
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
以下、映画の感想 記者の阿久津と子供の時事件に声を使われた子供の曽根が35年前の事件を追う映画。 めちゃくちゃ面白くて引き込まれた!35年と言う年月から溢れる真相と罪を負わされた子供の悲痛さが伝わる。関西の見覚えのある所がバンバン出てくるのも楽しいし記者とテーラーコンビという新鮮さも良かった!この阿久津と曽根が各々の角度から事件を追っていき行き当たって一緒に調べてるのめちゃくちゃ良い!2人の絡み思わず微笑む柔らかさがあって好き。あと曽根と奥さんの関係も素敵やった。記者会見の時、家族を思って出る聡一郎と家族を思って出ない曽根のそれぞれが胸を打った。 原作も読んだけどなんかこうあんまり入ってこんくて(私の読解力というか読書力が低いのが悪い)だから映画の方がどんどんのめり込めてめちゃくちゃ良かった。今なら寧ろ原作読んでもすんなり入ってきそう。
2投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログとても有名な本だったので。だけど私にはイマイチ合わなかったかなぁ…前半は展開がゆっくりであまり読む気が起こらず。後半につれて事実が明らかになっていく様は面白かったです
2投稿日: 2024.06.06
powered by ブクログギン萬事件=グリコ森永事件である。どこ迄が事実でどこからが物語かわからないほど、その継ぎ目を埋めている。結局、真相は藪の中…にならずで読み終わりは気持ちがよい
1投稿日: 2024.06.05
powered by ブクログ昭和の空気が愉しい。 僕たちの失敗が頭を駆け巡っていた。 凄そうな事件に見えても実態はちっぽけな心の弱さだったりする。
1投稿日: 2024.06.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
昭和の未解決事件、「グリコ・森永事件」を巡るとある新聞記者と加害者の親族が主人公の物語である。真実を究明することで救いを得る人がいる一方で、犯人の親族という人が苦しむことのせめぎ合いがあると感じた。 事件によって直接的に苦しむという側面だけがクローズアップされがちだが、実際そうではなく事件に賛同することは微塵もないが、加害者本人は関係なくなってしまっているが、本人の残された家族[子供etc,]に事件の責任を課すという構図は現代にも通ずる部分があると考える。
1投稿日: 2024.05.30
powered by ブクロググリコ森永事件をモチーフにした事件を追求していくストーリーです。 事件に使われたテープレコーダーを自宅で見つけてしまった曽根俊也と、この事件の真相を追う新聞記者の阿久津という2人の視点で描かれます。 この作品の見どころは、何と言っても阿久津の精神的な成長だと思います。初期段階では上司に言われて犯人を追うために渋々仕事をしていましたが、終盤では、被害者や関係者の未来を考えて熱い男となります。読んでいて気持ち良かったです。
11投稿日: 2024.05.23
powered by ブクログ前半から中盤まではなかなか読み進められないが後半は気になって読みきってしまいました。 何日にもわけて読んだのでもう一度読み直したいです(笑)
1投稿日: 2024.05.15
powered by ブクロググリコ森永事件をモデルにした、真相のフィクション 以下、公式のあらすじ --------------------- 逃げ続けることが、人生だった。 家族に時効はない。今を生きる「子供たち」に昭和最大の未解決事件「グリ森」は影を落とす。 「これは、自分の声だ」 京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだった――。 未解決事件の闇には、犯人も、その家族も存在する。 圧倒的な取材と着想で描かれた全世代必読! 本年度最高の長編小説。 昭和最大の未解決事件―「ギンガ萬堂事件」の真相を追う新聞記者と「男」がたどり着いた果てとは――。 気鋭作家が挑んだ渾身の長編小説。 --------------------- 昭和の未解決事件として有名なのを挙げるとすれば、三億円事件とこのグリコ森永事件になる 三億円事件の方は何かと話題になるけど、グリコ森永事件の方はそんなにテレビでも取り上げられていない気がする なので、この事件に関しては当時子供だった事もあってほとんど知識がない 伯父がその会社に勤めてたというのは知ってるけど どんな影響があったとか、事件の経緯やその後なんかは全く知らない 「キツネ目の男」というのも度々耳にした事はあるけど、事件のどのような人物なのかも知らない そして、何より子供の声の脅迫状というのはまったく知らなかった 真相に関してはいくつかある説の一つを元にした完全にフィクション でも、事件の概要や日時などは史実に忠実に描写されているそうだ だとるすると、あどけない言葉から察するに、実際にその声を使われた子供がいて さらに同世代だとすると、その子は今も生きているはず その他にも、犯人にも家族がいたと思われるし 未解決事件故に、犯人に近しい人がいたとしても口を噤む 作中で人生が狂った子のように もしこの事件が明らかになるとしたら、過去ではなく未来に繋がる展開であって欲しいというのは共感できる
5投稿日: 2024.05.14
powered by ブクログ奇想天外な展開だけど、登場人物の言葉遣いや風景描写に説得力があって、自然に引き込まれた。 犯人、被害者、報道それぞれに理も非もあって、それがまたよい。 ヒリヒリした。
2投稿日: 2024.05.11
powered by ブクログ前回初めてこの人の著書「存在のすべてを」を読み、興味を持ったので、今回2冊目です。 パターンが同じでした。前半は話がややこしく、よく分からないまま読み進め、後半は感動が待っている。 自分には少し読みにくい作家さんかもしれません。もう少し頭が良ければもっと満足できる気がします笑
2投稿日: 2024.05.06
powered by ブクロググリコ・森永事件の裏で本当にあったのではないかと思ってしまう位のリアリティ感。 読み応えは抜群でした。
13投稿日: 2024.05.06
powered by ブクログ『盤上に散る』に続き、塩田作品六作目。とても重厚な作品で、ノン・フィクションかと思うくらいだ。リアルに「グリコ・森永事件」を知る人が読んだら、その思いも一入だろう——。この事件を描きたくて作家になったらしく、読んでいてその思いをひしひしと感じた。こりゃ話題になるわな。星五つ。
5投稿日: 2024.04.26
powered by ブクログ実際起きた事件を元によく練られていて読み応えがありました。 少し中だるみの部分があり挫折しそうになりましたが、後半は30年以上の時が経っているからこその展開で見事に回収されていました。最後も気持ちの良い終わり方で良かったです。
11投稿日: 2024.04.20
powered by ブクログスポットライトを当てる方向を変えると、悲しむ、苦しむ人がこんなにいたのか…と。 センセーショナルな部分に注目されがちだけど、悲しい事件だなと、感じました。
28投稿日: 2024.04.11
powered by ブクログ私だって「存在のすべてを」を読みたい 読んで待ちます塩田さん、3作目 第7回山田風太郎賞受賞作 昭和の未解決事件「グリコ・森永事件」をモチーフとしたフィクション。 数多くの資料・報道については、極力史実通りに再現されたとのこと。 「子供を巻き込んだ事件」であるということに着目して事件の状況と謎の隙間をありすぎるリアリティで真実のように埋めていく。 タイトル「罪の声」は脅迫に使われた、幼児の声。 当時の声を見つけてしまった男と 当時の声から逃げ続けた男。未解決事件に自ら決着をつけようとしていく。その決意をさせるまで追い続けた誠意ある一人の記者。 見事な、と思いつつ三十年以上経つ事件の謎にたどり着けるところが小説なんだろうとも思う。 当時巻き込まれた子供がいることは事実で そこに想いをのせて書かれているところに感銘を受けました。
106投稿日: 2024.04.08
