
放課後の魔術師(3) マスカレード・ラヴァーズ
土屋つかさ,ふゆの春秋
角川スニーカー文庫
世界の広がりを見せる巻
翠(コラル)が本格的に登場し、舞台も学園を飛び出していきます。2巻までとノリはほとんどかわりませんが、物語の展開に緩急があり、いろんな要素がぎゅうぎゅう詰めだった序盤から開放されつつあるのかな?と感じました。ここで、ハルカの潜在能力がついに発動し、シリーズの中でも展開のあった巻。 一番好きなシーンは、カノンとハルカの語り合い。カノンは、いるんだかいないんだか・・という控えめなポジションのキャラですが、カノン自身の言葉がつむがれるところが良かったです。
0投稿日: 2015.01.10俺の妹がこんなに可愛いわけがない(12)
伏見つかさ,かんざきひろ
電撃文庫
大団円?
シリーズ最終巻。 小説の最終巻に求められるのは、物語を締めることと心地よい余韻を残すことだと僕は思います。 その観点からいくと、すこし微妙・・もやもやする・・しかし、物語は締まった。いや、締まってしまった。 わかりにくいかもしれませんが、そんな感じです。 シリーズの根底に流れる世界観の優しさ暖かさ、うなずける心情描写、人を大事にするところが好きなので、大団円を期待していました。登場人物全てが報われるわけではないけど、笑い合えるような未来を思い描ける大団円。 なのに、京介が誰を選ぶのか?に一番大きな焦点が当てられ、選んだ後は一直線。○○ルートに入った・・というような記述もありますしね。でも、これはゲームの脚本でなく小説。 これはこれで決して悪くはないのですが、大団円にはなっていない・・と思うのです。心地よい余韻を残すことにも成功しているとは言いがたい・・と思うのです。 シリーズ全体をみると、実に楽しい作品群であるだけに、すごく残念!おしすぎる!いつか、特典小説を集めたもの+補完的なエピソードの外伝を読んでみたいです。
0投稿日: 2015.01.07放課後の魔術師(2) シャットダウン・クライシス
土屋つかさ,ふゆの春秋
角川スニーカー文庫
2巻も安定した面白さ
ライトノベルの2巻目って狙いすぎて面白くないものも少なくないのですが、このシリーズについては杞憂だったようです。この巻では、北鳳学園の便利システム(?)ジェシカを中心に物語がまわります。簡単にシステムクラックされすぎだろうとか、敵を引き込むならもっと策を練らないと逆に危険だとか、ドールの容量少なすぎだろうとか、つっこみどころはあるのですが、お話を楽しませつつ物語の舞台について語っていくスタイルは好感が持て、世界も広がっていく期待感があって良いですね。とってつけたようなエロ要素はいらないと思いますけど・・。
0投稿日: 2014.09.13放課後の魔術師(1) オーバーライト・ラヴ
土屋つかさ,ふゆの春秋
角川スニーカー文庫
ノベルズを思わせる読後感
この作品は、基本一人称なのですが視点(語り手)が入れ替わりながら進んでいくのが特徴的です。わりと頻繁に視点変更がありますが、読みにくさは感じませんでした。地の文は少し硬い雰囲気の正統派です。 論理魔術という設定は、今風の要素を取り入れつつも骨組みは昔ながらの魔法モノなので、なんだか懐かしい雰囲気が漂ってます。また、ギャグ要素が薄く、シリアス目、キャラ造詣&物語は王道路線なので、ノベルズで刊行されている小説を思わせる読後感でした。その辺は好みがわかれるかもしれません。 すごく面白い!とまでは思いませんでしたが、きっちりと話がまとめられていて、モヤモヤ感がほとんどないのがよかったです。安芸と遥の次のお話も読んでみたいと思わせるに十分な内容の1巻だと思います。
0投稿日: 2014.09.09『人狼ゲーム』で学ぶ十億ウェブ時代の心理交渉術
しんざき
impress QuickBooks
コミュニケーション論の入門としては良いのですが
タイトルはかなり仰々しいですが、内容は人狼ゲームにふれつつ、主にブログとツイッターからコミュニケーション論を展開するものになっています。人狼ゲームという遊びを交えていて文章も平易で読みやすく、コミュニケーション論の入門としては、気楽に読めて良いのではないかと思います。人狼ゲームの戦術についてはさわり程度ですので、そういう戦術論を期待していると違うかもしれません。勝ち負けよりも楽しいログをつくることに主眼を置いているからです。 内容は悪くないのですが、価格の割にページ数が少なく、その都合で考証も深く掘り下げたものではないので、その辺は消化不良です。正直、500円近い書籍としては内容が薄いと感じました。
1投稿日: 2014.08.31お茶にごす。(1)
西森博之
少年サンデー
デビルまーくんのやさしさへの道
西森さんの「天使な小生意気」のバトル以外の部分が大好きな人は、間違いなく気に入るはずです! より洗練された形で、勇気と誇り高さの格好よさと腹を抱えて笑ってしまうユーモアが練りこまれています。 この巻では、夏帆が息を切らせて山田の背中をたたく場面が一番好き。この「お茶にごす」の作風を凝縮している場面だと思います。
1投稿日: 2014.08.28天使な小生意気(1)
西森博之
少年サンデー
ユーモアと格好よさのコラボ
西森さんの作品にあふれる自然な流れで笑わせるユーモアセンスは絶品。泥臭い勇気、自分を曲げない誇り高さ、押しつけがましくないやさしさ、そういったものを描くのも、とってもうまい! 表紙からは美少女漫画、開幕の展開からはヤンキー漫画という印象をうけるかもしれませんが、本質は全く違うところにあると思います。お試しの1巻、手に取ってみてはいかがでしょうか。
3投稿日: 2014.08.28たいようのいえ(1)
タアモ
デザート
ちょっとした心遣いが暖かい作品
派手な展開や斬新な着想といったものとは無縁の世界で、登場人物同士のかけあいを楽しむ作品だと思います。ちょっとした心遣いが暖かく、間に挟まれるユーモアが微笑を誘い、やわらかくて優しい雰囲気が全体に漂っているのが良いですね。 1巻以降も読んでのレビューとなりますが、ほぼ1巻と同じ雰囲気と方向性ですので、1巻を手に取ってみて続きを読むかを決めるのも良いかなと思います。マオとヒロに共感できたなら、何度でも読める大切な作品になるはずです。恋愛要素が濃くなる物語中盤はやや中だるみ気味に感じましたが、10巻以降も楽しみに待てそうです。どんでん返しがあってびっくり!というようなものではないので、そういうものを求める方には合わないかもしれません。 登場人物のほとんどがウソや隠し事がヘタすぎて微笑ましいです。マオとヒロ以外では、2巻以降で登場するダイキがいい味出してます。コイツは、きっと年をとっても、なぜか面倒事が向こうからやってきそうだなあとか、そもそも自分から面倒事に巻き込まれてるんじゃないかとか、クールぶってるのに苦労性な一面が可笑しい。個人的に、ラジカルさんには幸せになってほしいな。 1巻のレビューとしては少し違うかもしれませんが、1巻を何気なしに手に取ってみたら10巻まで読まされてしまった一読者の感想でした。参考にでもなれば幸いです。
4投稿日: 2014.05.02