
総合評価
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powered by ブクログ高校生のときに初めて読んだSF小説。今まで人間ドラマがメインの本しか読んでこなかったが、抵抗なく読み進められた。SFといってもこの本はファンタジー要素が多いように思える。 AIとの共存がこのような人とのバディという形で叶うのであれば、(私は)とても理想的だと感じた。登場する人物、AI、生物がどのような姿形をしているか想像しながら読むのが楽しい。
0投稿日: 2024.11.13
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生き残るために人間である事を辞めなくてはならないならそれを選択できるのか? 海で魚人のように暮らすのは? 砂漠で植物のように暮らすのは? どこまでなら耐えられるだろうか? 最後の選択は果たして希望と言えるのだろうか?
1投稿日: 2024.06.09
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SF小説の最高傑作は『三体』。それをAmazonで低評価にしていたヤツ。ヤツが高評価していたのが本書。ヤツのセンスを確認しよう。つまらなかったら(心の中で)バカにしよ。卑しく変にハードルが上がった中で読み始めたのに。悔しいがメチャ面白い。世界観が凄い。 以下、ネタバレ。お気に入りの箇所。 「人間は劇薬と同じだ。その人物が置かれている立場によって、毒にも薬にもなるという意味だ。当人の本質が善か悪かなんてまったく関係ない。ある立場の中でどう振る舞うか、他人がそれをどう見るか、その違いだけだ。本人が薬だと思っているのに、周囲から毒薬認定される場合もある。逆も同じだ。」
0投稿日: 2024.06.08
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積ん読くずし 面白い! 描かれてる科学や技術は専門外であまり興味は持てていないが、話が面白い! 青澄、ツキソメ、タイフォンの全員がキャラ立ってていいね 汎アがわりと中心的舞台なので、中華系SFの情景が浮かぶなあ この世界で災厄を逃れた大型コンピュータって一つだけ(シャドウランズ)なのかな ああいうとこって電気が必要で、とすると水も必要なので、災厄で沈みやすい傾向にはあるのかなあと
0投稿日: 2024.03.06
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SF、まさしくSF!という感想をもった作品。 ジャレド・ダイヤモンドの「文明崩壊」を読んだことにより、長期的な環境変動と人類の危機に対して以前とは違う感覚を得た私には、この世界観が突き刺さる。 プルームの上昇は、(小説用に)タイムスケールをいじっているので本来は起きえないことだが、それでも地球環境の変動、遺伝子・環境の改変、予想外の連鎖を引き起こす改変手段、人間の思考を補助する人工知性体(AI)に制御不能に陥っている生物工学兵器、と現代(近未来)を暗示するようなストーリーではないか。 ホットプルーム上昇による海底面の上昇、それに伴う海水面の急激な上昇による陸域の大幅な減少。こういう人類滅亡のさせ方もあるのかと思った作品。 ポストアポカリプス後の世界であり、遺伝子の改変や環境への人為的な介入も当たり前のように行われている。その一方で、人類は相変わらず協力しあうことができず、自然界への介入も予想外の反作用を引き起こす、というこれまでと変わらぬ歴史を歩む。 序盤は、過酷な世界の中で主人公青澄らが目の前の問題(生活の改善)に奮闘する物語かと思ったが、本書終盤では再度のホットプルームによって人類が存亡の危機に立たされていることが判明していく。 数世紀を経て発展した科学技術でもこれは回避できず、一方で、減ってしまった人的・物的資源を有効活用するために環境適用技術を集中的に進歩させた人類は、地球からの脱出手段を持たずその開発も間に合わない。逃げることも出来ず、止めることはおろか逸らすことも部分的に安全地帯を作ることすら出来ないという八方塞がりのなか、人類存続をかけて足掻くという壮大なストーリーへと発展していく。 本書の良いところ、というかすごいところはタイムスケールではないかと思う。見所をつくるためには、1週間、数ヶ月、数年、といった比較的短いタイムスケールでコトの顛末を描くのが普通だろう。 ハリウッド映画のように長期戦になりそうなテーマでも「主人公の英雄的行動で救われる」というオチになることが多い。主人公らの寿命が尽きてもイベントが起こらないような物語はかなり珍しい。 しかし、本書はその珍しい部類で、最長50年後に起きる大異変に対応していくという、より現実的で、それゆえ複雑でとても難しい内容にチャレンジしている。 本書の中では滅亡の危機に瀕しても人類は一枚岩ではないので(これも残念ながらとても現実的)、進むほどに状況は絶望的に、それとは対照的に登場人物達は(小さな)希望を持って活動している。(下巻の冒頭で世界情勢が主人公らに明かされるのだが、)上巻末は悪い意味で「戦術的勝利の連続は戦略的勝利に結びつかない」というむなしさを覚える展開になっている。 とは言っても、ただ暗いだけの話では無く、下巻を読み終えるのを待たずに続編購入を決めるほどに面白い話になっている。 プルームの再貫入がなくても過酷な世界で、人間同士の争いに邪魔されながらも前に進もうと足掻く主人公らの熱い物語には引きつけられるものがあるし、海洋民の生態も面白い。環境が安定すればすぐに力を盛り返す人類に対して、旧世界の負の遺産としての生物兵器や、ドライブされた遺伝子変異(敵が比較的短期間に変異することで対策が変わる)というギミックで制限を掛けているのも上手いと感じる。 大きな絶望の中、小さな希望以外には見いだせそうにない世界観だが、最後にどういったオチを持ってくるのか楽しみな作品である。
