Shuttle0131さんのレビュー
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213
このユーザーのレビュー
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大炊介始末
山本周五郎 / 新潮社
また、見事なストーリーテラーぶりで、言葉もありません。
5
私が理解していないだけなのか、もの知らずなのか、この作家はなぜここまでこの時代の庶民の様子を描けるのだろうかとにかく。もう何冊読んだか忘れましたが自分がタイムスリップして江戸の町にいるようで、とても心…地よいです。まだ周五郎を読んだことがない方はこの短編集を是非。そしてその後で「樅の木は残った」で号泣してください。 続きを読む
投稿日:2016.01.02
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反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―
森本あんり / 新潮選書
これが本場の反知性主義? 日本のは確かに違う
5
私には本当にわからないキリスト教からの道徳規範形成。でもこの本によりマックス・ヴェーバーの比較宗教社会学から見た宗教倫理からの資本主義の産出と同じくらい納得感ありました。かの国と我が国はどのように「親…密な同盟国」なのか?この目線から正直わかりません。わが国の反知性主義はどうやらこれとは違うようなので別考察が必要かも。とはいえ、この本は目を通しておいて損はないと思います。 続きを読む
投稿日:2016.01.02
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魚舟・獣舟
上田早夕里 / 光文社文庫
苦しむために陸に上がる。重力を耐える。百目の前日譚もあり…。お買い得かも
5
最後の話は、華竜の宮に繋がる短編です。人の物語はやはり自然の中が映えます。そして特に人は海から生まれ、海に還ります。その本能がそうさせるのか、海から陸へ上がるときの苦しい選択がなぜか切ないです。重力を…まともに感じる瞬間です。そしておそらく、人は宇宙から生まれ、宇宙に還るのでしょう。世間の重力から解放されるために。社会の痙攣から逃れるために。「華竜の宮」も是非読んでみてください。
[追記]
「妖怪探偵・百目 1: 朱塗の街」に繋がる短い話もあります。話が中途半端だなとは感じていましたが、正直、この話がシリーズになるとは思っていませんでした。妖怪好きの私としては、この展開、期待持てます。
で、結局この本、意外とお買得になりました…。 続きを読む投稿日:2013.09.25
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どくとるマンボウ昆虫記
北杜夫 / 新潮社
今改めて読んでも、これは昆虫記どころではありません…。
5
まず、今の読者に北杜夫の「面白さ」をわかっていない人がいたら(いるに違いない)、まず読んでみてください。どこからどう進んだら彼のような人間が出来上がるのか、当時もわかりませんでしたが、今読んでも、やっ…ぱりわかりません。とにかく愉快で、楽しめます。この2015年前後のちょっとぎすぎすした世の中が変だな、窮屈だなと思った方は是非手に取って、この規格外の破天荒さをお楽しみください。 続きを読む
投稿日:2015.03.15
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人類資金III
福井晴敏 / 講談社文庫
さて、次に行きましょう…。
4
雪が舞い始めたロシアで、手に汗握る。金が動くのが早いか、ひとが動くのが早いか。ロシアを舞台に大騒動。でも物語をなしているのはやはり人の行いですね。登場人物がみなさんとても映えてます。はい、大至急IVへ…。 続きを読む
投稿日:2013.10.31
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若者よ、マルクスを読もう 20歳代の模索と情熱
内田樹, 石川康宏 / 角川ソフィア文庫
マルクスを読んだ人からもっと話を聞きたくなります
4
この本の魅力は、大学の輪読ゼミですでに十分「マルクス」を読み込んだ同輩、先輩、先生からの話をじっくり聞いている気分になることです。まあ、もちろん「で、君はどう読んだ?どう考える?述べよ」と突然振られて…も何の準備もないわけですが…。正直、マルクスは内田先生にどう言われようが、自分で読み込む自信は全くありません。とはいえ、これを取っ掛かりに手を出してみようかな…。 続きを読む
投稿日:2013.10.29