羊をめぐる冒険
村上春樹
講談社文庫
村上春樹作品の入門書
題名から受ける印象と異なり、スリルとアクション満載の本格ミステリー。おもしろかった。『羊』とは何かというところに、村上春樹ワールドが展開されるが、いつものぶっとんだ所が少ない。彼の作品の中では、比較的現実的。途中、『羊男』が現れ焦ったが、これもちゃんと、つじつまが合っていた。村上春樹作品の入門書としておすすめ。
18投稿日: 2016.07.04SRO episode0 房子という女
富樫倫太郎
中公文庫
キラークイーンの半生
近藤房子がなぜ連続殺人鬼になったのか。その信じられない半生が明らかにされる。彼女の起こした殺人が、本当にありそうで、身震いするほど怖い。しかも、その手口が天才的だ。読後、SROシリーズは彼女がいたから、おもしろかったのだと気付く。
11投稿日: 2016.07.04レヴェナント 蘇えりし者
マイケル パンク,漆原 敦子
ハヤカワ文庫NV
西部開拓時代の半沢直樹
ヒュー・グラスはビーバーの毛皮を求める罠猟師。クマに襲われ、瀕死の状態で荒野に放置される。裏切り者を追って、復讐の旅を始める。ものすごい生命力で回復し、追いかけていくさまは圧巻。まさに、”やられてやられて最後は”の半沢直樹のようで痛快だった。これが原作なら、レオ様もアカデミー賞取れるはずと感じた。白人のならず者とインディアンが絶えず殺し合いをしている危険な開拓時代の描写も気に入った。
16投稿日: 2016.06.01銀翼のイカロス
池井戸潤
ダイヤモンド社
池井戸さんの黄金パターン
痛快だった。虐げられ、押さえつけられ、最後は大逆転する池井戸さんの黄金パターン。今回は破綻寸前の帝国航空の再建がテーマ。半沢直樹が悪徳政治家とがっぷり四つに組んで、対決する。政治家相手に『倍返しだ!』と言ってのける姿は、ヒーローだね。
13投稿日: 2016.02.25真田太平記(一)天魔の夏
池波正太郎
新潮社
これぞ娯楽小説!
おもしろいの一語につきる。DVDもインターネットもなかった42年前の作品。結果、エンターテーメントが凝縮されている。真田昌幸の生き残りをかけた策略、幾多の合戦シーン、忍び同士の戦い、色恋話などなど。12巻まであるが、一気に読んでしまいそうだ。
10投稿日: 2016.02.17色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
村上春樹
文春文庫
ほろ苦い青春物語
人をぐいぐい引き込む小説だった。多崎つくるは16年前、4人の親友から突然絶縁される。その理由を探し求めるミステリー。ぼく自身はほろ苦い青春物語と感じた。恋も友情もなかなか、うまくいかなかった若いころを思い出した。読後、過去を見つめ直し、前に進んでいこうとするつくるの姿に清々しい気持ちになった。
19投稿日: 2016.02.07下町ロケット
池井戸潤
小学館文庫
物作りの醍醐味!
ドラマ原作本。町工場・佃製作所の社長がロケット開発の夢を貫く。大企業が邪魔したり、佃製作所内でも意見の食い違いがあったり、開発が一筋縄で行かなかったり、池井戸さんの仕事小説王道ストーリー。でも、本作品では特に物作りの醍醐味を感じた。
23投稿日: 2015.10.17新装版 ハゲタカ(上)
真山仁
講談社文庫
ノンフィクションのようなおもしろさ
バルブ崩壊後の倒産寸前の企業を買収、再生させるハゲタカビジネスの物語。ライバルとの企業買収合戦は、先の先を読む頭脳戦で息を飲む。経済の知識がなくても、そのダイナミックさに触れることができる。真山仁さんの筆力で嘘くさいところが感じられず、ノンフィクションのようなおもしろさ。
14投稿日: 2015.09.28SRO5 ボディーファーム
富樫倫太郎
中公文庫
キラークイーン近藤房子復活
キラークイーン近藤房子が復活して、SROに襲い掛かる。彼女が登場すると、物語が引き締まる。Ⅰ、Ⅲ同様、彼女とSROの命がけの追跡劇は手に汗握る。今回は、彼女の殺戮能力、残虐性はさらにパワーアップ。やっぱり、この手の物語は敵が強いほどおもしろい。
10投稿日: 2015.09.28とんび
重松清
角川文庫
涙腺が壊れた。
ヤスさんは昭和の親父の典型のような存在。ヤスさんが男手一つで息子のアキラを育てていく。ヤスさんのアキラへの荒削りだが、無条件の愛が心を打つ。後半アキラが東京に行くあたりから、涙腺が壊れ、涙が止まらなくなった。愛情って、その人の幸せを願う気持ちなんだな。
10投稿日: 2015.08.23