0投稿日: 2024.03.04
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感想 SFだから当たり前だが、人間も変容し、高度な人工知能と自然が融合した独特の世界観。天変地異が起こっても人はやはり、土地争いと戦争に明け暮れるのかと思うと少しウンザリしてしまう。 人間が作り出したものに翻弄され、人間が歪み合う。人間のカルマのなれの果てを描いているよう。ありえるから怖い。 終盤は細かい話から一気に壮大な話へ、人類に第二の危機が生じる。 あらすじ 近未来、海底が260m隆起して、人々は土地の奪い合いを始めた。それぞれが連合国を形成し、そのうちに陸上民と海上民に分かれて人は生活するようになった。 青澄は陸上民で、海上民とのトラブルを解決する外交官だ。今回政府から、ツキソメという海上民を日本政府に帰属させ、税金を納めるように交渉せよとお達しがあった。一方のツキソメは、日本に帰属する気はないが、海上ステーションの建設により生まれる利益を納めても良いと言ってくる。青澄の交渉が始まる。 海上民は魚舟と共に生活する。ツキソメは多くの魚舟を操れる結手だった。パートナーのいない魚舟は陸に上がって、餌を食い散らかす問題になっていた。 細かい政府の縄張り争いにとどまらず、地底のマグマが大量に地表に噴き出す可能性が予測されたこれにより、噴火による直接の影響だけでなく、空が粉塵で覆われることにより、太陽光を得られず極寒の中、人類が滅亡する可能性が出てきた。
6投稿日: 2024.02.03
powered by ブクログ久々で本格SFを読みました。短編でこの世界にはちょっと触れていたが、おもしろい。長いお話で、難しいところもありますが、引き込まれました。 まだ、お話しはプロローグなので、今後どうなっていくのか非常に楽しみです。 椎名誠の「水域」みたい。 全世界が海に沈んだ世界の地球のお話。
1投稿日: 2023.12.11
powered by ブクログ前回読んだ上田早夕里「獣たちの海」で、すっかり「オーシャンクロニクル・シリーズ」のファンになってから約一年が経った。そこでシリーズを一気に読むことも考えたが、甘利にももったいないので、寝かせて寝かせて、ついに今年もあと僅かという時点で「華竜の宮」に着手した。読むにあたって、ハヤカワSFシリーズ Jコレクションか文庫版(上・下)かの選択に迫られたが、電車で読める文庫版を選んだ。また、上巻読了という中間地点か上下巻全部読んでから書評を書くかここでも迷ったが、上巻の記憶が薄れるかもしれないので、ここ中間時点で書くことにした。 現在、日本が抱える二つの大きな不安要素は、地震とエネルギー危機。地震は単なる国土の被災だけではなく原発事故、汚染水・処理水へと被害が拡大・進展していく。エネルギー危機は、不安定な中東からの石油調達問題、石炭回帰による地球温暖化加速・海面上昇に直接繋がるとして国際社会からのバッシング、太陽光発電や風力エネルギー等の再生可能エネルギーは官民の汚職(三浦清志・瑠麗、秋本真利衆議院議員)等でなかなか大胆には進まない。オーシャンクロニクル・シリーズが始まった約15年前でも盛んに警鐘が鳴らされていたが、これらの諸問題は現在でもなお根本的な解決に至っていない。 SFだからこそ災害に対して小手先だけの技術進歩で得られた様々な解決案を駆使して面白いストーリーを楽しめるが、本作品は人間自身の改造の範囲を超え、怪物に姿を変えることで生き延び、そして再度迫りくる災害に右往左往する。ここでも政治家というどうしようもない権力大好き人種が民を苦しめる。政治家は強くても弱くてもいけない。ひたすら民衆のために尽くすことが重要だが、そんな人間はほんの一握りしかいない。しかもその一握りというのは赤ちゃんの小さな手よりも小さい。これが人間の真の姿と判れば、人間は先んじて滅ぶべき存在なのだが、滅んでしまっては話にはならない。滅びたくないので、科学技術を駆使して、対話を極限まで尽くして足掻きまくる。その苦しむ姿を楽しむのがSF小説の読者、SF作家はどこで寸止めできるか力量が問われる。上田早夕里という作家は、そのボーダーラインを上手く表現できる作家である、だから面白い。緻密な科学技術背景が現状とはそれほどかけ離れていないのも、生々しくてストーリーを面白くさせている要因かもしれない。 本シリーズも2冊目ともなれば、内容はするすると頭に入っていく。新たな問題を解決すべく奔走する登場人物の働きを予想しながら下巻を舐める様に読んでいきたい。
4投稿日: 2023.10.20
