tameさんのレビュー
参考にされた数
116
このユーザーのレビュー
-
妖奇庵夜話 その探偵、人にあらず
榎田ユウリ, 中村明日美子 / 角川ホラー文庫
キャラ萌え
10
角川ホラー文庫から出ていますが、一般に言われるホラーではありません。
妖人DNAを持った少数の人ならざる者達がいる社会で起きる妖人がらみの犯罪を、美しき妖人が解き明かす、少し切なくなる推理ものです。
…本当に怖いのは人ならざる妖人ではなく、人間の嫉妬や虚栄心からくる些細な捻れた気持ちだと怖くなりました。
妖人の小豆とぎと刑事の友情がほのぼのして癒されます。探偵役の口の悪い妖人(本当は優しい)と新米刑事(かなり天然だけど良い人)の会話が声を出して笑うほど面白かったです。 続きを読む投稿日:2013.09.25
-
アンデッドガール・マーダーファルス 1
青崎有吾 / 講談社タイガ
怪物専門の探偵たちは斬新
7
怪物が絡んだ事件でも、きちんとした推理ものです。
書籍説明を読んで、ホラーや、オカルトと勘違いされるかもしれませんが、著者の青崎さんは本格的な推理作家さんで、私も大好きな作家さんのお一人です。
怪物…には人間と比べて能力や、力の強さだけでなく、弱点もあって、そこを切り崩したり、証拠としてあげたりするところが、とても面白いと思いました。
物語の雰囲気はお堅いものではありません。探偵役の鵺夜と鳥籠を持つ男の津軽の微妙に不毛な会話に失笑する事しきりで。
津軽はトリニティブラッドのアベルのような雰囲気を感じたと書いたら解りやすいでしょうか?
もちろん、全然違うとお叱りを受けるかも知れませんが。
怪物と対峙するときの暴れ方と普段のオチャメな言動が落差があって面白いです。
反対に、鵺夜姐さんの美しさ、強さ、かっこよさに惚れてしまいました(///∇///)
メイドの静句はとても強いみたいですが、まだ1巻では存分にその力を発揮していない様子。2巻以降に暴れてくれることを期待します。 続きを読む投稿日:2016.10.19
-
ローウェル骨董店の事件簿
椹野道流 / 角川文庫
登場人物が魅力的
6
第一次世界対戦の数年後のお話。
顔に傷持つイケメン検死官に持ち込まれた遺体をめぐり、妖精のように可愛いと評判の友人であり担当刑事であるエミールと、事件を追うサスペンス形式のお話ですが、ライトノベルのよ…うな気軽さで読めます。暴力や大量に血が出るのが苦手な私には安心して読み進められました。
推量小説のタグが付いていますが作者が重きを置いているのは戦争で生き方が変わってしまって疎遠になった兄弟が、友人や養子の少年に助けられながら再び心を通わせ合う事だと思いました。
登場人物の描写がイキイキとしていて物語に入っていきやすいです。
兄の骨董店店主デューイは穏やかな中に意志の強さを秘めた美男で、弟の検死官デリックは従軍で出来た顔の傷が素敵に見えるほどのやんちゃな雰囲気のイケメン。二人の不仲になったいきさつを理解している可愛い容姿のエミール刑事は心もたたずまいも優しい人。
3人だけでなく全ての登場人物の会話や表情がイキイキと描かれていて読んでいて楽しいのです。
戦争と言うのは沢山の人生を狂わせてしまう罪深いものだ、絶対にあってはいけないと改めて思いました。
続きの巻ではもっと心を通わせ会う事ができるのでしょう。読んでみたいと思います。
ただ、事件の被害者の若くて美しい女性が死んだいきさつが解かれた時に、どうしようもない憤りとモヤモヤを感じたので☆4にしました。
続きを読む投稿日:2016.12.04
-
時をかける眼鏡 医学生と、王の死の謎
椹野道流, 南野ましろ / 集英社オレンジ文庫
法医学生のタイムスリップミステリー
6
医学生の遊馬は、母の故郷のマーキス島で自分が知ってる世界史とは少し時空が違う過去へ飛ばされてしまう。そこで殺人の罪を着せられそうになった少女を法医学的に弁護し、助けた事から王家の事件に巻き込まれていく…。
遊馬は自分の法医学の知識を使って王子達や、若い補佐官と事件の真相を暴いていく。
といっても、簡単に真相にたどり着くものではなく、ハラハラする場面も、冒険もある。
登場人物達がそれぞれ魅力的だが、特に私のお気に入りは第三王子として生まれたが、美しい姫として育てられたヴィクトリアだ。
彼は自分の成すべき事を冷静に捉えて王家の困難に立ち向かう。
頭の回転が良く行動力もあって会話も楽しい。
昔から愛読している作者さんがオレンジ文庫創刊に出した本書は読みやすくて、困難な状況でも前向きで明るい雰囲気。
基本に人間の良心と正義感と兄弟愛が流れている。
人は生きていく場所で自分の勤めを果たさなければならないと、優しく判らせてくれる。
このレビューを書いている時点で電子書籍では3巻まで出て読了している。
元の世界に遊馬が無事に戻るまで続くのだろうけれど、私としては戻って欲しくないような。
いつまでも読み続けたいシリーズだ。
続きを読む投稿日:2016.10.23
-
神様の御用人
浅葉なつ / メディアワークス文庫
ほっこり
6
神様の事は一般の日本人が持っている程度の知識しかない良彦。
怪我によって会社を辞めてしまって、アルバイトしながらも社会からはみ出してしまった寂しさを抱えています。
そこへモフモフの狐にしか見えない神…様が現れて、神様の御用人になれと言われます。
神様の御用を戸惑いながらも言われるがままこなしていく物語を読みすすんでいくうちに、良彦の事がどんどん好きになっていきました。
神様や、人に分け隔てなく優しく思いやる気持ちや、困っている神様や、人に何とかして役に立とうという誠実さが良い。
神様も個性的で面白いし、会話もテンポ良くて笑いながらほっこりとなります。
神職に就いている親友との、信頼があるからできる気のおけない会話も良いですよ。
神様のこと興味が無い人にも気軽に読んで貰いたいです。
読後感が良かったので続きも是非読みたいと思います。
続きを読む投稿日:2015.07.13
-
九十九さん家のあやかし事情 五人の兄と、迷子の狐
椎名蓮月, vient / 富士見L文庫
魅力的な兄達とモフモフのあやかし
6
イラストやあらすじで少女向け小説と思って読まないでいると、損をします。妖し好き、ファンタジー好きな大人の方もとても楽しめると思います。
そしてモフモフとイケメン好きな女子にもお勧めです(*^^*)
…主人公は14歳の普通(と自分では思っている)の女の子。亡くなった両親の代わりに5人の兄達からとても大事にされて育ちますが、少しウンザリもしている様子。
ですが甘やかされて育った嫌な女の子では決してありません。
弱いものに心を寄せる優しくて強い女の子です。
ある日、手紙が亡き父から届いた事で世界が一変してしまいます。
あやかしが嫁に貰いに来るという大きな困難に突然見舞われるわけですが、兄達や術師と力を会わせて一つづつ解決していきます。
兄達や術師の描写も丁寧に書かれていて魅力的です。
モフモフのあやかしも可愛い。
続き物なのでこれからどうなっていくのか2巻めも楽しみです。
続きを読む投稿日:2016.07.20