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  • 箱入り王女の災難 恋と絆と女王のエチュード

    箱入り王女の災難 恋と絆と女王のエチュード

    三川みり,あき

    角川ビーンズ文庫

    打ち切りのようです。

    3巻で頑張ってきれいにまとめた、という印象です。政治や陰謀といった要素がフレデリカが本物の王になるのに必要不可欠なため、ビーンズ文庫の作風に合わないと判断されたのでしょうか。また、作中の政治的駆け引きはぬるくて面白さを半減しています。悪趣味なものが大好きな、見かけだけは天使のような少女である主人公、主人公の幼馴染で狂犬ユリウス(ヒーローではない)というキャラ設定が好きなだけに残念です。

    2
    投稿日: 2017.09.17
  • お江戸ありんす草紙 瓜ふたつ

    お江戸ありんす草紙 瓜ふたつ

    七瀬晶

    小学館

    ありんす:「あります」の音変化。江戸新吉原の遊女が用いた語。

     お互いの存在を知らない双子の少女が、偶然か運命の導きによって入れ替わってしまう物語です。  姉の千代姫は、武家の姫君として育てられ、妹のおいちは、遊郭で花魁になるために育てられていました。おいちは、振袖新造から一人前の花魁になる水揚げを機に、千代姫はつまらぬ男との縁組を機に、それぞれ廓と大名屋敷から抜け出してきます。そして湯屋で二人がすれ違い、入れ替わってしまします。それからは一体どうなるのか、ハラハラしながら楽しんで読んでください。  素性不明だが頼りになる刀秀や、報われぬ恋心の持ち主だが優しいの半次など登場人物も魅力的です。なかでも、健気なおいちの幸福を祈らずにはいられません。時代小説というジャンルですが、とても読みやすく面白いです。

    7
    投稿日: 2017.02.24
  • 鵺天妖四十八景 1

    鵺天妖四十八景 1

    魅月乱

    プリンセスGOLD

    「ぬえてんおよずれしじゅうはっけい」と読みます

     およずれ【妖】とは、「妖言 (およずれごと) 」の略で、「根拠のない、人を迷わせる言葉やうわさ」と言う意味です。  善か、悪か、よく分からない鵺天様(異形の鳥の妖魔)を祀る村が舞台です。鵺天様は、望みを叶えることと引き換えに取り引き(代償)をもちかける存在です。神として崇められてもいますが、代償も必要なため畏れられてもいます。  少し古典的でおとぎ話のような物語ですが、面白いです。鵺天様は、ブラックジャックのようだと思いました。大食らいの少女の話が、一番のお気に入りです。

    2
    投稿日: 2017.02.24
  • 閉ざされたネルガル 1巻

    閉ざされたネルガル 1巻

    あるま るみ

    月刊少年ガンガン

    無実の死刑囚、ネルガル

     ネルガルは、魔法で一国を壊滅させた凶悪犯という冤罪背負い、死刑囚として収監されています。 彼は世紀の魔導士と呼ばれるほどの天才で、死刑囚になる前は、国王の側近魔導士をしていたエリートでした。国王の側近ともなれば、裏の裏まで知っているのが普通だと思うのですが、ネルガルは善良で素直で、なんでも顔に出てしまうような人です。そんな人だから、濡れ衣を着せられてしまうのですが。  閉ざされたネルガルは、彼が「閉ざされてないネルガル」なるまでの物語です。無実の死刑囚と聞くとシリアスな話だと思うかもしれませんが、本当に面白いギャグマンガです。

    1
    投稿日: 2017.02.24
  • ティアリングの女王(上)

    ティアリングの女王(上)

    エリカ・ジョハンセン,桑原 洋子

    ハヤカワ文庫FT

    3部作の第1作目

     ティアリングの女王(上・下)は、3部作の第1作目です。そのため、今作だけでは物語の謎は解決しませんが、そのあたりを差し引いても面白いです。  主人公は美少女でも天才でもありません。コンプレックスを抱える普通の少女ながらも自分の思う国造りをしようとします。享楽に溺れる貴族、腐敗した宗教、虐げられた民衆など問題山積のうえ、隣国の支配者〈赤の女王〉という敵が存在します。今作で女王としての最初の一山を乗り越えたケルシーが、今後どうなるか楽しみです。続編を出すために是非購入してください。