powered by ブクログ(上下巻あわせた感想です) 舞台は地殻変動による海底隆起によってほとんどの陸地が水没してしまった25世紀の世界。人類は陸地に暮らす「陸上民」と、海での暮らしに適した身体となった「海上民」に分かれ、それぞれの社会を形成していた。 日本政府の外交官・青澄と、彼のアシスタントである人工知性体マキは、陸上民と海上民の間で深まる対立の仲裁に奮闘するが、近い将来地球に訪れる更なる危機が、彼らの運命を大きく変えていく、という物語である。 陸地が海に沈みゆくお話としては小松左京『日本沈没』や映画『ウォーターワールド』がすぐに思い浮かぶけど、SFの設定という点ではこれら先行作を凌駕している印象で、細部まで練られた世界観はとても興味深かった。 個人的にいいなと思ったのは陸上民と海上民の対立構造が、現代社会の国家間のパワーゲームとリンクしているように感じられた点で、過酷な状況下でも互いの相容れない言い分がきっちりと描かれているあたりが、物語に厚みを加えているように思う。戦闘シーンも迫力があるし、場面転換が上手いので上下巻という長さを感じさせずに一気に読めるのも素晴らしい。 ただ主人公の青澄の言動に関しては、外交官とは思えないほど純粋まっすぐで、あまりのピュアさっぷりに読んでいて正直鼻白んだ。以前『破滅の王』を読んだ時にも感じたんだけど、せっかくこれだけスケールの大きな物語なのに、作者の意図をあからさまに反映させた主人公の「本音」が物語のリアリティを損ねているように思う。 それにしても、日本SF大賞も受賞したのに発表から10年以上実写化もアニメ化もされなかったのは結構意外。やっぱり震災の津波を想起させるからだろうか。間違いなく映像向きの作品なのに何とももったいないなあと思う。
1投稿日: 2023.07.31
powered by ブクログ地球規模の大災害の後、人工的に人類や他の生命体を作り変えて無理矢理凌ぐ…という発想は、原作版ナウシカを彷彿とさせる。
2投稿日: 2023.06.29
powered by ブクログようやく、たっぷり「オーシャンクロニクル」の世界観に浸かっています。 短編で読んでいたものが、少しづつ繋がる。 「ウォーターワールド」の世界感ですが、物語の深さが全く違う。 すごいです。おぼれそうです。 ちゃんとレビューを書くのは下巻を読んでからにします。 下巻でまとめてレビュー https://booklog.jp/users/kickarm/archives/1/4150310866
0投稿日: 2023.02.19
powered by ブクログ上下一括感想 下巻にて 凄まじいほどのシミュレーション その全ては、「今」の延長… 地球の息吹に対して、 人間の科学の無力な事、 ましてや、 政治や経済活動の愚かさ。 どうなる……これから……
1投稿日: 2022.10.08
powered by ブクログ600ページ近くある大作。しかも2段組。 テーマは重い。 が、内容についていけなくて読むのをやめようかと思った。 既に100ページ以上を読んでいたので読み続けたが、読み終えるまでに一週間を要した。
0投稿日: 2022.06.06
powered by ブクログ地球環境の変化を経た未来の世界。大きな戦争を経て、人類も変化している。地上民と遺伝子を変え、海に生きる海上民。彼らは双子で産まれ、人と「魚舟」として共生する。海は資源豊富だが、戦争の爪痕がそこかしこに残り、彼らを苦しめている。 壮大なスケールと、ありそうでない設定をもとに書かれた物語。地上民の官僚でありながら官僚っぽくない青澄を中心に、国家の謀略や生物学的危機を乗り越えていく。語り手は彼のパートナーである人工知能で、この設定が下巻でよい仕事をする。語り口は少し重いけれど、ひとつひとつの描写が的確でイメージしやすく、ひとつの映画のようでとても面白い。
0投稿日: 2022.05.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
地球の海面が上昇し殆どの国が海に沈んだ世界 マントルやら地殻やらの動き 新たに生まれた人類 すごく面白い 緻密な世界観
0投稿日: 2021.12.09
powered by ブクログここではまだ伏線を張っている段階。それでも一筋縄ではいかない人物たちの絡まり合いが読ませる。とはいえこの手のポリティカルフィクションを読んでると感じるのが官僚機構の救いのなさだよなあ。以前、高橋和巳や埴谷雄高といった戦後の左翼作家を読んでいて、彼らが揃って「電子計算機」を使って官僚機構(と代議制)を全廃するという構想を語っているのに驚いた記憶があるが、やっぱりそれしかないと言う感じになってくるね。
0投稿日: 2021.06.30
powered by ブクログホットプルームによる海底隆起で海面が250メートル以上上昇し、広大な海域が広がる世界。 人々はわずかな土地で暮らす〈陸上民〉と、海上生活に適応し、居住する〈魚舟〉を自ら生み出せる〈海上民〉とに分かれて生きている。 一度滅びかけても、陸上に残った陸上民はかつての国家の代わりに連合を作って、覇権争いが激しくてどっと疲れます。中心人物として描かれる青澄と、彼に関わる人たちがもがきながらもなんとかして陸上民も海上民も助けたい…となっているのが尊いです。気持ちの良い人たち。 ツキソメも気高くて好きです。魚舟、いろいろなのがいてどんな感じなんだろう…サンショウウオっぽい魚のようですが大きいので。歌うのもいい。 獣舟は怖い…けど海上民の想いもわかります。 終盤で、今度こそ人類は絶滅する大災厄に地球は見舞われるという予測が立てられたので下巻もハラハラ読みます。 青澄が記念パーティーの出席者について鬱陶しそうに「連中は己の下劣さに自覚がない。自覚がないから、際限なく下品な言葉を繰り出せるんだ」って言ったの、現実を思い出してしまいました。
4投稿日: 2021.06.24
