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litsさんのレビュー
いいね!された数354
  • 六花の勇者 5

    六花の勇者 5

    山形石雄

    ダッシュエックス文庫DIGITAL

    テグネウ、愛について語る

    ひとりにスポットを当てつつ進めてきた2~4巻とは少し違い、この巻の主役は強いて言えばフレミー、あるいは物語の裏側にひそむ謎といったところでしょうか。総合するとテグネウかもしれません。 前から思ってたんですけど、フレミーはフランケンシュタインがモデルなんじゃないかなと思います。誰からも愛されず、自分の愛は受け取ってもらえない。そう信じてきた。アドレットを疎ましく思うこともあった。でも、愛されることを強く望んでいる・・。とても哀しく、魅力的なキャラ(ヒロイン?)だと思います。フランケンみたいに哀しい最期は遂げてほしくないものですが・・。 この巻で「7人目」と「黒の徒花」、テグネウの特殊能力があきらかになります。近づくテグネウとの直接対決。この後どうなっていくのか?目が離せません!

    0
    投稿日: 2015.10.20
  • 六花の勇者 4

    六花の勇者 4

    山形石雄

    ダッシュエックス文庫DIGITAL

    奮戦のロロニア

    また敵はテグネウか~といい加減うんざりしつつも、怒涛の展開で読ませる力はさすがです。この巻ではロロニアが前の巻でのゴルドフみたいな立ち位置ですね。みんなに疑われつつ、罠にもはめられ、それでも生きたゾンビ兵士である屍兵を助けるべく奮戦します。どうしてそこまで・・というのは作中であきらかにされます。 剣技の天才である上に頭が切れる便利キャラ(?)ハンスと比べて、次第に影が薄くなってきたアドレット。もはや、彼を地上最強と心の底から信じている人は彼以外(ひょっとしたら彼も)いないかもしれません。しかし、やっぱりこの物語の主人公たり得るのはアドレットしかいないだろう!と確信させてくれる巻でもありました。 紋章は6つしかないはずなのに、なんでホイホイ紋章持ちの偽物がでてくるの?という謎に決着がつきそうな気配です。次の巻も期待しています。

    0
    投稿日: 2015.10.19
  • 六花の勇者 3

    六花の勇者 3

    山形石雄

    ダッシュエックス文庫DIGITAL

    ゴルドフにはじまりゴルドフに終わる

    1巻と2巻で最も影のうすかった男(?)ゴルドフがクローズアップされたのが、この3巻です。彼の生い立ち、ナッシェタニアとの出会い、そして・・。ひたすらまっすぐな男が、苦悩の末につかみとったもの。正しいかどうかはともかくとして、ゴルドフという男の横顔が見えたような気がしました。イラストも良かった! アドレット目線とゴルドフ目線で同じシーンを語るところがあるのですが、状況が混線していてしかたないのはわかりますが、およそわかりきってることを繰り返しているだけなので、もう少し工夫してほしかったかな・・?というのはありますけれど、凶魔の3番目の統領であるドズーが本格的に登場し、これからの戦いも楽しみです!

    0
    投稿日: 2015.10.18
  • 六花の勇者 2

    六花の勇者 2

    山形石雄

    ダッシュエックス文庫DIGITAL

    またかと思わせておいて怒涛の展開

    1巻でようやく7人目問題にケリがついたかと思いきや次の7人目が表れ(正確には1巻のラスト)、ええ~また!?と思わせておいて、序盤から怒涛の展開。 この陣容なら地上最強だろうな!と思ってしまうところですが、一歩間違えると全滅する・・という綱渡りの緊迫感がたまりません。読みだすと止まりません。まさにダッシュ文庫だと思います(笑)。

    0
    投稿日: 2015.10.17
  • 六花の勇者

    六花の勇者

    山形石雄

    ダッシュエックス文庫DIGITAL

    一気に読まされました!

    最初は、良くあるファンタジーものだなと思いながら読んでいたのですが、偽物が混ざってることで、信頼できるはずの仲間との間に不協和音が高まり命の取り合いになっていく様がスピーディで緊迫感があり、一気に読まされてしまいました。 戦いの最中で仲間の能力が自然とのみこめる構成の妙があり、読み終わった時には全員の特徴を把握できているところも良くできていると思います。

    1
    投稿日: 2015.10.15
  • 日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日

    日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日

    半藤一利

    文藝春秋

    終戦を巡る日本人のドラマ

    「運命の八月十五日」とタイトルになっていますが、運命の日を迎えるに至る過程もしっかりと書かれていて、実に読み応えのある本でした。ノンフィクションといっても差支えがないのではないか?と思われるほどに聞き込みや調査が丹念に重ねられており、その上に描かれた物語には重みがあります。 日本という国を思い、身命を投げうってつばぜり合いと葛藤を繰り広げた方々に敬意を。右とか左とか、そういったことが軽く見えるほどに真剣なドラマがここにはあり、この本の世界に引き込まれていきました。 つぎはぎだらけの詔書がどのようなものを象徴しているのか。それはこの本を読んだそれぞれの方でとらえ方が違うと思います。そういった、単純すぎる見方を排した筆致も魅力です。 現代に続く事柄が多いだけに、読みながら現代日本に思いをはせてしまう、そんな本だと思います。

