
総合評価
(625件)| 154 | ||
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powered by ブクログ道徳観念も何もなく、同調出来るところが1ミリも見つからず・・・余りに気持ち悪い話で読み進められない。
3投稿日: 2025.11.07
powered by ブクログ赤朽葉家の伝説がおもしろかったのでこちらも読んでみましたが、終始感じる嫌悪感。 この親娘のことが全く理解できませんでした。 それ以来この作家さんの作品には手がのびません…
1投稿日: 2025.10.26
powered by ブクログ倫理観という軸で語れば最悪の物語のはずなのに引き込まれる圧倒的な文章だった。それぞれの視点で描かれ、さらに時系列を遡って行くだけのそれが魅力的なでしかない。すごい。
3投稿日: 2025.10.22
powered by ブクログ親愛と性愛の重なり合い、言語化されるのが躊躇われるような情緒を、これ程に巧みに表現できるのは凄い。 しっかりと気持ち悪いが、花の気持ちに理解できる部分が多いのも、また歯痒くて悲しくて苦しい。 時を経ていくにつれ、純真でただ愛しかった互いの存在が、共依存のような退廃した関係性になっていくのがキツくてたまらない。 「生きている意味とは」を、ふっと考えさせられる作品。当たり前に生きることは、こうにも難しいのか。 桜庭一樹さんは、心理描写、情景描写ともに文章があまりにも上手すぎる。冒頭フィジーのエメラルドの海が、読み進めるほどに「中身のないバカみたいな美しさ」の対比を効かせてくる。 ああ、ふたりが出会った時から、誰も知り合いのいない場所で、静かにふたりきりで暮らせていたらよかったのにと思う。同時に、子どもが永遠に自分の元にいることなんて有り得ないと、覚悟して育てる勇気がいることもね。 家族って、血って、呪いだ。 だが間違いなく、他に変えようのない愛しい感情を教えてくれるのも、家族であり血であるとも思う。
3投稿日: 2025.10.19
powered by ブクログ直木賞受賞作 『私の男は、ぬすんだ傘をゆっくりと広げながら、こちらに歩いてきた。‥‥傘盗人なのに、落ちぶれ貴族のようにどこか優雅だった』 40才になる腐野淳悟 結婚直前の養女、花 この2人には何かある そう思わせる冒頭の文章 もうここから引き込まれていく 凄い話なのになんだか 美しささえ感じてしまう 以前「赤朽葉家の伝説」を読んで すっかり好きになってしまった 桜庭一樹さん でもこの小説はまた違った 魅力がある 最後まで謎があって 想像が止まらないのも良い 今後の2人がどうなるのかも 謎! 腐野 (くさりの)なんて名前も ふざけてるし‥ 『おまえが、濡れるといけないと思って。花』 このセリフにもう心は 持ってかれてます
79投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ2人の傍から見ると歪な関係にゾワッとしたり、花にイラッとしたり最後にもモヤッとが残る話でした。 淳悟と花それぞれが埋まらなかった家族の愛をお互いに埋めていく感じがした。 花は幼いながら変わった形の愛を受け取ったことで、少し世間からズレていっている。。 大人になって結婚した相手ができた時はびっくりしたし、父としてのケジメを淳悟がもったことにも驚いた。 大塩さんや田岡さんをしなせてでも守る秘密と絆が重くて苦しい。 きっとこの先も見えない深い繋がりが続いていきそう。
2投稿日: 2025.10.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
個人的なフェチに刺さりまくり大好き…………………… 理想とされる倫理感や正義感に責め立てられる苦しさ 正しさに見放された時寄り添ってくれる危うさの温かみ 1人で立つことができた時、自分を助けてくれてた不健全なものから巣立つ強さ フェチすぎて最高だった…………良い悪いとかじゃなくとにかく本当にフェチ………
1投稿日: 2025.08.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
気持ちが悪い話だった。父と娘の共依存、殺人、北国、肉欲、潮の匂い。汗と欲望でむせ返る湿った敷布団の匂いが小説を読み終わった今でも何処かから漂ってくるみたいだ。淳悟は父であり、花は娘で、そして母なんだ。私はこの話を「近親相姦」だとか「タブー」といった薄っぺらい言葉で表現したくない。心理学的視点で言えば淳悟が幼い花から心を、血を身体を奪ったというのが正しいんだろうけど、多分2人は元から痩せ細った枯れ木だったのだと思う。作中にもあったように「2人とも乾いて痩せている」のだ。絡み合って、奪って、補っていかないと歩けない。そこには血があって、欠陥があって、2人があるのだ。説明はそれだけで十分な気がする。 花の結婚を機に2人の罪と共に淳悟は消える。そこでああ、淳悟は紛れもなく花の父なのだと思った。淳悟が北の海に帰ったのか、それとも何処かで1人煙草をふかしているのか、その後は一切書かれていない。しかし花の命が終わる時、病室のベッドの上で思い返すのは、あの落ちぶれた貴族のような、どこか気品があってだらしない、花が愛した男の顔と湿った雨の香りなのだろう。
3投稿日: 2025.08.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2日で読み終え、そのあと二回読み返しました。 1回目はそのまま読み、2回目はもう一度初めから読み返し、3回目は最終章から前の章へ、時系列を逆にして、、、。それくらい衝撃的な話でした。自傷をするような感覚で読み返しました。 (以下自分語りになってしまいますが、、) 私も父子家庭、不完全なDV家庭で育ち(性的虐待はなかったが)歪んだ愛というものを痛いほど思い出しました。 日常的に手をあげていながら、機嫌のいい時には「お前は俺の嫁だよ」「お前のことは命に変えても守るからな」と言う父でした。覚醒剤依存で何度も捕まり、睡眠薬のオーバードーズで自殺未遂をするなど、不安定で依存しやすい性質の父を思い出し、なんとも言えない気持ちになりました。7年前に首を吊り、失敗して植物人間になり、5年前に息を引き取りました。 父と過ごした時間は辛く、苦しい時間でした。 しかし良いところもあり、誰よりもまっすぐでストレートに愛情表現をする人でした。愛情を感じていました。私は花のように、父親を最低で、最高だと思っていました。不安定で、不器用で、寂しがりやの父との記憶は、辛いのであまり思い出さないようにしていましたが、この作品を読んで思い出しました。 淳悟と花の間にも、歪んでいながらも確かにそこに互いへの愛情はあったのだと感じ切なくなりました。 花は、竹中の家では居場所がないことを子供ながら感じていて、一方淳悟は、父を失い、母が父の役割も担った時に、母を失った。2人とも家族に飢え、擁護者からの愛に飢えていた。互いが互いの傷を、寂しさを癒すような関係で、うまくピースがはまったのではないかと。 作品の感想を調べると皆さん賛否両論で、なんなら気持ち悪いという意見の方が多く見受けられましたが、私には2人の関係がとても美しく見えました。一章を除いて、終始物寂しく、仄暗い作品。2人の絆は血というとても深いところで繋がっているものの、儚く、今にも壊れてしまいそうな脆さも感じました。分身のような、鏡のような、一蓮托生のような関係が、花の結婚で壊れてしまうのは健全なはずなのに、なんだが残念に思ってしまいました。 こんなに思える、一心同体のような相手に出会うことってなかなかない。会えない人の方が多いであろうに、、と、、。 2人の生い立ち故の愛への渇望、共依存があってこそなのは分かっていますが、どうしても2人は歪んでいながらも本当に美しく、私は羨ましく感じてしまいました。 私は、淳悟を最初に癒したのは、竹中家の花の母親だと思っています。淳悟は竹中家で暮らしていたあの地域に関して「飽きた」という表現をしていましたが、地域ではなく、花の母親に母性は感じつつも、血縁でないから気持ちが冷めたのではないかと、、。 花を引き取る前までは、淳悟は明るかった。 きっと自分の傷から目を逸らし、周りの友人や多くの女たちと時間を共にしていたのではないかと思いました。 花を引き取り、血の人形と感じるほどの血縁というある種呪いのような繋がりを目の当たりにして、閉じ込めていた暗い感情が溢れることを止められなくなってしまったのではないかと思いました。(花の前だけで) 花は花で、今までになかった家族に必要とされること、その安心感を知り、共依存の沼に2人は沈んでいってしまったのではないかと、、、。 余韻を残すのも小説の良いところだと知っていながらも、一章の後、淳悟は死んだのか、花とは会えるのかどうかが気になりました。 柴田淳さんの曲を聴きながら読んでいました。 「愛をする人」がまるで小町さんの心をそのまま歌っているようで、切ない。 「雪の音」は淳悟視点かなぁ、と、、、 もし良かったら聞いてみてほしいです、 冬のオホーツク海、2人が暮らしていたあの街がよく合う曲です、
