
黒い雨(新潮文庫)
井伏鱒二
新潮文庫
失うわけにはいかない、人類の経験の記録です。
我々の世代が、親の経験を、子どもたちに伝えることを怠っているうちに、日本が、世界が、危うい感情の世界へと歩みを進めつつあるように思われます。そんな中、この本を(今更ながらに)読んで、少しだけ安堵しました。日本語を読むことができる人がいる限り、または他言語に訳されたこの本が存在する限り、失うわけにはいかない、人類の経験が、後世に引き継がれるのですから。
0投稿日: 2018.12.09人間の経済(新潮新書)
宇沢弘文
新潮新書
自分と社会と人類に、責任をもつということ。
それを良心というのであれば、まさに、日本の良心と言えると思います。その上、分かりやすい! 分かり易すぎて、あっという間に読み終わってしまって、勿体ない。 自分と社会に責任を持っていると自分では思ってらっしゃる方が多くって、その社会が、自分の周囲の人の、今日明日の、なのよねえ。。。せめて三代先の人類まで考えてほしい、三人の子持ちとしては。 レビューになってない? なってないです。一言、読むに値する本です。
0投稿日: 2018.11.11銃・病原菌・鉄 下巻
ジャレド・ダイアモンド
草思社
人類史の流れが、なんとなくわかりました。
少し冗長でしたが。 大陸の形が現在の人類の社会に影響していること、一つの均一な統一国家よりも複数の拮抗しうる国家群の方が(現在の定義での進歩に関して)タフであることに、(当たり前なのに)初めて気づきました。 問題は、現在の定義による進歩は、部分最適化に過ぎない、ことかもしれない!?
0投稿日: 2018.10.14ペンローズのねじれた四次元〈増補新版〉 時空はいかにして生まれたのか
竹内薫
ブルーバックス
ああ、難しかった。。
きっちりと、勉強しないとだめなんだな、と思いました。 人生、残っているかなあ。。。この本を理解できるまで勉強するのに。
0投稿日: 2018.10.0710万個の子宮
村中璃子著
平凡社
著者が与えられたジョン・マドックス賞とは
公共の利益に関わる問題について健全な科学とエビデンスを広めるために、障害や敵意にさらされながらも貢献した個人に与えられる賞とか。初めて知りました。つくづく、日本という国に、お互い議論をしあう土壌がないことが。。。とも思ったのですが、こんな賞があるところを見ると、欧米でもそうなのでしょうね。それと、一部なのかな、教授という人種の毒に辟易。。。 ところで、Bonferroni correctionを過大評価している点は気になりましたが、瑣末な問題で、内容は素晴らしい。ぜひ、ぜひ、文系も理系も一読を。
0投稿日: 2018.07.10火山で読み解く古事記の謎
蒲池明弘
文春新書
とても興味深い、お話でした。
私の中の文系はとても楽しみ、私の中の理系が、ちょっとエビデンスは、と問いかけてくるのが、水を差しました。
0投稿日: 2018.07.06食べごしらえ おままごと
石牟礼道子
中公文庫
美味しそうな、綴り方でした。
不調法もので料理の素養のない私には、十分に理解できなかったのは、とても残念です。申し訳ございません。。。
0投稿日: 2018.07.061984
ジョージ・オーウェル
ゴマブックス
DOUBLEPLUSRECOMMENDFUL
遅ればせながら読みました。戦慄の世界です。虚の世界で良かったです、本当に。 時の政権が事実を書き換え、元の事実がわからなくなっていく世界。常に他国と対立・戦争し、国民に自由について考える力・余裕を持たせない世界。 だけど、なんとも言えない風に本編が終わって、そこから続くappendixのNewspeakの解説も同じくらい恐ろしいかも。短縮した言葉を使うことで、元の言葉の持つ意味を狭め、微妙に変化させ、考えずに発音できるようにし、その概念を管理しやすいようにする。これって、日本でずっとされていることですよね。セクハラ(性的虐待)とか、◯◯とか。。。Oceaniaに強制されるのではなく、国民が自分で。。。。
0投稿日: 2018.06.29告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実
旗手啓介
講談社
日本人の必読書ですね
国家と個人の関係について、国家が個人に対して何を行うかについて、個人が国家に対して何を行うかについて、考えることを好まない人が増えているようにみえる日本において、これは国民必読の書だと思います。 そして、なんやかんやといっても、この取材をし、これを出版するNHKは、なくなったら困るメディアだと思いました。イギリスのBBCのように、NHKの基盤を固めることが、日本人と日本国のために、必須でしょう。
0投稿日: 2018.06.25苦海浄土 わが水俣病
石牟礼道子
講談社文庫
美しいことばで綴られた、深い悲しみの海。
著者の訃報に接し、軽い気持ちで購入。 被害者とその家族の、深い悲しみと苦しみを、美しいことばで紡ぎだし、読んでいる私が、本当は絶望してしかるべき事実を、その被害者と家族の心と、美しい日本語が寸前のところで救ってくれる、そのような「文」でした。 訃報に接してポチッとクリックした自分の軽さに、感謝しています。
0投稿日: 2018.06.25