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getsuさんのレビュー
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  • いつか陽のあたる場所で

    いつか陽のあたる場所で

    乃南アサ

    新潮社

    人物描写がうまい

    NHKでドラマ化されたお話です。暇つぶしに読むにはちょっと重たい内容かもしれません。 乃南さんは人物描写がホントにうまい。映像を見なくても表情や風景などが浮かんできます。 自分の近くにこういう人がいるとわかったら、自分はどうだろう?償ったんだから今のあなたを見てますと言えるかな?う~ん・・・考えさせられます。 自分の大切な人、家族だったり、友達だったり。一緒に仕事をしている仲間たち。親や兄弟。彼らが自分に与えてくれたもの、自分が彼らに与えたもの・・・それぞれの目線で考えたことなど無かったので新鮮な気持ちで読めました。 読み終わってこのタイトルに納得!

    1
    投稿日: 2013.11.05
  • サクラ咲く

    サクラ咲く

    辻村深月

    光文社文庫

    毒のない辻村作品

    進研ゼミ掲載の短編集だったということは知らずに購入。こういう作品で勉強するんですね、いまの子供は。そのことにちょっとびっくり。中学生の教材ということで、他の辻村作品にはない毒の薄さ。こういうのもたまには面白かったです。 短編集のようで、ちょっとだけつながってるところがまた良い感じです。 中学生の頃の悩みや葛藤を辻村さんらしく表現されてます。読み終わったあとの爽やかさがいいです。 表紙が買うのを躊躇させますが、こんな表紙の本を持ち歩かなくてもいいのが電子書籍のいいところかな!?

    1
    投稿日: 2013.11.01
  • シューマンの指

    シューマンの指

    奥泉光

    講談社文庫

    クラシックの知識が浅いと苦労するかも・・・

    出だしはどうなるんだろう?というワクワクが感がありましたが、途中のシューマンのウンチクが苦痛で何度もくじけそうになりましたが、なんとか読了。こういう文章はちょっと苦手です。自分にもっとクラシックに関する知識があれば、また違った感想になると思うのですが・・・ 途中の苦痛に感じる部分がなければ、面白いのですが、途中で挫折しかけただけに面白さが半減してしまいました。 シューマン論、音楽論のところは飛ばして、もう1回読んだら感想は大きく変わりそうな気もしますが・・・

    1
    投稿日: 2013.11.01
  • 三月の招待状

    三月の招待状

    角田光代

    集英社文庫

    大人の恋愛小説

    30代男女の揺れる心理を描く大人の恋愛小説(紹介レビューより抜粋)。 誰かが殺されたり、とんでもない出会いがあってドロドロの不倫とかそういうおはなしではなく身の回りにごく自然にありそうな大人の恋愛話です。非現実的なお話でないだけに登場人物の心情心理が理解しやすいです。 登場人物の距離感とか、相変わらず表現がお見事です。 共感はできないけど、理解できるなぁ。仲は良いけどイヤな部分を数えてたり、同意できないけどみんなに合わせてたり、いろんな感情を内に抑え込んだり・・・ ただこの最後は賛否両論ありそう。

    0
    投稿日: 2013.11.01
  • 蹴りたい背中

    蹴りたい背中

    綿矢りさ

    河出文庫

    この人すごい!

    綿矢作品を初めて読みましたが、この人すごい! この感性は理解できますし、想像もできますが、これをこういうふうに文章にする力に感服。 話の内容は思春期の女の子が日常の中で感受する「世界」への違和感を、主人公の内面に沿った一人称の視点で描き出した高校生小説(紹介レビューより抜粋)ですが、独特の表現とリズムでこの世界に入り込み、一気に読了。 作者の年代だからこそ書ける作品かもしれませんが、この心理描写はお見事。 綿矢作品、もっと読んでみたくなりました。 余談ですが、この作品のパロディで田中啓文さんが「蹴りたい田中」というタイトルで書いているそうなので、こっちもちょっと読んでみたい。

