
水滸伝 三 輪舞の章
北方謙三
集英社文庫
楊志ついに動く!
任務失敗から欝々とした日々を送っていた楊志がついに動きます。林冲とほぼ互角の腕を誇る、水滸伝中でも最強の一角。動き出すと凄まじい。魯智深と共に二竜山に乗り込むくだりは、痛快なアクション性があって、一気に読み進んでしまいました。 王進先生の人間再生工場(?)は、武松が退院して、史進が代わりに入院。武松の変化は大きく、それを読むにつれ、史進がどのように変わるのか楽しみです。 この巻では、3人の女の生きざまも物語にかかわってきます。彼女らの生きざまも見どころかと思います。
1投稿日: 2016.07.09
地球のおわりは恋のはじまり(1)
タアモ
デザート
真昼のかたくなな世界がときほぐされていく
過去のトラウマと双子の妹へのコンプレックスで、ついついネガティブ思考に陥ってしまう女子高校生の真昼が主人公。 この真昼のかたくなな世界がときほぐされていく過程を描いたのがこの1巻です。まだまだ導入ですが、けっこう進んだような(笑)。 タアモさんも書いているとおり、完全に恋愛漫画で、恋愛漫画でも他に主題のあった「たいようのいえ」とは雰囲気が少し違います。でも、「じゃない方」という言葉みたいに、寂しさをどこかに漂わせているところは変わりません。 コテコテの恋愛漫画はあまり読まないのですが、素直に面白かったです。 これから先は、蒼君や守谷さんの秘密が物語にからんでくるのでしょうか?オマケまんがの「バカ、許す!」のセリフは、タアモさんの作品らしくて好きです!
3投稿日: 2016.07.06
僕らはみんな河合荘(8)
宮原るり
ヤングキングアワーズ
あいかわらずの面白さです
この巻のみどころはいくつもあるんですけど、彩花のエピソードがよかったです。お父さんとか(笑)。やっぱり、彩花はツネ子がいるとぐぐっと良いキャラになりますね。 それは麻弓さんにも言えて、愛美がからむエピソードだと違った顔が出てきていいです。自然体というか・・。 巻が進むにつれて、コマ割りが大きくなり読みやすくなってきたように感じます。キャラがより自然に動き出している、という部分もあると思います。 律の卒業までに話がまとまるとしたら、あと2~3巻ってとこかな?カバー裏のオマケ漫画が収録されてるのもうれしかったなあ。次の巻も期待してます!
1投稿日: 2016.07.06
たいようのいえ(13)
タアモ
デザート
大団円!
大団円、これにつきます。書評で涙、涙と書かれていますが、涙はこの巻とは無縁かも。物語がほとんど収束した中で、最後に残された基と真魚の関係が確定する様を見届ける感じでしょうか。ああ、無事にデートできてよかったね・・と見守るモードに入ってしまいました! ついに帰ってきた陽菜も様々な表情を見せるようになり、こっちまでうれしくなります。最後に3人でした賭けは、なんとなく陽菜の一人負けになるような気がしてます(笑)。杉本さんがるいるいさんと初めて会う話もよかったです。ずっと、るいるいさんは会社の主任だと思ってたんだけどな~~。ハズレでした。 みんなが笑いあえる大団円。最高です。この物語に出会えてほんとうによかった!と思えるフィナーレでした。
3投稿日: 2016.06.25
たいようのいえ(12)
タアモ
デザート
ふたつのみどころと、物語は結末へ
父親とのいきちがいが解消され、いよいよこれからという時期に、突然あらわれた真魚の母親。真魚と同居したいと申し出ます。 真魚はすでに答えを心の奥に持っていますが、一方的にばっさり切り捨てることはしません。自分が決断を下したら、あの人は悲しむだろうか、ひとりぼっちになるのだろうか、など、他人の心配ばかりしてます。このあたり基の影響を受けている部分もあると思いますが、真魚はやさしすぎます! この巻のみどころはもうひとつあり、うやむやになっていた携帯小説の決着です。ハンドルネーム「空海」を真魚に返すべきか杉本さんは悩み、行動します。真魚と杉本さんが笑いあえる未来が見えるような決着ですので、ぜひ読んでみてください。携帯小説は、恥ずかしさが勝って完結しそうにないですけどね(笑)。 おまけ漫画は、陽菜と心愛の小話。陽菜は仙台の家でうまくいってなかったんじゃないか、あまり愛されてなかったんじゃないか、という部分はどこかにひきずっていたところで、ほんのり心暖まるお話になってます。がんばれがんばれ大ちゃん!ほどじゃないですが(笑)。