powered by ブクログ映画を観て面白かったから小説を買ったものの積読していた本。ジャーナリズムの在り方を模索する話だと思った。ストーリーはすごく面白いけれど、取材メインで進むから登場人物がひたすら多くて難しかった。映画観てなかったら途中で読むの挫折してたかもしれない…。
2投稿日: 2024.04.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
実際の未解決事件「グリコ森永事件」をモデルとして、その事件に関わった人々の人生や苦悩を丹念に追っていく読み応えある力作。 子どもの声の脅迫テープがあったと知り、何も知らない未成年を犯罪に加担させる闇の深さにゾッとする。 曽根と阿久津、立場が違う同い年の二人の青年がそれぞれ真摯に事件と向き合う情熱に後半は一気に惹き込まれ、未来につなげようとする阿久津の取材の姿勢が招く終着は素直に感動できた。 曽根の声を録音した意外な人物と罪悪感の薄い反応には驚き。子どもたちに与えた苦しみの前ではどんなポリシーも空しく響くだけだ。
1投稿日: 2024.04.06
powered by ブクロググリコ森永事件を題材に、罪の声とはまさにその通りの内容だった。 入念な取材基づき書かれている部分はノンフィクションとなっており、事件の全容を今になって知ることが出来る。 登場人物が多く見返す部分もあったが、読み応え充分で昭和史を追っているようだった。
14投稿日: 2024.04.06
powered by ブクログたまたま映画を見て、小栗旬と星野源が演じている阿久津と曽根俊也がとても好きで、本を読んだ グリコ・森永事件があったことも知らず、事実に基づいたフィクションだと思うと、子供を巻き込むことへの躊躇いはなかったのかと思わずにはいられない 世間から逃げるしかできない人生を歩まされた生島家の子供を思うと、親ガチャという単語がよぎる あまり好きな言葉ではないけど、この境遇を考えると親さえ違えばと不憫でならない 映像を見た上で読んでいるから、情景がするすると流れてきた 映画を見てない人にはぜひ映画もと勧めたい
1投稿日: 2024.04.01
powered by ブクロググリコ森永事件がベースになっている物語。 事件の際に身代金の受け渡し方法を指示するのに使用されたこどもの声。 その声が過去の自分のものだと気付いてしまう、という出だしから引き込まれる。 実際の事件だけあって、読みながら不気味さに背筋が寒くなった。 過去の事実を必死に追う記者と、無自覚とはいえ犯罪に加担していたかもしれない者、二者の視点で話が進んでいくのも緊張感がある。無駄がなく読みやすい文章にもリアリティがあり、夢中になって読んだ。
2投稿日: 2024.03.31
powered by ブクログ「重厚」!!!!! という二字がぴったりな一冊だった。 映画を公開当時にシアターで観ていたので、内容はわかっていたのだが、かなりよかった。 グリ森はいまだに気になる事件やし、こんな人生があったかも、という著者の思いはごもっともだと思う。 当時はきっといろんな人の人生に影響した事件だったんだろうな。。。 さすが元記者とあって、記者の動きや思考回路が丁寧に描かれていて、かつ違和感がなくて、面白く読めた。
3投稿日: 2024.03.31
powered by ブクログ久々にいろんな意味で「どっしり」重厚な小説を手に取って、読み通せるか不安だったけれど、事件そのものはしっかり覚えているから、これがフィクションと知りつつも、はらはらとページをめくった。 登場人物が多くて途中、行きつ戻りつして、半分くらいまできたとき我慢できず、先に映画を観てしまった。 ミステリーはあまりに結末が気になると途中で、エンディングを先に読んで安心してから読み進めるタイプです、はい。 この事件の当時、私は高校生でスーパーでバイトをしていたからグリコと森永のお菓子を陳列棚から消えていくのを目の当たりにしていた。バックヤードにどっさりと積み上げられた罪なきお菓子たち。 お菓子の箱にラップフィルムが使われるようになったのはこの事件がきっかけだった。 結局世間が大騒ぎになったけれど確かに誰かが殺されたりということがなくてただあの似顔絵だけは脳にインプットされたまま30年以上が過ぎた。 小説を読んでいると、事件の真相はそうだったのか!と思ってしまうほど緻密に「犯人側」が描かれている。当時「キツネ目の男」の正体を見たり聞いたりしたひとがこんなにいるのに犯人はつかまらなかったのだろう、やはり時効になって30年も経つと人は誰かにしゃべりたくなるものなのか。 小説でも映画でも、脅迫にその声を使われた「望ちゃん」の最期がかわいそうで胸がつまる。 エピローグ。聡一郎と母が、家族であるという唯一の証拠が、その「望ちゃんの声が使われた脅迫文のテープ」であることに慟哭する。 もう過去のこと、になりつつある事件だったけど、そうかこれは確かに無垢なこどもたちを巻き込んだ卑劣な事件であった、たとえ、誰も血を流さなくとも。 塩田武士さん。同郷の方であった。どこかですれ違っていたかも。阪急電車とか? 作中の関西弁がすぅ~っと入ってきたことに合点がいった。
0投稿日: 2024.03.24
powered by ブクログ著者の本を初めて読みました。 正直、読み応えがありました。 良く取材された上で描かれています。 著者の別の本も是非読みたいです。
2投稿日: 2024.03.24
powered by ブクロググリコ森永事件の記録をとことん調べ尽くし、事件のディティールに関してはなるべく事実に即して書かれているので迫力がある。さすが記者出身といった感じの圧倒的調査量には脱帽。 しかし、面白いのはそのノンフィクションの部分ばかりで創作が事実を超えていない。物語の底に流れる価値観がなんとも古臭く、私には阿久津がナチュラルに他人を品定めして理解した気になっている傲慢で嫌な人間に思えた。阿久津の正義感は世間の最大公約数のようなもので、最終的に彼が行き着くある人物への断罪も、あるいは己に対する反省も極めてつまらなかった。 あと、全体的に読みにくい。人物名ややり取りのテーマがやたらごちゃごちゃとして「これは誰だっけ?」「何について書かれているんだっけ?」と頻繁に感じた。
0投稿日: 2024.03.19
powered by ブクロググリコ森永事件はこの本の内容がほぼ真実としか思えない力を持った本。めちゃくちゃ考えられて練られた作品という印象しかない。事件を知る人は一読の価値あり。
1投稿日: 2024.03.14
powered by ブクロググリコ森永事件を参考としているため内容は具体的であり、この事件を通して日本の経済や文化の歴史を読んでいるようだった。また、話の3分の2ぐらいまで阿久津側と俊也側、二者目線で話が進んでいくため事件についての視点が偏らず事実をそのまま受け入れることができ、犯人への怒りや被害者の悲しみ、加害者家族の苦悩などさまざまな感情を感じることができた。
1投稿日: 2024.03.13
powered by ブクログ昭和の未解決事件を、記者と犯人家族のそれぞれの立場から紐解いていく物語で、最初は入り込みにくく休み休みで1年以上かけて読みました。 中盤からのストーリー展開で、点と点が繋がり、事件のあらましが見えるにつれ、引き込まれました。映画でも観てみたいと思います。
2投稿日: 2024.03.13
powered by ブクログ戦後最大の未解決事件の真相に迫る 事件に巻き込まれた家族は30年の呪縛から解き放たれるのか? 犯行に使われた子供の声 その子供達の人生はいかなるものか 真相を追う記者と自分の声が犯行に使われていた男が家族の関与を確かめるため僅かな手掛かりを辿って行き着く先にあったのは、まだ終わっていないそれぞれの人生だった
16投稿日: 2024.03.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この物語がグリコ・森永事件という実際の事件をフィクションにしたものだったと知らずに最後まで読了しました。 実際にこのような事件があったことを知らずに驚きましたが、犯人がいたらこのようになっていたのかとも思いました。 最初は読み進めていて難しい内容だなあと感じつつ、最後はここまで事件を追ってきた阿久津の心境にも共感し、聡一郎と母が再開する場面は感動しました。 同じ事件の被害者でもあり加害者の親族でもあるという心境は計り知れませんが、同様の状況であるのにこうも生き方が異なることには驚きです。特に聡一郎は姉の望を失くしつつ懸命に生きてきたのだと感じました。 阿久津のような記者の話を読んだことがなかったため、新聞記者の苦悩も感じることができ良かったです。
