Reader Store
しおりさんのレビュー
いいね!された数152
  • サイゴン・タンゴ・カフェ

    サイゴン・タンゴ・カフェ

    中山可穂

    角川文庫

    タンゴと男と女と女

    タンゴの曲にインスパイアされて書かれた五編の短編集です。 日本、アルゼンチン、ベトナム――― 地理的にも文化的にも最も遠いアジアと南米を舞台に、ねっとりとした男と女と女の情念が描かれます。悲しみも憎しみも狂おしいほどの愛しさもすべてタンゴが飲み込んでくれるような、そんな小説でした。 不倫も浮気も、死ぬほど困難な恋愛も経験のない平凡な自分には毒気の強い小説だったけど、反発することなく読めたのは、中山さんの素晴らしい文章力もさることながら人間の持つ普遍的な丸裸の感情がストレートに心に響いてきたからだと思います。 読後、タンゴを聴きながら、アルゼンチンの熱い夜に思いを馳せています。

    4
    投稿日: 2014.05.30
  • イノサン 1

    イノサン 1

    坂本眞一

    週刊ヤングジャンプ

    本当の恐ろしさ

    漫画を読んでこれほど恐ろしいと感じたのは多分初めてじゃないでしょうか。 二巻目に手を出そうかどうしようかためらわれるほど私は怖かったです。 グロいからではありません。むしろ美しいです。が、幼いシャルルが家業の死刑執行人を継ぐのを必死で嫌がりながらもどうすることもできない無力さ、人々から忌み嫌われ友人さえ作れない孤独、こうした彼が受ける精神的苦痛の数々がダイレクトに読者にも伝わってきてそれが苦しいのです。 一巻目は父のあとを継ぐことになるまでのドラマ、そして初の死刑執行に臨むところまでが描かれます。実在の人物をモデルにしているとのことですが、創作部分も多く耽美的なエッセンスが効いています。 好みは大きく分かれるかと思いますが、読み始めるとどんなに怖くても目が離せなくなる衝撃的な魅力があります。

    8
    投稿日: 2014.05.21
  • 歴史読本2013年10月号電子特別版「特集 華族 近代日本を彩った名家の実像」

    歴史読本2013年10月号電子特別版「特集 華族 近代日本を彩った名家の実像」

    歴史読本編集部

    歴史読本

    華族について知る

    「華族」とされた期間が短かったせいか、いまいちどのような人々をさすのか不明確だったのがこの雑誌を読むとその定義、存在意義などがよく分かる。 意外と先祖は華族に名を連ねていたなんて人は多いのかもしれない。それくらい爵位を持つ人数が増えた時期もあった。 国や社会に貢献したエピソードからスキャンダルまで、個々の話を読むことにより、より当時の華族の姿が浮かび上がる。

    2
    投稿日: 2014.04.30
  • 進撃の巨人 悔いなき選択(1)

    進撃の巨人 悔いなき選択(1)

    諫山創,駿河ヒカル,砂阿久雁(ニトロプラス),「進撃の巨人」製作委員会

    ARIA

    リヴァイとエルヴィンの出会い

    原作では「地下街のゴロツキだった」くらいしか明かされていなかったリヴァイ兵長の過去編ということで、非常に注目度の高いスピンオフ漫画。 彼がエルヴィンと出会い、調査兵団へ入るきっかけの部分が描かれています。格闘能力の高さはこの頃からであったものの、原作のテーマの一つでもある「仲間を信頼すること」にまだ躊躇が見らるリヴァイ。ここからどう仲間との絆を強めていくのか気になるところです。 原作ではこれよりさらに前のリヴァイの過去も明かされていようとしている今、すべてがつながってから読み返すのも一つの楽しみになりそうです!

    4
    投稿日: 2014.04.29
  • さよならソルシエ(2)

    さよならソルシエ(2)

    穂積

    月刊flowers

    史実なんてどうでもいい

    2巻で大化けする作品。 賛否両論あるけど、私は素直に感動したし、泣きそうにもなったのでこれはこれでいいじゃないに一票。

    3
    投稿日: 2014.04.29
  • さよならソルシエ(1)

    さよならソルシエ(1)

    穂積

    月刊flowers

    2巻とも続けて読もう

    第2巻がなかなか電子化しなかったので放ってしまった人が多いかもしれない。 正直、1巻読んだ時点では何が描きたいのかよく分からなかったけど、2巻まで続けて読むとようやく作者の意図が明らかになり膝を打つことに。 ランキング1位に値するかどうかは分からないけど、ゴッホに興味があるならこういうのもあるよと言う意味でおすすめ。ラストは以外にも泣けます。

