
終わりのセラフ 一瀬グレン、19歳の世界再誕1
鏡貴也,浅見よう
講談社ラノベ文庫
破滅をもたらしたグレンの心境
前巻で破滅に到達したので、サブタイトルを改めての新章開始。 と言っても、まだ破滅前後の話で、みんな16歳。グレンたちがふたたび暮人の配下に組み込まれるまで程度の進展。 その中で、世界の大部分の人間の命よりも仲間の命を選んだグレンが、簡単に開き直れたわけではないことが描かれる。 結局、周囲に流され真昼に引っ張られの、皆に期待される割に実はダメ男。まあ、その弱さこそが魅力なのだが。 フェリドや真琴&秀作も登場するが、この巻だけだと断片的でよくわからない感じ。マンガ版を読んでいれば多少は興味深いか。 ここまでしか進まないの?という物足りなさで★4つにしているが、グレンの心情に関してはとっても面白く読み応えあり。
0投稿日: 2018.01.06
フェアリーテイル・クロニクル ~空気読まない異世界ライフ~ 13
埴輪星人,ricci
MFブックス
話は進展してるけど
アズマ工房一行はもっぱらダンジョン巡り、ついでに神様巡りの様相も。 その間に国家的な問題は勝手に進んでいる。 最後に一応合流するものの、接点が少なくていまいち。 それなりに新しい種族は登場するも、それ自体がもはやパターン化して新鮮味がない。 最後におまけで、チョコレート事件関係者のその後が。 宏に恋人ができたなら許すという感じの子もいて、ハッピーエンドへの複線か?
0投稿日: 2018.01.01
(仮)花嫁のやんごとなき事情13 ~未来へ続く協奏曲~
夕鷺かのう,山下ナナオ
ビーズログ文庫
みんな幸せになりました
回想を入れつつの総集編的な後日談。 初夜に何をどうすればいいのかわからない、と焦るフェルから始まって、四人目の子供が生まれるよ、というところまで。 脳みそ溶けてる毒竜公・・・ ジルフォードの件は、やっぱりそういうことね。 自分から言い出さなかったのは意外かも。 とにかくみんな幸せになりました、というお話。 めでたしめでたし。
0投稿日: 2018.01.01
憧れの魔法少女の正体が男でした。
山田絢,おかざきおか
ビーズログ文庫アリス
意外に真面目系
タイトル通りの状況だけに、笑える場面もあるけれど、基本的には純真な思いの物語。 変に笑いを取りにいかないところに好感。 でも。 確かに面白い、いい話なんだけど。 もっと突っ込んで描くべきところがあるだろう、という感が強くて、やや評価が下がった。
0投稿日: 2017.12.24
ようこそ実力至上主義の教室へ 7
衣笠彰梧,トモセシュンサク
MF文庫J
綾小路と龍園の物語
まずは第一の対決として、綾小路の父親がついに登場。 その際に新たな情報もいろいろ確認できた結果、どうやら「好きなようにする」ことにしたらしい。 綾小路の危険性を警告していた茶柱先生も、実は本当には分かっていなかった感じ。 そんな開き直った綾小路と、龍園がいよいよ直接対決。 第一部クライマックス!という感じ。 渦中の軽井沢はお気の毒・・・ これまでより非人間的な部分が前面に出ながらも、わりと普通なことに喜びを感じていたりする綾小路は、やっぱり面白いキャラクター。 今回は龍園側の描写が充実しているせいか、D組は綾小路と軽井沢以外はほとんど見せ場がないのだが、高円寺にスポットが当たるのは注目ポイントかも。 あと、途中に各クラスの担任によるここまでの評価がはさまれている。 実際にあったあれこれを知っている目から見ると、解釈の仕方に担任の個性が出ているなーと感じてけっこう面白い。
0投稿日: 2017.11.01
セブンキャストのひきこもり魔術王 5
岬かつみ,mmu
富士見ファンタジア文庫
徹底したハッピーエンド
始まりはのんびりしているが、話は早々に動いて、『新世界創造(ワールドエンド)』を封じようという展開に。 儀式の成否は読んでのお楽しみとして、どちらにしても後が大変なのは予想がつくわけだが。 そこからのオールスター大活躍が見どころ。 いろいろヒントはあるので、主要な展開は予測ができる。 が、単に予定のプロットを追うのでなく、そこに至る様子が、予想外のことも含めて生き生きと描かれているのが、とても魅力的で読みごたえがある。 きちんと辻褄を合わせる丁寧な作風と、なんだかんだあっても登場人物がみんな前向きで明るいのも好み。