4投稿日: 2025.07.13
powered by ブクログ父親と娘の歪んだ愛♡血の繋がりが引き付け合うものがあるのかなぁ〜???共依存な関係であまりよいとは言えないけど、似た境遇で、お互いを慰め合って生きていたのね。結婚したあとが気になる…
7投稿日: 2025.06.27
powered by ブクログ至高のロリコンを期待して読んだらマザコンでびっくり。ちょっとしょんぼり。 でも作中一貫して花が淳悟を「私の男」と呼び続けてるのよかった。
0投稿日: 2025.06.06
powered by ブクログ最っ高に気持ち悪いけど、創作だからこそできることなので私は大好きな小説。不穏、夏の湿度、冬の海の冷たさが文から伝わってくる。ひらがなが甘ったるさと嫌な湿度を助長してて日本語の妙を感じる。現代(結末)から過去(初まり)に遡るので、幼少期のはなが語り手である最終章は最後はああなっちゃうのにね...と泣きながら読んだ思い出。
3投稿日: 2025.06.04
powered by ブクログ現代から過去に遡っていくので、登場人物が持っている想い、それに至る背景などを考えながら読めるので、面白かった。ただ、内容がセンシティブで、すべてが明らかにされるわけではなく、その先は各自の想像によるので、スッキリしない人もいるかと思う。
6投稿日: 2025.06.02
powered by ブクログ直木賞受賞作。淳悟は花の養父。津波で孤児になった9歳の花を25歳だった淳悟が引き取り親子となった。花の結婚式から物語は遡る。愛に植えた二人の関係が切ない。長身で細身で目の下にしわがある煙草を吸う淳悟がある人のイメージでよけい感情移入してしまった。
0投稿日: 2025.05.17
powered by ブクログとても長い月日をかけて少しずつ読み続けた本。 章が変わるごとに年代が変わり その前の伏線を回収して ああそういう事か!と理解していく。 最後は一気に読み上げたが 1章での大人になって嫁ぐ娘と父親の 切ない愛情を最後になってより感じ切なく心配になった。 いろいろともっと掘り下げたい事がたくさん残った 初めて読む感じの感情を覚えた内容だった。
2投稿日: 2025.05.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
良い意味で気持ち悪い小説。淳吾やばすぎと思いながらページを捲っていくと花の不気味さがどんどん浮かび上がってくる。2人とも気持ち悪すぎる。続きが気になる。 伏線の回収の仕方が上手い。どんどん読みいってしまった。
0投稿日: 2025.05.10
powered by ブクログどんどん物語に引き込まれて、すぐ読み終えてしまった。決して共感はできない、2人にしか理解出来ない関係性。お互いがお互いを必要としすぎるあまり、犠牲も大きい。 好きな作品だけど人には勧められない、、、
0投稿日: 2025.05.09
powered by ブクログもっと嫌悪感あるかと思って長年敬遠してたけど、読み始めたら文章が上手いので大丈夫だった。さらさら読める。とにかく構成が上手いなぁ~1つの恋(恋ではないが他の言い方もわからない)が閉じるところから物語が始まって、関わった人々の視点を交えながら2人の出会いに時間が巻き戻っていく。養父と娘という後ろ暗い関係性がフックになってこっちが飽きることもない。直木賞受賞作なんだね、納得だ。 ●あらすじ 落ちぶれた貴族のように、惨めでどこか優雅な男・淳悟は、腐野花の養父。孤児となった10歳の花を、若い淳悟が引き取り、親子となった。そして、物語は、アルバムを逆から捲るように、花の結婚から2人の過去へと遡る。内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が超えた禁忌を圧倒的な筆力で描く。 (Amazon商品ページより引用)
0投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログ10年ほど前に読んだ小説だがいまだに内容を覚えており、かなり引き込まれた作品だった。 好き嫌いが分かれると思うが、個人的には気味の悪さも含めて好きな部類。
0投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログもう最初から不穏な空気しか流れていない。 今まで読んだ中でも気持ち悪さと共感出来なさはNo.1でした。 いやぁ、しばらく引きずりそう… 話中に出てきた「善悪の彼岸」という言葉が印象的だったなぁ。
0投稿日: 2025.04.10
powered by ブクログこの本のような親子の関係がフィクションでも、どうしても許容できない人は読まない方が良い。 私もそう言った内容が決して好きではないし、読んでいて嫌悪感が芽生えそうな場面はすごく多いのだが、桜庭一樹さんの小説だと私は全くそういうことを感じなかった。 花と淳悟の関係が、唯一無二の悲しいけれど美しい愛の形であるとさえも思えたし、好きな小説、好きな作者さんだと思った。 花の結婚から始まり淳悟との出会いで終わる、過去を遡る構成にもすごく引き込まれた。
5投稿日: 2025.03.30
powered by ブクログ状況に嫌悪感はあるけれど、惹き込まれる。過去に戻っていく書き方から、最後はふわっと終わってしまった。
0投稿日: 2025.03.25
powered by ブクログ孤児となった少女と引き取って育てた親戚の男の物語 以下、公式のあらすじ ---------------------- 落ちぶれた貴族のように、惨めでどこか優雅な男・淳悟は、腐野花の養父。孤児となった10歳の花を、若い淳悟が引き取り、親子となった。そして、物語は、アルバムを逆から捲るように、花の結婚から2人の過去へと遡る。内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が超えた禁忌を圧倒的な筆力で描く。 ---------------------- 冒頭、二人の関係性と結婚のエピソードから入るので 「そして、バトンは渡された」みたいなものかな?と少しでも思った自分を殴ってやりたい お前が読んでいるのは桜庭一樹だぞ…… 第一章で既に二人の関係性の怪しさを感じる そして過去に人を殺した事があるという仄めかし 二章でその疑惑が益々黒くなり 三章ではほぼ確信に変わる それでも最後には救いがあるかもと希望を持って読み進めていたが、結局読者としての絶望しかなかった やはり、桜庭一樹、恐るべし 赤朽葉家の伝説を読んで油断していた…… 禁忌の種類としては近親相姦とかインセスト・タブーと呼ばれるものが主なのだろうけど この場合はさらにグルーミングだし、ロリコンでもあるし、母性を重ね合わせているというマザコンでもあるので相当やべぇ 花の方も満更でもなさそうなあたり、共依存の関係性でヤバさが何倍にもなってる そりゃぁ小町さんもドン引きでしょうねぇ 大塩のおじさんはいつからどこまで知ってたんだろ? 