ココすけのままりんさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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塩の街
有川浩 / 角川文庫
読んだあとすぐに・・・
29
読んだ後すぐにもう一度読みたい、そして読んだのがこの作品です。一気に読んでしまったので、読み落としてしまった自分の感情がもったいなくて、拾おうとしたからです。この世界ではありえないことでも、なぜかスっ…と心に落ち着いてしまうのです。こんな事が現実に起こったら私ならどうするのか。読んでから3ヶ月は経っていますが、考える楽しみがまだ残っています。追伸 「How Can I Love」という曲がありますが、読みながらこの曲が流れていると、情景が浮かんで来てまるで映画を観ているようです。
続きを読む投稿日:2013.09.30
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火花
又吉直樹 / 文春文庫
笑う面白さではなく、突き詰めていく面白さがある。
19
幼い頃より今までお笑い漬けの関西にいて、ピースの漫才やバラエティーも見てきました。
もちろん芥川賞候補というのも手伝って読もうと思いました。
それはさて置き、最初の1ページ目位の情景描写のなんと繊細か…つパンチのあること。思わず一旦閉じました。
こんな感じで来るとは思っていなかったので、深呼吸しながら太い根性に入れ替えました。
その後ずっとそれが正解でした。
漫才とは何か?自分の思うその本質とは?狂気とも思えてくる2人のぶつけ合いは続くのですが、
入口が広く(読み始め)息苦しさに出口が狭い感じ。でも最後の1ページでストンと胸に落ちてくれました。
関西弁なので、たとえキツイ言葉でも暖かさが伝わってくる表現で、心に残る作品でした。
P.S. 誰がこんな事考えんねんという程の『蠅川柳』めっちゃツボに入りました。 続きを読む投稿日:2015.06.29
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神去なあなあ夜話
三浦しをん / 読楽
神様に見守られている暮らし
13
神去の村人さんたちは、みんなイケイケで気持ちいい!神様に見守られているからかな?
私の生まれ育ったところは三重の北西、神去村の北に位置する盆地です。
知っている地名が出てくるだけで、テンション上がりま…す。
小さな頃(半世紀ほど前)父親にくっついて近くの山へ行きました。下刈りや枝打ちをする為です。
また切った木は、牛さんに波打った山道を引っ張ってもらって里まで出していました。
あ~なつかしい!お蔭さまでこの本を読んで記憶がよみがえりました。
勇気君の、祭事や慣習に否応もなく引きずり込まれても、その度に一歩一歩神去村に溶け込んでいく姿、
成長して行く姿がとてもおだやかで心地よかったです。
日常・夜話とも絶対読んでください。 続きを読む投稿日:2014.05.25
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忍びの国
和田竜 / 新潮文庫
無門の破天荒さが、暗い陰湿さを気持ちよくバッサリ切り捨ててくれます。
12
映画『忍びの国』製作決定。大野くん主演と知り、早速読んだ次第です。
しかし、毎日正面 目線の先に、伊賀上野城を見ながら生まれ育った私には、非常に複雑な想いを、最後まで持ち続ける事となりました。
浮かれ…気分の忍者の子孫なんて、冗談ゆうてる場合じゃない!ショッキングな、易々と覆されていく忍者像が、圧倒的な迫力で描かれています。
戦乱の時代、記録に残る歴史の中に編み込まれた、無門とお国そして鉄の姿は、唯一ほほえましく、このまま続いてくれたらと・・・。
日置大膳いうところの『虎狼の族は天下に散ったのだ』この言葉ある意味、伊賀忍者そのもののアイデンティティーが薄まって、真っ当な人間に変わっていくことなのかなあ と勝手に解釈しました。
伊賀にとって『天正伊賀の乱』と『第二次伊賀攻め』は、現世の私たちが平穏に暮らせる為の、ターニングポイントだった様な気がします。
そして無門もきっと・・・。
続きを読む投稿日:2016.06.04
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烏に単は似合わない
阿部智里 / 文春文庫
若宮と幼なじみの、心の通ったやり取りが、これからもずっと続いてくれますように。
12
世間知らずの愛らしい無邪気な姫さまが、若君に淡い恋心を抱いていくというお話。
八咫烏の独特な世界観とスケールは見事で、華やかさも格別です。
そんな姫さまを応援していましたのに。
それがなんという事でし…ょう!キツネさんにつままれた様な、という具合でして。
いや待て待てそうではなかろうと思いつつも、やっぱりキツネさんに化かされていた、ような。
烏さんなのに、ではありますが。えっ?という展開が・・・。
ほんの二つほど、読んで教えて頂きたいことがあります。
①東家筋の姫君が、同じく東家の側室になるのでしょうか?
②伽乱が、次へそして次へ贈られて行く為の意思(理由)が謎として置かれてありますが、
どうなのでしょう。その辺が少し消化不良として残っています。母娘をもっと理解する上で。
後のシリーズ ゆめゆめご油断召さるるな と言われているような。 続きを読む投稿日:2016.09.13
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夜行
森見登美彦 / 小学館
ラストの世界感を、是非味わって欲しいものです。
12
何を目印にして進んで行けば良いのか、何とか出口にたどり着きたいのに、先が見えないどころか、今いるところがわからない!はてさて、これは現実なのか?いやこっちの流れが本当なのか?どうやら術中にはまってしま…ったらしい。
宇宙飛行士の『地球は青かった』これこそが、衝撃のその闇の暗さの証明!
そして、この世界の始まりは、彼女を振り向かせた時から?
読んでいて、軸になる自分の立ち位置がわからない。中途半端な、いや、どちらへでも行ける浮遊感が面しろい。 続きを読む投稿日:2017.04.05