    9
    投稿日: 2013.10.15
  • 地のはてから(上)

    地のはてから(上)

    乃南アサ

    講談社文庫

    想像を絶する…

    上下巻あわせてのレビュー。 知床はアイヌ語で地の果ての意。大正から昭和にかけての政府に騙されたような形で知床に入植し、明日があるかもわからないような生活をおくりながら強く強く生きていく一家の末娘のお話です。 読み始めは方言に馴染めず少々苦労しましたが、慣れてきたら一気に読了。さらっと読めるような軽い内容ではありませんが、ただただ夢中で読みました。 いまを生きる人間には想像し難い壮絶さです。水がないとか、雨風をしのげないとか・・・それでも子供を育て、必死に生きていく。 この時代に生まれたことをあらためて感謝です。生きること、死ぬことについて考えさせられた作品でした。 それにしても女って強い! 最後は幸せを・・・というようなこともなく、最初から最後まで想像しがたい苦労の連続のお話なのですが、それでも読み終えた後に苦々しさなど残らないし、どんよりと重く沈んでしまうこともありませんでした。このあたりは乃南さんのテクニックなのかな!? とにかく読み応えのある作品です。

    3
    投稿日: 2013.10.14
  • 天使の梯子

    天使の梯子

    村山由佳

    集英社文庫

    「天使の卵」の10年後

    天使の卵から10年後の夏姫と歩太の物語です。 個人的にはこっちのほうが好きです。いいですね、二人のこういう関係も。 必ずしも一緒になることがいいわけではないということを知りました。 想像しがたい経験をしてきた二人だからこその関係ですが。 やっぱり綺麗な表現・描写で、綺麗な文章で読みやすいです。 心が大きくなったような気がしました(錯覚ですが・・・)。 天子の卵とあわせて、何年か後に読み返してみたい作品です。

    1
    投稿日: 2013.10.08
  • 天使の卵 エンジェルス・エッグ

    天使の卵 エンジェルス・エッグ

    村山由佳

    集英社文庫

    正統派 村山作品

    ブラックじゃないほうの村山さんらしい作品です。 綺麗な表現で、綺麗な文章でとても読みやすい。 情景、心理描写も綺麗で容易に世界に入り込めました。 内容は切なくて悲しいけど、こういう純愛ものをたまに読むと 心が穏やかになります。 また読み返して見たい作品です。

    3
    投稿日: 2013.10.08
  • あしたはうんと遠くへいこう

    あしたはうんと遠くへいこう

    角田光代

    角川文庫

    自分の足で歩いていこう

    田舎の温泉町で生まれ育った女の子。東京の大学に出てきて、卒業して、働いて。今度こそ幸せになりたいと願い、さまざまな恋愛を繰り返しながら、少しずつ少しずつ明日を目指して歩いていく……。 (角川書店の紹介分より) 主人公にはまったく共感できなかったし、イライラするし、ヒリヒリ痛いし、だけど自分と重ねて読んでしまっていたのが不思議。 「自分を知る」というか「自分を認める」っていうのは大変だなぁと。 読み終えてタイトルに納得。

    0
    投稿日: 2013.10.07
  • タイニー・タイニー・ハッピー

    タイニー・タイニー・ハッピー

    飛鳥井千砂

    角川文庫

    小さな幸せ

    日常のちょっとしたことが「幸せ」なんだなぁとあらためて思う作品でした。 女性らしい文体で、誰もが体験したあるいは容易に想像できるであろう日常を描いているので、感情移入もしやすく、すらっと読めます。 構成も良くて、ショッピングセンターを舞台にして、そこで働く人達、その恋人の目線を通して物語が進みます。語り手が変わりながらそれぞれの視点で語られるので面白かった。 読み終わってほんわかと暖かくなる作品でした。

    0
    投稿日: 2013.10.06