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yakitoriさんのレビュー
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  • SCRUM BOOT CAMP THE BOOK

    SCRUM BOOT CAMP THE BOOK

    西村直人,永瀬美穂,吉羽龍太郎

    翔泳社

    「理論」はわかったから試してみたい方へ

    本書は「スクラム」理論を読んだ学んだ人が、「スクラム」でプロジェクト管理を行う際にどのようにチームを立ち上げて「スプリント」を行えば良いかとか、実際にプロジェクトをスタートさせた場合に直面する問題点を具体的(物語風)にマンガや図、写真を用意してわかりやすく解説してくれているので非常に役に立ちます。 スクラム関連本のほとんどが背景や理論の説明本なので「理論」はわかったから実際に試してみたいという方や実際に導入してみたがうまく行かなくて悩んでいる方に超オススメ。まさにブートキャンプだ。

    5
    投稿日: 2016.03.21
  • 首都消失

    首都消失

    小松左京

    徳間文庫

    今の時代だからこそ現実味が有る

    小松SFの中では映画化もされた有名作で、シミュレーション物。日本という国が東京という首都機能を失ったらどうなるのか?を真面目に描いている。SFの体裁は取っているので突如現れた謎の雲の正体や原因を突き止めようとする動きはあるものの、やはり話のメインは機能不全に陥った国の建て直しを如何に行うかに重きが置かれている。冷戦時代に書かれた作品なので核による首都攻撃を想定していたのではとも思うが、3・11を経験した今の時代だからこそ逆に現実味が有る。 その為、日本沈没の様なパニック物を想像して読むと肩すかしを食らうのでご注意を。また個人視点での話の展開は余り無いので物語的なカタルシスは期待しない方が良いでしょう。あくまでも広義の意味でのシミュレーション小説です。 実は作者は本作を書く前に「物体O」という短編を書いておりコレも同じく突如現れた謎の物体に日本の中心域が囲まれ連絡が取れなくなるという話。ただしこちらは物体の内側(閉じ込められた人々の自活の話)がメインの話でオチは結構シュールというかコメディ的?。本作を読むのなら話のネタに読んでみては。

    8
    投稿日: 2016.03.19
  • アンデッドガール・マーダーファルス 1

    アンデッドガール・マーダーファルス 1

    青崎有吾

    講談社タイガ

    とにかく楽しい怪物専門の探偵モノ

    作者の代表作である天才オタク高校生探偵の「裏染シリーズ」も面白いが、こちらはこちらで面白い。舞台は科学文明へと変わろうとしている19世紀末のヨーロッパ。人々を恐怖で支配していたモンスター達は狩る側から狩られる側へと変わろうとしていた。この様な歴史を背景に誰もが知っているモンスターを加害者、被害者、容疑者に迎えて怪物専門の探偵が本格推理で謎を解いていきます。 探偵役は輪堂鴉夜と助手の真打津軽。そしてその鴉夜に影の様に付き従う使用人の静句。各話の基本構成は事件の発端、推理パート、戦闘パートの3つに分かれており前半の推理パートでは聴き取りから現場検証、そして謎解きとお馴染みの展開。ただし推理は本格的で論理的なのでナルホドと唸ります…と普通の探偵モノならココで終了ですが、何せ関係者がモンスターなのでこの後バトルに突入します。(笑) とにかくこの3人組探偵が魅力的で鴉夜と津軽の推理パートでのお寒い掛け合いや戦闘パートでの津軽と静句の立ち回りがホント楽しい!また彼ら日本人探偵が何故ヨーロッパを彷徨っているのか、何故怪物専門の探偵をやっているのかなどの謎の部分も沢山あり早く先が知りたくなります。あと19世紀末のヨーロッパが舞台なので他の推理モノの有名どころが沢山出てきそう〜、今回もお一人登場しておりますが…。 推理&バトルで登場人物もほぼ超人や怪物ということでどこか雰囲気が西尾維新に似てるかも。コレ絶対アニメ化されるなぁ。

