Wakaki Yunaさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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終末のフール
伊坂幸太郎 / 集英社文庫
世界滅亡の閑話休題
5
世界が滅亡することが決まってから滅亡するまでの一部分を切り出した話
通常SFであれば滅亡すると決まってからの混乱期や最期に滅亡に対して足掻く作品が多い
日本の一地域を取り上げいくつかの世帯をピックア…ップし生活の変化を語るが舞台が同じため各短編が関連している
安定期に至ってからの話のため世界が滅亡するとは思えないほど落ち着いた雰囲気で話は進み明確な結論は描かれない
それでも世間に多くある世界滅亡を取り扱う作品の裏で本作に描かれたような日常が送られていると思うと興味深い 続きを読む投稿日:2013.10.07
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幼年期の終り
アーサー・C・クラーク, 福島正実 / ハヤカワ文庫SF
人類進化SF
5
人類が次の段階に進む話
理不尽な設定変更から管理社会が始まりその中で人類が目的を模索する(させられる?)
現状の様々な問題が一挙に解決したと仮定した場合その中で何を目指すのかを考えるSF
謎を散りばめ…段階的に丁寧な説明をしていくため非常に読み易い
後の作品に多大な影響を与えた傑作であることは間違いない
それにしてもこの時代の作品はディストピアをテーマにしたものが多い
社会の状況を反映していると思えば興味深い 続きを読む投稿日:2013.11.23
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妖精作戦
笹本祐一 / 創元SF文庫
元祖ライトノベル
3
高校生たちが工作員さながらの活躍をしながら国際的秘密機関と渡り合う話
忍者の末裔、メカニック、情報屋、探偵、未だ特技のない主人公
何はともあれ一生懸命なキャラクターが魅力的で読んでて気持ち良い
まだ…1巻のためかSF方面の話は殆ど進んでいないため今後に期待
それにしても約30年前に書かれたとは思えないほど今のライトノベルに設定と文体が近い 続きを読む投稿日:2013.10.08
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乾山晩愁
葉室麟 / 角川文庫
絵師の生き様
3
歴史上に登場する絵師にまつわる短篇集
時代小説で扱うには地味な話題のように思うがただ絵を描くだけが絵師ではないことを思い知らされる
歴史とは異なり文書が残っていないにもかかわらず現存する絵から想像する…ことができるということは素晴らしい
生きた結果を形として残すことができる絵師の強さを感じる
氏の描く時代小説においてはいずれの登場人物も生き様が爽やかで読んでいて気持ちが良い
苦悩し自らの道を選ぶまでの過程を読むことで武士の気骨に触れることができるように感じる 続きを読む投稿日:2013.11.04
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ふわふわの泉
野尻抱介 / ハヤカワ文庫JA
新素材開発と社会の変動
3
学生が新素材を開発し社会を順調に変えていく話
科学者が夢にまで見るようなサクセスストーリー
一つのきっかけを元にひらめきから社会が変わっていく
本来のSFであれば考慮されることが良いとされる軋轢や国際…的な問題が論じられていないが
だからこそ純粋に技術の革新をSFとして楽しむことができる
展開はやや強引だがSFを楽しむ上ではライトであることが利点になるように思う
学生や若い世代が科学者に夢を持つためには良い作品だと感じる
ちなみに終盤の理不尽な展開はどこかの名作SFのオマージュっぽいが理不尽さも含めて科学ということだろうか 続きを読む投稿日:2013.11.23
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夏への扉
ロバート・A・ハインライン, 福島正実 / ハヤカワ文庫SF
古くて新しい
2
技術者がコールドスリープで未来に行って色々と苦労する話
50年以上前に描かれた本のため当時想像していた未来は既に通り越している
それでも作中の未来が"未来"だと感じられる点は不思議でならない
名作S…Fだがどちらかと言うと恋愛小説としての側面が強く読み易い
技術者としては猫を大事にすることと未来に行っても向上心を失わないことが重要 続きを読む投稿日:2013.10.07