
悪魔のような花婿9 エメラルド島の花嫁
松田志乃ぶ,Ciel
集英社コバルト文庫
ジュリエットの結婚からまだ半年しか経っていないけど、とても充実した物語です
邪な魔女カスタードとの約束を守るためにキルケニア島にきた一行ですが、そう簡単に行くはずもなくハラハラしました。最後は勿論ハッピーエンドですが、そこに辿り着くまでに小人やあべこべの泉などおとぎ話のような出来事があり、とても楽しい終わり方でした。私の一番好きなバルバロッサも再登場したのでうれしかったです。
1投稿日: 2015.09.21明治失業忍法帖 じゃじゃ馬主君とリストラ忍者 7
杉山小弥花
プリンセス
生きる世界が違う気がする
清十郎様は惚れても幸せになれない男、という雰囲気が強くなってきました。 明治失業忍法帳には、清十郎様以外にもカッコいい男性がいますが、それぞれ目的や志があります。楡さんは妻子を迎えに行くための立身出世。槇さんは、今まで壊してきた分警官として何かを守りたいという志。桐生さんは、大義を掲げての政府転覆。それぞれの善悪や理非はともかく生きる理由がある。そのような中で、清十郎様は、自害する気力が無かったから生きているという人。 新政府にも、反政府派にも付く気が無い清十郎様はこれからどうなるのだろうと、年表を見ながら考え込んでしまいます。
1投稿日: 2015.08.29偽姫 血族の花嫁と捕食者たち
藍川竜樹,アオイ冬子
集英社コバルト文庫
これは良いすれ違い
主人公である侍女ティナは、主人リリアの代わりに高位の守護獣と契約してしまいます。そのため、主人のリリアのふりをして天空城という学校のようなところに行くのですが、男勝りな主人リリアの振りをしなければならないので、色々無理をします。主人に仕える立場であったティナが、これからどう主人になっていくのか楽しみです。 すれ違いものはあまり好きではないのですが、この本は面白く読めました。ヒーロー役の教官レギオンは、主人公の嘘も飲み込んで支えてくれるいい男です。癖のある脇役たちと王道設定など色々詰め込んでありますが、面白いです。
1投稿日: 2015.07.21占い師ティアリス・セーブル 誰が王子を殺したの?
小野上明夜,宵マチ
集英社コバルト文庫
占い師ではなく探偵もの
作中でも言われていましたが、占い師ではなく探偵ものです。主人公ティアリスが謎解きしているのを、物語に引き込まれていくようにして読みました。 読んでいて物語の裏の予想がしやすいように思えましたが、少女小説なのでこれぐらいで丁度良い感じです。 相手役?の室長、クランツは、どこまで分かっていて最初にああいう発言をしたのか気になります。クランツとの恋がメインではなく、王子様の死の謎が話のメインだったので、占い師ティアリスの今後の話がでると嬉しいです。
0投稿日: 2015.07.21悪魔のような花婿5 愛と誘惑の黄金宮
松田志乃ぶ,Ciel
集英社コバルト文庫
手強い敵と華やかな宮廷生活
ドレス・宝石・ダンス・悪婿世界の風習など読みどころがいっぱいです。 宮廷に乗り込むバジル伯爵一行は、愉快なパーティー(仲間)で、登場人物同士のやり取りも面白いです。 王妃との戦いは、まだ始まったばかりですが、かなり手強い敵のようです。最近の少女小説の悪役は、たいしたことがないキャラが多いので珍しい気がします。 ジュリエットとバジル伯爵は安定した両想いなので、安心して読み進められます。こんな心の広い夫は、少女小説的にも、現実にもそうそういないのではないでしょうか。
0投稿日: 2015.07.07箱入り王女の災難 魔術と騎士と黒猫の序曲
三川みり,あき
角川ビーンズ文庫
タイトル通り序曲です
王女と言う名の虚像を演じていた内気な少女、主人公フレデリカが、落馬事故により台所番の少女に憑依してしまいます。 元の身体に戻ろうとする中で、自分の心と向き合うことになり……、という物語です。 啓蒙主義と言う名の革命が広がろうとする世情で、魔術や死神も出てきます。 主人公の心情が丁寧に書かれていて面白いです。 まだ謎(と恋愛)が残っているため、続編希望ですが、読みきりでも楽しめます。
3投稿日: 2015.07.07代償のギルタオン3
神高槍矢,おぐち
集英社スーパーダッシュ文庫
そう簡単には幸せになれない
主人公ライクに、希望の光が見えたのかと思いましたが、また元の暗闇に戻ってしまいました。この物語は、ライク以外の視点で語られている場面もあり、何が正義か誰が正義なのか、正義なんてあるのかと色々思うことがあります。もし正義があるのならば、シャリオだけは正義であって欲しくないです。こいつは、自分に反抗的な人間にケチつけているだけだろ、って感じがします。 暗闇からどこに向かうのか、そもそも、どこかに行けるのか、続きが気になります。
0投稿日: 2015.06.09代償のギルタオン
神高槍矢,おぐち
集英社スーパーダッシュ文庫
1巻は序章
主人公ライクは、スラム街で血のつながらない姉と妹たちと一緒に、その日暮らしの劣悪な環境で生活していました。そんな生活から脱出するために、首都ランフェルドへと向かうことを決めたのですが、道中何者かに攻撃を受け、軍艦に保護されることになってしまいます。そして、乗っていた軍艦が劣勢に立たされたとき、代償を払うことを主人公たちは迫られる。 人は極限の状況でどう行動するかは、その時になってみないとわからないと思います。子供にすぎない彼らが、絶望と悲しみの中でどこに向かうのか。1巻は、その始まりだと思います。 軍の中には色んな人がいます。まともな人もいるけれど、効率だけを求め人の心を踏みにじる人もいる。開戦からたった半年でこんな状態になるなんておかしい。この物語に出てくるシャリオと言う軍人、ホントむかつきます。
1投稿日: 2015.06.07城と天才と私 初恋の価格は国家予算!?
群竹くれは,ユカ
ビーズログ文庫
主人公であるサラのしゃべり方が時々ひどい
「城と天才と私」と言うタイトルですが、この本で作りたいと言う話になっている城は、街と城の両方です。城と街のモデルは、多分、水の都ベネチア。天才のモデルは、レオナルド・ダ・ヴィンチだと思います。私は、主人公であるサラ。 巨額の建築費を返すために二人で奔走することになり……と、あらすじに書いてありますが、銀行から借りたお金を返すために、二人で肉体労働すると言う訳ではありません。借りたお金をもとにして城と街を建設するのです。建設と言っても、議会や組合を説得することから始めるのですが。 お嬢様として暮らしてきたサラが自分の力で人生を歩き出す最初の一歩が、この本の物語だとおもいます。面白かったです。
1投稿日: 2015.06.01かけもち女官の花○修業2 ―愛人路線はいばらの道!?―
乙川れい,増田メグミ
ビーズログ文庫
2巻完結は、ちょっと勿体無いかな。
世界観の説明が1巻で終わったためか、2巻目は、キャラ同士の掛け合いが楽しく読めます。誰が悪役かはかなりわかりやすいのですが、この巻は、「愛人さんとして、誠心誠意尽くします!」と言う問題発言をした主人公がどう変わるのかを楽しむ巻だと思います。脇役キャラも面白いので、おすすめです。
1投稿日: 2015.04.11