    8
    投稿日: 2016.03.12
  • さよならの手口

    さよならの手口

    若竹七海

    文春文庫

    アラフォー女探偵がリアルで面白い

    主人公の葉村晶は以前勤めていた探偵事務所が閉鎖したことで知り合いのミステリ専門店のバイトで生計を立てている元探偵。ある日、古本引き取りに行った先で白骨死体を発見するもその際に負傷し入院してしまう。その入院先で知り合った元女優から二十年前に家出した娘の安否についての調査を依頼された晶は、退院後、早速娘の行方を捜し始めるのだが以前その娘を探していた探偵が失踪していることがわかり、失踪の裏に様々な謎が隠されていることを知る・・。 このミス4位で文庫という手軽さもあり手に取った作品。女探偵モノなので以前読んだ「笹野里子」シリーズを想像していたのですが、あそこまでハードでもクールでもない。ですが内容はぎっちりと詰まっていてこちらの方が読ませます。失踪人探しが話のメインですが、その調査中に他の頼まれ事や厄介事に巻き込まれるというパターンで同時並行的に複数の事件の謎を解いて行きます。しがらみや同情心からきっぱり断れない主人公の優しさ(優柔不断さ)や調査を進めるに従って見えてくる暗い過去や苦い真実に真摯に向き合う姿勢にいつのまにか主人公の晶にどんどん肩入れして行ってしまう。(舞台となる京王線の仙川あたりに昔住んでいたのも理由の1つではあるけど(笑))アラフォー探偵の心情や境遇がリアルに描かれていて満身創痍になりながら事件を追う彼女を応援したくなります。 やるせない結末ですが、最後の最後に題名の意味がわかる出来事が用意されているので晶と一緒に大笑いしてください。

    6
    投稿日: 2016.03.09
  • 守り人シリーズ電子版 1.精霊の守り人

    守り人シリーズ電子版 1.精霊の守り人

    上橋菜穂子,二木真希子

    偕成社

    大人が読んでも面白い、和製ハイ・ファンタジーの傑作!

    「攻殻機動隊」の神山健治監督がこの原作をアニメ化するということで興味を持ち、NHKで放送されたアニメを観てこの原作を購入。読んでみてびっくりしたのがこの作品が児童文学として書かれたとは思えないぐらいしっかりと作りこまれた世界観を持っていたコト。またファンタジーとしての設定もさることながら、物語の展開が非常に上手い。勝者が作る歴史に隠されてしまった「精霊の真実」が物語の中にうまく織り込まれ終盤に向かうにつれて明らかになってくる展開にどんどん引き込まれていくのであっという間にクライマックスへ。最後は読み終わってしまうのが惜しくなってきます。 意外だったのがアクションシーン。始まってすぐに王子チャグムを助けに川に飛び込むシーンから彼を追う狩人との戦闘、最後の「精霊の卵」をめぐっての攻防戦などそれほど数は多くありませんが、読んでいると「短槍使いのバルサ」のスピード感ある体術が目に浮かんで来ます。戦闘シーンがこれほどうまく描かれているとは思っていなかったのでちょっと得した気分。 そして主人公バルサが超人的でないのもいい。怪我しては倒れ、思い悩む人間味に溢れた彼女に思わず感情移入してしまう。彼女自身にもいろいろな過去の事情があり、人物造詣に関しても確かに本巻のみで終わらすにはもったいないぐらいきっちりと作り込まれています。他にも星読みや呪術師などファンタジーには定番の人物が登場しますが、それぞれの役柄や職業の背景にも世界もしくは国の成り立ちが見え隠れしていて浮いた設定がなくしっかりと作品世界に根付いるので、全10巻のシリーズものを作るだけの世界が構築できています。 とにかく児童文学とはいえ侮るなかれ!大人が読んでも面白い、和製ハイ・ファンタジーの傑作、ご堪能あれ!

    13
    投稿日: 2016.03.05
  • 老人と宇宙

    老人と宇宙

    ジョン スコルジー,内田 昌之

    ハヤカワ文庫SF

    ゼロ年代SFの傑作、SF好きなら読むしかないでしょう!