5投稿日: 2024.02.21
powered by ブクロググリコ森永事件を題材にした小説だったんですね 自分は当の事件を名前を聞いたことがある程度で内容までは知らなかったので良い意味で先入観を持たずに読むことが出来た 謎の解決の糸口を手繰り寄せる事に登場人物がドンドン増えていき頭の整理をするのが大変だった ただそれを考慮に入れても終盤付近、犯人と対面したあたりからの緊迫感が異様に高まりドキドキした とにかく切ない小説 あまり救いのない流れの中でのあのラストがある意味でこの作品の中の救いだった気がする
10投稿日: 2024.02.15
powered by ブクログふぁ〜と、感嘆の声が出た。達成感と虚脱感。 【キツネ目の男】は記憶にある。 今からは40年近く前の未解決事件【グリコ森永事件】をモチーフに描かれた本書。 「発生日時、場所、犯人グループの脅迫・挑戦状の内容、その後の事件報道について、極力史実通りに再現した」とあとがきから。 史実とフィクションが相まって、これが真実⁈と感じてしまうほど胸に迫る内容だった。 子どもを巻き込んだ事件だったことなど、社会問題なんぞに興味がなった頃の私は知っていることが殆どなかった。 取材力とリアリティに圧倒された。凄かった。
18投稿日: 2024.02.15
powered by ブクロググリコ森永事件を題材にした小説 この小説を読んで、あたかもその事件の結末がこうだったのかという錯覚すら覚えたのは、やはり作品としての出来が良かったからだと思う。 物語の中盤の時点では「長いな…」感があったのだが、終盤の真相に近づくにつれそれも一掃。 小栗旬主演で映像化されているのでそちらも観てみようと思う。
20投稿日: 2024.02.14
powered by ブクログ実際に起きた事件をもとにしたフィクション。とてもおもしろかったが、途中間延びした印象も。毎朝の通勤時間しか読まない私の読み方のせいだったらごめんなさい。
0投稿日: 2024.02.14
powered by ブクログイッキ読みです フィクションとはいえ実際の未解決事件がベースにある 良く練られた話になっているので面白い!
1投稿日: 2024.02.12
powered by ブクログ2016年 第7回山田風太郎賞を受賞 “「週刊文春」ミステリーベスト10 2016”国内部門第1位 2017年 本屋大賞3位 2020年 映画化
1投稿日: 2024.02.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『存在のすべてを』で2024年本屋大賞ノミネートされた塩田武士さんの代表作『罪の声』を長期の積読から読了。 元ネタの事件が世間を震撼させた事は小学生の頃でうっすら覚えてる程度、犯罪背景の活動家や学生運動の時代も実感なく過ごしてきたが、阿久津が紐解き、俊也が葛藤しながらも明らかにした内容に、自分が追体験する様に引き込まれた。 加害者親族と被害者の両面を持つ二人が前を向いていく事となったのは間違いなく阿久津の記者魂の故で、最後まで行き着けた彼の優しさが読後に沁みた作品でした。 娘が先に読み絶賛したのが読み始めのきっかけとなったが、平成生まれの彼女がこの本の良さを感じれるとは、成長を実感して嬉しくなった。
2投稿日: 2024.02.11
powered by ブクログこの小説がモデルにしているグリコ森永事件は私の生まれ年ごろに起きているため、私の記憶にはない。何かの折に名前や概要くらいは聞いたことがあったという程度だ。だから…かどうかはわからないが、三十年前の未解決事件の真実を追うという煽りめいた状況はもちろん、事件そのものの異様さや、警察の組織模様や、犯人“取り逃がし”などにドキドキしながら、ミステリー小説を娯楽として読むときとなんら変わりない気持ちで、前半は読み進めた。 地道な取材が実を結び、この事件を追う記者の阿久津はついに犯人グループの一人に行き着く。そしてその自供の聞き取りに成功するが、その結果彼が思い至ったのは、「犯人探しが自分の仕事ではない」ということだった。ここからがこの作品の真骨頂だ。作者の塩田武士さん自身も元新聞記者だそうだが、物語終盤では、ジャーナリズムの果たすべき役割に対する阿久津の並々ならぬ思いが炸裂する。「犯罪によって理不尽に傷つけられたとき、社会の歪みに気付いたとき、そこには言葉が、“総括”が必要です」(←記憶で書いてるので、違うかも)。では阿久津が見出した、この記事の取材が真に目的とすべきことは何か?それはぜひ読んでみてくださいということで。 さて読んでいる私の方も、これは事件のからくりや追跡劇を楽しむ姿勢で読むものではないぞと気付かされる。ミステリー小説では、犯人がわかると犯人の側にもやむにやまれぬ事情があったり、そこには社会構造の闇がひそんでいたりして、それからもちろん驚くべき鮮やかなトリックなんかもあったりして、犯行の一部始終を暴くこと自体に正義とパズルのカタルシスがある。ニュースや新聞記事は、それと同じように面白がって消費するべきものではない、と理性ではわかっているが、でもどこか興味本位的な気持ちがゼロでないことは否めない。記事が扱っている事件が自分の生き死にに与える影響が薄ければ薄いほど、エンタメ度は増してしまうのではないか。芸能ニュースとか。何をどう読んでどんな満足感を得るかは人それぞれその時々の勝手だけれど、私も一読み手として、「この記事には“総括”をもたらす視点があるか?」という評価基準を持って読むものを選ぶこともできるのだ、と学んだ。 なお、これもオーディオブックで読んだ。私は(audibleではなく)audiobookを利用しており、阿久津役の台詞は津田健次郎さんが担当されていた。映画では小栗旬さんらしい。文芸記者の憂鬱の吐露が多い前半は柔和で気だるげなツダケン氏を、覚醒して記者ぶりを上げていく後半は骨太な小栗旬氏を、イメージするとしっくり来ました。とにかく物語が進むにつれ阿久津さんがかっこよくなりすぎで、最後はヒーローのように去っていく。一記者の成長物語と考えれば全然妥当だけど、まあもうちょっと控えめな表現の方が私は好きかな、とそこだけ微笑ましい気持ちで見てしまった。
23投稿日: 2024.02.03
powered by ブクログずっと読みたかった一冊! 初めは物語が進まずにう〜んとなっていたが、半分を過ぎたあたりから面白く、止まらなくなりました。 母姉弟の人生を思うと、悲しさと虚しさに涙が出てしまいました。
1投稿日: 2024.01.29
powered by ブクログ読み終わってからグリコ森永事件という実際にあった事件を元にして書かれた作品だということを知った。 いわゆるZ世代(あまりこの括りは好きではないが)でありこの事件のことをWikipediaで仕入れるしか情報源がなかった私としては読んでいる間もその当時の時代と今との違いのギャップで読むペースが落ちてしまった。 物語が終わるラストスパートでのこれまでの伏線回収でやっと面白さを感じられた。
2投稿日: 2024.01.27
powered by ブクロググリコ・森永事件を題材にしたフィクション小説なのですが、本事件のアナザーストーリーのような内容でした。 子供の声、キツネ目の男、そこから予想される犯人像など、グリコ事件で明らかになっている数々の事実から、作者が立てた仮説がこの「罪の声」となっています。 これから読まれる方は、グリコ事件を一度復習してから読むと、よりリアルに感じられて面白いのではないでしょうか。 事件の背景や内容は、実在する大事件だからこそ納得感のある描写になっている印象を受けました。面白いけど無理のあるミステリーも世の中にたくさんあるけれど、これはどちらかというとドキュメンタリーのような書きぶり。 本来は未解決事件なので、終盤の心理描写に納得感がないところが残念な気もするが、本書の魅力を「グリコ事件の新たな仮説」とするとあまり気にならないのではないでしょうか。
20投稿日: 2024.01.19
powered by ブクログ間違いなく名作! 実際に起こった事件を基に、事件の 過去を追うのではなく「未来」へと 繋いでいく終盤が、とにかく良かったです!