3投稿日: 2016.06.25
水滸伝 二 替天の章
北方謙三
集英社文庫
梁山泊始動
前半は、武松がメイン。心に弱さを残していた武松。 それと向き合うために郷里に帰るが・・というお話。 その苛烈な展開に、武松の抱える心の闇の深さがうかがえました。 そして、王進の元へ。人直しはこの人!って定番になってきました(苦笑)。 後半は、梁山泊始動に向けた闘いです。暗闘といってもいいかも。 林冲という巨大な一石が投じられた梁山塞。 その大きさに山塞は動揺しつつも、王倫の巧みな支配はなかなか隙を見せない。 そして、英雄である晁蓋が梁山塞に上陸し、さらに大きなうねりが生じ・・。 このあたりの闘いの機微を描く筆力は圧巻です。 ああ、全巻読破しそうな勢い(笑)。
1投稿日: 2016.06.21
たいようのいえ(11)
タアモ
デザート
家族旅行にかけるそれぞれの想いが交錯します
かつて、家族旅行がこれほど大きく扱われた漫画はあっただろうか。 ってくらい、この巻は中村さんと本宮さん家の家族旅行がメインです。 素直になれないでいる人たちが、それぞれきっかけを求めているのかな。 旅行に参加する時点で、きっかけを求めていることは明白なのですが。 あとは、きっかけがあれば・・。 というのがこの巻です。 「宝物」の回は真魚の回想がはじまって、 この漫画終わっちゃうんじゃない!?って雰囲気でした(笑)。 ひと段落して、新章という流れなのかもしれません。 最後の最後に意外な人物が現れて波乱の模様。 おまけ漫画は、織田君とちーちゃんのお話。 いつものふわふわな雰囲気と違って、直球な恋愛漫画になってます(笑)。
1投稿日: 2016.06.21
水滸伝 一 曙光の章
北方謙三
集英社文庫
昔読んだ水滸伝とかなり違う?
漢を描くのがうまい北方さんが、108星をどう描くのか・・と 読み始めたら止まらなくなり、一気に読了。 以前、吉川栄治さんの新水滸伝も読んでいるのですが、 内容はかなり違うように感じます。 任侠的な要素と、梁山泊に参加するに至る経緯は意外とあっさりしていて、 宋江達が着々と替天行道のための布石を打っていく姿が印象的です。 戦略的思考がクローズアップされることで、物語に深みが増していると感じました。 宋江って夢想を大きく広げるけれど、儒教精神全開で冴えないイメージがあったのですが、 こういう宋江だったら、梁山泊の首領に推されるまでになるのもわかる気がします。 好色なところは変わってませんが(笑)。 この巻で一番目立ってるのは、やっぱり林冲ですね!王進も捨てがたいけど。 魯智深の人を結び付ける動きも面白いし、戴宋は「縮地」を使う超人ではなく、 飛脚を自在に使うべく配達網を築いているという解釈も面白い。 次の巻も読んでみたくなる一巻でした!
2投稿日: 2016.06.07
たいようのいえ(10)
タアモ
デザート
中村さん家の年末年始
クリスマスからはじまる、中村さん家の年末年始。 「一年にこんなに何度も家族のための行事はあったんだな」 と真魚のモノローグがあるのですが、それぞれがそれぞれを思いやっていて暖かい描写 がとても心に響きます。ほんのりさびしいエッセンスもいい。 恒例おまけ漫画は、杉本さんのクリスマスイブ。 コンビニでの描写は、杉本さんには悪いのですが笑っちゃいました(笑)。
1投稿日: 2016.06.07
楊家将(ようかしょう)(上)
北方謙三
PHP文庫
漢の中の漢達の戦い
北方さんは、骨太な漢を描くのがとてもうまく、楊業をはじめとする楊家の面々、宋の武将たち、さらには敵である遼の将軍たちまで、生き生きと動き、戦い、死んでいきます。上下巻のみなので、読みやすいのもありますが、話のテンポがよくてついつい引き込まれてしまいますね。 圧倒的な能力を持ちながら、後方の味方に足を引っ張られ、挙句の果てには軍閥化しているのでは?と嫌疑をかけられる始末。味方より、敵将である「白き狼」の方が颯爽としていて格好良かったり(ヤリツキュウカの漢字が出てこない・・)。 蛇足ですが、なんだか田中さんの「銀河英雄伝説」のヤン提督とイゼルローン駐留のヤン艦隊を思い起こしちゃいました。アイディアの根元には、このお話のエッセンスがあるんじゃないかなと思います。
1投稿日: 2016.06.02
