shohjiさんのレビュー
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毒見師イレーナ
マリア・V・スナイダー, 渡辺由佳里 / ハーパーBOOKS
物語っていいなと実感できる
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NHK-FM青春アドベンチャーのラジオドラマを聴いて面白かったので電子書籍を購入。
サバイバル・ファンタジーというジャンルは馴染みがないので私はもしかしたら最高齢読者なのではないかと変な心配をしなが…ら読んだ。
異世界にあるイクシアという国家が舞台。19歳の死刑囚イレーナは死刑執行日に絞首台に行くか毒見役になるか選択を迫られる。毒見師という職業も面白いが逃走防止用に猛毒を飲まされ解毒剤を毎日呑まなければ死んでしまうという設定が凄い。
いつも一人で苦しみを背負い逃げ出す準備をしながら生きてきた少女、孤児のイレーナ。自分の未来には希望も夢もないと考えながら迷路に迷い込んでいたが毒見役になったことで強く成長していく。
考えてみれば誰もが日々選択を迫られ今日を生き延びても明日のことなどわからないのだ。魔術師や幽霊も出てくる異世界の話なのだが生死のかかった緊迫感ゆえなのか結構面白かった。本来はリアリティあふれる小説が好きだがこういう作品を読むと物語っていいなと実感できる。 続きを読む投稿日:2018.02.07
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聞かなかった場所
松本清張 / 角川文庫
人間には知らないほうが幸せなことがあるのだ
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主人公・浅井の妻は外出先で突然亡くなった。心臓発作だったが何故妻はそんな場所に行ったのか。浅井はその疑問が頭から離れなくなり妻の行動をしつこく調べ出す。農林省食糧課の係長で小心者で真面目な仕事人間。そ…の小心さが自分を追い詰めてどんどん深みにハマって行く。人間には知らないほうが幸せなことがあるのだと溜息が出るような展開である。この小説に刑事は出てこない。新聞記事と興信所の報告書、浅井の隠密行動と妄想が話を導いている。もちろん派手な立ち回りもない。かなり地味な小説なのだがどうしてなのか一気読みしてしまった。 続きを読む
投稿日:2017.05.17
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思考・発想にパソコンを使うな 「知」の手書きノートづくり
増田剛己 / 幻冬舎新書
主に手書きノートを薦める内容
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手帳、メモ、ノートの違いと使い方が書かれているが主に手書きノートを薦める内容になっている。ノートはメモを文章として書き直したものであり手帳のような決まり事がなく自由である。本筋からは逸れているが星新一…、伊丹十三、永井荷風、山田風太郎など文豪の日記やノートの引用が多数あり楽しめた。夏目漱石は英国留学時に英語の本一冊につき大学ノート一冊という読書ノートを作っていた。古川ロッパは25年間日記を付けていたが昭和19年、日記帳が手に入らなくなってノートに書くようになったがその使い勝手の良さを書き残しているという。
また、吉行淳之介をめぐる3人の女性の日記や私小説なども面白い。つい最近、宮城まりこさんとねむの木学園の特集をTVで見たばかりなので色々考えてしまった。有名な話としては石川啄木のローマ字日記などがあり、私が読んで感動した遠藤周作「深い河」創作日記にも触れている。この本を買った本来の目的は一体なんだったのか?とも思うがかなり楽しめたので良しとしたい。 続きを読む投稿日:2017.01.26
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真相
横山秀夫 / 双葉文庫
「真相」は時として残酷だ。
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重い過去、重い秘密を抱えてしまった人々を描いた何とも切ない短編5篇。息子を殺した犯人が10年たって捕まった。犯人の供述から息子の別の顔が明らかになっていく。これは父親の立場で読むか、母親の立場で読むか…で大きく読後感は変わってくると思う。父親は「息子は被害者なんだ」と周囲に怒りをぶつける。母親は「だからって、あの子があの子でなくなる訳ではない」というふうに考える。私はやはり母親の考えに共感してしまった。 続きを読む
投稿日:2017.01.26
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のうだま2 記憶力が年齢とともに衰えるなんてウソ!
上大岡トメ, 池谷裕二 / 幻冬舎文庫
この本は啓発書と違い脳科学の立場で説明しているので理論的に納得できる。素晴らしい。
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記憶力は衰えない。大人は子供より記憶の貯蔵量が多いので探し当てるのに時間がかかる。そのうえ勉強が仕事だったころと比べると日々の勉強量は減っている。大人になるにしたがって何でも簡単に片付けてしまって感動…も好奇心も薄れる。このような理由から年齢と物忘れは結びついてしまう。全く返す言葉もございません。結局は「尊い好奇心を失うな」ということなのだ。ということは次々と読みたい本が出てきて積読本が増えるのも良いことなのだ←自己弁護です。 続きを読む
投稿日:2017.01.26
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のうだま1 やる気の秘密
上大岡トメ, 池谷裕二 / 幻冬舎文庫
上手にスイッチ入れましょう!
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脳研究の池谷先生とイラストレーターのトメさんのコラボで「やる気」を科学する本。脳は何でもマンネリ化する。でもこのマンネリ化は「面倒なことも慣れてしまうと苦でなくなる」という良い面も持っている。子供たち…が小学生の時、先生が「毎日家でも決まった時間に机に向かって勉強する習慣をつけましょう」と言っていた。しかし、やる気もないのに習慣で勉強するの?という疑問に明確な答えを出せる先生はいなかったと記憶している。この本は飽きっぽい脳を分かり易く解説してスイッチの入れ方をアドバイスしている。上手にスイッチ入れましょう! 続きを読む
投稿日:2017.01.22