    さすがにヨボヨボの老人が戦争するはずないとは思っていましたが、コロニー防衛軍が持つオーバーテクノロジーと絡めて背景説明から入隊までの過程を紹介する第一部は素直に楽しく面白い。人類の永遠の夢である若返り。しかも経験値をそのままに若返ることができれば…という反則技は、SFの定番であり王道。読んでいてワクワクします。第二部では入隊後の訓練から実戦、理解できない決して相容れることない多種多様な異星人を相手に戦う日々。ここは数多あるミリタリーSFと同じく超人的な能力と新兵器で活躍する主人公ペリーに同化し興奮します。そしてクライマックスの第三部。コロニー防衛軍の最強部隊ゴースト部隊との共同作戦と運命の出会い。ナノテクなどのオーバーテクノロジーを超えた先にあるものについて考えさせられる展開に。最後はベタですが、嫌いではない終わり方。 作者スコルジーのデビュー作にして代表作でもある本作は、「火星の人」と同じく(というかこちらが大分先)出版するあてもなくウェブで公開していた処、人気に火がつきアレよアレよという間にベストセラーに躍り出たと言うアメリカンドリームを成し遂げた作品。邦題を見るとヘミングウェイのパクりっぽく見えますが中身は至って野太いミリタリーSFで現在(2016年)5作品が出版されているシリーズモノ。 どれも安定の面白さで内容はシリアスですがどこかユーモラスで洒落が効いた話ばかり。本作の謳い文句は「宇宙の戦士」の21世紀版ですが、私的にはブリンの「知性化シリーズ」っぽいかなぁと思いました。何せ異星人が沢山出てくるので。 とにかくようやく電子化された海外ゼロ年代SFの傑作、SF好きなら読むしかないでしょう!

    21
    投稿日: 2016.03.01
  • ロックイン-統合捜査-

    ロックイン-統合捜査-

    ジョン スコルジー,内田 昌之

    新☆ハヤカワ・SF・シリーズ

    パンデミック後の近未来を描いた電脳SF

    意識はあるが体を動かせない「ロックイン」状態を引き起こすヘイデン症候群が蔓延してから数十年。未だ完全なる治療法がないこの奇病は毎年「ヘイデン」と呼ばれる人々を何百万人も世界中に生み出していた。彼らをサポートする為に発達したニューラルネットワーク技術のお陰で「スリープ」と呼ばれるロボットを操作したり、「アゴラ」と呼ばれるオンライン空間を利用してなんとか通常の生活を送っていた彼らの前に、アメリカで折しも毎年膨大な費用がかかる「ヘイデン」の助成金や支援を削減しようという法案が通った事から事態はキナ臭い方向へと動き出す…。 とにかく最初はこの社会情勢やヘイデンやスリープ、そして題名にもなっているロックインや統合者などの世界設定を理解するのにそれなりの時間がかかります。まあ話が進むに連れある程度迄はわかってくるようになるのですが、やはり理解して読んだ方が面白さは全然違うでしょう。主人公のシェインは幼いころに「ヘイデン」になった「スリープ」を操る新人FBI捜査官で配属の初日から先輩捜査官のヴァンとともに「ヘイデン」がかかわる事件の捜査にあたるのですが、この初っ端の捜査シーンから先ほどのキーワードのオンパレードになるにで結構?マークが飛び回るかと思います。このシーンを意識が飛ばされないよう読み切れば後は楽しい近未来世界が待ってます。 私的には攻殻機動隊の世界観が近いかなぁと感じました。「スリープ」はもろ「義体」だし、ニューラルネットワークも「電脳」っぽいしね。あの世界観が好きなら本作も楽しめること間違いなし。若干シェインがいい子ちゃん過ぎて主人公にしては薄味なのが気になりますが、大変作り込まれた世界観なので是非とも続編をお願いします。(短編は1編あるようですが。)

