AkiraFさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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後妻業
黒川博行 / 文春文庫
憎めない悪役たち。「人間って、ほんまあほやなぁ」
17
おもしろかった。資産家の老人の後妻に入り、彼の死後、遺産を総取りするのが後妻業。それを生業とする小夜子が主人公。彼女と結託する結婚相談所の所長を始め、悪い奴が次から次へと出て来る。彼らは金をだまし取る…のは朝飯前で、金のためには殺人もいとわない。でも、なんだか憎めないんだよね。みんな金がほしいという欲望に正直な”純”な感じがするし、各人に愛嬌がある。全ての会話がユーモラスな大阪弁で進められるのも一因。作者の「人間って、ほんまあほやなぁ」という気持ちが伝わってくる。 続きを読む
投稿日:2016.08.25
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武田信玄 風の巻
新田次郎 / 文春文庫
正真かっこいい
16
武田信玄がますます好きになった。戦がうまく、歌もよく詠み、美しい女に囲まれ、カリスマ性にあふれる。刃向っても、降参すれば手厚く迎え、裏切る者や、反抗し続ける者は皆殺しにする。正直かっこいい。こんな人物…になりたい。
続きを読む投稿日:2016.10.14
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江戸川乱歩傑作選 鏡
江戸川乱歩, 湊かなえ / 文春文庫
幻想的なテイストの本格推理小説
16
文句なしにおもしろい。湊かなえさんが選んだ珠玉の江戸川乱歩作品。幻想的なテイストの本格推理小説ばかりを集めてある。特に、「石榴」は裏の裏をかくトリック、「人間椅子」は不気味さが爆発。どれも、大正、昭和…初期に書かれたと思えない新鮮な印象。後世に読み継がれるだけのことはある。 続きを読む
投稿日:2017.01.29
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レヴェナント 蘇えりし者
マイケル パンク, 漆原 敦子 / ハヤカワ文庫NV
西部開拓時代の半沢直樹
16
ヒュー・グラスはビーバーの毛皮を求める罠猟師。クマに襲われ、瀕死の状態で荒野に放置される。裏切り者を追って、復讐の旅を始める。ものすごい生命力で回復し、追いかけていくさまは圧巻。まさに、”やられてやら…れて最後は”の半沢直樹のようで痛快だった。これが原作なら、レオ様もアカデミー賞取れるはずと感じた。白人のならず者とインディアンが絶えず殺し合いをしている危険な開拓時代の描写も気に入った。 続きを読む
投稿日:2016.06.01
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神々の山嶺 上
夢枕獏 / 角川文庫
山に人生をかけた男
15
山に人生をかけた男が描かれている。とにかく熱い。加えて、登山シーンが圧巻である。夢枕獏さんも登山をやっておられるらしく、嘘がない。エベレスト登山史の謎を追うミステリーが並行して進み、ページをめくる手が…止まらなくなった。他の人生を経験するという読書の醍醐味を感じた。 続きを読む
投稿日:2016.11.23
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翳りゆく夏
赤井三尋 / 講談社文庫
まさかのラスト+人間ドラマ
15
おもしろかった。20年前の誘拐事件を東西新聞の窓際社員梶が洗い直す。当時は重要でないと思っていた事柄が少しずつリンクして行く。そして、まさかのラスト。最後まで謎が解けなかった。また、梶を始め、誘拐犯の…娘、東西新聞の社長、元警部等がこの誘拐事件に振り回されながらも、前向きに生きて行く様が描かれ、人間ドラマとしても秀逸。 続きを読む
投稿日:2016.09.10