
階段坂の魔法使い 恋からはじまる月曜日
糸森環,山下ナナオ
角川ビーンズ文庫
舞台は魔法と科学が存在する英国
触れた人を眠らせる呪いを受けているため、人々から「眠らせ姫」と呼ばれている少女ジュディが主人公です。 魔法使いは、鳥獣郵便という声を届ける郵便屋を営んでいるのですが、帰る所のないジュディは郵便屋で働くことを決めます。鳥獣郵便でトラブルが起きて、ジュディはそれを解決しようとするのですが……、という物語です。 触れたら眠ってしまう呪いを持つことから、孤独と興味本位な視線に耐えながら生活をしていたわりに、人を憎まない少女です。偏屈な魔法使いは、ジュディのそのような所に惹かれたのかと思いました。タイトル通り、恋がはじまっているのですが、方向がすれ違ってはじまっているようなので、次作で進展して欲しいです。
1投稿日: 2015.11.04わけあり商人の皇宮録 ~後宮は王子様だらけの楽園でした!?~
九月文,すがはら竜
ビーズログ文庫
次巻に期待。
大商人を目指す少女が主人公(マィヤ)です。この国では、ある程度の階級の女性は家のなかにおさまっているのが普通のため男装しています。父親が行方不明になったと聞いて皇宮に探しに行くのですが、簡単に女性だとばれます。皇宮に行ったことがきっかけで、家族同然に育ったサフィードに秘密があるのではないかと気づくのですが……、と言う物語です。 周りに秘密があると気づいても、自分自身に隠された秘密があるとは、まったく気づかないくらいに、大切にされています。このまま何の陰謀や野心にも関わらずに商人として成長していくのか、それとも別の道を歩むことになるのか、そのあたりが気になりました。
1投稿日: 2015.10.26キスと帝国 漂流王女ヴァージニア・ナイトの結婚
松田志乃ぶ,カスカベアキラ
集英社コバルト文庫
疑似ヨーロッパのような世界観
一言でまとめると、苦労してきた姫君が幸せな結婚をする物語です。苦労してきたと言っても、性格が曲がっているわけでもなく、現実的で努力家で率直な子です。 あっさりと両想いになるので、過程を楽しみたい方には向かないかも知れませんが、よくできた少女小説に仕上がっていて面白いです。
1投稿日: 2015.10.26ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版]
服部正也
中公新書
人は、宝。人を育て、中央銀行という組織を作った。
中央銀行と言えば、銀行の銀行・金融政策、財政政策ぐらいのイメージしか持っていませんでしたが、興味深く本書を読むことができました。敗戦後20年で服部氏のような国際貢献をした日本人がいたことを誇りに思います。 利に聡い現地の商人や、植民地時代の感覚で商売する白人達の様子など、当時の世情がよく分かります。思い込みなしでルワンダの人々と付き合い、地に足のついた政策を進めたやり方は、本当の援助だと思いました。 巻末に、ルワンダの悲劇について増補されています。その中にルワンダの難民支援についても書かれているのですが、シリアの難民支援にも繋がる内容だと思いました。
3投稿日: 2015.10.16トルコで私も考えた 1
高橋由佳利
YOUNG YOU
トルコに興味があっても、なくても楽しい本です
内容は古いですが、トルコの生活・気風などを知ることができて面白いです。話の終わりの方に、シリアの旅行記も少しのっています(アサド大統領がいる時代です)。シリアに、この旅行記のような風景が戻ってくることを祈ります。
1投稿日: 2015.10.16あくまで悪魔! ~おまえには漆黒の花嫁衣装がよく似合う~
我鳥彩子,深山キリ
集英社コバルト文庫
魔界と言っても、とても過ごしやすそうなところです。
不幸体質ゆえかピントの外れた美少女に育ったディオナが主人公です。魔界にきても風変わりな言動で周囲を困らせます。 ディオナは、神に愛された証である聖憐の刻印の持ち主です。それ故に魔界に連れてこられました。ナハトが次代の魔王になるために、神に愛された魂が必要なのです(ナハトは、訳ありの身の上で魔王に簡単にはなれないので)。神に愛されていると言っても、凄い能力を持っているわけではありません。能力はぬいぐるみに命を吹き込むことです。 魔界にも政治的な派閥があるようで、ナハトの身の上の事情の件もあり、最終的にどうなるか楽しみです。
1投稿日: 2015.10.16少年ユヅルの優雅で怠惰な王国1
響野夏菜,マルイノ
ビーズログ文庫
優雅で怠惰とは、金持ちだけのものだと思っていました
ユヅルの経済観念の無いワガママぶりに、ものすごくイライラしました。弟を甘やかすジュリに対してもむかつきます。甘やかすだけが愛情ではないと思います。共依存している姉弟の物語です。ハルトはジュリのどんなところが好きなのか聞きたいと思いました。
1投稿日: 2015.10.16壊滅騎士団と捕らわれの乙女 3
伊月十和,Ciel
一迅社文庫アイリス
結婚は条件、人柄を分かってもらうとこに行くまでが大変
今作では駆け落ち(里帰り?)してフィーリアの実家に帰ることになりました。その際、結婚についての話が両親から出るのですが、なかなか独身には耳が痛い話でした。少女小説なのだから夢を見させてくれても良いと思うのですが、妙なところでリアリティがあります。
2投稿日: 2015.09.25壊滅騎士団と捕らわれの乙女
伊月十和,Ciel
一迅社文庫アイリス
登場人物が皆、キャラが濃いです
田舎貴族の令嬢であるフィーリアは、はた迷惑な愛情を向ける幼馴染の王子様や自由すぎる従者に振り回されながら、駆け落ちした姉を探します。幼馴染の王子様と身分違いの娘と言う、設定だけならロマンチックな話なのですが、面倒な性格の王子様や、オブラートと言うものがないサブキャラのおかげで、とても楽しいラブコメになっています。 美人じゃないなどさんざんな言われようのフィーリアですが、誘拐されても悲嘆にくれることがなく、何を言われてもめげない性格が好きです。
2投稿日: 2015.09.25かぎろひさやか 玉響
深山くのえ,由羅カイリ
ルルル文庫
玉響とは、少しの間という意味です
お話の舞台は平城京、恵美押勝の乱の前年になります。奈良時代風の名前なのか、登場人物の名前が読みにくいです。物語は、辛い過去をもつ誤解されやすいヒロインが、ヒーローと出会って前向きになるという深山さんの安定のパターンですが、それだけでは物足りないので、もう一味なにか欲しい気がします。
1投稿日: 2015.09.25