
十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞
内館牧子
幻冬舎文庫
弘徽殿の女御にスポットライトを当てた物語です。
面白い!かなり面白い物語です。 出来がよすぎる弟をもち、本人いわく「二流の中」である主人公「雷」はある日突然 平安時代にトリップしてしまい そこで陰陽師としての日々を過ごす。 源氏物語という雅な群像劇と現代青年の葛藤が 不思議に交錯して 読むものを飽きさせないストーリー展開でした。 ☆5つとしたいけれど 平安時代の人々の言葉づかいがもう少し格調高ければと ちょっと惜しまれるところで ☆4つと評価しました。 私、物語の中の言葉づかいに ちょっと小うるさいタイプでございまして、、
7投稿日: 2016.04.27
迎え猫 古道具屋 皆塵堂
輪渡颯介
講談社文庫
今回の居候は猫です
江戸時代、スピリチュアル(怪談)、人情話、そして猫。 私が好きなテーマが4つも入っていて、これはもう面白くないはずがない! この皆塵堂シリーズも4作目ですが、今回はちょっとだけ趣向が違います。 いつもは困った事情を抱え込んだ青年が 皆塵堂に居候するうちに 状況が好転していくお話でしたが、今回皆塵堂に居候するのは 猫、猫、猫たちです。 猫好きの巳之助も 陰に日向に活躍して 最後はみんなが幸せに!そこはいつもと同じ、こわいけど幸せなお話なのです。
5投稿日: 2016.04.22
中国4.0 暴発する中華帝国
エドワード・ルトワック,奥山真司・訳
文春新書
大国を相手にするときの小国の心得
中国は毛沢東主席の死から今日まで チャイナ0, 1.0, 2.0, 3.0という段階を超えて世界に台頭してきました。 特に中国の世界戦略上、成功ともいえる チャイナ1.0の時代、諸外国の人々は 中国に脅威を感じることはありませんでした。 しかし、その後、2.0の時代に入ると世界の反応は一転、中国を政治、経済、平和への脅威とみなすようになります。 エドワード・ルトワックは歴史上、大国が陥った戦略上の失敗をもとに、今後のチャイナ4.0と世界、特に日本のかかわり方を示唆しましす。 中国の情勢を読みつつも 世界の歴史の裏側を読み解く道しるべとなる本です。 ちなみに、日露戦争で なぜ、日本が大国ロシアに勝つことができたのか、また、隣国が何故、日本を恨み続けるのかなどについての指摘も 面白くかかれています。
6投稿日: 2016.04.08
猫又お双と消えた令嬢
周木律
角川文庫
懐かしさを感じるミステリー
舞台は第二次正解大戦後すぐ、空襲にも焼けず残ったボロ屋に住む大学院生と猫又少女のお話です。 インテリと妖怪のコンビが ミステリーを解決しますが、なんといってもこの本の魅力は くっちゃね村のねむり姫さんがおっしゃっているように 江戸川乱歩シリーズを彷彿とさせるレトロな雰囲気です。 そして、物語の中で人々が使う昭和初期のような丁寧な言葉づかいも懐かしく好ましい、、 結局、だれもなくならず、血も流さず、最後に皆うまく収まっていくところが 肩を凝らさずゆったりと読めるお話でした。
9投稿日: 2016.04.08
謎解きはディナーのあとで 3
東川篤哉
小学館文庫
このシリーズの最終巻でしょうか?
この第3巻でも 影山の毒舌と「名推理」は健在です。そして、風祭警部の「ヘボ推理」も、、、 麗子と風祭警部は 名コンビだと思っていましたが、この巻で 警部の異動が決まり、警部の片思いも幕を閉じそうです。私、結構 応援していたんですけど。 最後の章で、名探偵コナン少年とのコラボ編もあり、お買い得感があります。
3投稿日: 2016.02.18
日本人に生まれて良かった
櫻井よしこ
悟空出版
若い人に読んでほしい本です
日本人として 世界に対峙する際、何を心に思い、誇りにして くみすればよいのか。この本はいろいろなヒントをあたえてくれます。 まずは 自国の歴史を知ること、世界での位置づけ、この国の人々が大切にしてきたことはなんなのか。 自国について知ることは 相手の国の人々や 歴史をリスペクトすることにもつながるでしょう。 テーマはお堅いようですが、スルスルと一気に読むことができました。
2投稿日: 2016.02.18
謎解きはディナーのあとで 2
東川篤哉
小学館文庫
ルーティンな三人にはまりました
謎ときはディナーの後での第2巻です。今回も 執事、影山の毒舌と推理は 冴えわたります。 私のこの本におけるツボは 一章ごとに出てくる 大財閥の令嬢 宝生麗子や、風祭警部の ルーティンな紹介や登場シーンです。水戸黄門の印籠や 遠山の金さんの桜吹雪のように しみじみと嬉しくなるのは 歳をとったからでしょうか。 それにしても、本の組み立て、サスペンスの内容は 本格的で なかなか読みごたえがあります。
4投稿日: 2016.02.09
謎解きはディナーのあとで
東川篤哉
小学館文庫
ほのぼのと殺人事件
この本の登場人物は 大まかに言って3人しかいません。 主役であり女刑事、大金持ちの令嬢でもある宝生麗子、その上司 風祭警部、麗子専属の執事 影山の3人だけです。 麗子は仕事柄 さまざまな殺人事件に立ち会いますが そこでは へぼ刑事である風祭警部の推理と 話を聞いただけで事件を解決してしまう影山の推理が好対照を見せます。 殺人事件を扱いながら コミカルな雰囲気で 寒い日に炬燵でミカンを食べながら読むのに ぴったりの本だと思います。おもしろいです。
6投稿日: 2016.01.28
縄文人に学ぶ(新潮新書)
上田篤
新潮新書
母性原理の日本について
一万年以上も続く縄文時代、日本列島では ほとんど争いもなく 生活技術にたけた人々が住んでいました。 その縄文時代という魅力的な謎を求めて 多くの考古学者や、歴史家、社会学者、科学者が考察し、本にもあらわしてきましたが、この本は 建築家といういわば門外漢の立場から書かれています。 その為、内容は多くの学術書に比べて 表層的で、独断的な意見に由来するものもあるのではないかと思われますが、「門外漢」の立場から専門の建築をはじめ 考古学、民俗学、社会学、文学とあらゆる分野にわたって、総合的に描かれています。 しろうとの私にとっては 目のくらむような統計や用例が列記された学術書よりはるかによみやすいものでした。 日本の社会の深層を読み取るうえで、ぜひ読んでおきたい一冊です。
6投稿日: 2016.01.19
三浦綾子 電子全集 続 氷点(上)
三浦綾子
三浦綾子 電子全集
不朽の名作です
小学六年生の時、家にあった「氷点」という本を読みました。 その時の衝撃はたいへんなもので、子供ながらに 小さな娘を殺された親の苦しみ、夫婦の間の葛藤、男女の心の機微というものを 驚きの思いでよみました。 そしてそのまま、その本のことは忘れていたのですが、今回この「続氷点」を読んで、改めて 素晴らしい名作だと思いました。 「続氷点」は 自殺をはかった陽子の蘇生からスタートし、兄妹として育った徹と陽子の恋の行方や 実の親子の対面などが 人の心にある罪と罰というテーマを潜ませながら展開します。 ちなみに、舞台としての北海道の魅力も満載で、南国に住む私にとっては 遠い土地へのあこがれも掻き立てられました。 不朽の名作だと、改めて思います。
3投稿日: 2016.01.14