0投稿日: 2017.10.28
神様の御用人7
浅葉なつ
メディアワークス文庫
月にまつわる、知られざる物語
一応いつものように章分けはあるが、内容は一冊で一つの話。 姉(天照大神)や弟(須佐之男命)に比べて記紀での扱いが地味な月読命が、本人も弱り切った姿で登場。その理由にスポットを当てた物語解釈が、よくできている。 良彦もすっかり成長して、格好良すぎるぐらい。 穂乃花のエピソードのほうは、舞台が現実社会のせいか、話を進めるために「作った」感があって、少し引っかかった。 まあ、それも大神の采配かもしれないし、ストーリー自体は素敵なのでOK。特に文章だけでも「月」の存在感が伝わってくるのが素晴らしい。 良彦&穂乃花の人間サイドがだんだん自らの立場に自信をつけていくのに対し、今回の須佐之男はもちろん、おなじみの黄金や大国主命も含めた神様サイドは様々な感情や思惑に振り回されている。今後まだまだ大きなドラマがありそう。
0投稿日: 2017.10.14
異世界迷宮の最深部を目指そう 9
割内タリサ,鵜飼沙樹
オーバーラップ文庫
異世界迷宮の深部から脱出しよう
迷宮攻略(逆向きだが)と守護者の未練解消という、久しぶりに普通の内容。 その中で、千年前の問題が少しずつ明らかに。 自分の黒歴史を少しずつ見せられるような感じで、「なにやってんだ、始祖のカナミ」とつっこむ今のカナミが笑える。 カナミは安定したし、同行者はアブない女性陣抜きで、比較的まともなライナーのみ。 迷宮の守護者たちもカナミに好意的ということで、比較的安心して読める。 とはいえ、守護者はやっぱりどこか歪んでいて。 カナミも相変わらずいろいろ間違って。 問題は解決しないまま次巻に続くのだが、この巻だけでもとても面白い。
0投稿日: 2017.10.08
雷帝のメイド1
なこはる,ヤスダスズヒト
アース・スターノベル
語り口が面白い
みずからを「特別な存在」と言う、そして実際に「雷帝」と呼ばれるに至ったほどの力を持つ少女、ナナキ。 彼女が今は亡き「お母様」や、他人には見えない「友」すなわち雷神に向けて語る形で、物語は進む。 ズレていることは自認しつつ、わずか十六歳ながら、強さや誇りについて哲学的なことを語り、ときに実践しながら、最高のメイドを目指すナナキ。 一般的なラノベとはかなり雰囲気が違うが、これが実に面白い。 周囲もけっこうしたたかな人物が多いが、主の婚約者が珍しいタイプのキャラですごい。 ナナキが帝国から去る原因になった予言など、大きなストーリーもありそうだが、とりあえずは淡々と進む日常話が良い感じ。
1投稿日: 2017.10.03
アーマードール・アライブ Ⅰ ~死せる英雄と虚飾の悪魔~
FunnyCreative
ボイジャー
ポンコツ英雄と人形の、ちょっと泣ける話
(出版社が変わってレビューが見られなくなったので、こちらに再掲。本の内容は同じだと思いますが、万が一変わっていたらごめんなさい。) 2014年にラノベ文庫から出た作品。続きが出なくて残念に思っていたが、自主出版の形ながら続いてくれて嬉しい。 著者名がFunnyCreativeになっているが、奥付を見るとちゃんと「幾谷正」と書いてある。 主人公がけっこう変人でポンコツなのが面白い。 人形遣いだから文楽、と安直な理由で変な名前を付けられてお気の毒。 巨大ロボットに付属する人工の少女は『FSS』のファティマに似ているが、ロボット(機甲人形)と少女(仮装人形)は人格的に同一。 むしろ機甲人形のほうが本体で、ゴツいロボットが恥じらったりする(笑) 本文は所々加筆修正してあるが、基本的には変更なし。 イラストはラノベ文庫版のほうが雰囲気が合っていたと思う。文楽のアホっぽい顔とか。 電子版にはさらに、ルーシィ=「傲慢」ルシフェルと「蛇遣い」の関係の始まりのエピソードがついている。 設定資料も電子版での追加。コメントがけっこう面白い。 全般に名前はクセがあるし、その他の名称や設定なども、慣れるまで少し時間がかかる。 でも、重い設定とつらい戦いの中、けっこう笑えて、ちょっと泣ける、素敵な愛の物語。
0投稿日: 2017.10.01