淳悟を花の両親の下から戻したのも、察したからだよな? それでいて震災の後に淳悟が花を引き取る事を許容するのは流石に…… 終始気持ち悪さを感じる小説だったなぁ タブーを敢えて描くというのが文学なのはわかるが これに賞を与えて万人に広く知らしめるというのはなぁ…… しかも直木賞であり、本屋大賞のノミネート作でしょ 表現や描写は文学として評価する 冒頭の「私の男は、ぬすんだ傘をゆっくりと広げながら、こちらに歩いてきた」という書き出しから既にそのセンスが抜群なのはわかる わかるんだけど、やはり私は内容がまったく理解できないし嫌悪感しか残らなかったな…… 直木賞の選考委員とか、これに票を投じた書店員はどう考えてたんだろうな? 選考委員の中で林真理子は批判している 「私には“わたし”と“私の男”が、禁断の快楽をわかち合う神話のような二人、とはどうしても思えず、ただの薄汚ない結婚詐欺の父娘にしか思えない。」 この論評に私は完全に同意 物語の中でも、整合性の取れていない部分や、細部のリアリティのなさを感じる設定が所々にあるし まったく、世間で評価される作品と自分の感性のズレを感じる作品だった
2投稿日: 2025.03.12
powered by ブクログうーん…、嫌悪感が半端ない。最初からこの展開は示唆されていたので、ちょっとどうかなぁ、と思っていたのが、そのままの感情で終わってしまいました。 話の展開や、登場人物の複雑な心情などによって、彼らに寄り添える心持になるのではないかと思ったのですが、まったくそんな風にはなりませんでした。ただただ気持ち悪かったです。 そういう気持ち悪い小説を書いてやろうという意図であれば、それは成功でしょうけれど、おそらくは違いますよね…
1投稿日: 2025.03.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
お互いがお互いを求め合っていて、淳悟も花も寂しい2人だなと思った。 花の人に影響を受けやすいところとか遅刻しやすいところとか淳悟の育て方がよくなかったんじゃないかと思うけど、多分違くて淳悟の影響を受けたところはあるだろうけど、花の影響を淳悟が受けたところもあるだろうなって思って、花の元々の本質なんだろうなと思う。 淳悟はいったいどこにいったんだろう。花はなぜ結婚したんだろう。いつまでも2人でいてほしかったけど、2人がずっと一緒にいたら死んでしまったろうなとも思う。
3投稿日: 2025.03.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
作者の方も作品も全然知らなくて前情報なしで、友達に面白かったからと貸してもらって読んだ 個人的にすごく好きだった どんどん過去に遡っていくのも面白かったし、殺人事件に重きを置いていない所も面白い 変わった親子関係でも、ゆっくりと生活が進んでいく様子がとても心地いい
1投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログ最大の愛を解くと、共犯である。というところに落ち着くような作品だった。 世間一般的な安心、安全、快適、健全というような生活が彼らにとって不健康で、退廃的な健康な生活を送っている様が美しかった。
1投稿日: 2025.02.19
powered by ブクログ仄暗く重たい中での純愛。お互いがどうしようもなくお互いを求める。寂しい二人が縋るように愛し合う。気持ち悪さと、でもどこかそんな存在といられる二人がとても美しくも思える。不思議。不思議。 花が大塩の親父さんを流氷に突き落とすところ、何故かとても好きだった。こんな死に際を想像したのは初めてだった。しかも、親父さんは自分の命よりも花への忠告を叫び続ける。どんな気持ちでシャッターを切ったのか。 特に、花が雪の中淳悟を待った後のシーンが好き。とろとろになっていく花の欲情が、すごく美しい描かれ方をしていると感じてしまった。
1投稿日: 2025.02.11
powered by ブクログ桜庭一樹さん、ずっと読みたくて、ようやくこの作品で触れることができた。これが文章力、筆力というものかと圧倒された。何度も涙がこぼれた。素晴らしい作品。読む前はずっと男性だと勝手に思い込んでいたのだが、読んでてまさかこれを男性が書いてる?女性では、と思ってしまうような書き口が多々あり…。流石に女の方だったので納得。 養父の淳悟と震災孤児である花の倒錯的で必然的ともいえる性愛の軌跡を、遡るように辿っていく物語。描写力、造形力もさることながら、その緻密に計算された全体の構成と随所に散りばめられたピースにあっぱれとしか言いようがない。ぐんぐん引き込まれて、もっと続きが読みたいのに、でも何度も何度も最初に戻って読み返したくなった。結婚と別離、それも花が望んで淳悟の元から逃げるという未来が分かっているから、二人が分かり合うシーン、愛し合うシーン、すべてが本当に苦しい。登場人物のうち誰とも全く共通点がないのに、こんなにも感情移入ができるのは何故なのだろうか。 解説にて知ったことだが、どうやら著者は本作に至るまでにだいぶ作風の変化があったようなので、他の作品も読んでみようと思う。ひとまず気になっているのは『少女には向かない職業』。
0投稿日: 2025.01.21
powered by ブクログ読み切るのに、ほんとうに時間が掛かった。 文章が読みにくいとかそういう事ではない、 全編に漂う不穏な空気がそうさせる。 まるで土砂にまみれた重たい汚れた身体を 引きずるような気持ちで読んだ。 現在から過去に遡り、語り手を様々な人物に替えながら進んでいく。 何気無い一言にゾッとしながら また気持ち悪さも感じながら 冬の、鬱々とした情景にひやりとする。 最後の章では花とおとうさんの始まりが描かれていて、その先にある出来事を事前に知ってしまっているが為に、胸がいっぱいになった。 現在から過去へと読ませる意図は こういうところにあるのだろうか。 最後まで読んで、冒頭の章に戻る。 意味や深さが変わっていく。 そこに、希望は無い。
2投稿日: 2024.11.13
powered by ブクログ災害孤児の花が結婚し、養父惇悟と離れて暮らすようになる時代からアルバムを捲るように過去へ遡る。惇悟と花の関係が徐々に分かってくるが、映像にするならR指定だなと思いながら読んだ。 倒錯した2人の世界だが惇悟が花を引き取り、花が結婚するまでの期間だけは幸せだったのかもしれないが作者の表現はつねに冷え冷えしていて、冷たい空気まで伝わってくる筆力に驚く。
2投稿日: 2024.11.10
powered by ブクログ始まりは変なファザコンの娘と父親の話かと思っていたら、章が進む度に二人の過去、そして核心に進んでいき どんどんと引き込まれていく 決して楽しい話ではないのに、それがわかっているのに気になって読み進めてしまう そして最終章で語られる奥尻島の地震から現在につながる秘密が露わになる どんどん話が進めば進む程、嫌な結末ではなくて真実が判っていくのが辛い 淳吾が本当の父親ってどういうことなんだろう なぜ花は淳吾が預けられていた竹中家で育てられていたんだろうか よくない事があった事が匂わされているが、確実なことはわからないまま物語は終わってしまうが、それもまたいいのかと思いました 読む人を選ぶ物語なんでしょうね
1投稿日: 2024.11.06
powered by ブクログ出張中の飛行機で読了。 過去に遡りながら、父と子の愛、絆を掘り下げられていくため、嫌悪感を感じつつも気になって止まらなくなる。色々な愛の形があるとは思うが。。。
2投稿日: 2024.11.05