1投稿日: 2024.01.10
powered by ブクログ今年中にどうしても読みたかった、初の塩田 武士作品。昭和最大の未解決事件を扱った、傑作長編ミステリー。 500ページを超える大作ですが、非常に重苦しい内容でありながら、早く真相を知りたいという気持ちに急かされて、気が付けば夢中になって読み終えてしまった作品でした❗ この作品をどのように締めるのか?と少し不安な気持ちで読み進めましたが、そんなことは杞憂に終わってしまう、読後感の良い作品となっています♫間違えなく、今年読んだ本の中でベスト10に入る、とてもオススメのミステリーです❗
20投稿日: 2024.01.08
powered by ブクログ読み応えはあり、最後の真実が分かる所は興奮して、長編ならではという所はあったけど、途中若干退屈感有り。 場面が変わるごとに、読みにくさを感じた。
6投稿日: 2023.11.26
powered by ブクログいや面白かったです。 ストーリーの面白さはもちろんですが、素材となったグリコ・森永事件の枯れ具合がちょうど良いんですね。事件の記憶が薄れてきて生々し過ぎず、でも、現実の事件としての認識もあり、作品と共に記憶を呼び覚ましているような感覚がありました。 実際の事件が発生した際の年齢が大きく影響するかと思います。以前、三億円事件を題材とした作品が多数ありましたが、自分にとって三億円事件は昔話の中の出来事、あまり興味は持てませんでした。 グリコ・森永事件以降の世代(平成生まれ?)の方々の感想も知りたくなりますね。
16投稿日: 2023.11.20
powered by ブクログ昭和に起きたグリコ・森永事件に切り込んだ作品。過去ドラマでも題材に使われたため、これがぼんやりと未解決事件であることは知っていたが、実際に語られてきた史実をベースに話が進むため、点と点が線に繋がっていく様は本当に真実が明かされるのではという気持ちになった。興奮と寒気が同時に襲ってくるような感覚だった。謎は明かされるまでが無限に面白く、蓋を開ければ陳腐で惨めだ。フィクションではあるが、作者の「子供が巻き込まれた事件」という芯が伝わる作品だった。
2投稿日: 2023.11.12
powered by ブクロググリコ・森永事件を題材とした社会派ミステリーでありヒューマン小説 どこまでがフィクションでどこからがノンフィクションなのか分からなくなる程のリアリティが、苦しいくらい迫って来た。 実在の事件当時、私も幼くて殆ど事件の内容は知らなかったものの「キツネ目の男」だけは、はっきりと記憶に残っている程だ。 500頁を優に超える長編ながら、終始作者の熱のこもった丁寧な筆致が続く。それに圧倒される反面、中盤までの展開の乏しさで何度も挫折しそうになった。私にとっては忍耐力の問われる作品だったが、世間を震撼させた事件がいかに異様で難解だったかを、読み手に伝える過程として必要不可欠な構成だったのだと思う。 『罪の声』 物語のきっかけは事件に使用された男児の声。 実在の未解決事件にも、少女や男児の声が使用されており、勿論実際にそこに対する捜査もあったのだろう。今から約40年も前でAIで作った声など無い時代に、子供の声を用いるなど異例の事件だったことは間違いない。それを物語の題材とする着眼点も斬新で鋭い。 ネタバレになるので詳細は避けるが「真実」を知ることが、時には自分のそれまでの人生の模様を一変させることもあるのだと知った。それでも、私も知らずに生きて行くより、真実を知る道を選びたいと思う。 また、たとえ事件の当事者が亡くなっていても、遺された関係者、被害者や遺族にとっては、事件の及ぼした影響が人生の一部となり、時効が過ぎても決して終わることが無いのだと改めて気付かされた。この事はグリコ・森永事件に限らず、日夜報道される事件について同様のことが言えるだろう。 報道される局面や見せ方に捉われず「真実」を中立で考えられる人でありたいと思った。 非常に読み応えのある作品だった。 映画も出ている様なので是非そちらも観てみたい。
29投稿日: 2023.11.06
powered by ブクロググリコ森永事件を題材にしたフィクション。フィクションではあるが、事件の概要はほぼ事実。犯人が捕まっていない未解決事件で、もしかしたら、、、こんなことがあったのかもしれないという物語。リアルタイムで知っている大事件だが詳細を改めて知ったという感じだ。全く別の立場の二人の主人公の視点から語られるストーリー展開。スリリングかつドラマティック。一部布石回収されてないところがあったが、改訂版では補足されるかな。
3投稿日: 2023.11.05
powered by ブクログオーディブルで読了。 本当に報道すべき事は何かについて考えさせられた。事件から学び、未来へ歩む一手とするためには。 密度の高い、どっしりとした作品だった。
2投稿日: 2023.10.31
powered by ブクログAudible読了 噛みごたえのある引き締まった一冊。 1984年といえば私は小学低学年。グリコ・森永と言われてもボンヤリした影のような印象だけ。おかげで一つ物知りになれた気分だ。 事件を嗅ぎまわる嫌われ役になりがちな新聞記者が主人公というのも私には新鮮。事件のディテールの細かさ、取材時の緊迫感が引き立ち、まるでその場に居合わせたかのようなスリルを覚える。 どこか侘しさのある読後感は余韻を残す。あー終わったんだーという、まるでがむしゃらにレベルを上げたドラクエ3をクリアしてしまったような心地がした。 この取材力、再現力には脱帽。 この事件から私たちが学び得られるものは何か。 暴対法以降にはびこる、特殊詐欺のような宙をさまよう暴力に、今も立ち向かっている人がいることを思わずにいられない。
11投稿日: 2023.10.24
powered by ブクロググリコ森永事件を元にした話。 そのとき子供が傷つかなくても、子供を犯罪に巻き込んではいけない。 子供は大人になる。
1投稿日: 2023.10.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
実際の事件以上に思うことはなかった。 私が赤ん坊の頃の話なので、後で見たり聞いたりした事しかないが、社長を誘拐からの身代金を要求し、その他の企業にも次々と脅迫文を送るという小説みたいな未解決事件は、犯人像と似顔絵も相まってかなり怖い。怖かった。 この未解決事件をフィクションを以て解決するのが『罪の声』だが、事実を基に違和感なく解決させる分凝った事は出来ないし、テープの子供に焦点を当てて創作するのは作者の必然であり、予定調和を筆力で読ませる為に苦労してそう。 実際の事件を小説で読む時、解決済みとされる事件と未解決事件では受け取り方が変わる。 何故かというとテープの子供は実際に存在するからだ。フィクションであって真相では無い事が分かるから。 ただこれは、解決済みであってもまったく同じなのにさほど気にならない。 この程度でわたがまる自分が気持ち悪くなってきた。
1投稿日: 2023.10.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