powered by ブクログ海と獣の共存。海で暮らす人々と、政府との接点。オサの話。彼らを繋ごうと動く青澄とそのアシスタントAI。
0投稿日: 2020.05.25
powered by ブクログ上橋菜穂子さん作品や、貴志祐介さん『新世界より』が好きなのでネットの書評を頼りにこの作品に辿り着いた。 ファンタジー世界というよりは地球の環境変化、遺伝子操作等現実に起こりそうなことをベースにしている→SF?なのに、ところどころスッと入ってこない設定があり上巻を読み切るにも苦戦。 ・海上民は海上民と魚舟を同時に産む→ヒトと魚が一緒に生まれるか? ・魚舟は陸に上がると獣舟になる→?? ・それだけドラスティックなことを決断してきた世界なのに組織の中では賢い立ち振る舞いを求められる→ここだけ時代錯誤な感が…… 更なる危機の予兆が上巻途中から描かれており下巻を読むか迷うところ……古本100円だったら確実に読むんだけど……
0投稿日: 2020.04.24
powered by ブクログとにかく壮大! 日本SF大賞受賞作で、遠い未来の地球を舞台にした、人類の生き残りを賭けた物語です。人間って何なんだろう、生きる意味って何なんだろう、ということを(上巻にして既に)考えさせられます。 冒頭のプロローグは2017年が舞台。この時点で豆腐は合成プロテイン製になるほど異常気象の影響が出ているのですが、本編の舞台はなんと25世紀。 わずか数ページで4世紀飛ぶというこのダイナミズム。この間に地球は大きく変貌し、海底が隆起して多くの陸地は水没し、辛くも生き残った人類は陸上民と海上民に(見た目もライフスタイルも)分かれ、変わらないものはと言えば日本(まだあった!)の政治のドロドロ感とノロマさくらいのもの。この舞台装置にまずは驚かされます。 そんな世界の中で、骨のある外交官がいたり、海上民の長や戦士がいたりの人間ドラマがあり、厳しいながらもそれなりに美しい世界の姿が描かれていくのですが、上巻の終わりにはとんでもない問題が明らかになります。 世界の構築からストーリーの構築まで、これだけの話を良く描けるなぁと思ってしまうレベルで、登場人物も多いのですが話が散らかることなく、読ませる本だなぁと思います。本著の肝である地球科学的なくだりは少々難解ではありますが…。 少しネガティブな感もありますが、これも有り得べき未来なのか。下巻が楽しみです。
3投稿日: 2019.09.21
powered by ブクログ人類に壊滅的被害を与えたリ・クリティシャス後、海面が約250メートルも上がってしまった25世紀の地球が舞台。地球の地表の多くが海底に沈み、生き残った人間は、わずかに残った地表に暮らす陸上民と広大な海に暮らす海上民に分かれて暮らしていた。 海上に住む海上民は海上での生活に身体を適応させており、彼らは人間の遺伝子操作により生み出された「魚舟」と呼ばれる生物を海の上で人間が生活する空間として利用していた。 陸上民と海上民との対立やごく普通にAIを身体に埋め込んだ人間の生活、そして身体を遺伝子的に改造された海上民の魚舟での生活などが詳細に描かれており非常に面白い。将来あり得べき未来を今見てきたかのように描写されている。 主要な登場人物は、海面上昇のため日本列島ではなく日本群島になってしまった日本政府の外交官の青澄誠司、海上民であり海上船団の女性オサで高齢であるも年を取らない謎の女性ツキソメ、そして海上民出身で異形の姿をした海上警備隊の隊長ツェン・タイフォンの三人を中心に話が進んでいく。 本書は、海面上昇後の過酷な地球環境や病潮(やみしお)と呼ばれる謎の疫病との戦い、人間を補佐する知的生命体(AI)の利用状況など、科学的にもリアルに描写しながら、過酷な運命を生き抜く人間の生き様を描いた一級のエンターテイメント作品として楽しめる。 ストーリーテリングも非常に巧妙で興味深い。物語の内容が非常に重厚でページ1枚1枚に込められた情報量が多いのでサクサク読めるという物語ではないが、ページを繰る満足感が非常に高い。 このような過酷な状況の中、地球にさらなる危機が訪れ、全人類が絶滅する可能性が極めて高いとの研究結果が出される。 人類に止める手立ては無く、宇宙へ人間を脱出させるような技術はすでに過去のものなり、今は無い。人類は座して死を待つだけなのか・・・。 以下、下巻、期待度MAX。
3投稿日: 2019.04.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
再読。 ストレスフルだがエンターテインメント。 電脳戦?なんてもう。 主人公?のセリフがいい。 一つだけネタバレにならないはず?のものを。 「彼女のことを、目の前で下等な生物のように言われてみろ。おまえだって気分が悪くなるぞ。連中は己の下劣さに自覚がない。自覚がないから、際限なく下品な言葉を繰り出せるんだ」
0投稿日: 2018.12.15
powered by ブクログ「深紅の碑文」とセットで読んだ方がよい。ただし、「深紅」ほうが内容がハード(グロい)の苦手な人は注意です。
1投稿日: 2018.08.16
powered by ブクログ数世紀後の未来,海面の上昇によって平野部の大半が水没した世界.人類は水上都市を中心とした陸上民と遺伝子工学によって生まれた「魚舟」とともに海に生きる海上民にわかれていた.主人公青澄は水上都市の外洋公館に所属する官吏で陸上民と海上民,海上民同士のトラブル解決に奔走していた.彼はある事件をきっかけに海上民のオサ ツキソメと交渉することになる.