powered by ブクログ九歳で震災孤児となった少女・花を引き取ったのは、親戚の男・淳悟。仕事は安定、恋人がいて、女遊びもして、まだ二十五歳だった独身の彼は、幼い花を可愛がり、そばに置いて育てる。ひとときも離れまいと一緒に暮らした二人はやがて、親子の関係を逸脱した禁忌を犯す――。 巻末の解説には『何の予備知識もなく、先入観もなく、ただ読み始めるのがよい。』とお勧めされていますが、すでに映画化された作品を鑑賞したあとの読書体験でした。しかし、先に内容を知っていても新しい発見がいくつもありました。それは、映画は端折っている部分があるから、という理由だけでなく、構成の魅力にあります。 それこそ何の予備知識もなく観た映画にはずいぶん度肝を抜かれ、沼にはまるように作品の世界観に浸りましたが、のちに原作は連作短編集と知り、「あれ、こんな重い話が短編?」と意外に感じたものでした。が、読んでみて納得。まさか、現在から過去に遡る構成になっているとは。 ネタバレしないように話そうとすると薄っぺらい解説になるのが口惜しいのですが……、長年連れ添って『絡みあう二本の木』(絵画、チェインギャング)のようになった倦んだ二人の、そうなるまでのいきさつを、時系列をあえて逆にしてみせることで、このあとの展開を知りながら過去を回顧するかのような気持ちにさせられて、いっそう感情移入させらるし、書かれていない部分を想像させられます。深い。 ちなみに映画は時系列順の構成です。一人称(小説)と三人称(映画)の違いなんでしょうか、どちらも良い。 第一章で養父と娘の関係性や過去のあらかたは語られていますが、だからといってただ思い出にひたる物語ではなく、まるで墓地の遺骨を掘り返すように読者の知らない過去が次々と明かされていくのが、さすが、上手いなぁと思いました。 そして、最終章まで読み終えたあと、第一章との淳悟と花の関係性の対比に、想いを馳せずにはいられません。 この深さが読後も気持ちの底に沈殿するような感覚、ものすごく好みです。 個人的には、第三章ラストがいちばん刺さりました。忘れないでね、と花がつぶやくセリフ。忘れないでと言葉にする時点で、すでに忘れようとする未来を含んでいる。この時点から二人の関係性は後退に向かうのかなあ、なんて思いました。 桜庭一樹氏作品は初読みだったのですが、他にも読みたくなりました。
0投稿日: 2024.10.18
powered by ブクログミステリーでは決してないのだが、二人の関係性がいかにして形成されたものなのか、二人の周りにある不可解なモノは何なのか。章が進むにつれ過去へと物語は戻っていくことで、少しずつそれらが解き明かされてゆく。初めは二人の関係性が親子から逸脱したもので不気味に思えてしまったが、読み進めていくとそこまで不気味に感じなくなる。
1投稿日: 2024.10.08
powered by ブクログなんか衝撃だった… タイトルと背表紙のあらすじから養父と娘の恋愛ものなんだろうな〜とは思ってたけど… 最低なんだけど最高、という言葉が作中で出てきてたけど、本当にそういう感じだった。 私は独身だけど、家庭を持ってる人はどういう気持ちで読むんだろう?? 話の構成も現在から過去に遡る形で、序盤の伏線がどんどん回収されていくのが面白かった。 最後の章まで読んだ時は、思わず最初から読み直してしまったよ。 恋愛小説…?ではないのかな…? ただそういうの好きな人は好きな気がするな〜
1投稿日: 2024.10.05
powered by ブクログ目に見えないものを目に見える形に置き換えて表現する手法が最初のほうは目に余ったけど肩の力が抜けたのかだんだん気にならなくなった。 構成がすごく効果的だった。だって読後は第1章の深さが異なってくるんだもん。あと、この構成なのに終盤がだらけてしまわないのもすごかった。
3投稿日: 2024.09.27
powered by ブクログ泥々な日常、人間関係なのに、2人から目が離せない、そんな作品。読後、色々な感情がしばらく消えなかった。
2投稿日: 2024.09.04
powered by ブクログ堕ちていく幸福を描いた直木賞受賞作。 最初から最後までじっっとりとした雰囲気を纏った作品だった。 徐々に、2人だけの「秘密」を遡っていく構成も印象的。描写が繊細で、実際にそこに居るかのように薄暗く湿った空気感や田舎の閉塞感、冬の海の冷たさを感じることができる。 暗くて歪で重たい愛、けれど2人にはこの形しか無かったのだと思う。
2投稿日: 2024.08.14
powered by ブクログ書かれているテーマと震災の描写、あとは文章から漂う匂いの生々しさで、胸が苦しくなったけれど、描かれ方の美しさと先(物語としては過去)が気になり、ついつい最後まで読んでしまった。 花と淳悟の、危うさや歪み、という言葉で片付けられない真っ直ぐさが怖かった。物語全体から漂う耽美な雰囲気に対して不思議な憧憬を感じる自分に、また怖くなった。
2投稿日: 2024.07.14
powered by ブクログ趣味の悪い、気持ち悪い官能小説のようにも読める。しかし、人は愛に飢え、愛によって生きるのだということを再確認させられた。孤独の淵に落とされた二人の登場人物を描くことで、そのテーマが伝わってくるように感じる。父親が感じる、底知れぬ孤独には共感を覚えた。
2投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログ欠けている家庭という言葉を使っているのが言葉が出たところではとても嫌だったが後半の描写を読むと納得、愛を知らない人が愛を求めた結果がこれなのかなと。 個人的には養父が現代で働いていないのが理解できるようなできないような
1投稿日: 2024.06.08
powered by ブクログ昔から何度も読み返してる作品。 いろんな愛があるんだなあと思う。色っぽくて少しドキドキするところも好き。
2投稿日: 2024.05.25
powered by ブクログこれから結婚式を挙げる花と、淳悟という男の関係は、冒頭からなにか異様なものを感じさせます。読んでいくと花と淳悟の過去の出来事を、それぞれ登場人物の視点から追うことができます。 お互いを惹き付ける力と求める力が凄まじすぎて、世でいうところの「愛」から、かなりはみ出た愛し方をしています。でも描写が美しいので、嫌悪感なく、むしろ世界観にうっとりとしてしまいました。好き嫌いは分かれそうですが…私はとても楽しめました。
14投稿日: 2024.05.05
powered by ブクログ文章は読みやすく、スラスラと読み進められました。 現在から過去へ遡っていくにつれ、経緯が分かってくるけど、新たな疑問が生まれました。 共感はできず、感情移入もできず、結局2人の未来はどうなってしまうのだろう??とスッキリしないまま終わってしまいました…
2投稿日: 2024.05.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ひたすら暗い世界でうごめく義父と悲しい少女の話。 肉欲的なもの、精神的つながり…2人のまぐわいはどこか悲しくもあった。 淳悟と花は、男女関係であり義理の親子関係でもあり…一言ではいい表せない。ただ、会う前から不思議な縁はあったのだと思う。
5投稿日: 2024.04.17
powered by ブクログすごかった。何かが違う何かが漂ってるような雰囲気が終始あった気がする。こんな愛の形が存在するのか、そう思わせてくれた小説だった。ずっと暗い雰囲気で私の好きなタイプの本だった。再読1年ぶりにした。1回目では理解できなかった表現が理解でき、またこの素晴らしい作品にどっぷり浸れた。花の感情はたくさん描かれてるのに淳吾の感情の表現は避けられてるっていう説明を最後解説で読んで、それでも、伝わってくるこの違和感、禁忌桜庭先生の力を感じた。何回でも読み返したい。
9投稿日: 2024.03.23
powered by ブクログ直木賞受賞作なので読んでみました。とても面白く桜庭さんの実力の確かさを感じますが、内容的には結構すごい事だと思います。そう、嫌悪感を感じてもおかしくない内容なのに文章の美しさに捕らわれてしまう。いっきに読んでしまいます。
22投稿日: 2024.03.15
