しおりさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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進撃の巨人(13)
諫山創 / 別冊少年マガジン
重要な背景が語られ始める
18
13巻ではいくつもの重要な背景が語られは始め、いよいよ進撃の世界観の全貌が明らかにされ始める、その序章のような巻でした。
何といっても、初期にはこれほど重要人物になるとは予想もしていなかった人物にス…ポットがあたり、その過去が掘り下げられます。
「俺はもともとよくしゃべる」との本人評どおり、リヴァイがよくしゃべります。彼も、(「そうか」)「そうだ」、「了解だ」くらいしかセリフのなかった頃に比べ、一体何でしょう、この存在感は!
エルヴィンの博打、果たして吉と出るか凶と出るか、どのようにも転びそうな状況、さまざまな勢力の思惑入り乱れる中、やはり先が気になってならない漫画です。
この巻の続き2話が、今号から電子版配信をスタートさせた「別冊マガジン」2014年5月号で読めるのも大変気が利いています。続けて読むとものすごく話が進み、大満足でした。 続きを読む投稿日:2014.04.09
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月魚
三浦しをん / 角川文庫
宝物箱にしまっておきたいような物語
11
取り返しの付かない罪を共有しそれによって縛られた二人の男が解放されていくお話とも言える。
古本業を生業とした二人なのでその世界のからくりも面白く読め、また「罪」の部分も絡んでくる驚きもある。しかし、…この物語の本当の輝きは一瞬の情景の描写だったり、それに映された二人の秘めた思いだったり・・・。「嗚呼!」と叫びたくなるような場面が幾つも出てきます。
ひっそりと誰にも教えずにそっとしまっておきたくなるようなお話でした。 続きを読む投稿日:2014.01.08
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イノサン 1
坂本眞一 / 週刊ヤングジャンプ
本当の恐ろしさ
8
漫画を読んでこれほど恐ろしいと感じたのは多分初めてじゃないでしょうか。
二巻目に手を出そうかどうしようかためらわれるほど私は怖かったです。
グロいからではありません。むしろ美しいです。が、幼いシャ…ルルが家業の死刑執行人を継ぐのを必死で嫌がりながらもどうすることもできない無力さ、人々から忌み嫌われ友人さえ作れない孤独、こうした彼が受ける精神的苦痛の数々がダイレクトに読者にも伝わってきてそれが苦しいのです。
一巻目は父のあとを継ぐことになるまでのドラマ、そして初の死刑執行に臨むところまでが描かれます。実在の人物をモデルにしているとのことですが、創作部分も多く耽美的なエッセンスが効いています。
好みは大きく分かれるかと思いますが、読み始めるとどんなに怖くても目が離せなくなる衝撃的な魅力があります。 続きを読む投稿日:2014.05.21
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進撃の巨人 Before the fall
諫山創, 涼風涼, THORES柴本 / 講談社ラノベ文庫
進撃の世界を活字で楽しむ
7
原作より前の時代の話で登場人物も全く異なります。
立体機動装置ができるまでがアンヘルという十八歳の青年職人の視点から描かれます。特に良いと感じたのは進撃の世界に存在する不思議な天然資源について知ること…ができる点。巨人を切り刻む刃の意外な素材が明らかになります。
もう一つ印象に残るのがこの世界の社会秩序。原作では後回しにされがちだった政治的な勢力争いがわりと丁寧に書かれています。
物語としてのはらはらどきどきはあまりないし、原作のような美しいまでの残酷さも感じられませんが進撃の世界観が好きな方ならスピンオフとして楽しめるのではないでしょうか。 続きを読む投稿日:2013.11.25
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俺物語!! 4
アルコ, 河原和音 / 別冊マーガレット
猛男のモテキ?
6
砂川のお姉さんと、お姉さんを好きなゼミのチャラ男・織田などが登場。
これまで猛男、大和、砂川のトライアングルが中心だったのがちょっと外に開いてきた感じで、マンネリ感なく読めました。相変わらず「みんな幸…せになれー!」と心から叫びたくなるようなキュートな漫画です。
個人的には大和の女子高のクラスメート女子の反応がいかにも女子高って感じでツボでした!
番外編では幼少時代の猛男とスナ(かわいい)が読めます。ステキなサプライズもあり。 続きを読む投稿日:2013.11.28
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フライ,ダディ,フライ
金城一紀 / 角川文庫
おっさんと高校生のひと夏の青春
6
ダメダメなおっさんと腕っ節の強い高校生が主人公という珍しい設定の小説。普通教職でもない限り接点のない親子ほどの二人が師弟の関係を結びます。もちろん師→高校生、弟→おっさんです。はじめは反撥し合いながら…喧嘩の特訓をする二人だけどだんだんに心を通わせていく過程がいい。高校生・スンシンの切ないバックグラウンドがまたいいのですよ。映画化もされています。
内容からラノベっぽい印象をもたれる方も多いかもしれませんが、直木賞をとっている作家さんでもあるので作風はそれなりにしっかりしていて文芸読みさんにも満足できるレベルかと思います。
ちなみにこの作品はゾンビーズ・シリーズの第二作目ですがこれ単品としても楽しめ、またシリーズ作の中でも一番面白いと思います。ゾンビーズ・シリーズは「レヴォリューションNo.3」「フライ、ダディ、フライ」「SPEED」「レヴォリューションNo.0」の順、この四作で完結しています。お騒がせ高校生ゾンビーズが出てくるシリーズです。 続きを読む投稿日:2013.09.30