0投稿日: 2018.04.07
powered by ブクログ薫香のカナピウムを読んだ時に、何人かの人が華竜の宮を上げていたので気になっていました。 プロローグが現代日本みたいで、思ったのと違う?あれれ?なんてやっていたら一気に物語の舞台へ立っていました。 ロイディみたいなアシスタントが出てきたり、魚船のシステムもすごい。 政治の部分とか、研究成果とか難しい部分も多いですけど、それでも世界に引き込まれました。 新たな問題発生で、下巻も楽しみです。 それにしてもなんでヤングアダルトコーナーに配架されているのか謎。
0投稿日: 2017.12.27
powered by ブクログ『ひとつだけ断言できることがある……。いまの姿を保っているからこそ人間だ、これが人間の最も理想的な形なのだ、という価値観は、これからの時代、幻想に過ぎないわ。 もちろん、思考は身体の形状に影響される。体の形が変化すれば、感受性も考え方も、すべてがいまのままではいられないでしょう。でも、一個の生物としては、だから何だという気もするの。人間は、他の生物と比べたとき、たいしたことをしたわけじゃない。唯一、宇宙に行けた生物だ ー とは言えるけれども、外に出たから偉いというわけでもない。 何もしないで滅びるというのも、もしかしたら、生物の在り方として自然なのかもしれないわね。でも、そう思いつつも、私は、やっぱり家族のことを考えてしまう。人間も生物の一種である以上、生きる道を、簡単に捨ててはいけないのではないかと……。』 人類の営みレベルで迫る危機と地球規模で迫る危機。上巻で材料は揃ったので、下巻が楽しみ。
0投稿日: 2017.03.25ほぼ設定の説明
小説というよりは、設定の説明みたいです。 この世界で生きる人々の生活が実感できるような描写があるともっと入り込めたと思う。 現代から数百年後(たぶん)の、今とは全く違う姿になってしまった地球の話なのに、人の考え方や政府の形が今とほとんど変わらないことに違和感があります。 あとAIの考え方が人間っぽすぎて、ある意味高度すぎる。
0投稿日: 2016.09.05
powered by ブクログ評判通り、設定が目新しい! 確固としたSF世界観! …けれど、エンタメ小説を読みすぎているせいか、もうちょっとキャラクターに感情移入してしまう描写がわたしは欲しかったかな…
0投稿日: 2016.08.27ヨーワ医師に共感共鳴。私は、ただただ生きている地球上の生物を巻き込まないで共存したいと思う。
氷が溶けて、地球が殆んど海となってしまってからの、数百年後の人間も今と同じで少し安心しました。 俗に言う、良い人も悪い人もいる世界が。 といっても 『人類は呪われた所業に手を出した。』為に、終わりなきスパイラルの未来へと。 そしてまたもや地球最大の危機へと、それに伴いここまできたホモ・サピエンスが全く違う姿形にって? コワイ!コワイ!現実感の無い不気味な恐ろしさがじわじわとまとわりついてきます。 これからの地球環境を考えるに、あながちフィクションの世界にとどまらないような気もするのです・・・。 何とか踏みとどまって他の方法が見つかることを願いつつ、下巻へ。
8投稿日: 2016.07.16
powered by ブクログ2015年10月25日に開催されたビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「もっと売れていい本」。
0投稿日: 2016.06.21
powered by ブクログ予想以上のハードSF。期待以上の面白さ。陸地の多くが水没した未来が舞台。陸上民と海上民の対立が進む。さらに近い将来に大規模な環境変動が予測され・・・。下巻でどのような結末を迎えるのか、楽しみで仕方がない。
0投稿日: 2016.05.04
powered by ブクログ地球環境の激変がもたらす地球上の生命の危機。ヒトは自らを変化させることで乗り越えようとする。ほとんどの命が変化に対して無力な中で、大きな変化を獲得できる ヒト とは‥‥。縮小された国、社会という制度の中で出来ることをしていく外交官青澄はとても魅力的。
0投稿日: 2015.08.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
おすすめされてて気になってたSF 未来は温暖化じゃなくてマントルが盛り上がって(よくわかってない。笑)水没する ウォーターワールドみたいな でも遺伝子の操作とか 有害物質の影響で 魑魅魍魎がばっこする ちょっと「新世界より」風 主人公とその相棒はいいかんじ