powered by ブクログなかなか普段読まないタイプの小説。あんまり主人公に共感できなくて、深くこの世界に没入することはできなかった。 でも静かに謎が解けていく感覚、気持ちがキュッとなるところがあって、次の展開が気になった。なかなか読む手を止められず読み続けたら、1日で読み終わった。没入はできなかったけど、それくらい夢中にさせられた。
3投稿日: 2024.02.25
powered by ブクログ「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」に魅了されて、読みました。 時間を遡りながら、過去が赤裸々に明かされる展開が面白く、花の狂気とも云える愛とその理由に目が逸らせなくなってしまいました。 また淳吾の魅力と愛情表現は、同性の私にとって標になりそうです。
3投稿日: 2024.02.05
powered by ブクログうーん…苦手だな。人の知られたくない、誰にも見せたくない部分を強制的に見せられてるようで居心地の悪さを感じました。
4投稿日: 2024.01.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
映画を見た後、結末をどう解釈したらいいのかわからなかったので小説を読んでみたけど、さらによくわからなくなった。 単行本を読んで思ったのは、過去から現在に進む映画より、現在から過去に遡る小説を何も知らない状態で読んだ方が、物語の衝撃を味わえてよかったんだろうなぁということ。 読後感がスッキリじゃないので、疑問が色々湧いてかなり引きずっている。自分の解釈だけではどうにもできず、色々書評を読み漁ったら、”近親相姦は連鎖する””花の母親=淳悟の母親”というのを見つけて、あぁ確かにその方が、淳悟の花に向ける血、家族、母親への執着に納得がいくなぁと思ったり?でも時系列的にどうなんだ?となったりでやっぱりわからなくて迷宮入り。解決しないので、諦めて次の本を読み始めようと思います。
3投稿日: 2024.01.21
powered by ブクログ先月、同じ作者による「砂糖菓子の弾丸〜」を読んだばかりだからか、桜庭さんは歪んだ親子関係(しかも父親と娘という異性の組み合わせ)に心惹かれるものがあるのかと思った。「砂糖菓子〜」で登場する海野藻屑×海野雅愛の親子と、今回の「私の男」で登場する、腐野花×腐野淳悟の親子。どちらも美形の親子で、人を引き寄せる不思議な魅力がある。一見、思春期の娘を男一人手で頑張って育てている甲斐甲斐しい関係性のように見えるが、実際は目を背けたくなるような日常が広がっている。ふたりの娘はどちらも父親にひどく従順で、「おとうさんが大好き」だから、彼によって齎されるものは全て受容する。そして前者は物理的な暴力で、後者は性暴力でもって娘を支配した。 海野雅愛という「父親」の背景は知る術がないが、後者の腐野淳悟については本作である程度の情報が明かされている。幼い頃に海難事故で父親を亡くし、その精神的な負担で母親の気が狂ってしまったこと。おそらく、淳悟の母親も、思春期の淳悟に対して何らかの虐待行為を働いていたと思われる。 まだ何も知らない九歳の花に、初めて近親相姦行為を強いた日の夜。事後、体液に塗れた花の小さな身体に縋りつき、「おかあさん」と迷子になった幼い子供のように泣きじゃくる淳悟のシーンは不気味ながらも、どこか切なさを覚えた。海野親子も腐野親子も、親が子を、そして子が親を愛するということの何たるかを知らないし、分からない。だからやり場のない感情と共に、親は子供に対してその質は違えど暴力を振るってしまうし、子供側は親から齎されるそれらを許容することが愛情であると思い込んでいる。二十歳になった花の台詞に「血が繋がっている親子なら何をしてもいいのよ」と言うものがあるが、本来は真逆だ。血が繋がっているからこそ、許されないことの方がこの世には多いと思う。 当初、震災孤児となった花を引き取ろうとしていたお爺さんの「欠損家庭で育った人間はまともな家族を知らないだろう。それなのに子育てが出来るのか?」という言葉はとても鋭利な響きを持っていたし、その意図がまだ幼い花には伝わらずとも、淳悟には良く刺さったはずだ。しかし結末まで読むと、やはり悲しいがこれが真実なのだとも思う。花と淳悟が築いた関係は、親子と言い表すにはかなり醜悪な共依存だ。古傷を抱えたふたりが寄り添って生きているように見えて、実はお互いの心に新たな傷を刻みつけている。 成長し、善悪の判断が付くようになった花は結婚を機に淳悟の元を離れるという理性的な選択をした。しかし小町から淳悟の失踪を知らされた際の狼狽ぶりを見ると、この婚姻生活も残念ながら長くは持たない予感がする。そのうち花は淳悟を追って夫の元を去るだろう。そもそも、結婚式になかなか姿を現さない淳悟に対して「このまま淳悟が来ないなら結婚はしない!」と夫や夫の親族に向かって感情的に叫ぶシーンからも分かるが、この二人の呪縛はきっと死ぬまで永遠に解けない。「骨になっても一緒にいる」という言葉通り、花は淳悟と同じ墓に入るのだろう。 直木賞を受賞しているが、父親と幼い娘による生々しい性描写が何度か挟まれたり、また花の過去編では震災や津波が離島を襲う描写等もあり、人によっては読み進めるのが辛い話だと思う。(実際に読むのを諦めたという感想もいくつも見受けられた。)わたしはどうにか読み切ったが、話の内容に救いはないし、若干の胸糞悪さもあるので、万人におすすめできる作品ではない。
4投稿日: 2024.01.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
桜庭一樹さんの作品を熱心に読むきっかけになった本。もう幾度となく読んでいるが、毎回新鮮な気持ち悪さがある。 歪に重なった二人が不気味で、それでいて美しさがある感じ。「チェインギャング」は言い得て妙だと思う。
2投稿日: 2024.01.10
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ドロドロでぐちゃぐちゃな、2人の感情。 読み進めていくと、状況や、何故そうなったのかの理解は出来るけど、この2人の心は理解出来ない。 でもそこが面白い。 生臭くて水の臭いを感じる、気持ち悪さは、血が関連することだったのかな。
1投稿日: 2024.01.07
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上野千鶴子さんの「女ぎらい」を読んで、そこに引用されているジェンダーに関する本をたくさんチェックした中の一つ。もちろん本書は良くない意味で引用されていた。「桜庭一樹」というペンネームでさえも、「女が男装したような名前」と書かれていた(←うろ覚えなのでちがっていたらごめんなさい)。私は桜庭一樹さんはあまり読んだことなくて、本屋さんにはたくさん並んでいるからもちろん名前は知っているけど男性だと思っていた。 ここからネタバレ注意です。 この小説は、父と娘の近親相姦のハナシです。セックスシーン(いわゆる挿入)は描かれていないけど、養父の淳悟と娘の花は、性的な関係にある。第1章では花がやっと、養父の呪縛から逃れ、結婚しようとするところ。その先どうなる?と思いきや、続く章は過去にさかのぼっていく。 2章は花と結婚しようとしている男が、二人をどう見ているか。そして彼の生い立ち。彼は裕福で厳格な家庭に育ったが、父親との関係は良くない。厳格で、「男とはこうあるべき」という考えが強く、息子が自分のようではないことに不満を抱いている。ここにも「父と子」の関係が描かれる。 3章は養父の淳悟が主体。娘と二人で、「キタ」から逃げたきた理由が分かる過去の回想や、再び罪を犯してしまう経緯が描かれる。 4章は再び花が主体で、花の、北海道での高校時代。養父の淳悟と二人、寄り添って(性的な関係で結ばれ)て生き、それを人に知られてしまう。 5章は淳悟の恋人の一人だった女性の話で、花がどんな女の子だったのか客観的に描く感じになっている。 6章は花が主体で、さらに過去にさかのぼって、津波で家族を失くし、淳悟の養女になる経緯が描かれる。