    2
    投稿日: 2015.10.09
  • 僕は友達が少ない 11

    僕は友達が少ない 11

    平坂読,ブリキ

    MF文庫J

    最初から最後まで筆がのらず淡々とした印象

    もうきちんとした終わりをみることはできないのかな・・とあきらめかかっていたので、好きだった物語を完結させてくれたこの11巻は読んでよかったと思います。「僕は友達が少ない」というタイトルも、ポジティブな意味に昇華する狙い通りのラストにはもっていけています。 ただ、筆がのっていないというか、シリーズ序盤にはあったラノベらしいテンポの良さが影をひそめ、全体的に淡々とプロットを消化していったというのが読後の印象です。 できれば、夜空の性格に大きな暗い影を落としていた家族問題に星奈をからめて1冊、幸村・理科の関係性で1冊くらいのボリュームで読んでみたかったです。終始淡々としているので、キャラが生きている感じがしないのです。なので、楽しさやリズムは残念ながらあまりありませんでした。

    3
    投稿日: 2015.09.26
  • ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

    ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

    塩野七生

    新潮社

    まずは助走

    塩野さんの書く本は、自分の惚れ込んだ人やものを伝えたいという熱意が、はちきれんばかりにこもっているのが特徴だと思います。このシリーズの場合はローマという国とそこに生きる人が対象になっています。 歴史書と呼ばれるものは、はっきりしない根拠からの推論を排した上に論を重ねていくので無味乾燥になりがちですが、塩野さんの場合は小説家らしい想像力の豊かさを広げさせていて、学術的には正確性を欠くかもしれませんが、一緒になって想像を広げる楽しさとリズムがあるのがすばらしいです。 もっとも、この第1巻は本当に書きたいことの土台となる部分、ローマが都市国家として安定していくまで、を描いているので、すこし退屈な部分もあるのは仕方のないところでしょうか。ともあれ、次巻以降はさらに躍動するので、それを期待して手にとってみる価値は十分あると思います。 これは完全にどうでもいいことなのですが、表紙は文庫版の方が好きです。単行本の表紙は、なんだか学生時代に歴史の授業で使った資料集を思いおこしてしまうんですよね(笑)。

    3
    投稿日: 2015.06.11
  • サイゴンのいちばん長い日

    サイゴンのいちばん長い日

    近藤紘一

    文春文庫

    生の素材をずらりとならべて

    南ベトナムの崩壊について興味があり、いろんな本を読んでいるのですが、この本は一次史料に近いのではないかと感じました。 ひとつの国の滅亡という歴史的大事件については、イデオロギーや倫理観、地域の歴史的な流れも含めて語られるのがほとんどですが、この本はサイゴン陥落のまさにそのときその場所にに身を置き、行動し聴き考え感じたことを率直な文体でつづったものです。ですので、体系的な記述とは言いがたく、陥落前後の日常記述と筆者のベトナム観などがいりまじっています。 安全な場所に身を置き偽善と語ることは、より偽善的な行為ではないだろうか。我々日本人のベトナム戦争についての理解、さらにはベトナムという国に対する理解は浅薄なものだったのではないか。これは本文中の表現の一部で、この本の性格を語っています。 サイゴン進駐の際にカメラを向けると軍服を調え、撮影が終わるとはにかむ北軍兵士など、既成概念にとらわれない人の息づく空気を感じることができました。大局を語っているわけではありませんが、末端ではどのようなことが起きていたのかを知るには十分な内容だと思います。

    0
    投稿日: 2015.06.06
  • はたらく魔王さま!12

    はたらく魔王さま!12

    和ヶ原聡司,029

    電撃文庫

    力あるものの葛藤

    新しい展開への助走と思える11巻の内容、物語の裏側で動いてきた人物の登場、魔界時代を描くゼロ巻の発売、そうきたら世界の核心に迫る物語の急展開を期待してしまいますが、そういう内容ではありませんでした。走り幅跳びだと思っていたら、三段跳びで、ホップ・・ステップ・・と見せられたような展開という感じでしょうか。わかりにくいかな・・(笑)。 エンテ・イスラの来るべき危機へ、魔王と勇者が世界の謎を知り戦いにおもむく展開をついつい期待してしまいましたが、そういえばいままでの戦いは全て「まきこまれ型」だったなと。主体的に戦いに参加したことはなかったので、この巻で言いたいことはよくわかるし、シリーズ構成上はあって当然のように思います。その意味では11巻とセットでの内容といえるかもしれません。 ただ、11巻からけっこう待ったし、ちょっと・・というよりかな~~~り(!)新展開に期待してたので、肩透かしをくらった感はあります。内容はいつもどおりのクオリティです。安心して読み進められるし、この巻単体では見所も多いと思います。なので、シリーズのファンとしてついつい辛目の見方になってしまいますが、決してデキが悪いわけではありません。むしろおススメです。 でも・・・・期待させて待たせたのに~という思いは抑えられなかったので、星ひとつマイナスにしときます(笑)。 13巻に期待してます!

    0
    投稿日: 2015.05.06