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まだ途中、惹きつけられている真っ只中です。 小6の尚から 「圧倒的に強い相手と戦うときは、相手を近付かせちゃ負けなんだ。遠くからやっつける」 ことを教わった。 物理的にもそうなのかもしれないけど、きっとメンタル面でもそう。ありがとう、尚。 読了。そうか… 私が感銘を受けたこの言葉が、すべての肝になってしまうなんて。でも拓の思いも尚の思いも、初めはただの優しさだったのに。せめて、尚のこれからの物語が幸せでありますようにと願わざるを得ない。 犯罪者を先に読まなかったので、修司の事件が?だった。 これから前後の作品を読まねば。 まだ2020はじまったばかりだけど、今のところ私の中の20201位。

    2
    投稿日: 2020.02.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    それぞれの人柄がすごく想像出来て そのせいか後半はすごく切ない気持ちになって 泣きそうになった。 冤罪がなければこの兄弟は不幸に ならずにすんだのに…

    1
    投稿日: 2020.02.01
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    左遷された刑事相馬。友人で私立探偵の鑓水、その助手修司。探偵社に以来があったのは、かつて相馬と仲がよかった兄弟の母。当時兄が行方不明になった。兄弟の父親は冤罪で服役し、冤罪がわかったとたん、近所で殺害された。  同時に少女の誘拐事件が起こる。少女の祖父はかつて冤罪事件の操作関係者だった。さらに容疑者の父親も関係者。しかし、相馬は友人失踪時の暗号が気になる。調べてみると、過去にも似たような事件が起こっていた。  作者は「相棒」とかの脚本家。警察の腐敗ぶりとかはあんまり興味ないけど、ラストに向けてどんどん真相が明らかになるのは面白かった。これはシリーズの2作品目らしい。多分そんなに前作を絡めてはいないと思う。

    0
    投稿日: 2020.01.29
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    これまでいくつかの小説を読んできたが、ここまで読むのに時間のかかったものはそうそうない。別に読むのが困難な小説というわけではないのだけれど、はじめはなかなか全体像が掴みにくい。 とある小学生の登校風景。忘れ物を取りに行くと言って家に戻った少年が失踪した。そこから主人公の少年時代の回想。どちらかと言えば眩しい夏の思い出を中心に物語は進んでいく。ミステリー要素は弱めか?しかし、後半になるにつれてこの作品の重いテーマが顔を覗かせる。 はっきり言ってテーマとしてはありきたりなものだ。だけど、ありきたりなテーマであるからこそ、今の時代で勝負をするには並々ならぬ覚悟が必要になる。 結論から言うと、私は大いに楽しませてもらった。最初読んでいくときはここまでの展開になるとは予想だにしていなかった。 初めての作家さん。本職は脚本家なのかな?  調べてみると、全部で三部あるうちの本作は二部目にあたるという。うーむ、読む順番を間違えたか。たしかに主要キャラは非常に立っており、初見ではなかなかに手厳しいか。残りの方も読みたくなる小説だった。

    1
    投稿日: 2020.01.10
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    突然いなくなった少年。 前半は「死んではいない、どうなっているのだろうか」と胸につかえたまま読み進む。 太田愛氏の骨太のミステリーは読ませます。

    1
    投稿日: 2019.12.29
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    面白かったが、長いかな。 人間関係、複線、ミスリードなど、 違和感なくうまく描けていますが、 物語の進みが少し遅く感じました。 読後の余韻より、やっと読み終わったの 印象がかってしまいましたね。

    1
    投稿日: 2019.12.26
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    重要人物がタイミングよく亡くなるなど取ってつけたような展開が少し気になりましたが、ノスタルジックな過去、「冤罪」の悲惨さ、魅力的な謎、鑓水七雄たちが調べていくうちにどんどん混迷を深めていく過程などが相俟って一気読み。リーダビリティのある作家さんだと思いました。

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    投稿日: 2019.12.23