淳悟が、孤児になった花を体育館で見つけた時点で、二人は強く、運命的に結びつけられているように読み取れる。実は花は、淳悟の「親戚」ということになっているが、淳悟が親戚に預けられていたときにそこの奥さんを孕ませた(?)子どもで、実の父娘であり、淳悟はそれが分かっているようなのだ。淳悟は震災で孤児になった花を見つける前から、彼女を想っていた。避難所の体育館で出会った瞬間から、二人はお互いを選び取る。 しかしそのことと、孤児の花を引き取った淳悟が、彼女を性的欲望の対象とすることをどう解釈すればよいのだろうか? 淳悟は花を「血の人形」と呼び、花は淳悟を「私の男」と呼ぶ。 淳悟は父を海で失くし、残された母に異常に厳しく育てられた。それまでは優しい母だったのに、父親の代わりになろうとする母が、豹変したのだ。(母も精神を病んでいたのだろう)。母の愛に飢え、その母も失くし、預けられた親戚の家で母親代わりの女性を犯した…?そしてその女性が産んだ娘を、更に自分の愛の対象とする…血の人形として…? 出生に秘密をもち、家族のなかで浮いていた花は、淳悟に「見つけてもらっ」て、救われた、と感じる。淳悟は自分のために何でもしてくれる。救い出してくれる、「私の男」。 予備知識なしでこの小説を読んだとして、自分がどう感じたかわからないけど、先に上野千鶴子さんの批評を読んでいたので、最初からずっと、気持ち悪くてグロテスクな小説だと感じてしまった。 花が結婚してどうなるのか、過去の罪とどう対峙するのかわからないまま、小説は過去にさかのぼって終わる。あぁ、未来を描いてほしかった。花はどうなるの?・・・と、気になりすぎるのだから、やはり素晴らしい小説なのだろう。
10投稿日: 2023.12.29
powered by ブクログ養父と娘の禁断の愛を、現在から過去に遡る形で紐解いていく。その構造がまずおもしろい。2人の生活の変化のきっかけとなった出来事について、現代で小出しにして、過去で詳細に説明がされる。あのとき言っていたのはこのことだったのなと、合点がいく形式になっている。 もつひとつおもしろいのは、読み進めているうちに、花や淳吾に対する自分のイメージが変わっていくこと。はじめは花が何もかもクソみたいな淳吾に奪われた可哀想な女の子なのかと思ったけど、一概にそうとは言えないことがわかってくる。 ある意味グロテスクな性描写は賛否両論ありそうだけども、「家族とは何か」「絆とは何か」というテーマに一石を投じている。人物描写はもちろん、心情や景色の描写も巧みで、読んでいて想像が膨らむ。
4投稿日: 2023.11.26
powered by ブクログ序盤から生々しい雰囲気で嫌悪感でいっぱいに、、、 過去に遡っていくにつれて徐々にタブーや謎が明らかになっていき、2人の関係性に納得できました。
2投稿日: 2023.11.17
powered by ブクログ歪んで、間違っていている。でもそれにしがみついていないと溺れそうな気持ち。ちょっとわかるかもしれないなと思いました。
4投稿日: 2023.11.09
powered by ブクログ理解し難さや嫌悪感とともに時が遡る。私は最終章でくらってしまった。 理由なく奪われた愛の回復を求めた先に、全てが詰め込まれた血の人形がある。残されたものはそれしかない。だから愛する。 「家族がいないのに生きていたって仕方ない」世界で、血のために、自分だけを好きでいてくれる人が見つかる。その人しかいない。だから愛する。 灰白色の空の下の青黒い海で、しがみつく人が互いしかいなければ溺れるように求めるだろう。最後まで読んでそう思った。歪で、間違っていて、不道徳であることを筆致が凌駕する瞬間がある。良い読書だった。
4投稿日: 2023.11.04
powered by ブクログ愛し合う父娘が養父養子でよかった、でなければこの物語がとたんに読めなくなってしまう。と思いながら読んでいたら…えっ… 禁断の愛を貫くためには邪魔者を殺さなければならなかったんだろうと思ったものの、やはり普通の感覚の人間ではないと思った 人を殺してすぐに押し入れに隠す...そこまでは百歩譲って理解してもそのままセックスできるか?絶対できない 現在から過去へ遡っていく展開が過去になにが起こったのか気になり読む手が止まらなくなった 愛とは..考えさせられる物語だった
11投稿日: 2023.11.04
powered by ブクログどの小説でも読み進めるごとに登場人物の解像度が上がってくけど、この小説では特にそう感じた。淳悟と花のことが気になって気になって気づいたら読み終わってた。悪魔みたいな2人。
2投稿日: 2023.10.11
powered by ブクログ冒頭から惹きつけられる作品。 町田そのこさんは、私の男を最初から最後まで一言一句すべてタイプしたらしい。 その気持ちも分かるぐらい一言一句無駄な表現がない作品。読み終わったあと呆気にとられる。
7投稿日: 2023.10.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
みなしご同士だからこうなったんだろう 欠損家族同士だからこうなったんだろう つまり2人ともすごく寂しかったんだろう みたいな単純な方程式じゃ説明できない、ぐちゃぐちゃしててどろどろしてていろんなものが混ざり合ったような関係 離れなきゃいけないけど、体はずっとこのままがいいって言ってる 薄く自分と重ねてみたらなんか勇気が湧いてきた 短文で途切れる文体が切なさを増して 花の気持ちによって周りの環境の描写も変わってその表現がまた素敵で 心に残る作品でした
1投稿日: 2023.09.14
powered by ブクログ物語の始まりから、漂う、不安定さ、不穏さ、嫌悪感。 血縁の繋がりで、家族の欠損を補おうとし、何よりも信じすぎる不可思議。 海で家族を失った少女と彼女を引き取り育てる男性。彼女の結婚から時間を遡ってふたりの関係性を濃密に厭世的に語られる。ふたりに関わった人達の視点も織り交ぜながら。 小説の雰囲気は、すごく好きなのです。 なのですが、BLが受け入れられないおじさま達がいる様に、近親系は苦手です
58投稿日: 2023.08.06
powered by ブクログ友達に勧められた本。んーーーー。ちょっと自分は入り込めなかったので読み切るのが辛かった。 めちゃくちゃセンスのある中学生が書いたみたいな小説。
3投稿日: 2023.07.22
powered by ブクログねっとりして、ドロドロして、ずっと底に沈んでいる。血。 ふたりで固まってしまえたら もう冬も寒くないね。
2投稿日: 2023.07.17
powered by ブクログBOOK・OFFの平積みで直木賞受賞!待望の映画化と映画宣伝用の表紙の二階堂ふみが気になり手に取ってみた。近年、本屋大賞の作品は読みたいと感じるが芥川賞、直木賞はは食わず嫌いというか読書離れをなんとかしようと特に芥川賞を芸能人がとる図式に納得がいかず避けていた。禁断の愛?いや秘密の交わいというほうが正しいのか?書き手次第では官能小説に傾いてもおかしくない題材であるが描写と越えてはいけない一線に読み手を引き込む力は秀逸。解説で選考委員の浅田次郎氏が「文句なしに推挽させていただいた」と絶賛したことがうなづける。赤朽葉家の伝説を読んでみたくなりました。
4投稿日: 2023.07.04
powered by ブクログ不気味で歪んだ愛の話 愛情って、家族ってどんな形なのか 分からなくなる 海の表現がいっぱいあって想像力が働いた
1投稿日: 2023.06.23
powered by ブクログすんごいお話だった。北海道南西沖地震で9歳にして家族を失った花。そこに伯父にあたる腐野淳吾が花を引き取る。ほのぼのした生やさしい話ではない。すでに花と淳吾には絆があったのだから。。。 正直に言っていいかい? ありていの常識に苛まれることなくどっぷりと愛にはまれる花がうらやましい。 最終的に(というか物語の序盤で)花と淳吾は離れることになる。それまで淳吾ひとすじだった花なのに。花が大人になったからだろうか。大塩さんの言葉はずっと分かってたことなんだろうと思う。だから反発したし、あんなことをした。もしかして、花は生きるために必死だったのではないか。淳吾がいないと生きていけなかった子供時代。 ああもう歪だなぁ。
