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tameさんのレビュー
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  • パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から

    パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から

    似鳥鶏

    幻冬舎

    事件で傷を負った心に癒しのスイーツを

    とても読みやすくて謎解きも面白い。 キャラ達に好感が持てるし、全体の雰囲気がホンワリと暖かい。 元警部のイケメンパティシエの推理は、事件の詳細を聞いただけで犯人が分かってしまうくらい鋭い。 だけど事件の背景は甘いわけでもやさしいわけでもないわけで。 深い傷を癒す為に推理の後は癒しのスイーツを作って慈しみの心で事件関係者に振舞ってあげるパティシエ。 パティシエ自身の幼少期の悔しい経験から、傷ついた人の心情を理解して寄り添う事が出来るのでしょう。 許さなくても良いよと、私自身にも言ってくれたようで、少し楽になりました。 キャラ達の中では本部長秘書の直ちゃんが好き。 サバサバしてるようで思慮深い女の子です。 話し方も面白〜い(笑)

    3
    投稿日: 2014.07.01
  • 夜は短し歩けよ乙女

    夜は短し歩けよ乙女

    森見登美彦

    角川文庫

    総天然色な楽しいファンタジー

    少し昔風な語り口の「黒髪の彼女」と、普通の大学生「先輩」が交互に語る恋愛ファンタジー。 最初、ファンタジーというのを失念してリアル感覚で読んでいたので、だんだんと奇想天外さが増すに連れて、何それ〜とスマホを投げ出しそうになりましたが、、、 投げ出さなくて良かった。 楽しくて面白くて。 新しい扉がドンドン開けて行く感覚です。 読み進めて行くうちに彼女の素直さと前向きな強さが大好きになっていきました。 むんと胸をはるところが特に好き。 こんな言い回しが森見ワールドというのかな? 季節ごとに京都を舞台にした4つのエピソードがありますが、特に好きなのは学園祭のお話。 たくさんの登場人物が非常に魅力的で暖かい人達で、それぞれにエピソードを持っていて、一見何も関係ないようでラストには見事にパズルのピースがはまるようにピタリと大団円を迎えます。 彼女に逢うために大変な努力をしているのにすれ違ってばかりで、ちっとも先輩の恋心が伝わらなくて、笑っちゃうけど可哀想。 最後迄、恋の行方を見守りながら読みました。 読後感が良いです。オススメです。

    2
    投稿日: 2014.06.28
  • 月魚

    月魚

    三浦しをん

    角川文庫

    綺麗

    他の方が素晴らしい紹介を書き尽くされているのでこれ以上なにも説明は要りません。 なのに何故レビューを書くのか。 この作品が大好きだから書いてみたかったのです。 若い時代の苦く綺麗な掛け替えのない世界。 ひとつひとつがキラキラとした美しいシーン。 印象はセピア色なのにキラリと天然色が混じるような。 読後感は最高です。 ページ数は少ないのですが、何時までも心に残る大切な本です。

    2
    投稿日: 2014.06.27
  • ホーンテッド・キャンパス

    ホーンテッド・キャンパス

    櫛木理宇,ヤマウチシズ

    角川ホラー文庫

    好きな女の子を守る為ならオカルト研究会にも入ってしまいます

    幽霊なんて視たくもないのにオカルト研究会でこよみちゃんを守る森司。こよみちゃんは霊的なものに狙われ安いからだ。 頑張れとエールを贈りたい。 森司の恋が実りますように。 ホラーとしてはそんなに怖くないですが、本当にありそうで、それ故にリアリティがあり逆に怖いです。 何故心霊現象が起きるのか、読んでいてちよっぴり辛くなるエピソードもありました。

    2
    投稿日: 2014.06.27
  • 妖奇庵夜話 人魚を喰らう者

    妖奇庵夜話 人魚を喰らう者

    榎田ユウリ,中村明日美子

    角川ホラー文庫

    第3話は夷さんがかっこいいし、脇坂刑事大活躍‼

    第2話はマメ君が話しの主軸になりましたが、3話は洗足家の家令の夷さんが大活躍します。 ぱりっとしたスーツ着てアクションやっちゃったり、救出するため民家に飛び込んだり、女性達からモテモテだったり。 そして脇坂刑事が今回は大活躍でした。 良く頑張ったねと褒めてあげたい。 刑事らしからぬ、真っ直ぐな男はその優しさで被疑者も被害者も救うのですね。 暗い雰囲気を消してくれるのはキャラ達のテンポの良い会話のシーンでした。 冒頭の伊織と夷の火花が散りそうな舌戦。 ただ雑煮のことなのに、真剣に関東風か博多風かをお互い譲らない激しい論争が繰り広げられる所に、伊織が評する所のウスラバカ刑事の脇坂と癒し系マメ君がほんわかと楽しい雰囲気を作ります。 ホラーに分類されていますが、やはり怖いのは人間の妬みや恨みなのですね。 それを嗅ぎとり、近づき増幅させる青目と言う邪悪な影の存在。 その青目と深い因縁のありそうな伊織ですが、ラストの蝋燭の灯りの中で、庵で薄茶を点てた後、脇坂刑事に青目が何故自分に執着するのか告白する伊織。 驚きの関係性が明らかになります。 最後まで「そら恐ろしい世界感」に引き込まれます。