    9
    投稿日: 2016.02.28
  • ゲームウォーズ(上)

    ゲームウォーズ(上)

    アーネスト・クライン,池田真紀子

    SB文庫

    メチャクチャ楽しいロールプレイングゲームを一本クリアした満足感に浸れます

    スピルバーク監督が本作映画化で日本人俳優を探しているだとか、作家山本弘氏がビブリオバトルで本作をチャンプ本にしたとか、本作の翻訳者があの池田真紀子さんだとか、いろいろと気になっていた作品だったのですが今まで何故か機会がなく読み逃しておりました。読了した今はもっと早く読んでいればと猛烈に後悔しております。 化石燃料をほぼ採り尽くされた未来。世界の先が見えない不安と厳しい現実から逃れるため人々はOASISシステムという仮想世界につながっていた。そこでは学校から行政まで現実世界で出来ることはもちろん、何千という世界が存在しており、金さえ払えばどんな世界にでも行け、いろいろな体験ができる夢の世界。ところがOASISの創設者にして天才プログラマのハリデーが亡くなり遺言が公開された事からOASIS世界で彼の「イースター・エッグ」探しが始まる。何故なら遺言には「エッグ」を見つけた者に彼の全財産をすべて譲るとなっていたからだ。そして全世界が彼の「エッグ・ハント」に乗り出して五年が経過した現在から話はスタートする。主人公のウェイドは、母子家庭に育った一人っ子。たが母親が早くに亡くなり叔母のトレーラーハウスに身を寄せる高校生。彼は社会の底辺で生活しているのですが、ある日未だ誰一人として解くことができなかった「エッグ・ハント」の最初の謎を解いてしまい一躍有名人となってしまう・・・。 まずは見事に嵌まりました、メチャクチャ面白いです。読み始めるとやめ時がわからず久々に徹夜で上下巻を一気読みしました。とにかく日米の80年代サブカルチャーがテンコ盛りで音楽、映画、ゲーム、TVの話がこれでもかとうぐらい出てきます。特に最後のクライマックスシーンでの日本のオタク度が半端ない。とにかくオタク心をくすぐるストーリーでホントに最初から最後までニヤニヤしっぱなし。かなりマニアックな話ではありますが、どなたでもわかるように解説されているので困ることはありません。(知っていると数倍盛り上がれますが)仮想世界が舞台ではありますが現実世界もバランスよく描かれており、恋あり、冒険あり、謎解きあり、ゲームあり、映画あり、音楽ありとエンターテイメントがぎっちり詰まった作品ですので読み出したら寝不足になること間違いなしです。 私の中では映像化するならピクサーやデイズニーアニメ向きかなとは思っておりますが、実際には実写版のようですね・・・どちらにしろ原作に忠実に作るなら日米の版権問題をどうクリアするのかが非常に気になります。(笑)

    9
    投稿日: 2016.02.24
  • スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術

    スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術

    ジェフ サザーランド,石垣 賀子

    早川書房

    今までどれだけのガントチャートを見てきましたか?何百。その通りに行った事がありますか?ないね。

    必要に駆られて読み始めたのですが、読んでるうちに内容が面白くてビジネス書にもかかわらずあっという間に読んでしまった。もともとウォーターフォール型開発からアジャイル開発へ仕事のやり方をどう変えていくかのヒントがないかと関連本を手当たり次第読んでいたのですが本作は読み物としても面白い。アジャイル開発やスクラム関連の本を読むならまずは本書を読んでから読まれると良いかと思います。何故「スクラム」がそうなったのかを背景も含めて説明しているので非常に納得感があります。 10年かけて行ったFBIの基幹システムが失敗し、再度立ち上げた「センティネル」計画も納期・予算ともにオーバーという状況でなんとかしてくれと連絡が入る導入部がまず面白くガッチリ心を鷲掴みされます。ここで過去のやり方が如何に通用しないかの説明がされアジャイル開発でのメリットが語られるのですが、そこで彼らが再設定したプロジェクト計画が「当初予算の残り2000万ドルで納期12ヶ月で完成させる」というものでした。世間やFBI内部でもこの計画は無理ではと懐疑的でしたが、結果は予算内で納期は伸びて20ヶ月。納期7~8年オーバーで追加予算が3億5000万ドルという状況からの巻き返しとしては奇跡のような復活劇。 その後はスクラム誕生の経緯やチームの重要性(個人のパフォーマンスよりもチームのパフォーマンスを伸ばした方が効果的な事)、スクラムの方法論、スピードを阻害する障害の取り除き方、人はマルチタスクができない、現実的なプランニングの仕方(見積もり)、幸福度、優先順位のつけた方など仕事の仕方をあらゆる角度から検証し、どうして「スクラム」にその考えを取り込んだのかを過程(プロセス)も説明しながら説明してくれるのですんなりと腹落ちします。 おもしろかったのが幸福の章での「幸福度」の測り方で、人は幸福であれば「いい選択」や「いい創造」ができ、非常に良いパフォーマンスを発揮する。この「幸福度」を如何に上げてチームに取り込んで行くかということをノウハウも含めて語られています。このような物(感情)までを取り込む方法論って今までなかったなあと素直に感心した。あともともと「スクラム」の元になっているのが日本の製造業で有名なトヨタ方式。この「継続的改善」という概念を日本にもたらしたのがマッカーサー時代に日本経済再建の為に顧問として招かれたエドワーズ・デミングで、あの有名なPDCAサイクルのを提唱した人というのはこの本で初めて知りました。 とにかくシステム開発主体で描かれておりますが、仕事(プロジェクト)管理のやり方を汎用的に扱っているのでいろんなモノに応用できそうです。最後の章では「スクラム」が如何にいろいろな仕事や場面で取り入れられているかの事例を紹介しているのですが、特に興味深かったのがオランダでの教育での取り組み方で生徒達自身が自ら授業内容を決めて教え合う「エディスクラム」。これは是非日本でも取り組んでいただければ思う内容でした。 とにかく本書を読むと「スクラム」を使って何か(仕事)をしてみたくなる事、間違いなし。

    4
    投稿日: 2016.02.19
  • ガンメタル・ゴースト

    ガンメタル・ゴースト

    ガレス・L・パウエル,三角和代

    東京創元社

    アンドロイドは電気猿の夢を見るか?

    イギリスとフランスが統合され連合王国となった未来。元記者ヴィクトリアは元夫のポールが殺されたとの連絡を受け急遽ロンドンへ。そこで謎の襲撃者に襲われソウル・キャッチャーという脳のバックアップを強奪されてしまう。また父親である英国王がテロで意識不明になった英国皇太子メロヴィクは父親に代わって公務に追われる毎日。SPの目を盗んでパリの大学の恋人ジュリーに合うのが唯一の息抜きだったのだが、そのジュリーにそそのかされオンラインゲームの主人公AIの強奪に巻き込まれてしまう。そしてそのオンラインゲームの主人公アクアク・マカーク(不死身の猿)は自分だけが生き残ってしまう境遇に悩み始めていた...。 スカイライナーなどの連結飛行船(なんと原子力駆動)などのレトロ設定もあればジェルウエアやアンドロイドなどの電脳設定、はたまた火星のテラフォーミングから不死を崇めるカルト教団までとにかくおもしろ設定のごった煮で、恋あり、アクションあり、謀略劇ありと三人?の主人公を交互に描きながら話はどんどん進んでいきます。中盤以降はそれぞれの話がつながってクライマックスへと雪崩れ込んでいくので大変盛り上がって楽しいのですが、後半も等しく三視点なのでその点はどうにももどかしかった。あとがき読むと作者的には不死身の猿であるアクアク・マカーク押しらしい。だったらもっと全面に押し出したらそれはそれで面白い作品になったのにと正直思った。私はマカークの声を山寺宏一(銭形バージョン)に脳内変換して読んでおりました。 本作も続編があるようなので出たら読みます。

    8
    投稿日: 2016.02.19
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