    4
    投稿日: 2014.04.29
  • 日の名残り

    日の名残り

    カズオ・イシグロ,土屋政雄

    早川書房

    映画と重点の置き所が違う

    昔、映画を観てそれで満足して原作には手を出さないでいたが、激しく後悔。 映画ではスティーブンスとケントンの淡い恋愛要素が前面に出すぎだったのだなと感じる。原作ではもっとダーリントン卿のほうにシンパシーを感じた。 英国の国際的地位や貴族たち(執事込み)が没落していく大きな時代の波と一人一人の人間の人生のクライマックスと静かな夕暮れが見事に描かれている。

    4
    投稿日: 2014.04.29
  • 進撃の巨人(13)

    進撃の巨人(13)

    諫山創

    別冊少年マガジン

    重要な背景が語られ始める

    13巻ではいくつもの重要な背景が語られは始め、いよいよ進撃の世界観の全貌が明らかにされ始める、その序章のような巻でした。 何といっても、初期にはこれほど重要人物になるとは予想もしていなかった人物にスポットがあたり、その過去が掘り下げられます。 「俺はもともとよくしゃべる」との本人評どおり、リヴァイがよくしゃべります。彼も、(「そうか」)「そうだ」、「了解だ」くらいしかセリフのなかった頃に比べ、一体何でしょう、この存在感は! エルヴィンの博打、果たして吉と出るか凶と出るか、どのようにも転びそうな状況、さまざまな勢力の思惑入り乱れる中、やはり先が気になってならない漫画です。 この巻の続き2話が、今号から電子版配信をスタートさせた「別冊マガジン」2014年5月号で読めるのも大変気が利いています。続けて読むとものすごく話が進み、大満足でした。

    18
    投稿日: 2014.04.09
  • 別冊少年マガジン 2014年5月号 [2014年4月9日発売]

    別冊少年マガジン 2014年5月号 [2014年4月9日発売]

    枩岡啓資,伊藤広明,渡辺静,オクショウ,諫山創,飯島しんごう,佐藤友生,山口ミコト,荒川弘,田中芳樹,コンノトヒロ,九部利久,カプコン,渡れい,鳥飼仁,押見修造,及川徹,貴志祐介,阿部洋一,はっとりみつる,桜場コハル,長田龍伯,志水アキ,新谷信貴,杉井光,永椎晃平,中川沙樹,駿河ヒカル,砂阿久雁,士貴智志,涼風涼,hounori,明時士栄,NCSOFT,エヌシ―ジャパン,にいさとる,伊奈めぐみ,NAVAR,徳川神千,NEXON,虎雨マサカリ,千田大輔,高瀬雅也

    別冊少年マガジン

    「進撃の巨人」ファンは買い!

    ついに「進撃の巨人」の連載月刊誌が電子化されました。少年漫画誌は意外とまだ電子化されていないのでこれは嬉しい。気になっている連載があれば発売日と同時にすぐに読めるのがいいです。 5月号は同日に発売された「進撃の巨人」13巻の続きが2話のっているのでとにかく話がものすごく進みます。最新話ではこれまで謎だったあることが明かされます。実際読んだときは心臓が止まるかと思いました! 今号は特別に他誌で連載されている「進撃」のスピンオフ作品の番外編なども載っていてファンにはかなりお得。「悔いなき選択」や「Before the Fall」、「寸劇の巨人」がどんな絵柄でそんな雰囲気なのか試しに読んでみるのにもうってつけです。 作者への一問一答のページ、「進撃」関連イベントやタイアップ商品の広告ページもカラーで含まれています。 「進撃」のことばかりになってしまいましたが、900ページ以上の大ボリュームで他の作品へも興味がわきます。ひとつ難点を挙げるならば、ページ数が多いため、どこら辺にどの作品が載っているか分かりにくい。目次はありますが、そこから作品へジャンプできるわけではない。また、適当に開いたページの作品タイトルがすぐに分かるようどこかに表示されると尚ありがたいと思いました。(知らない作品だと絵を見ただけでどの作品だか分からない)

    5
    投稿日: 2014.04.09
  • 進撃の巨人 Before the fall3

    進撃の巨人 Before the fall3

    諫山創,涼風涼,THORES柴本

    講談社ラノベ文庫

    ちょっと尻すぼみ

    2巻からの続きでこの3巻で話は完結します。 1巻2巻と読んできたから3巻も読みましたが、正直どんどん勢いが落ちていく感じ。キュクロが調査兵団へ入ってからが特に予想の範囲で物事が進みラストは駆け足で終わってしまいクライマックスらしいところがなかったです。 キャラクターは魅力的なのでもう少しどうにかならなかったかなと思います。 立体機動装置の実用化が一つのテーマでもあるのでこれは漫画版で読んだ方が迫力が出るのかなという気もします。(私自身は漫画版は読んでいません)

    0
    投稿日: 2014.03.25