    2
    投稿日: 2016.11.25
  • 朱鳥の陵

    朱鳥の陵

    坂東眞砂子

    集英社文庫

    女の業を感じさせる物語

     この物語の語り部は、白妙という夢解きです。 夢解きとは、夢をこの世のことに合わせて読み解くことです。白妙が夢の中に引き込まれていくように、読者も白妙の物語に引き込まれていくような感じでした。  飛鳥時代の風俗がよく表現されており、ルビも大和言葉で書かれています。歴史小説のような感覚で読んだら、???小説のような読後感を味わいました。結末を知らないで、ゆっくり味わってほしい本です。

    2
    投稿日: 2016.09.30
  • 聖者の異端書

    聖者の異端書

    内田響子

    C★NOVELSファンタジア

    少女小説でもあり、寓話のようでもある物語

     少女小説でもあり、寓話のようでもある物語です。  この世界では、女は自分の名前を持ちません。誰それ(父)の娘、誰それ(夫)の女という形で呼ばれます。男に従うのが当然とした世の中で、その事実を受け入れながら、己で思考し行動する「わたし」に好感を持ちました。  聖者の異端書という硬いタイトルですが、それだけで敬遠するのはもったいない物語です。色々削られた部分があると思うので、続編希望ですが、難しいかな。

    2
    投稿日: 2016.09.30
  • 明治失業忍法帖 じゃじゃ馬主君とリストラ忍者 8

    明治失業忍法帖 じゃじゃ馬主君とリストラ忍者 8

    杉山小弥花

    プリンセス

    貴方は誰派ですか?私は桐生さん派です。明治婚活出会い帖にランスがいなくて残念。

     私の浅薄な知識では、話についていくのが難しくなってきました。それでも、8巻の内容は、間違いなく面白いです。2回目からは知らない単語・人物を調べながら読み返しています。  神風連の乱や萩の乱など歴史の教科書にのっている出来事が起こります。シリアスな物語とは裏腹に清十郎×菊乃、ではなく、桐生×菊乃になれば良いのにと思う気持ちが止まりません(当世白浪でも腹黒の方が好きでした)。清十郎様との恋物語が話の軸の一つだと理解していますが、桐生さんは本当にカッコいい人です。もし、清十郎様よりも桐生さんとの出会いの方が先であれば、桐生×菊乃も有り得たと思います。ただ、桐生さんも清十郎様と一緒で、惚れても刹那的な幸福しかないように感じます。  これから西南の役に続いていくのでしょうが、清十郎様の本当のバックボーンと西南の役がどう関係するのか楽しみです。  また、お師匠様が言っていた四郎とは、東海散士のことでしょうか。

    3
    投稿日: 2016.06.13
  • 最後の王妃

    最後の王妃

    白洲 梓,池上紗京

    集英社コバルト文庫

    愛とは、与えるもの。笑顔は、魔法。

     最近の少女小説にはお姫様モノが多いです。この本の主人公も有力貴族出身で皇太子に嫁ぎ、皇太子妃となりました。その後、王子様とお姫様は幸せに暮らしました、という風にはなりません。皇太子妃になり、行く末は、王妃になるために育てられてきた主人公です。その努力が報われないとき、一体どうするのか。  また、最後の王妃となった主人公にどのような出会いがあるのか、前半だけでなく、後半まで読んでください。  甘いだけの少女小説に満足していない人におススメです。読みきりではなく、複数巻かけてヒーローとの関係性を書いても良かったのでは、と思います。

    5
    投稿日: 2016.04.08
  • 春天繚乱 花鎮めの姫と七星の剣

    春天繚乱 花鎮めの姫と七星の剣

    九月文,雲屋ゆきお

    角川ビーンズ文庫

    容姿・家柄・血筋の三拍子が揃った主人公

     宮中での陰謀と平安風ファンタジーが混じった作品です。主人公は、あまり宮廷生活に向いてなさそうな感じです。嫉妬渦巻く後宮で、顔も家も血筋もいいのに、何故か女房をしていることで周りの疑心暗鬼を呼んでいるのですが、勝気な態度で自分の主を守るのが精一杯で、他者の輪に入る余裕がありません。そのため、さらに猜疑心を強くされているように思えました。主人公は、宮中が自分の戦場と言っているので、今の状態からどのように変わるのか楽しみです。  多分、ヒーロー役は兵部卿・朱雀院の宮の方なのだと思いますが、幼馴染も格好良く甲斐性もあるので、幼馴染と結婚して自分に合った生活をした方が幸せになれるのでは、と感じました。

    2
    投稿日: 2015.11.04