3投稿日: 2023.06.06
powered by ブクログ寂しく、むせかえるような甘い匂いがする。わたし達が気づかないようにしていることはあまりに本能を刺激してしまうから、絶対に秘密だよといいながら真っ赤に染まっていく。血はこの世でなによりも濃い、と気付かされてしまう。
2投稿日: 2023.05.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2008年(第5回)。9位。 インセスト(あえてカタカナ)の文学なら、倉橋由美子の聖少女。文字で聖化できるかの試み、これは成功していると思っている。この本は、、、、どうかな。読んでて思うのは、キモイなんだよね。 花が玉の輿結婚。義父との関係が書かれる(きもい)、それから物語は、過去にさかのぼる。二人の生活を守るため行われた殺人。義父と結婚するつもりだった女。実は義父ではなかった事実。紋別の海ってのが合っている。南の海とは違う北の海。義父とのいちゃいちゃが6割を占めるこの本。そこまで必要だったのかな。どんな理由でも殺人はいけません。離れたくなくて苦しいけど、離れたい。いろいろ間違っていた男女の話、ってことだなw でも直木賞。
1投稿日: 2023.03.19
powered by ブクログただただ衝撃的なテーマです。 こどもとかおとなとかそんな枠を突き破って「愛されたい」が滲み出るような内容でした。 ひとりの人間として認めてもらえず誰からも必要とされない事がどんなに残酷な事か…考えただけで恐ろしくなります。 他人から否定されたってどんなに歪んでたって、愛に変わりはない。
2投稿日: 2023.02.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
きっもちわるい。 親への愛に歪んだ男がまだ何も知らない愛情に飢えた幼子を食い物にしてて、最後まで救われなさが酷い。 淳悟と花のお母さんとの間に何があったのかは描写されてないけど、生まれた時からハードモードな人生な花ちゃんが可哀想すぎる。 淳悟と離れて結婚という選択肢をとれたあたり少しは解放されたのかとも思うけど、もし男の子が産まれたらヤバそうだなぁという感想。 というかそもそもいいとこの坊ちゃんなんだから結婚前に親が興信所つけたりしないのかな? なんとかがんばって読了したけど得られるものがなかったけど、生理的な気持ち悪さを誘発させる文章の書き方は上手い。
2投稿日: 2023.01.24
powered by ブクログ気持ちの良い小説ではない。 好き嫌いかと問われたら嫌いな分類だ。 でも少しずつ、その世界に馴染もうとする自分を見た。
1投稿日: 2023.01.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
終始不穏でいい感じ。 淳吾と花の母親の関係についてもっと詳しく成り行きとか知りたかった あと花と一番最初にヤッた時の事も。舐めた日じゃなくて
1投稿日: 2023.01.03
powered by ブクログ父と娘であり、男と女でもあり……。 何となく、恋愛小説か何かかと思って読み始めた。ひょんな縁から手に取った本だったので、予備知識は一切無かった。 読み終えた感想としては、一概に恋愛小説などと一括りにしてしまったのでは余りにも偏狭だと言わざるを得ない。この物語はそんなに簡単じゃない。一筋縄ではいかないものがある。 著者が本来得意とするのであろうミステリの匂いを醸し出しつつ、文学的にも質の高い逸品。直木賞受賞作の名に恥じぬだけの威力はある。 この本に記されていることが罪か禁忌か、誰にも確からしい判断は出来ないだろう。そうとも言えるし、そうで無いとも言えると思う。 でも、どうしようもなく愛だけは在る。それが真実紛れもない愛であるという事だけは断言出来るし、何人も否定し得ないだろう。 これから読む人へ。注意して下さい。軽い気持ちで手に取ると大火傷します。焼け爛れて全身ケロイドに冒されるでしょう。しかも、それは、極寒の流氷の上でかも知れません。
2投稿日: 2023.01.01
powered by ブクログ以前読んだ「砂糖菓子…」の海野親子をまだ良い方に転がした様な親子の話。それでも酷いが。 中盤花の精神の未成熟感が気味悪くて読むの止めようかと思ったけど、その後あの子も読んでるし(誰だ)と自らを奮い立たせどうにか乗り切ったら最終章は結構読み応えがあり、明るそうな未来を感じさせて終わるけど、でも結局この二人気味の悪い関係を清算せずずるずる続くんだなと思うと上記の様な評価に。 作中様々な湿度の高い描写があるのも不穏な気持ちにさせる要因かと。 振り返ると色んな伏線が張ってある気もするので、余裕のある時に再読したい。
2投稿日: 2022.12.21
powered by ブクログ直木賞受賞作に興味があったため、手に取った。恋愛ものであれば比較的読みやすいかな、と考えてのことだったが、結果的に難しかった。 花のことを淳悟が「おかあさん」と呼ぶシーンや、花がなぜ結婚したのかなど、何を意味しているのか、何故そうなったのか、よくわからない場面があった。今わからないのであれば一生わからないのかもしれないが、物語の機微を汲み取ることができないのはかなり悔しかった。今後もし読み返すことがあったら、もう少し情緒豊かな人間に自分が成長していることを祈るしかない。 それか単純に文体が合わなかっただけかもしれないが、他の直木賞受賞作品を読んで確かめるつもりである。
1投稿日: 2022.11.04
powered by ブクログ圧倒的描写力。 正しいか正しく無いか、こちら側がジャッジする余地を与えさせないほどの親子の絆。悍ましくて気持ち悪いはずなのに美しかった。腐った花のような匂いがする文章。甘さが限界まで達してむせかえるような匂いがした。
2投稿日: 2022.09.22
powered by ブクログ気持ち悪いし歪んでるのに、最高の切ない恋愛ものを読んだかのような。 親離れと男女の別れの切なさの合わせ技。 匂いや季節の描写が印象的だった。
1投稿日: 2022.09.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全体的な内容に関しては、裏切ってほしかったけど、裏切ってくれない…という感じ。 ただ、少なくとも2回はえっそうなの⁈と声を出してしまうような驚きがあった。 とにかく、この感触とか匂いとか魑魅魍魎とも言えるような心理からは目が離せず、ページを捲る手が止まらなかった。
2投稿日: 2022.09.07
powered by ブクログこれを愛と呼んでいいのか。 雪国がもたらすモノクロの世界。湿度を通り越して黴臭いにおいが漂ってきそうな淳悟と花の関係性は、決して周囲に理解される代物ではない。全員幸せではないし、二人の心情にも最後まで共感できない。 それでも読み進めてしまうのは圧倒的な描写力のせいだろう。 数年おきに読み直し、そのたびにいい意味でも悪い意味でも後悔する作品。きっとまた数年後にも手にとっている気がする。
1投稿日: 2022.09.04
powered by ブクログ親父さんいい人… 花の結婚相手も好青年に思えてじつは闇が深そうで、この後みんなどうなっちゃうの?!て気になる 過去に遡った後また現在を見せて欲しかったような 押し入れ怖すぎる ミステリーのように紹介している書評に騙されたー ミステリーでは全然ない
1投稿日: 2022.08.17
powered by ブクログあっという間に読み終わった。 で、読み終わったらまた最初を読みたくなるループにはまる笑笑 許されないことだらけなんだけど、つい感情移入しちゃうのは、文章力の巧妙さにほかならない! で、この先の二人の人生が気になる!