久しぶりの読了感。 前々から読んでみたかったけれど、ついに読めた。 グリコ森永事件を元にしているとは途中まで知らず、なんだか似てるなぁと思っていたら、本当に史実に基づいて書かれていたのですね。。。 その当時私も子供でしたが、キツネ目の男がお菓子に毒を入れていると思われる映像は何度も何度もニュースで見てあの白黒の動画は目に焼き付いてるし、これ以後、お菓子にフィルムが貼られるようになって違和感を感じたことも覚えている。 最初からドキドキハラハラの展開で面白く、途中、キツネ目の男が出てきたときは背筋が凍って鳥肌が立った。 途中ちょっと間延びというか、ダラダラしてしまった感はあり、また人間関係や事件の時系列が複雑すぎて、一気に読んだわけではないので、えっとこれは誰だっけ?この事件の描写はどれだっけ?と読み戻ること数回・・・。 ただ、後半、特に聡ちゃんが出てくるくだりからは夢中になって最後まで読み切ってしまった。 今世界で起こっている戦争に結び付けるのもなんだけど、大人のエゴとか自己満足の巻き添えを食らって人生を破壊されるのはいつも子供や弱い人たちなんだと思うと胸が痛い。生島家の子供の運命を知ってしまった俊也が、悪くもないのに罪の意識を植え付けられるのも見ていてしんどかった。聡ちゃんとお母さんの再会は涙が止まらなかった。 この後、気になって映画の方も見てみたけど、やっぱり小説の方がいいかな。やはりこの分量の小説を映画に落とし込もうとすると色々と無理があるし、ちょっと感情的に語る部分とか、展開的に強引な部分もあったような。でも、登場人物の苦悩や葛藤は映像化されている分だけ臨場感があって良かった。演技力のある方たちが出演されていたので安心して見れました。
1投稿日: 2023.10.19
powered by ブクログ23/10/10〜23/10/18 森永グリコ事件をモチーフにしたストーリー。 ノンフィクションと勘違いするほど描写が細かく難解な点もあるが、登場人物の心情や行動からくる感情の動きが丁寧に記されていた。
1投稿日: 2023.10.18
powered by ブクログ表紙に惹かれて買いました。 史実を元にした小説です。扱われた事件はひどいもので、実際に起きたことが信じられなく、少し怖くなりました。
14投稿日: 2023.09.28
powered by ブクログ残念ながら個人的には最後までノることが出来ないままに読了となった。 扱う題材の大きさと、それをまとめ上げる構成力、緻密な取材などテクニックは素晴らしいのだろうが、何故ノれなかったのだろう。 やはり登場人物らの台詞回しが引っかかったからだろうか。 盤上のアルファではマッチしてた登場人物らの掛け声や個と個の絡み合いが、 何故か本作ではところどころにノイズとして浮き出てしまったような気がしてならない。 こういったタラレバを言い出せばキリがないのは重々承知の上、 かつ最も失礼な無想であることは覚悟の上で、 同じ題材で、ぜひほかの作家さん版の罪の声を読んでみたい。
2投稿日: 2023.09.23
powered by ブクロググリコ森永事件にはあまり興味がなかったが、なぜか買った一冊。 事件の真相を探る話。 最初の方は話しが進まないのと、あまり興味がない事件の話だったので、ちょっと退屈だった。 でも、事件の事がちょっとづつわかって行くにつれてだんだんおもしろさがわかってきた。 事件の真相だけでなく、事件に関係した人物のその後まで書かれていたのは良かった。 事件は大きい事件だったが、それに負けない位悲惨な物語があった小説でした。
16投稿日: 2023.09.22
powered by ブクログ実家に帰ってた時に、家事や子供の相手をほっぽりだして合間に読みました。 ハラハラとかはないんですが、先が気になるもんで夢中で読みました。 最後までしっかり面白かった。
17投稿日: 2023.09.19
powered by ブクログ1984〜85年、未解決事件であるグリコ森永事件を題材にしたフィクション作。 起こった事件、事件の日時、証拠、挑戦状や脅迫状、それらは名前を変えたのみの、史実通り。捜査線上の疑わしき人物達を用いることにより、あたかも真実であるかの如く綴られるさまは作者の取材力の賜物だろう。
5投稿日: 2023.09.11
powered by ブクログ森永・グリコ事件を題材に、リアルに描かれた作品。子どもと日々接するものとしては、親が子どもの肉声を犯罪に用いるというのはとてもとても深くて、辛くて、悲しいお話だったが、すこしずつ明らかになる真実がその痛みを和らげ、希望を持たせてくれた。記者の粘り強さと、犯罪者家族の心の傷、人類皆が持つ探究心が克明に描かれていた素晴らしい作品。映画も見たい。 p.445 作業部屋にある給湯室で湯沸かし、ポットにティーバックを入れる。マグカップやミルクを用意するうちに、少し気持ちが静まってきた。何かの本で読んだが、イギリスでは紅茶が人と人を結ぶ「接着剤」の役割を果たしているらしい。落ち込んでいる人に優しく接する際は「思いやりを届けた」ではなく「お茶と思いやりを届けた」と表現するようだ。 p.478 「だから総一郎さん本人に聞くんです。伝言ゲームになった時点で真実ではなくなる。理不尽な形で、犯罪に巻き込まれた時、これまで聞いたことも見たこともない。犯罪に直面した時、社会の構造的欠陥に気づいたとき、私たちはいかにして不幸を軽減するのか。それには一人一人が考えるしか方法は無いんです。だから、総括が必要で、総括するための言葉が必要なんです」 p.505 子供を犯罪に巻き込めば、その分、社会から希望が奪われる。「疑問事件」の罪とは、ある一家の子供の人生を粉々にしたことだ。 p.522 「俺らの仕事は素因数分解みたいなもんや。なんぼしんどうても、正面にある不幸や悲しみから目をそらさんとなぜと言う思いで割り続けなあかん。素数になるまで降り続けるのは並大抵のことやないけど、諦めたらあかん。その素数こそ事件の本質であり、人間が求める真実や」
4投稿日: 2023.08.25
powered by ブクロググリコ森永事件を題材とした社会派ミステリー、虚構なのか事実なのかがわからなくなるほどのリアリティーさを感じた。 事件そのものが未解決事件なのだから真相はわからないのは当然なのだが、事実録音された子供の声の方は今も生きている可能性が高い。その事を考えると不憫でならない。改めてとんでもない事件だなと感じた。 作品は事件の史実とフィクションがこれ以上もない位からまっていて、凄く引き込まれる。素晴らしい作品だと感じた。 30年以上の年月が流れ、尚被害者の中には真っ当な境遇を得られていない方々がいるのだろう。それはこの事件に限ったことだけではないだろう。 もしそういう方々と出会った時、自分は何を話し、どんな行動を取るのか? 考えた事がなかった。 今後の人生の中でとても大事な事を気付かせて貰えたと感じている。
82投稿日: 2023.08.18
powered by ブクログ昭和の終わり頃に世間を揺るがせた「グリコ・森永事件」。本書は企業名こそ変えてはありますが、それ以外の経過はほぼ事実に沿った設定とし、そこから事件の「真相」を大胆に描き出した力作です。 本作にのめり込めるかどうかは、この事件をリアルに覚えているかどうかにかなり左右されると思います。同じ昭和の未解決事件でも三億円事件は歴史年表の中の出来事でピンときませんが、グリコ・森永事件ですと俄然リアリティが増します。当時小学生だった自分にとっては、誘拐より毒物混入事件としての印象が強かったですね。私の母は生協信者だったのでこれらのメーカーの菓子はあまり食べなかったのですが、林間学校に行って隣で友人がグリコの菓子をボリボリほおばるのを覧て、「お前、怖くないのかよ。すげぇな…」と感心していたら、「食う?」と勧められて往生した事などもよく覚えています。 さて、物語はそんな大事件の脅迫テープの声が幼い頃の自分だと気がついたテーラーと、畑違いの事件特集企画に放り込まれた新聞記者の2人を基軸として進められます。この構造は秀逸ですね。同じ真相を追う立場でも、関係者(かもしれない)と記者では求めるものも能力も異なる。2つの軸がいつ交わり、どんな反応を見せるのか、ハラハラできるのは全てを俯瞰できる読者の特権です。 じわりじわりと事件の真相に近づいていき、最後の最後には断崖絶壁の上に犯人を追い詰めてついに真相が語られる。事件のウラに潜んだ国家を揺るがす壮大な陰謀に読者はただただ圧倒!…という〆めにならなかったのは意外でもあり、巧さでもあると思います。事件がどれだけ世間を騒がそうとも、動機がそれに比例するわけではない。義賊ぶろうとも被害者はいるし、今も苦しんでいる。そこにきっちりと光を当てて静かにフォローする登場人物や物語の姿勢には好感が持てました。 もちろん本作はドキュメンタリーでは無くフィクションですから、グリコ・森永事件の真相がこのようなものだったという訳ではありません。が、あるいはこんな経過だったのかも知れない、と思わせるような作品が事件から30年以上経って夢中になって読めるのは、幸せであるとともに、自分の年齢もちょっぴり感じます(苦笑)。
