tameさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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我、天命を覆す 陰陽師・安倍晴明
結城光流, 伊東七つ生 / 角川文庫
清明としては異色
3
安倍晴明に魅力を感じて色々読んでいますが、この清明はちょっと異色かな。
清明好きならご存知の「母が狐」説の伝説がこのお話では本当と言う事になっています。
その為、20歳の清明は人と化生との間で悩み多き…青春を送っていて、常に世の中の人達から距離をおきハスに構えて生きています。
一流の陰陽師なので様々な依頼が来るのですが、到底敵わないバケモノを倒さなくてはならなくなり、獅子奮迅、満身創痍で闘う、人間らしい若い清明が本書の魅力です。
そんな清明でも見守ってくれる師や、気のいい押しかけ友人(清明はツンツンして突っぱねていますが)がいてくれるのは読んでいて救いを感じます。クスクス笑える箇所多数あります。
決して暗くなくスピードがあり、サクサク読めますよ。
お勧めします。 続きを読む投稿日:2015.02.28
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学ばない探偵たちの学園
東川篤哉 / ジョイ・ノベルス
テンポの良い笑いが満載
3
レビューのタイトルが推理小説ではないみたいで恐縮です。
さすが、東川さんの小説だけあって最初から最後まで笑いっぱなしでドンドン読み進めました。
初めの登場人物紹介からテンポ良く笑ってしまって。
でも、…高校生探偵達が夜の学校に忍び混んで自分たちの推理を検証しようとするところとか、ちゃんとプチ冒険もあり、面白いです。
何の因果か、探偵部顧問になった先生が事件を解決に導いて行く様が好きです。
推理小説を読んだことがない学生さんにおすすめですが、私のような推理小説が好きな立派な(?)大人の方にもお勧めします。 続きを読む投稿日:2014.03.10
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体育館の殺人
青崎有吾 / 東京創元社
人物紹介では探偵が「駄目人間」
3
作者が鮎川賞を受賞してデビューしたのが本作だ。
鮎川賞って何?と物知らずな私ものっけからぐいぐい引き込まれていった。
探偵役の高校生、裏染は学校の使われていない文化部の部室に住み着き、夜中にアニメ観…賞して昼間の授業は居眠りしてる駄目っぷり。しかし中間テストで500満点中500点とってしまう天才。
そもそも探偵役を承諾したのも、容疑者になってしまった先輩を助けたい卓球部員の柚乃から、10万払うから容疑を晴らしてくれと頼まれたからで。なぜってオタク生活にはイロイロとお金がかかるからで。
オレサマで、警察にも堂々と対等に対峙して、殺人現場に残された少ない遺留品と数分刻みの証言から、早々に柚乃の先輩の容疑を晴らしてしまう。
と、ここまではなんかかっこいいじゃない?なんて思った。
けどこの後、犯人探しを要求されると、さらに5万円上乗せ要求する駄目人間裏染天馬。
なにせオタクはオカネがかかるのだ。
ここで一つ言い訳させて欲しい。
駄目人間とは私の感想ではなく著者が書いている事をそのまま引用しているだけ。
オタク生活を送って、成功報酬を要求する駄目人間探偵だけど、私も気持ちは良く判る。オタクは悪くなーイ(^_^;)
とってもユニークな探偵役と、その探偵に上から目線で使われるワトソン役の柚乃。事件担当の刑事の柚乃の兄。部室に住んでいることを唯一知ってる良き理解者で、何暮れとなく世話を焼いてくれる新聞部部長の幼馴染みの女子高生香織。彼らから協力を得ながら(柚乃の兄は協力しているつもりはないが)、事件解決に奔走する。
読者への挑戦の章があり、その後に駄目人間ぶりをぬぐい去るかっこいい謎解き場面があり。
そして本当に最期まで驚く展開があり。
キャラが立っていて、くすっと笑えるオタク語録があって、ロジックで攻める本格派で、しかも読みやすくて面白い推理小説をお探しの方にお勧めします。 続きを読む投稿日:2015.06.07
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謎解きはディナーのあとで 2
東川篤哉 / 小学館文庫
毒舌執事ますます絶好調
2
大ヒットしてドラマ化された作品の2作目です。
短編の作品集なので気負わずに笑いながら謎解きが楽しめます。
執事の淡々とした推理と毒舌ぷりが益々絶好調でお嬢様刑事がアホ呼ばわりされてキリキリと悔しがる様…をお好きな方にはお勧めです。会話が面白いのもこの作家さんの好きな方所です。クールな毒舌執事にキャラ萌えします(≧▽≦)
個人の感想ですが、ドラマよりも小説のほうが面白かったです。 続きを読む投稿日:2013.11.22
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猫又お双と消えた令嬢
周木律 / 角川文庫
上品にゆったりと
2
タイトルから想像して、可愛い猫又が出るのだからファンタジーかと思いながら読み進めたのですが。
他の方も書いていらしたように、江戸川乱歩の少年探偵団のようなノスタルジックで豪華な子爵家が舞台の、戦後間…もない頃の推理ものでした。
上品な会話とゆったりした時間の流れの中に、気持ちよく心をゆだねながら読むことが出来ました。
猫又お双さんは妖怪というよりは、人間の少女になることの出来る長く生きた猫という位置付けです。
くりくりと丸い目で見上げられるとリューイチローは可愛いくて仕方無い様子。
猫又お双さんとリューイチロー(お双さんはそう呼びます)との会話で途中から犯人が解ったのですが、それが不快ではなく、むしろリューイチローが皆の前で謎解きをしていく様を見届けてやろうと物語の中に浸りました。
最後まで気持ちよく収まるところに収まり、誰も死なず、不幸にならずに良かったです。
少年探偵団のような雰囲気とトリックを暴くときの分かりやすい図解もあることから、小学校高学年からお勧め出来ると思います。 続きを読む投稿日:2016.07.29
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配達あかずきん 成風堂書店事件メモ1
大崎梢 / 東京創元社
本屋さん好きな人ならワクワクする短編集
2
書店員の鏡ともいうべきしっかり者の杏子さんと大学生のアルバイト店員で推理力抜群の多絵ちゃんが書店でおきる謎を解くシリーズ。
内容は犯罪から恋愛に絡んだものまで色々と。
正義感と常識を踏まえて謎と巻き込…まれてしまった人達に向かいます。
そしてとても暖かい空気感が流れます。
個人的に大好きなのは
「標野にて、君が袖振る」です。映画をみているようにビジュアルが脳内に流れてきて、切なくて涙ぐんでしまいました。
でも悲しいだけじゃなくて終わり方に希望がありました。他のお話も読後感が良いです。
気負わず短時間で読めるので昨今流行りの書店ものをお探しの方にお勧めします。 続きを読む投稿日:2015.03.29