1投稿日: 2022.08.05
powered by ブクログ面白かった。 最初は淳悟が気味悪く、24歳の花のように嫌悪感を抱く。 品が良く優雅で、花に愛情を傾ける描写があっても、やはり歪んで壊れて見えるし、だからこそ好きになりきれない。 そして淳悟と花の関係性にも、序盤は謎が多くある。 読み進めているのに過去に遡っていく。 ページも進むし、読み手の抱く謎が解明され、 物事は進んでいくように感じる。 そして遡るほどに淳悟が若く、良い男になっていく。 ひどく壊れ、腐っていくも、どこか美しい男から、 美しく、そして人懐っこい、どこか気づかない部分で壊れた男へ。 序盤はあんなに気味が悪かったのに、魅力的に蘇っていく。 1章で小町は淳悟のことを「ゾンビ」と表現したが、過去へ進み淳悟が魅力的になっていく様子は、蘇りと呼べるはずだ。 読み終わった後にもう1度、1章を読みたくなる。 この男が、どこまで腐って枯れたのか。
3投稿日: 2022.07.04
powered by ブクログ10年以上前に読んだのでうろ覚えですが…流氷のシーンがやけに印象に残っています。物語が、現在から過去へさかのぼっていくのに、何故か進んでいるという不思議な感覚も。
6投稿日: 2022.07.01
powered by ブクログ読み進めると過去に戻っていくあまり読んだことのない構成でした! ネタバレになっちゃうので詳しい感想は書きませんが、5年…もう少し後に読んだらまた違った感想が出てくるのかなと思いました
1投稿日: 2022.06.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
しんどい…。 「欠損」という言葉が強く残っています。 家族ってなに?愛って?幸せって?花と淳悟の2人にとっては「欠損」ではないかもしれないけど。。 終始本当に幸せなのかな?って。嫌悪感ばかりだったけど、過去を遡っていくほど納得したのも事実。 でも、もし淳悟のお父さんが死んでなかったら~、もし震災が起きなかったら花は~とも考えもしてしまって。 読後、しんどい気持ちになりました。
3投稿日: 2022.06.30
powered by ブクログ孤児の花と養父の淳悟の親子2人の、悲しく寂しく爛れた恋愛、もしくはそれに近い何かの話。 いわゆる共依存に近いのかなと思いますが、それを美しく描いています。 桜庭一樹さんの本というとライト文芸系の作品しか読んだことなかったのですが、こういうしっとりした恋愛ものも書くんだなと感動しました。面白かったです。
5投稿日: 2022.06.29
powered by ブクログ私の男は、ぬすんだ傘をゆっくりと広げながら、こちらに歩いてきた。 「けっこん、おめでとう。花」 もう出だしっから”私の男”は不穏だし、第一声から謎に包まれています。 この時点で強い謎解きの欲求に捕まりました。 重い話ですが、この効果は絶大でした。面白かったです。
2投稿日: 2022.06.17
powered by ブクログ落ちぶれた貴族みたいな優美で甘い“私の男”。どこか壊れているけど、とても魅力的な淳悟沼に、私も花ちゃんもハマってる。どんどん呑まれてく。 無表情で感情的なのがたまらなく好き。 P208 「淳悟がもうすぐかもしれない、と思ったら胸が熱くなって、うれしすぎて帰って悲しいような気分になった。」
2投稿日: 2022.05.28
powered by ブクログ花と淳吾さんの関係性が年月を遡っていく形で描かれる。 終始暗く、湿っぽく描かれているが、世界観に引き込まれ、ページをめくる手が止まらなかった。 周りには理解されない2人だけの世界が美しい。
1投稿日: 2022.03.14
powered by ブクログ孤児の想い 小説は時系列を逆に遡りながら検証していく、珍しい発想のミステリー小説だ。独身で若い叔父に養女として引き取られ育てられる「花」。震災孤児の辿る環境は叔父の言われるまま疑いもなく育つ。他に頼る家族も親戚も誰もいないことが、孤児の人生を変えてしまった。叔父、花二人とも家族を亡くした「似たもの同士・孤児」それに「家族愛・家庭・性・情」・・・「自分の人生は自分しか決めれない」と悟ったことだ。
4投稿日: 2022.03.07
powered by ブクログ時間は遡っていくのに、物語は発展していく不思議さ。ただの禁忌と片付けるのではなくて、人間が血の袋なのかどうか、いやそうではないと思いたくなる作品。
2投稿日: 2022.02.11
powered by ブクログ偶然なんですが、ついこないだ読んだ湊かなえ「告白」よろしく、語り手が入れ替わっていく章立て。なんだよ、またかよーと思ってたら、少し違うのは、時間軸が逆流してくところ。先に結果をバラしちゃう、その後で因果を遡っていく。映画「メメント」を見た人はイメージしやすいと思います。 普通のサスペンス、ミステリーは、先の展開にドキドキしながら読むんだけど、これは結果が先に分かっている中で、種明かしを読んでいく。 で、「あー、告白とメメントの合わせ技な。」っと思って読んでたら、裏切られました。種明かしとか過去の因果とかの事実関係どうでもよくなって。 なぜなら、読み始めのときには主人公親子に対して胡散臭さとか怪しさとか嫌らしさとかを強烈に感じていたのに、読後にはそれが全くなくなって、むしろこの親子を全力で応援している。この自分自身の変わりように驚いた。「なんて歪んで汚らわしい親子なんだ!」だったのに、一瞬で「なんて健気で頑張って生きてる親子なんだ!」に変わってしまった。 読み終わるちょっと前までイマイチだなと思ってたけど、今や最高の読後感。読書って面白いわ。
2投稿日: 2022.02.03
powered by ブクログ奇妙な話だった。まとめて言えば、近親相姦の話。 だけど犯罪なのに犯罪とは思えなくて、純愛に見えた。花と淳吾の間には純愛なんて存在しないのだろうが。 花が成人してからの話は気持ち悪いと思った。 まだ、花と淳吾についてよく知っていたとしても同じ感想を持つと思う。 花自身は、淳吾から離れたいと思っているけど、体が淳吾に染み付いていて中々離れられない。 結婚式当日になっても、淳吾が来ていないからと言って結婚しないと言うのはどうかと思った。 海上保安官時代の頃とは似ても似つかない程に、年老いて荒んだ淳吾を見るのも耐え難かった。 花が震災直後で、淳吾に引き取られて間もない頃の話は好きだった。 花が幼少だったということで、花と淳吾が「女」と「男」というふうに見えなくて気持ち悪さも見えなかった。 淳吾が花に対して恋愛感情を持つようになったのは花が大人になってからかと思ったが、淳吾の「もう俺のものだ」や「欲しそうにしてるけどやらないからな」などの言葉を見て、そうじゃないんだなと思った。 こういう気持ち悪さが大好きだ。 夏の夜、花と淳吾が汗を流しながら抱き合う描写はあまり好きではなかった。 自分が想像しやすいから嫌だと言うところもあるが、その表現の中に「性」が含まれていて読みずらかった。 近親相姦ものと聞いて、どんな悲惨な物語が繰り広げられるのか期待していたが、想像とは全く違ったとても面白い話だった。
2投稿日: 2022.01.17
powered by ブクログ町田その子さんが書き写しをして小説を学んだ作品が「私の男」だと知って読んでみた。正直なところ、実の娘に対する性愛がテーマであるとするのなら、僕はうけつけられない。主人公の苗字が「腐野」であるようにこの物語からは腐臭がする。それでも惹きつけられるのは何故か。描かれていない事情も至る所にあり、その隙間まで勝手に読んでしまうからであろうか?
4投稿日: 2022.01.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
著者の本は昔に「砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない」を読んだことがありこの本は2冊目だが、印象は大体同じだった。 砂糖菓子~も本作も虐待や機能不全家庭などの重いテーマが扱われているが、それらの説得力はあまりなく単に設定上のものという感じ。かと言ってエンターテインメントに振り切っているわけでもなく中途半端な印象。 淳悟が娘の花を性的虐待した理由として淳悟が機能不全家庭で育ったことが示唆されているが、その具体的な描写は全くないので最後まで理解不能なキチ●イのままである。じゃあそのキチ●イ的な描写に説得力があるかというとそれも微妙で、「お母さん」などの発言もひたすら意味不明で気持ち悪いだけ。 田舎にありがちな閉鎖的な空気やホモソーシャルの描写はうまく描けているかなと思った。
3投稿日: 2021.11.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
話の作りは好きな方。落とし所が上手いなと思いましたが二度と読みたくはないなと思いもしました。 だいぶ前に読んだので記憶が曖昧かもしれませんが。愛に飢えて愛を利用した男が、注ぎ込んだ愛によって雁字搦めにされて正気に戻り絶望する様というのはなかなかに良いものです。 タイトルがすべてを物語っていて、そこもいいと思います。
3投稿日: 2021.11.22