    2
    投稿日: 2014.06.27
  • 双頭の悪魔

    双頭の悪魔

    有栖川有栖

    創元推理文庫

    3度にわたる読者への挑戦

    江神シリーズ第3段は大ボリュームです。 お値段が前作2つに比べて高いと思いましたが、ページ数が多くなっているので登場人物の設定や山深い情景や豪雨の中の屋敷への侵入劇等が刺激的、かつ丁寧に描かれていて面白かったです。 そして3度にわたる読者への挑戦の章‼ ボリュームがあっても読み手を飽きさせません。 前作の孤島パズルの続きの設定ですが読んでなくても充分楽しめますし、孤島パズルのネタバレがしてあるわけでも勿論ありませんから安心して読めますよ。 陸の孤島となった過疎の村で同時に起こる殺人事件を江神とマリア、アリスとモチと信長の二手に別れて犯人を追い詰めて行きます。 前作と違ってアリス達の推理が冴えます。江神が橋が流された向こう側に居るからから頼れない分頑張ってます。 それと今回のアリスとマリアには微妙な変化がありました。ずっと会えない事がお互いへの思慕に繋がったのかなあ。ふふふ。。。 次作が楽しみです。

    1
    投稿日: 2014.06.26
  • 孤島パズル

    孤島パズル

    有栖川有栖

    創元推理文庫

    殺人事件と宝探しと読者への挑戦の章と ワクワク感が盛りだくさん

    江神とアリスの学生シリーズの第2巻にして作者の第2作目です。 今回も夏休みの話しで、推理研の新人女子大生マリアの招きで数億円のダイヤモンドが隠された孤島へ、江神とアリスが宝探しに行きます。 そこで一緒に泊まっていたマリアの親戚の突然の心中とも殺人事件とも分からない事件が起こり、その後に無線機が壊されていることが判明、凶器のライフルも無くなり、警察へ連絡が出来ないまま、第2の事件が、、、 江神とアリスとマリアは事件に深く関わっている宝探しのパズルも解いて行きつつ、殺人事件を推理していきます。 そしてすべての謎が江神によって解ける前に、読者への挑戦の章が1作目の月光ゲームに続きふたたび掲げられています。 殺人事件の他にパズルの謎解きと島内でのダイヤモンド探し、そして読者への挑戦。 この盛りだくさんなワクワク感にはとても楽しませてもらいました。 第1作目の月光ゲームより個人的にはこちらの方が好きです。 論理を重ねて推理を進める江神はやはり男前ですし、アリスはいつもどおり推理については普通の人でした(笑) アリスとマリアの会話が面白かったです。今回はアリスは恋は無しですけど。

    2
    投稿日: 2014.06.15
  • 踊るジョーカー

    踊るジョーカー

    北山猛邦

    東京創元社

    小動物みたいな探偵!?

    引きこもりの青年の特技は名推理と理解している友人の推理作家によって、探偵事務所を開かれ探偵らしい振る舞いを教えられながら事件解決に駆り出される音野順。しかし嫌でしょうがなくて、事件現場に行く時も「帰りたい」、現場では熊のような刑事にいたぶられ「無理」を連発←かわいそう。 でも事件現場にお手製のお弁当持って行く姿が可愛いくて、今までにないキャラクターに魅力を感じます。 本格推理の中に随所にコミカルなシーンが散りばめられて最後まで面白くて楽しめました。 軽い推理物を読みたい人にオススメします。

    3
    投稿日: 2014.06.05
  • 月光ゲーム

    月光ゲーム

    有栖川有栖

    創元推理文庫

    読者への挑戦の章があります

    国名シリーズから読み始めたので落ち着いた年齢のアリスしか知らない私には大学1年のアリス、恋するアリス、火村シリーズではないアリスは別人のように新鮮でした。 本書は著者のデビュー作品です。舞台となるキャンプ場に偶然集った大学生の若者たちが、山の噴火で下りる道が寸断された異常事態と、その中でおきる連続殺人に襲われます。リーダーシップをとるアリスの先輩の江神が地鳴りや噴火の危険から皆をまとめ、女子大生や怪我人を助けながらなんとか脱出方法を考え、探偵役もこなすカッコ良さにグイグイ惹かれました。 ラストの謎解きの前に読者への挑戦の章があるのも本格派として面白いと思います。(悔しい事に私は解けませんでした) アリスの恋がどうなったか最後までお楽しみ下さい。

    4
    投稿日: 2014.05.30
  • スウェーデン館の謎

    スウェーデン館の謎

    有栖川有栖

    講談社文庫

    哀しく美しい

    火村とアリスの国名シリーズです。 アリスが取材旅行で単身訪れた冬の磐梯で、スウェーデン館と呼ばれる民家の住人と交流を深めるのですが、そこで殺人事件が起こってしまいます。 雪の密室物に警察もアリスも住人達も頭を悩ませます。 そこでアリスは火村に援護要請するのですが、二人揃うと、途端に会話が生き生きと面白くなりました。 火村が宿の少年の傷ついた心を開いて事件の鍵を掴む所は、火村の子供の扱いが上手いなぁと面白く感じました。意外です(笑) いつもどうり事件は火村が鮮やかに解決します。 事件の哀しさとアリスの密かな恋心が真白い雪に覆われて、最後は癒しまで感じられた大好きな作品になりました。

    0
    投稿日: 2014.04.20