3投稿日: 2023.08.17
powered by ブクログ実際に起きた事件をモチーフとしてあるため、もしかしたらこんな家族がいてこんな人生だったのかもしれない、とリアリティを持って読めました。 だからこそ、子どもが巻き込まれてその後にも影響していたのかもしれないと思うと辛い話だなぁ。
9投稿日: 2023.08.08
powered by ブクロググリコ・森永事件を題材としたミステリ。 社会的影響も大きく重たい題材を扱っているが、軽妙な関西弁のやり取りがその重さを感じさせない筆致に『騙し絵の牙』と同じ作者だなぁと感じた。 ある意味で事件の被害者でもあり、犯人の関係者でもある男・曽根俊也と、それを追う記者・阿久津英士の2つの視点で展開されていくが、物語の中盤、俊也が阿久津の名刺を手に入れる。俊也の立場が追うものから追われるものに変わる瞬間でもあり、二人のストーリーが一瞬交わる瞬間でもある。 運も味方して(しかもかなりの強運)、いろんな事件のパーツを手に入れ、そこから仮説を展開し事件を深堀していく阿久津だが、ややご都合的な展開を感じてしまった。30年以上解決されず、糸口さえ見つかってないところから関係者が口を割りやすくなったとはいえ、次々と真犯人に本質に迫る糸が見つかるのはエンタメ小説と割り切って読むべきかも。 面白いし、リアリティもあると思うけど、だからこそエンタメ的な要素が作りものに見えてしまうのは読み手のジレンマかもしれない。
3投稿日: 2023.08.01
powered by ブクログ犯人の関係者かもしれないテーラーと、事件を取り上げる記者。 双方がそれぞれの立場から、30年前の未解決事件を掘り下げていく過程が、まるで砂の山を掻き分けてトンネルを作るようなドキドキ感がありました。
5投稿日: 2023.07.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ズッシリと心に来る、重々しいストーリー。黒革のノートと曽根俊也の子供時代の声が録音されたカセットテープの謎。記者の阿久津英士と素人の曽根俊也のそれぞれが進めていた取材から徐々に真実が明らかになっていき、終盤に二人が出会う… 未解決事件、時効、カセットテープの声の子供たちの歩んだそれぞれの人生、犯人の身勝手さ…様々な設定が絶妙で、引き込まれる。映画のカバーが付いていた為、小栗旬✕星野源をイメージして読んでしまっていたがピッタリと思った。(映画未鑑賞) 登場人物が生き生きしていて、描写もキレイでした。
41投稿日: 2023.07.30
powered by ブクログ久しぶりに長編を読んだが、飽きることなく読み終えた。ただ未解決事件を追うだけのストーリーかと思ったが、事件に関わった様々な人間模様が丁寧に描かれていた。
3投稿日: 2023.07.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
先に映画を観てから原作のこちらを読みました。 犯人側と警察の車での追想劇など少々難しい話もあるものの、映画を先に見たからか割とすんなりと読み込めました。 実際にあった『グリコ・森永事件』を題材にしているそうですが、本当に重い話で読んで良かったとは思うものの、何度も読み返したくなるような作品ではなかったです(気持ち的にしんどくなるので)。 生島家の話が特にしんどかったです。 映画では俊也がテープを録音した母親をかなり責めてた印象を受けましたが、原作では結構あっさりしてました。 逆に伯父と阿久津の対談シーンは、映画は短めでしたが、原作はかなりの文章量があったイメージです。 本当によく綺麗にまとめられた映画だったので、原作で良かったと思った方は、映画も是非見て欲しいです。 映画のラストシーンの俊也と阿久津のやり取りが好きでした。 気持ち★3.5ぐらいです。
4投稿日: 2023.07.11
powered by ブクログプロローグから早速胸をぎゅっとしめつけられるような気持ちになった 著者の文庫版巻末コメントでは〈モデルにした「グリコ・森永事件」の発生日時、場所、犯人グループの脅迫・挑戦状の内容、その後の事件報道について、極力史実通りに再現しました。〉 どこまでが史実でどこがフィクションなのがWikipedia等で調べまくりました。 (史実に基づいたフィクション大好物です)
3投稿日: 2023.07.08
powered by ブクログ面白いと表現して良いものか悩む作品だった。 自分が生まれる前に起きた事件で、この本を読んで初めて知った。 巻き込まれた人の、特に望ちゃんが可哀想でたまらなかった。
3投稿日: 2023.07.06
powered by ブクログ昼から読み始めて、寝るまでに一気に読み終わった。実際の事件がベースだからかとてもリアリティあったし、でもちゃんと小説としての面白さもあるし、最後優しいラストで久しぶりに文章読んで泣いた。事件に対する真摯さも伝わってくる、いい話だった。
4投稿日: 2023.06.14
powered by ブクログ原作も実写版(映画)も両方が良い作品だと思う。大抵は、どちらかに天秤が傾くが、この作品においては甲乙つけがたく、むしろ原作と映画を合わせて「罪の声」が完成しているように感じられた。 映画の主題歌(振り子/Uru)も素晴らしい。
4投稿日: 2023.06.11
powered by ブクログメーカーのお菓子が棚から消えたあの感触。怖いなぁと思っていた。蘇る。 恐ろしく、そしてヒリヒリと。 好きで4回ほど読んでいる。 読みたくなる時がある。また読みます。
1投稿日: 2023.06.08
powered by ブクロググリコ森永事件がモデル。 史実に忠実に描かれていてフィクションなのに本当はこれが真実なのではないかとドキドキして読めた。 阿久津と俊也、それぞれの立場で事件を見つめ、阿久津が取材中に俊也の存在を知る場面が1番興奮した。でも登場人物が多過ぎ。 犯人を取り逃したニュースのあった頃、当時住んでいたところから近くて、ドキドキしてニュースみてたなー。学校の社会の先生がキツネ目の男とすごく似ていて!実際に警察も家に来たって言ってたり。 すごく身近に感じた事件だった。
4投稿日: 2023.06.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
実際の事件についての内容をほとんど知らずに読み、レビューから事実にかなり忠実だと知り、こんな事件が未解決のまま時効となったことに驚きだった。阿久津の取材と曽根俊也の真実調査が少しずつ近づいていく展開に引き込まれて、あっという間読み終えてしまった。ただ単に真実を明らかにすることが正義とはいえない、正義とは何なのかを考えさせられた。
4投稿日: 2023.05.08
powered by ブクロググリコ森永事件が題材となる作品。淡々と片られる話しは最初から最後まで一定のテンションで続いて、長編だか比較的読みやすかった。子供の頃、リアルタイムで体験していた事件で、当時のニュースなどがフラッシュバックした。
1投稿日: 2023.04.26
powered by ブクロググリコ森永事件を題材にしたフィクション。 この主人公達の年齢が私と同じぐらいだろうか。 鮮明には覚えてない、うっすらの記憶がある。身代金の受け渡しなどの指示が次々貼られてて追っていくみたいなドラマはよくあったけどこれが大元やったのね。 子ども達の声が犯行に使われてたのは知らなかった。
3投稿日: 2023.04.24
powered by ブクログ利用された子供達はその後どうなったのだろうか?不幸な人生を送ったのだろうか?かわいそうになりました。
6投稿日: 2023.04.20
