shohjiさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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許されざる者
レイフ・GW・ペーション, 久山葉子 / 東京創元社
やんちゃ坊主そのままの退職警官2人が時効を過ぎた事件に挑む。
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片方は現役時代「角の向こうを見通せる男」と言われた切れ者だが脳梗塞で倒れ入院。2人の会話は熱く正義感に溢れ着々と事件の核心へと迫っていくが同時に高カロリー食への追憶も繰り広げられる。
北欧ミステリー…、9歳の少女、暴行、死体遺棄、時効、などから想像したのは暗く重い作風だったが意外なほどテンションが高いので戸惑った。
ところが第2部に入ると加速度的に面白くなった。それにしても犯人を捜してどうするのかと心配したが謎が解けてからが本当の物語りの始まりだった・・・創造していた雰囲気と違っていたうえに謎解きの楽しみもなかったが面白い作品だった。 続きを読む投稿日:2018.06.25
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氷の秒針
大門剛明 / 双葉文庫
時が解決しない悲しみもある。
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時効廃止で明暗を分けた2つの事件の関係者が運命を乗り越えて行くお話。
時計修理技能士の俊介は妻を殺されて15年苦しみ続けた。人の優しさを感じても心にささくれがあって感謝を表すことができない。幸せになり…たいと思っても上手くいかない。
心理描写が続きミステリより恋愛小説にしたほうが良かったのではないかと感じる。
少し残念な展開ではあるが私は時計修理に興味があるので楽しみながら読むことができた。同じ時計を28年もオーバーホールしながら使っていてちょっとしたコダワリを持っているのである。
時計好きのかたにはお薦めの一冊。
続きを読む投稿日:2017.04.18
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コクヨ式 1分間で伝わる話し方
下地寛也 / 中経の文庫
流石に1分は短いのではと思いながら読んだ・・・
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文房具が好きでコクヨさんも大好きなので興味をもった。さらに私が社会人になったばかりの頃は3分間スピーチだったが、ついに1分になったかという感慨もあり読んでみた。しかし3分は思った以上に長かった記憶があ…るが流石に1分は短いのではと思いながら読んだのであった。結論から言うと驚く内容ではないが実践的な方法がしっかり書かれていた。早口を改善するにはスピードを遅くするのではなく間を入れること、声の出し方、朗読、シャドーイングなど、社内の共通認識とするのは難しいことだがしっかり研修に取り入れているのは凄いと感じた。 続きを読む
投稿日:2018.05.30
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FBI元心理分析官が教える 危険な人物の見分け方 あなたは毎日“隣りの隠れた犯罪者”に狙われている!
メアリー・エレン・オトゥール, アリサ・バウマン, 松本剛史 / 学研
危険は本能や直感では感知できない。
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元心理分析官が危険人物を見抜く方法と対処法を伝授するため実例をあげて書いた本である。危険は本能や直感では感知できない。危険な人物は愛想が良く魅力的で自分を無害に見せるためのウソが上手い。人の印象を操作…することはとても簡単なことである。そして危険な人物はそのやり方を心得ている。周囲に溶け込むのも上手く外見だけでは判断できないのだ。子供は見知らぬ人間に誘拐される危険より身近な人間に虐待される確率のほうが高い。非常に怖ろしい内容が続くが引き込まれていく。確かに一般的な価値観で語れない相手はいるのだと思う。
特にインジャスティス・コレクティングという言葉が印象に残った。不当な扱いを受けたという思いを溜め込んでいつまでも反芻して絶対に忘れない。絶対に許さない。復讐を考え大勢の人に対する不平不満リストを作成するような人物のことである。そして無防備な人間やNOと言えない人間を探りあてるのが上手い。自分の周囲にいる人間を安易に信用し過ぎていないか確認する方法や質問の仕方など具体例が多くて参考になる。しかし身近に潜む危険を考えることも程度問題かなと感じるのも事実である。 続きを読む投稿日:2017.01.26
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ガダラの豚 I
中島らも / 集英社文庫
最高のエンターテイメント作品
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最高のエンターテイメント作品とTwitterなどでも度々話題になっている評価の高い作品である。新興宗教、アフリカ呪術、超常現象など不思議な話が次々出てくる。くだらないようだが何気ない台詞に「なるほど」…と思えるセンスがある。中島らもさんは博識なかただったのだなぁと感心するばかり。トリックの「謎解き」や「洗脳はずし」などが面白いのでストーリーはどうでもよくなってしまった。とにかく面白い作品であるが、ユリ・ゲラーをリアルタイムで見た私としてはスプーン曲げくらいは害がないので許してあげても良いような気もする。 続きを読む
投稿日:2017.04.24
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ホームタウン
小路幸也 / 幻冬舎文庫
他のシリーズとは作風が違っているが面白かった。
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どちらかというとデビュー作に近い雰囲気で些細な出来事をきっかけに平凡な人生が変わっていく不思議さを描いている。
幸せな家族だったはずなのにある日、父と母が互いに傷つけあい亡くなってしまう。その場を目…撃した兄妹。自分たちには殺人者の血が流れている。それぞれの方法で辛い日々をやっと乗り越えた2人だったが突然の妹の失踪。
大人になるってことはドアを閉めることを覚えることだ。責任ある立場の社会人として、時として嘘を突き通さなくてはならない時もある。それぞれの揺れ動く思い。
主人公の征人が百貨店内部監察の仕事をしてることも関係し軽いミステリ仕立になっているが全体を通して優しさがにじみ出る流れである。
嫌なこと、辛いことは溜め込まずに少しずつ吐き出しておきなさい、年寄りはそれを聞くのが役目、そしてぜんぶ墓場までもって行ってあげるよ。ばあちゃんの言葉が暖かい。
私たち世代はもしかしたら歳のとりかたを少し勘違いしてるかもしれない。いつまでも元気で若くいることも良いけれど上手に枯れていくことを学ばなければと感じた。 続きを読む投稿日:2018.07.13