第１巻が主要キャラクター紹介編だったのに対し、この第２巻は旧家を中心としたあれやこれやの設定説明が中心という感じ。 なので、残念ながらキミオやユキハは物語の中心からは少し外れた感じで印象が弱い。 読んでいる最中はいちおう面白いし、ユキハとキミオもちゃんと活躍しているのだが、読み終わってみると、獅子座の物語だな、と。 あと、時間を前後するストーリー進行がやや読みにくい。 まあ、これで状況とスタンスが明確になったので、次巻からはユキハとキミオを中心にした物語に戻って、本格的に話が進むと期待。 最後のユキハの状況だと、いきなり難しいスタートになりそうだが。

あらすじ的にはさほど珍しいものではない。 生体兵器の研究者に偶然関わって、開発者も予想外の化物じみた能力を身につけてしまった主人公が、普通の平穏な暮らしを取り戻すべく戦う話。 ライトノベルよりは少し大人の現実的な作風。 この作品の面白さは、蓮華晴久という人物。 少々感心できないこともするけれど、基本的には真面目で堅実な、（少し昔の）一般的な生態の大学生。 特殊な環境で育ったというわけでもない。せいぜい家事を叩き込まれたことと、顔のせいでヤンキーに絡まれた経験が豊富なぐらい。 なのに、まったく一般的とは言えない、非凡な人物。不死身になったからという以前に、いろいろと。 暴力と下ネタが苦手な人にはお勧めしませんが、面白いです。

特にツンデレ女王様と鈍感ヒーローとか、ベタすぎてなんだかなー、だが。 予想より気に入った。 成仏できない霊の心残りを解決してあげる話が、今回は３件。それぞれのエピソードもなかなかいい感じだし。 同時に少しずつ明らかにされていく狗朗の事情も泣けるし。 意外性はほとんどないけれど、心に触れるものがある。

顔と口先で女を利用して生きる詐欺師バーン。 自然の祖である竜に還ることを理想とし人間を嫌う「竜徒」の少女アーティア。 世間知らずの生真面目な少女と、軟弱だがしたたかに生きる青年が出会って。 基本はちょっといい感じの話、ではあるのだが。 スチームパンク的な世界に、この作者特有のスラップスティックなノリが炸裂。 けっこう壮絶な状況もあるのだが、なんかもう勢いで、笑って、泣ける。

男子だけでなく女子からも憧れの今日子。しかし本人は超鈍感で、恋心を抱かれている自覚は皆無。兄がいちばんモテると信じている。 その兄の明日太は、見た目平凡、本人も女性を敬遠し仏の世界に平安を求める。妹に恋慕する連中からの敵意は認識していても、妹からの愛情にはこれまた鈍感。 そこでついに、今日子を愛する女子たちが手段をえらばない行動に出た！ 百合なトラブルに巻き込まれた男はどうすりゃいいのよ、という話。 でも最後は、明日太が男を見せるのです。 やっぱりこいつが主人公なんだなあ。

三剣物語のいちばん中心になる作品。同じ世界・別の時代を舞台にしたシリーズがいくつかある中でも、内容・冊数とも段違い。 少女マンガで『指輪物語（ロード・オブ・ザ・リング）』をやったらこうなるという感じ。 美しく力強い妖精王から軍勢による殺戮まで、まさにこれを描くための絵柄だったのだなと思う。

相変わらずテンポよく話が進展していく。 案外早い段階で本性がバレるが、それで堂々と表舞台で活躍とはならないのがグレン。 深夜はそんなグレンと息の合ったところを見せる。 柊暮人は今回初登場だが、さすが大物という感じ。 コミック版でおなじみ柊シノアが顔見せ。 １巻ではまったく出てこなかった吸血鬼も絡んでくる。

血液銀行のシステムが面白い。 扱っているのは血液だが、取り立てにあったり破産したり、まさに金のような扱い。 しかし吸血鬼にとっては力そのものでもあるわけで。 辰巳がまたむちゃくちゃな存在で面白いというかなんというか。 「善意にあふれ、良心に欠如」とは言いえて妙。 全体にかなり特殊に作りこまれた設定なので、世界観に入り込みにくいのが難。 それでも面白いことは面白い。 あと、ミスリードを狙ったわざとらしい描写が少しうっとうしいかも。

とにかくクロウが強いのが魅力。 なにしろすでに剣聖（タイトルの「剣神」とは別）の継承者候補。 人間はソーディより基本スペックが劣るはずなのに、並みのソーディなど軽くあしらう。 まあ、人間的にはどこか壊れていそうだが。 でもって、筋金入りのセクハラ野郎（というか痴漢少年）。 ちなみに「剣に恋する」とは、強い剣士を見ると発情して(?)戦いたくなるという本能を表現しているらしい。 ソーディは基本的に女性のほうが強いので、クロウと兄弟弟子のラーシュ以外の主要キャラは実質女性ばかり。 いろんな女性が派手に戦いまくり。 剣だけでなく超能力使う人も一部いたり。

第１巻は実質プロローグなので少し評価が下がっているが、シリーズ全体としては星５つをつけたい。 いろんな要素がある物語。 名探偵マルタ・サギーと怪盗ドクトル・バーチのいい関係。 そして、諦め切った孤独な高校生・鷺井丸太が、異世界に飛ばされ人々に助けられ生きる中での成長物語。 さらには神あるいは悪魔のごとき力が働くカード戦争の世界。 神の力に近づくため殺人もいとわない秘密結社。 でもやっぱり、基本はラブストーリーかな。 愛を知る物語。 ちなみに時系列は１巻の次が短編集１で、２巻の次に短編集２です。