0投稿日: 2015.05.05
powered by ブクログ面白い。 上級のSF作品であり、一部においてありうる未来の形かもしれないと思わせる。 衝撃が忘れられない作品。
0投稿日: 2015.01.12
powered by ブクログおお……現代社会の延長線上に未来がある!とときめく。 SFなんだけれども、あり得る未来と社会がそこに構築されている。 叙述トリックっぽいところが何点かあるのだけれど、下巻どうなるんだろう? 素直に楽しみたい。
0投稿日: 2014.11.29
powered by ブクログ地球が海に殆ど沈んでしまった説明に、現在のハイテク環境説明に、主要人物の説明に、今と変わらず自分の地位を維持するための、国民無視のお偉い人々とそれに対抗する人々。 もう読むの無理!と何回思ったか・・・ 上巻ヤットオワッタ
0投稿日: 2014.09.03起こりうるかもしれない未来の話。
お盆期間中の帰省や旅行の移動時の暇つぶしに読もうと思っていたら、旅行先や実家でも先の展開が気になり食い入るように読んでしまいました。家族からは冷たい視線を感じながら、物語からはスリリングな未来を感じながら…。休日にじっくりと腰を落ち着かせて、誰にも邪魔されない環境でもう一度読みたい…。 本書に描かれているような地球環境の激変は勘弁してもらいたいですが、人口知性体のようなテクノロジーの発達した未来は見てみたいです。生きている間は無理かな? じわりじわりと温暖化してる地球環境を考えると人間は陸地から海、もしくは宇宙に飛び出さないと人口を支えられない時代が目の前まで来ているのかもしれませんね。
2投稿日: 2014.08.18現代と地続きのSFファンタジー
地球温暖化と大規模な地殻変動により、陸地のほとんどが海に沈んでしまった地球が舞台です。深刻な環境問題に取り組む2人の学者にリアルな近未来を予測させつつ、プロローグが明けたら一気にファンタジーな世界に突入。 環境に適応するために、陸上民と海上民という2種類の生物に分かれた人類が、やがて対立する存在となって戦う物語?と思いきや、新たな問題が浮上して目が離せない展開に。下巻まで一気に引き込まれます。
8投稿日: 2014.04.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
久々の読書で、すごい大作に出会ってしまった。 圧倒的に壮大な世界観。実現しない世界を、読者の頭の中に、こんなにも鮮やかに再現させられるなんて。想像力が掻立てられる文章につられて、どんどんページを捲ってしまう。 この世界を取り巻く環境やシステムが大きく変わっても、変わらない人間達、政治。 自分の信念を信じて、より良い世界の実現のために、時にぼろぼろになりながら、真摯に闘う主人公の生き方に胸が熱くなった。 「彼らは全力で生きた。それで充分じゃないか。」
0投稿日: 2014.02.23
powered by ブクログ独特の世界観が取っ付きにくいかもしれないが、SFの醍醐味でもあると思う。後で読んだ短編を先に読んでおけばもっとすんなり入り込めたかも。
0投稿日: 2014.02.22世界観と生き物に引き込まれました。
この世界を皆さんは、どんな絵を思い浮かべて読んでいるのでしょうか。 読書感想「画」を持ち寄れば楽しいだろうなと思ってしまいました。 特に多様性に富む生き物(人間を含めて)は魅力的で私の想像力は追いついていないだろうな。 お役所言葉から読み取るの交渉の駆け引きや、海上・海中の艦体戦?など見所がページをめくるごとにでてくるのですが、やはりこの世界の様子が一番の魅力でした。 「半端な映像化はさせてはならない!!」と思える作品です。
0投稿日: 2014.01.30いつかあり得る世界?
滅びの中、環境の変化を受け入れ、どう最善を尽くし、未来に託すか。 こんな世界観や生命のバリエーションを生み出せる作者名に素直に凄い、と思いました。そして突拍子もないストーリーではないところも。 ぶ厚い物語ながら、苦なく楽しめた。そして考えさせられた。他人事ではない、温暖化、地震、原子力…危機がやってくることにどう備えるのか。 マキと青澄のコンビにも好感が持てた。
4投稿日: 2014.01.18ウォーターワールドみたいな世界
環境の激変に海を選ぶ人類や陸を選ぶ人類。 海の民とともにある魚舟やそれに対する獣舟の存在意義が面白い。 登場人物がのキャラクターが魅力的。
0投稿日: 2013.12.15問題点を丁寧に描いた海洋SF_翠星のガルガンティア原作?
