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間 文理さんのレビュー
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  • 陽のあたる家

    陽のあたる家

    さいきまこ

    フォアミセス

    システムを悪用する少数の人を

    排除するために、システムを真に必要としている多数の人を排除することは、ヒューマニティに反するのではないでしょうか。 行動経済学によると、社会的不公正に対して、自腹を切ってでも罰を加えようとする傾向を地球人はもっているそうですが、少数のシステムを悪用する人を排除することに重点を置くのではなく(もちろん大事なことですが)、多数の社会的支援を必要としている人にそれを与えようとしないシステムが社会的不公正である、という観点を思い出させてくれる、すばらしい表現だと思います。

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    投稿日: 2016.02.20
  • 予想どおりに不合理  行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

    予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

    ダン・アリエリー,熊谷淳子

    ハヤカワ文庫NF

    行動経済学という名前には、違和感がありますが、

    ついつい忘れてしまう、でもとても大事な視点を、思い出させてくれる名著です。 金銭的なincentiveを提示すると、その大小で行動が決定されてしまう。 選択肢が多ければ多いほど、選択できなかった可能性が増え、不幸に感じてしまう。 そうではなく、自分がすべきことの意義を、理念を、思い起こすことの方が大事。 残念なのは、記載が定性的で、それが本当にどれだけの大きさで、意味を持つのかが、明確ではないところがあったことでしょうか。元の論文にあたれって? そんな時間、ありませんがな。

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    投稿日: 2016.02.08
  • カンタ

    カンタ

    石田衣良

    文春文庫

    はらはらどきどきしながら、

    一気に、読み切りました。二人の男の子の、大人の世間との戦い、すこし離れて不思議な温度を放つ、お姫様。 子どもたちの親の葛藤も。 巧みな、そして力強い展開ですね。 そのうえ、最後は、ハッピーエンド(だと私は思うのだけど)なので、はらはらしながら、でも安心して読んでください。ハンカチは、人によっては持っておいたほうがいいかも。

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    投稿日: 2016.02.04
  • NHKはなぜ、反知性主義に乗っ取られたのか―法・ルール・規範なきガバナンスに支配される日本

    NHKはなぜ、反知性主義に乗っ取られたのか―法・ルール・規範なきガバナンスに支配される日本

    上村達男

    東洋経済新報社

    ちょっとくどいかなと思いつつ

    がんばって読みました。わたしたちの社会を、よりよいものにしたいと思う人たちが、知っていなければならないことをしっかりと書いているので、確かに勧めないといけない。けど、ちょっと。。。陰性感情が目立つなあ、読むのが辛いなあ、と、三ツ星にしようかなと思ったのですが。「おわりに」を読んで心が安らぎましたので、四つ星にします。 「・・・・・は、人工的な一神教でした。しかし日本は本来、一神教の国ではありません。日本人が慣れ親しんできた神道は、身の回りの自然の中に神を感じる、自然信仰に近いものです。」

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    投稿日: 2016.02.04
  • 火花

    火花

    又吉直樹

    文春文庫

    元気があって、よろしい。

    遅ればせながらの、購読。 元気があって、よろしい。理系と見なされている文系の世界に生きている私には、ちょっと、違和感が拭えませんでしたが。小説に、不条理を期待する人と、納得を期待する人で、感想はかわるかも。 (追記)最初三ツ星にしていたのですが、理系の血が半分の悲しさ、みんな三つ星〜五つ星では、役に立たんやろ、と情緒ではなく理屈が頭をもたげてきました。私の個人的評価として二つ星にしますが、先に書いたように、読む人で感想がかわると思います。ご自身で、読んでみてください!?

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    投稿日: 2016.02.03
  • パリ行ったことないの(フィガロブックス)

    パリ行ったことないの(フィガロブックス)

    山内マリコ

    CEメディアハウス

    なんとなく、落ち着いた気分になれる、一杯。

    よく覚えていないけど、たぶん新聞の書評で読んで。 興味をそそられたのだけど、本棚に飾るようなものではないかな、と電子書籍で購入。 淡々とすすみ、と思っていたら、段々とあったかくなっていきます。いくつかの人々の組み合わせが、予定調和のように。結構、うまいかも。

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    投稿日: 2016.02.03
  • ネアンデルタール人は私たちと交配した

    ネアンデルタール人は私たちと交配した

    スヴァンテ・ペーボ,野中香方子

    文藝春秋

    面白い! 知的な興奮をもたらしてくれます。

    考えようによっては、ゴシップのような事象を、根気よく、科学の段階を追って、綿密に証明していく。 一時の名声を目標とし、科学の段階を無視し、花火をあげればよい、という科学的ではない"科学者"、には耳が痛いかも。 読み物としても、最先端の科学をかいま見る窓としても、Jurassic Parkのアンチテーゼとしても、激しい競争の場に身を置く賢人の心の葛藤の記述としても、楽しめます。 ほんのちょっぴり、LGBTの風味もついています。

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    投稿日: 2016.01.21