powered by ブクロググリコ森永事件を題材にした作品で、脅迫に使われた声が実は…というところから、大人になり家庭を持った男の苦悩であったり、事件の真相に迫る感じであったりが面白かった。映像化もされてそちらも観たが、原作を大切にしている作品になっていて面白かった。
1投稿日: 2023.04.16
powered by ブクログ【作者・作品の紹介】 作者の塩田武士(しおたたけし)さんは、兵庫県生まれ、神戸新聞社に勤務。働きながら小説を書き、2012年に退社後発表した『罪の声』がさまざまな賞に輝き、2021年に土井裕泰(どいのぶひろ)監督により、小栗旬主演で映画化。 【映画について】 先に映画を観たのでその感想を書きます。 まず土井裕泰監督といえば『いま、会いにゆきます』や『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』で有名です。日本各地の美しい風景を作品の中に切り取るのが強烈にうまい映画監督だと思っています。『いま〜』では長野県のひまわり畑、『ハナミズキ』では北海道の雪景色と東京大都会とのコントラスト、ニューヨークの街並みが美しかったです。この『罪の声』も例に漏れず、瀬戸海の美しい夕陽のシーンが印象的。さらにイギリス・ヨークの街並みを、恐らくドローン技術で撮影したシーンは圧巻です。とにかくスケールが大きいのが満足感に直結しています!各社サブスクで見られるので『罪の声』はぜひ見てほしい! 【小説の抜き書き・感想】 映画を見てから小説を読むと、いかに映画が短時間で分かりやすく華を持たせて表現したのかが分かります。例えば、映画では序盤から、小栗旬演じる新聞記者の阿久津英士と、星野源演じる“罪の声”を背負うテーラーの曽根俊也が二人で協力して真実を追いますが、小説では二人が協力するのは最後の4分の1くらいです。小説では、雲を掴むような空振り続きの聞き込みに苦悩する阿久津の姿が印象的でした。これが現実なのだろうなとリアリティを感じるのはやはり映画よりも小説です。 P.387 真実は時に刃(やいば)になる。それが周囲の人間を傷つけてしまうこともある。しかし、それでも伝えなければならない。突き詰めれば「いい人」で終われる仕事などない。 ⇨30年前の凶悪事件の真実に近づくにつれて、今を生きる人に影を落としてしまう…あの時口をつぐんだ後悔に向き合わせることになる…そんな取材者の葛藤が伺えるセリフ。読者としても「真実を知りたい」という思いから「目撃者になってしまっていいのだろうか」という気持ちになる。 そして「「いい人」で終われる仕事などない」という言葉からは、仕事への姿勢以外でも、日頃他人とのコミュニケーションの際に、真実100%でいくといい人ではいられないということでもあると思った。真実を伏せることは時にコミュニケーションを円滑にする。いくらでもやり過ごせるのだ。それでも、真に向き合いたい人には真実100%でいきたいと私は思っている。それは、相手に対する誠意でもあるし、自分に対する信頼でもある(目の前の人を信じると決めたという信頼)。コミュニケーションのカードは常に、自分が持っていることを自覚して生きたい。 P.478 「〜伝言ゲームになった時点で真実ではなくなる。理不尽な事件に巻き込まれたとき、これまで聞いたこともない見たこともない犯罪に直面したとき、社会の構造的欠陥に気付いたとき、私たちはいかにして不幸を軽減するのか。それには一人ひとりが考えるしか方法はないんです。だから、総括が必要で、総括するための言葉が必要なんです」 ⇨仕事でも伝言ゲームになることはよくある。真実ではなくなっちゃうんだな、とドキッとした。それから「総括」という言葉も。あぁ、私たちはきちんとその都度総括しないとダメだな。逃げてちゃ、目を背けてちゃダメなんだなってことを思いました。とはいえ、目を背けていい人で終わろうとすることの何と多いことか。真っ直ぐ見て選択することを意識していきたい。
2投稿日: 2023.04.15
powered by ブクロググリコ森永事件や3億円事件、そして全共闘運動など、過去にあった事実を参考にして再構成したフィクションの作品です。 新聞記者の阿久津英士を中心として物語が構成されていきます。昔あった事件の真相とは、それに関わった人々の思いや背景などを見事に織り交ぜて書いてくれています。一番感動したのは、これが子供たちを巻き込んだ事件であるという恐ろしい事件であり、それは絶対に許さないという思いが描かれているところです。 また、映画版でも見てみたいなと思わせてくれる社会派の作品でした。
3投稿日: 2023.04.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
映画を観てからこの本を読みました。 映画がとても面白かったので期待して読み始めたのですが、想像を遥かに越える面白さでした。 映画での台詞が原作そのまま使われている部分が多く、 役者さんたちの表情や行動が事細かに書かれているため、 あぁ…だからあの時こんな表情やしぐさをしていたんだとより深く読み進めることができました。内容が濃く登場人物一人ひとりの琴線に触れ感銘を受けました。 読み終わった後、もし観る機会があれば映画も一度ご覧になっていただきたいです。
3投稿日: 2023.04.06
powered by ブクログ昭和最大の未解決事件であるグリコ森永事件を元にしたフィクション小説。2017年の本屋大賞第3位作品。第3位でこのレベル、、、過去の本屋大賞トップ3、読み漁りたいと思った。
1投稿日: 2023.04.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とっても読み応えがあった。 阿久津の諦めないひとつひとつの積み重ねで、30年たって初めて、事件の相関図が明らかになり、関係や役割、繋がりが分かるごとに紐解かれていくスッキリ感を感じました。 たまたま時代や人に振り回されてしまった子供達、最期、本当に聡一郎が生きているお母さんと会えたのがホッとしました。目も治ってほしい。
2投稿日: 2023.03.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
有名なグリコ森永事件を題材にした小説。 あくまでもフィクションであるが、事件の概要や警察とのやりとり、マスコミへに宛てた挑戦状などは現実にあったことに基づいている。 違うのは、犯人グループの箇所と動機、犯行に使われた子供達のところだけだと思う。 戦後最大の劇場型犯罪と言われ、未解決のまま時効を迎えた。この事件の当時、私は産まれたばかりだったため、リアルタイムでは知らない。 事件の詳しい内容はむしろこの本で知った。 安易な権力批判、警察批判は好きではないが、あまりにも警察の対応がおそまつと言える。 関西圏を取り巻く警察の縄張り争い然り、警察庁に指揮が移ってからも一網打尽に拘り、結果、重要参考人キツネ目の男を取り逃がす。 いや、取り逃がすどころか捕まえようともしない。 一網打尽に拘らず、この男を捕まえていたら事件は解決していたのではと思えてならない。 結局、犯人側は現金を1円も受け取っていないということだから、何がしたかったのかよく分からない。 この辺は、小説の推理した通りが一番筋が通っているように思われる。 犯人グループの中でも単純に金目当ての者がおり、これらは株式の仕手で儲けた。 一方で、権力や警察、大企業に対する一矢報いたいという気持ちを持った者もおり、これら犯人グループの動機が合わさって、あのような大胆不敵な犯行になった。 本小説での主役は、犯行に使われた子供の声の主。その後の子供がどういう人生を歩んだかに焦点を当てている。 3人中、2人は壮絶な人生となってしまった。 現実での子どもたちは、普通の人生を歩んだと思いたい。 しかし、ああいう事件に巻き込まれるということは、そもそも家庭環境が良くないと予想されるから、やはり壮絶な人生を歩んだのだろうか。。
1投稿日: 2023.03.09
