Queen M.さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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終わりのセラフ1 一瀬グレン、16歳の破滅
鏡貴也, 山本ヤマト / 講談社ラノベ文庫
殺伐とした世界観のわりに、気持ちいい
8
サブタイトル通り、コミック版で偉そうにしている一瀬グレンが主役。グレンと柊深夜がまだ高校一年、世界が破滅する直前の話。
ストーリー展開は単純だが、余計な要素をごちゃごちゃ入れていないぶん、見せ場がズ…バッと印象に残る。
殺伐とした世界だし主役はひねくれ気味だし、下手をすると後味が悪くなりそうなのに、意外にすっきり、気持ちいい。
グレンは実力を隠しているタイプの主人公。ただ、そのためのクズ演技が半端じゃない。
身分違いの幼なじみの美少女、なんていうのもありがちな存在だが、これも単純には済まない。
一味違う印象で気になる作品。 続きを読む投稿日:2013.10.17
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うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。1
CHIROLU, トリュフ / HJノベルス
幸せな気分になれます(^_^)
6
ひたすら「ラティナちゃん可愛い」な話。
ほんとに健気でいい子。
デイルは畏怖の対象になるほどの人物らしいが、その一端が見えるのは半分過ぎてから。それもあくまで親バカの流れから外れない。
周囲もみんな…ラティナのファンで、いい人たち。
たまに悪意にさらされたりもするが、周囲が黙ってるわけがない。
背後事情はいろいろあるようだが、とりあえず幸せで素敵な話。 続きを読む投稿日:2015.03.02
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ソードアート・オンライン1 アインクラッド
川原礫, abec / 電撃文庫
記念碑的第1巻
6
フルダイブ型VRMMOものの、もはや古典と言っていいシリーズの、いちばん基礎となる巻である。
この巻自体はもともと投稿作だったため、一冊で無理やり完結させたダイジェスト版みたいな内容。
小説としてじっ…くり楽しむには後の巻のエピソードや『プログレッシブ』のほうがいいが、
シリーズの基本となる設定と魅力のすべてはここにある。
この作品の特徴は、我々の知っているゲームに忠実な世界という点だろう。
他の多くのVRMMOものが、ほとんどゲーム機能が使える異世界みたいな違和感のない活動をしているのに対し、
SAOではアバターの視点・感覚にいるだけで、高度なVRを使っているとはいえ表示や動作はあくまでゲーム通り。
ゲームゆえの不自然さもそのまま存在している。
その一方で、自分の意思でログアウトできない、HPがなくなれば本当に死ぬという状況において、
この世界で「生きて」「暮らす」ことは「現実」でもある。
茅場晶彦は何を目的にそんな状況を設定したのか。この状況で、人々には何が起きるのか。
哲学的な面も含む、本格的なSF作品でもある。
もちろん、キャラクターの魅力も人気の理由。
ベータテスト経験者として有利な立場にあることに後ろめたさを抱きつつ、ゲームクリアのために独りで邁進するキリト。
運悪くSAOに囚われてしまっただけの素人にもかかわらず、戦いを生き延び、人望を集めるに至った美少女アスナ。
格好いい戦いぶりと、人間的な心の動きがいい感じ。
先述のとおり単独では物足りない感じもするだろうが、やはりまずは読んでおきたい巻。
続きを読む投稿日:2016.07.23
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横浜ダンジョン【電子特別版】 大魔術師の記憶
瀬尾つかさ, やむ茶 / 角川スニーカー文庫
前世は大魔術師
6
ダンジョン内部や、時には外部にも現れる魔物と戦うことができるのは、ダンジョン発生後に生まれてきた、魔力(ルーン)を扱う力を持つ若者たちのみ。
異世界で「白き賢者」と呼ばれる英雄だった前世を思い出した響…は、同時に魔法も使えるようになったが、魔物や探索者を嫌う妹に配慮して、それを隠して生きてきた。
だが、探索者であるクラスメイトの春菜の危機を救ったのをきっかけに、ひそかに彼女と彼女の相棒を指導することになる。
響はわりと真面目でおとなしいタイプだが、現代のレベルを超えた知識と経験でさらっと最強。
正直に前世のおかげだと言っても誰も信じないのは、都合がいいのか悪いのか。
前世で別れた恋人の運命もメインストーリーに関わってくる流れがいい。
関わる女の子たちも、みんな感じの良いキャラ。
なにかとエロい話に持っていきたがる子もいるが・・・
転生ものに、その他よく見るネタをいろいろ混ぜたような設定だが、無理なく完成度の高いストーリー展開になっているのがさすが。会話のノリやキャラクターも好み。
続きを読む投稿日:2015.09.09
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コータローまかりとおる!(1)
蛭田達也 / 週刊少年マガジン
非常識でもまっすぐ、最強
4
男なのに膝まである長髪をなびかせて、学園を駆け抜けるお騒がせ男、新堂功太郎。
でも、ただのアホではない。その名も極端流なる空手の達人、たぐいまれなる身体能力の持ち主。
好敵手に髪のない(「ハゲではな…い、剃っているのだ!」)風紀委員長、天光寺。
そして、ガールフレンド(?)の麻由美も風紀委員として功太郎と追いかけっこ。
常識には縛られないが、常に全力、まっすぐな功太郎のキャラが魅力的。
それに、闘いの場面がかなり本格的で迫力がある。
一見ギャグ漫画だが、本質は格闘漫画に近い。
続きを読む投稿日:2014.05.16
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ゾディアック・ウィッチーズ 十二星座の魔女
朱門優, ななかまい / 富士見ファンタジア文庫
意外に真剣で格好いい
4
旧家以外から十二星座の魔女となった東雪羽は、少女たちの憧れであると同時に、孤立した立場でもある。
一度は夢を断たれたが、ユキハのオファーを受けることで学園に入る機会を得たキミオこと君月秋生は、普段は気…力も体力もない「使えない使い魔」。
それぞれの目的と覚悟をもって入学した二人の物語。
よくあるパターンと言ってしまえばそれまでだが、粗製乱造という感じはしない。
ラブコメ要素はあっても、全体的には真面目な印象。
最後はかなり壮絶な戦いになるが、人を思いやる気持ちが基本の物語なので、後味は優しい。
気に入ったのは主に2点。
ひとつは、主人公であるキミオが、自分の立場や能力をきちんと理解していること。
「本人はわかってないけど実はすごいんです」というパターンは嫌いなので。
自分の特殊性を知っているタイプのほうが、格好いい。
もうひとつは、ちょっとした発言や出来事も物語の展開に絡んできちんと意味があること。
女の子の部屋に泊まってどうこうという定番も、決して単独で成立し完結したイベントではない。
このムダのない感じが好き。
シリーズとしての出来はまだわからないが、とりあえず第1巻は非常に気に入った。
続きを読む投稿日:2013.10.24