地球の環境が激変した時にどのように対応するかを考える話 海面上昇による生活環境の減少、海上生活への適用、様々な状況に対応するためには色々と揉め事が多い 主人公は様々な衝突を解決するために奔走する 何よりSFとして設定の描き方が丁寧 登場人物が地球の環境変動に翻弄され、それでも工夫して乗り越えていく様子がすんなりと理解できる 小難しいSFにありがちな長い説明や難解な理論ではなく、問題点として設定を理解できる点が分かりやすい 本作とは全く関係はないと思うが2013年にアニメ化された"翠星のガルガンティア"と設定に似ているところが多い アニメで描かれている水の惑星になった過程が描かれていると思うと興味深い
2投稿日: 2013.11.10素朴な人々、冷徹な現実。
ハヤカワは読み応えのある話が多いなあ。上下巻だけど一気に読めてしまった。 高度な文明に頼らず自分たちの技術のみで暮らす人や、文明の恩恵を受けて他人を見下すように暮らす人、両者の間に立って全てが幸せになれるように苦心する人、彼らの駆け引きが良い。 壮大な世界観や、魚舟・獣舟といったアイディアもいいけれど、「人」というものについて考えさせられる話だと思う。 避けられない終末に向かって、持てる限りの力を使って生き延びようとする戦いもすごい。 みんながハッピーめでたしめでたし、とはいかないけれど、自然に対して唯一立ち向かえる人類の力を感じる。 マキ君は人類を継ぐものになるのかな。それとも別の種族として存在するのかな。人工知能だけど、肉体を改造された海上民やロボットで肉体コントロールをする陸上民たちと同じく、彼もまた人間の一種のようだと思う。
4投稿日: 2013.10.03夢中になります
長い話ですが、物語の世界に魅了されました。 一人の外交官が、国家や、さまざまな思惑に奔走しますが、 その姿がかっこいい。
2投稿日: 2013.10.01壮大で、すてきな海のお話です。
まず、おバカな先入観から、タイトルを見て竜宮城の乙姫様みたいな海の神様が降臨する話だと思っていました。大間違い!見事な海洋SFです。特にすごいのが、その世界観。目の前にありありと浮かぶさまざまな模様を持った魚舟たちと多彩な登場人物たち。特に「人工知能」の「感情」形成のリアリティは将来のテクノロジーの進化を予感させます。そして最後のシーンは、ほとんど「2001年宇宙の旅」な雰囲気です。ただ、折角いろいろな伏線を持って登場した何人かのキャラクターが活かされていないのは残念です。スピンオフ作品として読んでみたいです。
7投稿日: 2013.09.25スケール感満点!
長いがすばらしかった。何よりもSF作品としての「格」がでかい。一度破滅し、復興しつつある世界をもっぺん破滅させるという超大技。スケール感満点で複数主人公たちも皆行動的かつ魅力的だった。「物語」を堪能させていただきました。
1投稿日: 2013.09.25壮大な世界観と地味な役職
ホットプルームの浮上により海底が260mも隆起し、陸地の大半が海に沈んでしまった25世紀の地球。そこでは人類が、高度な文明を持った「陸上民」と、海の上で生活を営む「海上民」とに別れます。海上民の中には国家に属さず、陸上民と確執を持つ者もいます。陸上民である青澄が、日本外務省の役人として海上民の船団との交渉を進めるのが物語の骨子。本作の魅力は、様相を異にした未来世界を描きつつ、双方の利益になるよう交渉を続ける、一見地味な官僚の仕事を丁寧に描いているところ。その現実味が、物語に不思議なリアリティを与えています。(スタッフI)
1投稿日: 2013.09.20
powered by ブクログ初めての世界観、聞きなれない言葉の数々、頭の中で映像化しながら進みました。とんでもない世界の話なのに、いちいち心に引っかかるのは、どうしてなんだろうなぁ。特に陸上民の「iプローブ」が気に入りました。これって常に自分の中にいるもう一人の自分。アイデンティティーなんじゃないかな?なんて引っかかるわけです。人間の欲とか自己実現とか生き方とか、盛りだくさんで書ききれないけど、ストーリーも下巻でどうなってしまうのか、先は気になるのに遅読です。自分の処理速度が、R.Rやナンシーくらい凄かったらいいんだけど。
1投稿日: 2013.09.03
powered by ブクログ多くの陸地が水没した25世紀。青澄は外交官として、陸上民と海上民間のトラブル等の交渉を行う。 よくある設定なのかな、とも思うけれども、SF苦手な私からしても読みやすい。
0投稿日: 2013.08.18
powered by ブクログ全体のレビューは下巻も読んでからですが、とりあえず思いついた点を。 1.上下巻になる小説は、転の冒頭まで上巻に書くと、スムーズに下巻が買ってもらえるだろうことは当然ですが、全体として、記述の濃度に違和感を感じさせずに、上下巻を同程度の厚さにしつつ狙ったところで切るというのは、結構職人技だと思いますよ。 2.遺伝子改変で何でもありというのはちょっとなぁと思います。魚舟と海上民は同じゲノムを持ってないといけないことになるような気がするんだけどなぁ。まあ、そこはなんだかオーバーテクノロジーだと思って目を瞑れってことっすかね。
0投稿日: 2013.01.26
powered by ブクログ陸地の大部分が水没してしまった世界で生き残る人間たちの悪戦苦闘ぶりが描かれています。 「魚舟・獣舟」と同じ世界観で描かれていますが、今となっては発売のタイミングが良かったなあと思ってしまいます。地震の後だとちょっと難しかった気もしますし。 この上巻は状況説明、背景説明のような感じなので、イマイチ盛り上がりに欠けるのですが、更なる地球環境の激変で存亡の危機に立たされた人類がそれをどう切り抜けていくか、下巻に期待が高まります。
