
樅ノ木は残った(上)
山本周五郎
新潮社
一つ見方を変えればこうなります
このお話については、2つだけ。裏表を逆にして考えると、人の生きる道の真実は他人には不明かも。そして、ラストで思いっきり泣いてください。
2投稿日: 2013.09.26
虚空遍歴(上)
山本周五郎
新潮社
周五郎長編3部作はどれもすばらしいですが、これはちょっと特別かも
山本周五郎の代表的な長編3篇、「樅ノ木は残った」「ながい坂」「虚空遍歴」。その中でもこの作品はちょっと別格との感想です。人間なせばなるとがむしゃらに生き抜くのもアリですが、一度うまくいかなくなった人生を立て直すのは並大抵ではないです。そして自分で自分のことも分からなくなり、制御もできず、体力も衰え、かといってすっぱりあきらめることもできず。話は江戸時代の芸を極める者たちの姿を追っていますが、現代をもがき苦しみながら日々生きている我々にとって骨身にしみる傑作です。
3投稿日: 2013.09.26
超・博物誌(電子復刻版)
山田正紀
徳間文庫
この本がSFの歴史の中に埋もれてしまうのが悔しい
ルナールの博物誌のSF版です。徳間書店のSF雑誌「SFアドベンチャー」に連載されていて、毎回本当に待ち遠しく、楽しみにして読んでました。 このレビューを見ていただいた方へのお願いです。是非是非手に取って(?)読んでみてください。特に寝る前のベッドで、布団の中でゆったり読むのをおススメします。素敵な夢を見ること請け合いです。
2投稿日: 2013.09.26
太陽の簒奪者
野尻抱介
ハヤカワ文庫JA
日本にもこんなSFを書ける人が居てくれたんだ
この作者から感じるのは、SFスピリットもありますが、星たちへの愛です。自分も今でも星空をみると震えを感じる方ですが、この作品の太陽系への思い入れは並々ならないものがあると感じます。ストレートで、爽快感のあるお話です。おススメです
6投稿日: 2013.09.26
マルドゥック・スクランブル The 1st Compression─圧縮 〔完全版〕
冲方丁
早川書房
面白いですが、微妙です
なかなか感情移入ができないSFでした(年のせいかな…)。作者が一番力を入れたと思われるカジノのシーンは特に微妙で、先の展開への期待と、実際の本筋がずっとズレまくっていました。この小説、何回か書きかえられていて、他の バージョンの読んだわけではないですが、この最後のバージョンでも、まだ何かが収まっていない落ち着きなさを感じます。キャラクターの設定や場面の展開に、必然性(もちろんSFには必然性より意外性が重視されるのはわかった上で)が欠けている気がします。もう少し納得感を味わいたかったです。この作品はかなり評価が分かれるのではないでしょうか。
1投稿日: 2013.09.26
楽園の日々 アーサー・C・クラークの回想
アーサー・C・クラーク,山高昭
ハヤカワ文庫SF
こんなおじいちゃん日本にもいるはず…
アーサーCクラークをSF作家としてだけ認識していた方は、是非彼の生い立ちを含めた生き様をこの本で堪能して下さい。技術者として、軍の技術員として、そしてもちろん極めつけのSFマニアとして、自分の趣味嗜好全開で生きるその姿勢に感動します。この本のトーンは、どこかで読んだことがあると思いましたが、ファインマン先生の一連のエッセイにそっくりです。物事を究めるということは大切なのです。日本ではなかなかお目にかかれない種類のエッセイですが、こんなおじいちゃんはこの国にも必ずいるに違いないです。きっと。
7投稿日: 2013.09.26
金田一耕助ファイル1 八つ墓村
横溝正史
角川文庫
金田一耕助はまずこれから読むべし
傑作です。もう何回読んだことか。犯人はわかってるのに楽しめます。推理小説で2回以上読んだのは、ホントこの本だけです。
1投稿日: 2013.09.25
怪盗紳士ルパン
モーリス・ルブラン,平岡敦
早川書房
いつ読んでも胸ときめきます
もう、何度読んだかわかりませんが、ルパンというキャラクターには心底憧れます。悪党には間違いないし、もし自分がルパンのターゲットになったら(まあ、そんな金持ちになる予定もありませんが)それはもう腹が立つだろうが、単なる高みの見物者としては、彼の爽快なやり口に溜飲を下げ、頭の回転の速さ、準備周到で有無を言わせぬ行動力、そして組織力に唸ってしまうのです。しかし「怪盗紳士」って、ほんと見事なタイトルだよなあ。
2投稿日: 2013.09.25
不愉快な現実 中国の大国化、米国の戦略転換
孫崎享
講談社現代新書
タイトルで損してますが…。
どうしてこんなタイトルにしたのかわかりませんが、著者の言いたいことは、このタイトルからは絶対読み取れません。私が読み取ったことは、戦後アメリカ主軸の外交政策と政治を一旦180度ひっくり返してみよう、ということです。実際、この国は戦後の落とし前を未だにつけていないかもしれないという漠然として落ち着かなさの原因と、この先、どんな政策で近隣諸国と付き合っていくのが得策かを理解することができました。うーん、やっぱりこのタイトルはおかしいです。
0投稿日: 2013.09.25
宇宙のランドスケープ 宇宙の謎にひも理論が答えを出す
レオナルド・サスキンド,林田陽子
日経BP
宇宙観がきっと変わります。今までの宇宙論本にがっかりさせられた方にお勧めです。
決して簡単な本ではありませんが、この種の本にありがちな、途中でギブアップせずに最後まで読み切れました。本当に理解できたかというとまだまだ私の理解力では手が届かないところにありますが、今まで全く理解できなかった「ひも理論」や「インフレーション」の本質的な考え方にようやくとっかかりができました。今までの自分の宇宙観は明らかに変貌しました。この宇宙に人類だけがいるのか、いないのかは些細な問題でした。並行宇宙の存在を感じる素直な感覚が養えます。
7投稿日: 2013.09.25
