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Queen M.さんのレビュー
いいね!された数247
  • 巡ル結魂者1

    巡ル結魂者1

    秋田禎信,菊池政治

    講談社ラノベ文庫

    動じない理数系男とノリのいい魔法使い

    物語自体にはそれほど魅力を感じなかったが、キャラで楽しめた。 異世界に召喚される主人公に頭脳派は時々いても、 「化学が同じかどうか知りたいから、第十三族元素を順番に言ってもらいたいんだけど」 なんて真面目に言う奴は珍しいだろう。 ちなみにこの本のタイトルが「巡る」ではなく「巡ル」なのは、漢字と片仮名はあるのに平仮名がない世界だからですな。 その主人公にとりついた(リンクした、だけど似たようなもの)幽霊メイマスモゴリアさん。 すごいヒトなのに面白すぎる。 オーソドックスなヒロインとして火曜テイカもいるのだが、魅力的なのは断然メイ。 航斗とはわりとバランスがいいコンビだと思う。 他のキャラはあまり深く描かれないが、けっこう面白い。 航斗以外の一般的な「リンカ」は、何かの生物とリンクしてその力を得るのだが、なんでそんなものと、と思うような変テコ能力が続出。 キャラとしてはテイカがいちばんつまらないかも。

    1
    投稿日: 2013.10.31
  • ゾディアック・ウィッチーズ 十二星座の魔女

    ゾディアック・ウィッチーズ 十二星座の魔女

    朱門優,ななかまい

    富士見ファンタジア文庫

    意外に真剣で格好いい

    旧家以外から十二星座の魔女となった東雪羽は、少女たちの憧れであると同時に、孤立した立場でもある。 一度は夢を断たれたが、ユキハのオファーを受けることで学園に入る機会を得たキミオこと君月秋生は、普段は気力も体力もない「使えない使い魔」。 それぞれの目的と覚悟をもって入学した二人の物語。 よくあるパターンと言ってしまえばそれまでだが、粗製乱造という感じはしない。 ラブコメ要素はあっても、全体的には真面目な印象。 最後はかなり壮絶な戦いになるが、人を思いやる気持ちが基本の物語なので、後味は優しい。 気に入ったのは主に2点。 ひとつは、主人公であるキミオが、自分の立場や能力をきちんと理解していること。 「本人はわかってないけど実はすごいんです」というパターンは嫌いなので。 自分の特殊性を知っているタイプのほうが、格好いい。 もうひとつは、ちょっとした発言や出来事も物語の展開に絡んできちんと意味があること。 女の子の部屋に泊まってどうこうという定番も、決して単独で成立し完結したイベントではない。 このムダのない感じが好き。 シリーズとしての出来はまだわからないが、とりあえず第1巻は非常に気に入った。

    4
    投稿日: 2013.10.24
  • 天翔虎の軍師

    天翔虎の軍師

    上総朋大,庄名泉石

    富士見ファンタジア文庫

    リアリティーに欠ける

    あえて敵将に師事したという設定は面白い。 反逆する側も追う側も、共に学んだ間柄であり、互いの性格や力量を知った上で考えることになる。 しかし、それ以外はいまひとつ。 特に、細部に現実味がないのが難。 反逆する側もされる側も、大丈夫かこんなんで?という感じ。 戦記ものは知恵の勝負という要素が強いので、思慮に欠けるところが見えると興醒め。

    0
    投稿日: 2013.10.24
  • 黒鎖姫のフローリカ

    黒鎖姫のフローリカ

    坂照鉄平,鍋島テツヒロ

    富士見ファンタジア文庫

    殺し愛

    吸血鬼などの下僕にされてしまう主人公はよくあるが、ほとんどはその立場をあっさり受け容れているように見える。 なので、本気で「主人」を殺そうと頑張るスタッグが新鮮。 わざわざ上司に報告に戻る真面目な奴。 でもって、人間視点では結構シビアな話なのだが、化物連中が面白すぎる。 ツッコミ満載。 吸血鬼パンダって何よ(爆)