0投稿日: 2013.01.25
powered by ブクログ細かな設定に矛盾が目立って、集中できなかった。 意欲は感じるけど、もう一歩、科学的な設定を煮詰めて欲しかったところ。 世界観は良かった。
0投稿日: 2013.01.24
powered by ブクログロマンティシズム全開のSF。 何故上巻は青で下巻が赤なのか、読んで納得。 人を人たらしめるのは何か、考えさせられる一冊でした。
0投稿日: 2012.12.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2012 12/5読了。有隣堂で購入。 以前、@sakstyleがブログにレビューを書いているのを見て興味を持っていたのだけれど、いつか文庫化するだろうと思って待っていた本。 ついに文庫化したので上下巻あわせて買ってきた。 地球内部の変動の影響で海水面が現在よりも250m上がった未来世界、人々はわずかな陸地と海上都市を拠点に暮らす陸上民と、海上生活にあわせて遺伝子を改造した海上民に別れて暮らしている。 海上民との間の外交の仕事をしている青澄、海上民の有力なオサの一人ツキソメたちを主な主人公に、上巻は専ら海上民と陸上の間の外交関係の話と舞台説明が続く。 上巻後半で世界が間もなく更なる地殻変動で今よりも人類にとって危機的状況に陥りかねないことが明かされ、人類の生き残りをかけた更なる身体改造、という話が出てくる・・・。 上巻はグッと引き寄せられる感じで読んだ。 特に職業柄、科学者関連のエピソード部分はかなりグイグイと。 下巻は今読んでいる。
0投稿日: 2012.12.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
環境激変に追い詰められた人類世界は、突然変異した自然生命体、殺戮知性体、アシスタント知性体、生体操作された人類、そのさらに突然変異体が入り乱れて跋扈する世界と成り果てた。 さらに予見される第2の環境激変に向けて、人は人の姿を捨ててまで人類たりえるのか?というのが世界背景として進行する上での人間ドラマ。熱い。
0投稿日: 2012.12.06
powered by ブクログ今後もしかしたら起こりうる未来、を描いた作品として、伊藤計劃氏の『ハーモニー』を初めて読んだ時のような感覚を覚えた。こちらは世界の陸地が大方海に沈んだ後の世界。 限りある陸地に留まる陸上民と、人類を少しでも多くでも生きながらえさせるために遺伝子改造を施された海上民。どちらの生き方も理解出来る部分がある故に、お互いを食い合わずに生きる道はないのかと思う。それを読者に代わって探るのが青澄であり、タイフォンなのだろう。 ツキソメの出自が徐々に明らかになり、陸と海の争いよりももっと大きな問題が発覚したところで、下巻に続く。 何を基準に“人”とすべきなのだろう、と考える。
0投稿日: 2012.12.02
powered by ブクログ第32回日本SF大賞受賞作 海底隆起で多くの陸地が水没した25世紀の地球に、さらなる絶望的な環境激変が襲いかかる。 そのとき人間は何を考え、どんな行動をするのか。 最新の地球科学理論をベースに、人類の危機に立ち向かう人々を描いている。 感想は下巻で
0投稿日: 2012.12.02
powered by ブクログ多くの陸地が水没した25世紀の世界を舞台とした海洋SF 上田さんの作品を読んでまず思うのは、SFの世界観への引き込み方の巧さです。 プロローグから第1章までの数十ページで、現代に近い世界がどのような歴史をたどって25世紀の陸地の水没した世界に変わっていくかまでが、きっちりと書き込まれています。なので話の本編が始まるころには、アシスタント知性体とともに過ごす陸上民の人々や危険と隣り合わせの生活を続ける海上民たちとその独特の文化の存在を無理なく受け入れられる下地が自分の中で作られている感じがします。 登場人物たちも魅力あふれる人たちばかり。みんなそれぞれの信念を持ち、厳しい状況や現実に追い込まれつつも行動している様子が胸を打ちます。 外交官の青澄大使の現状と政治的プレッシャーを読み取りつつ交渉を進めていく様子もとてもリアル。一見荒唐無稽に見える世界も細部の設定やその中での登場人物たちの行動がリアルなので疑問を持つこともなく世界観に引き込まれたまま読んでしまいました。 個人的には同じ世界観を舞台にした短編『獣船・魚船』を読んでから、この話を読むのがベストだと思います。 下巻も非常に楽しみ! 第32回日本SF大賞
3投稿日: 2012.11.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「陸地の大半が水没した25世紀、人工都市に住む陸上民の国家連合と遺伝子改変で海に適応した海上民との確執の最中、この星は再度人類に過酷な試練を与える。黙示録的海洋SF巨篇!」 最近の政治情勢やIPSなど今読んでも時勢に微妙にリンクしてて面白い。 交渉物としても色々な思惑が錯綜してて非常に緊張感があります。 確固たる矜持をもって交渉に挑む主人公が魅力的です。 SFあまり読まないんですが楽しめました。 ※※※ネタバレ雑記 途中までは「そこそこおもしろいSF小説」って感じだったんですが 後半は盛り上がる。最後のセリフは色々考えさせられました。
0投稿日: 2012.11.17