powered by ブクログ映画で甚く感動したので原作を読んで見ました。 原作は言うまでもなく細かく掘り込んだ読み応えある内容だったが、それよりも感心したのは映画の出来栄えが素晴らしかったこと。 原作と全然違うのにそれはそれでちゃんと物語としてまとまっている。 多くの映画は時間に収めるため端折っちゃうところが多くて不完全燃焼に終わってしまうが、この映画の場合端折り方が大胆、というか小説を再構成して別物に仕上げてるって感じ。 見る順が違ってたらまた違ったのかもしれないけど‥ 本の感想なのに、映画の話ばかりですみません。
2投稿日: 2023.03.06
powered by ブクロググリコ森永事件をモチーフにしたストーリーで、徐々に事件が紐解かれて行くのがおもしろくて一気読み。 映画のキャストを思い浮かべながら読んだ。 映画も観たいなー。
0投稿日: 2023.03.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
理不尽にも、事件に巻き込まれた子供達。登場人物が多く、物語が複雑に展開されていく。曽根俊也も少し境遇が変わっていれば、生島総一郎のような壮絶な人生を送っていたのかもしれない。 再読すれば、さらに物語の深みが増すのだろう。 「奮い立った」。あまりにも、あっさりとした動機にリアリティが感じられた。
1投稿日: 2023.03.03
powered by ブクログ読書メーターより。2021.3.12読了。 映画『罪の声』を観た後、『グリコ・森永事件 捜査員300人の証言』を読み、こちらの小説を読みました。 実際の事件にかなり忠実に物語が進んでいくので、非常にリアル。 達雄から真実が語られるシーンは、早く読みたいのになんだかもったいないような、知りたいのに知りたくないような、不思議な感覚でどきどきとしてしまって、ゆっくり休憩しながら一言一句見落とさないよう、大切に読み進めました。 聡一郎や望のことを思うと胸が痛みますが、阿久津のような誠実なジャーナリストが真実を明らかにしてくれたことがなによりよかったと感じました。
0投稿日: 2023.02.27
powered by ブクログなぜか読むのに時間がかかった。 自分の産まれる前の事件で想像しにくかったからなのかな。 内容はよかった。おもしろかった。 記者が事件を追う、関係者が過去を追う家に 記者に追われている。 あつい展開もなく 臨場感たっぷりのハラハラもなかったけど 時間をかけて 色んなことが明らかになって わかっていくのが気持ちよかった。
1投稿日: 2023.02.24
powered by ブクログ「グリコ・森永事件」をモチーフとした小説です。 犯人グループ像は私が“そうだろうな〜“と思う説に近いのでストーリーはしっくりは来ます。 この手のお話しに付き物の不必要にベラベラ喋る人物の登場にちょっと違和感がありますが、そうしないと真実に辿り着けないので仕方ないかな。 結末がちょっと好みではないが基本的には楽しめた小説でした。
2投稿日: 2023.02.19
powered by ブクログ不謹慎ながら昭和の大事件をモデルにしているということで好奇心から読んだ。が、どちらかというと事件より記者の人間模様がメイン(もう一方も家族の話)で、人間ドラマという感じが強く、ミステリー要素は薄め(実際の事件がモデルだから当然か)。 またやや文章のテンポが読みづらく感じた。
0投稿日: 2023.02.17
powered by ブクログ映画を観た後に原作小説を読んだ。この順番でよかったように思う。文章だと煩雑な容疑者達の様子を先に映像で観ていたため、するすると読めた。逆に映画で大まかな流れを知っていないと時系列や起きた出来事が細かすぎて途中で断念していたかもしれない。話が進むごとに「罪の声」というタイトルが様々な意味を持ってくることがわかり、いいタイトルだなと思った。
0投稿日: 2023.02.06
powered by ブクログ良く知られた元ネタの事件も、非常に多面的な背景があると思うと、大変興味深く、だから捕まらなかったのか、という納得もあった。物語的には、どんどん読み進む感じでは無かった。
2投稿日: 2023.02.03
powered by ブクロググリコ森永事件の話 登場人物が多いので一気読みした方が良い 最初はごちゃごちゃしているけど、後半点と点が繋がり始めると一気に面白くなる 答え合わせが長いので好きです
2投稿日: 2023.01.27
powered by ブクロググリコ・森永事件をモデルにした話。 フィクションなんだけど、この事件にはそんな真実があったのかと思わず思ってしまう。 最初はなかなか入り込めなかったけど、途中から面白くなってきて、最後は涙。面白かった。 総一郎にはこれから少しでも幸せに生きて欲しい。
1投稿日: 2023.01.14
powered by ブクログ映画を見たので再読。以前はドキュメンタリー読んでるようで、興味深く読んだけど、話の内容は忘れてる部分が多かった。 声を使われた子の、その後の人生、俊也と聡一郎の明と暗、事件を追う新聞記者阿久津の記者魂、事件の詳細と動機など、複雑に絡み合っているけど、読後は一つの事件の全容を知った気持ちになった。
7投稿日: 2022.12.25
powered by ブクログ力作。 重厚で緻密。引き込まれるストーリー。 久々の読ませる逸品。 2人の登場人物の物語が、最後にからみあって ラストをむかえるまで一気読み。 見事な構成であります。 ただ、読み終わった後の、沈んだ空気がやるせない。 現実の事件を背景にしているので、 ノンフィクションと思えるくらいの作品。
3投稿日: 2022.12.19
powered by ブクログ映画の評価が高かったのでずっと読みたかった本作。 著者は元新聞記者と言うことで、記者の目から描かれるストーリーが非常にリアル。 私が子どもの頃に全国を騒がせた『グリコ森永事件』真相はこれだったんじゃないの?ってくらい フィクションなんだけどノンフィクション感がすごい。その取材量には驚きます。 この後映画とNHKスペシャル未解決事件を一気見してしまうほどハマってしまった。 脅迫テープの声に何も知らずに使われてしまった子どもたちのその後の人生が胸を突く。
2投稿日: 2022.12.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
実際にあった事件を元にして、書かれた話。 犯行に使われた3人の子供の音声。そのうちの一人である主人公と真実を追い求める記者(こっちも主人公)と二人の視点を見ることができます。両者の気持ちはどちらもその人の立場になると痛いほどに共感できるもので、哀しさや苦しさを強く感じた話でした。親や周りの大人(環境)を子供は選ぶことはできない。それ故の不幸というのがこの話にはつまっていて、ほんとうに苦しくなりました。最終的には、全員(「生きてる人は」ですが……)救われたことが私の救いにもなったように思いました。
1投稿日: 2022.12.07
powered by ブクロググリコ森永事件をモチーフにした小説。 以前「キツネ目」というグリコ森永事件ののノンフィクションを読んだ時に、こちらも読もうと思っていた作品。 犯行に使われた子供の声から真相に迫っていくお話で、中盤までは出てくる人の名前の数も多く、淡々と進む展開だけになかなか読み進まなかったけど、後半からさまざまな事実が繋がり、凄い勢いで読み進みました。 犯行に使われた声の子供達やその家族の悲しい運命に胸が苦しくなり、最後は泣けてしまった。どんな犯罪であれ、被害にあった人、巻き込まれてしまった犯人の家族達、当の犯人達でさえ結局誰も幸せにはなれないなと、改めて考えさせられた話。 巻末に「この戦後最大の未解決事件は「子供を巻き込んだ事件なんだ」という強い想いから、本当にこのような人生があったかもしれない、と思える物語を書きたかったからです。」と書いてあった作者の言葉通り、本当にリアルでした。
4投稿日: 2022.12.03