    0
    投稿日: 2013.10.17
  • アリストクライシ1 for Elise

    アリストクライシ1 for Elise

    綾里けいし,るろお

    ファミ通文庫

    好みが分かれそう

    「エリーゼのために」なんてサブタイトルをつけたり、いろんな伝承を独自の形で語りなおしたり。 技巧的というか芸術的というか、レベルは高い。 語り口もあって、詩的な印象。 あいにく私は散文派で、詩は苦手なタイプ。知的には評価するが、好み的にちょっと…… ケンジーやユージーンのことはまだこれからだが、二人の「化け物」の物語としては、これだけでもけっこう満足できる話になっているので、試しに読んでみるのは悪くないだろう。

    0
    投稿日: 2013.10.17
  • 終わりのセラフ1 一瀬グレン、16歳の破滅

    終わりのセラフ1 一瀬グレン、16歳の破滅

    鏡貴也,山本ヤマト

    講談社ラノベ文庫

    殺伐とした世界観のわりに、気持ちいい

    サブタイトル通り、コミック版で偉そうにしている一瀬グレンが主役。グレンと柊深夜がまだ高校一年、世界が破滅する直前の話。 ストーリー展開は単純だが、余計な要素をごちゃごちゃ入れていないぶん、見せ場がズバッと印象に残る。 殺伐とした世界だし主役はひねくれ気味だし、下手をすると後味が悪くなりそうなのに、意外にすっきり、気持ちいい。 グレンは実力を隠しているタイプの主人公。ただ、そのためのクズ演技が半端じゃない。 身分違いの幼なじみの美少女、なんていうのもありがちな存在だが、これも単純には済まない。 一味違う印象で気になる作品。

    8
    投稿日: 2013.10.17
  • さまよう神姫の剣使徒

    さまよう神姫の剣使徒

    すえばしけん,H2SO4

    富士見ファンタジア文庫

    優しく、格好いい

    最初のうちは、いかにも作り物の狭い世界に馴染めなかったが、読んでいるうちに気にならなくなった。 物語のメインは「人」だから。人の生きかた。 企みや命がけの戦いもあるけれど、全体としては穏やかな暖かい印象。

    1
    投稿日: 2013.10.12
  • 聖剣と魔竜の世界 1

    聖剣と魔竜の世界 1

    サイトウケンジ,黒銀

    オーバーラップ文庫

    ズレたキャラが楽しい

    実をいうと、本筋はあまり印象に残っていない。 まあ、最後のほうでいろいろ裏が出てきたので、次巻はまた感じは違ってくるかも。 それより、登場人物の言動がちょっとズレた妙な感じで、その独特なノリが忘れ難い。 立場と行動と本性のギャップというか。 堂々と顔をさらして「人間に恐怖と絶望を与える」と宣言した「ラスボス」が、引っ越しのご挨拶に来たり。 一方の聖剣士は、ゴーグルとマフラーで顔を隠した不審人物スタイルだったり。 面白いです。

    1
    投稿日: 2013.10.10
  • もちろんでございます、お嬢様3

    もちろんでございます、お嬢様3

    竹岡葉月,りいちゅ

    ファミ通文庫

    そして未来へ

    1巻でニッポン側の事情が、2巻でアングリア側の事情が描かれて、 3巻の終戦記念日でクライマックス。 肩すかしと感じる人もいると思うが、悲惨な過去や激しいバトルより、希望の持てる未来と強く優しい心を描いた作品としては、みごとな解決と言えるだろう。 とにかく、みんなハッピーエンド。未来に向けて歩き出します。

    0
    投稿日: 2013.10.05
  • もちろんでございます、お嬢様1

    もちろんでございます、お嬢様1

    竹岡葉月,りいちゅ

    ファミ通文庫

    敗戦国の少年と敵国の幽霊少女

    個々のネタは見たようなものも多いが、敗戦直後のニッポンという設定が、状況や言動に説得力を与えている。 また、高級ホテルのコンシェルジュ(決してノーと言ってはいけない仕事)という立場と、九郎のまっすぐな性格のおかげで、殺伐とせず人情話的な作風に。 天恵というのは要するに超能力で、一人ひとり能力は異なる。 ニッポンは天恵を持つ「麒麟児」を戦争の切り札としており、発火能力を持つ九郎も訓練中だったのだが、敗戦で行き場をなくし・・・ バトルも少しあります。 ラブコメ要素はごくわずか。

    2
    投稿日: 2013.10.03