
サモンナイト U:X〈ユークロス〉―界境の異邦人―
都月景,飯塚武史,和狸ナオ
ジャンプジェイブックスDIGITAL
ニッチな層に向けて書かれていますが、面白いです
人気ゲームのノベライズというか、ゲーム化されていない空白の期間を描いたもので、その第一弾にあたります。 主人公のミコトは、普通の高校生でしたが、自分のいる場所にどこか違和感を感じ、そんな中でひょんなことから異世界リィンバウムへと渡るゲートを見つけ、地球と異世界を行き来しながらの二重生活を送っていたが…?という導入です。 正直なところ、かなり暗い内容です。サモンナイトというゲームと世界観が好きで、その裏話まで知りたい!というニッチな層に向けて書かれた小説と言えます。ただ、小説としてのクオリティは決して低くないので、ツボにはまればとても楽しめると思います。ちなみに、僕は楽しめました。ああ、このダークさこそがサモンナイトだなと(笑)。
3投稿日: 2016.09.25
エルドライブ【elDLIVE】 3
天野明
少年ジャンプ+
バトル漫画色が強くなり、いよいよ本番!?
美鈴がスパイ容疑で逮捕され、ヒロイン枠の補充(?)でベロニカとニノチカが登場。Dr.ラヴ保護の任務に赴きます。 この3巻から少し雰囲気が変わるというか、今までSFを前面に押し出していたのが、バトル漫画色が強くなり、展開もスピーディです。妙にパンチラのようなお色気シーンも増えましたね。テコ入れなんでしょうか(笑)。 ドルーのアップデートに伴い宙太の戦闘能力も格段に向上し、さらに学園生活も賑やかな予感?これからが楽しみになる3巻でした!
3投稿日: 2016.09.24
エルドライブ【elDLIVE】 2
天野明
少年ジャンプ+
話が展開していく2巻
1巻は導入ということもあり、手堅くまとまっているという以上の感想を持ちませんでしたが、この2巻では話が展開していきます。 宙太の過去が語られると共に新キャラ登場、宇宙での戦艦同士の戦闘、エルドライブ内のスパイ捜査の進展…。見どころは多いですが、まだまだ助走の最中という印象もありますね。 しかし、多彩な登場人物を少しずつ印象的に登場させていくのは、とてもうまい!ネコさんオペレーター活躍しすぎです(笑)。 次巻も楽しみです。
2投稿日: 2016.09.24
エルドライブ【elDLIVE】 1
天野明
少年ジャンプ+
いたって王道の少年漫画。まずは導入!
最初からデジタルフルカラーで発表された作品なだけに、あとからカラーにしたカラー版と異なり、淡い色遣いなどの色彩感覚も楽しめるところが素敵です。 内容は、いたって王道の少年漫画。普段はへたれな中学生の主人公が、勇気を振り絞って敵に立ち向かっていくことで、世界と自分の可能性が広がっていくお話です。1巻は、SFということもあり世界観の説明をしつつ、もりあがるところはもりあげるという、そつなくまとまっていう印象です。天野さんの代表作「リボーン」が好きな人なら、間違いなく楽しめる内容だと思います。 月型宇宙人がいい味出してますね!ミミおばさんも好き!ヒロインである美鈴をはじめとした、登場人物の内面が物語に反映されてくるともっと面白くなると期待してます。
3投稿日: 2016.09.22
どちらとも言えません
奥田英朗
文藝春秋
スポーツ好き、あるいは興味がある方なら楽しめると思います
奥田さんのエッセイは何冊か読んでいますが、プロ野球を心から愛する人で、合理主義者だが妄想家、個人主義者だけど人間観察が好き、といったところは共通していると思います。この本は総合スポーツ誌であるNumberに連載されていたこともあり、野球の成分が多めではありますが、広くスポーツそのものについて書かれているのが特徴でしょうか。 奥田さんの小説にも通じる、シニカルなユーモアが随所にちりばめられており、くすっと笑えるものから、ツボに入ると笑い転げてしまうものまであって楽しい本です。シニカルさがいきすぎると、ただの攻撃になってしまうのですが、愛情というか人としての優しさにくるまっているので、不快になるほど攻撃的なところはなかったです。 間口はかなり広いと感じましたので、スポーツ好き、あるいは興味がある方なら楽しめると思います。蛇足かもですが、目次を下に書いてみました。雰囲気がすこしでも伝われば! スポーツにおける悪役の経済効果 プロ野球おやじの目に映ったJリーグ WBCでわかってしまったアメリカ式の行く末? 校歌好き早稲田大学は内輪で盛り上がる? どれほど野球選手をリスペクトしているか 中年男子は昔日の雄姿にむせび泣く スポーツの階級と門外漢のジャパニーズ 広島新球場と日本人の芝生コンプレックス プロ野球の監督には利権がいっぱい 引退セレモニーはもういらない スポーツチームはオーナーの道楽である 今こそ振り返る十二年前の恥ずかしい過去 改めて考える日本人サッカー不向き論 根が深いスポーツの力関係 サッカー、番狂わせゾーンの快楽 W杯でサッカー選手の顔を考える メダルの価値と五輪の大本営発表 用具はドーピング?ならば原点回帰を 結果待ち協議と観るもののジレンマ 野球選手と名前の相性についての考察 嗚呼、花の運動部はどこに行った わが国にもビート・ライターを ジャイアント馬場と柴田錬三郎 猛暑人運動部の相性についての考察 スポーツは報復合戦の宝庫なのである 日本シリーズが国民的行事だったころ 才能の配置は神様が決めるものだった 個性より個品は日本人独自の価値観 スポーツにおける阿吽の呼吸について スポーツの楽しみは、語る楽しみなり
2投稿日: 2016.09.22
地球のおわりは恋のはじまり(2)
タアモ
デザート
この穏やかさのままで進んでほしいです
蒼と真昼は、思ったよりあっさり付き合いはじめます。もう少し紆余曲折あるのかと思いきや、書きたいことは別にあるということなのかも。付き合いはじめた二人は、ウブすぎて微笑ましいです(笑)。 真昼の、他人のためなら積極的になるところや、見て見ぬふりはできないところなんかも好感が持てました。自転車にぶつかられて、大丈夫?ケガはない?って第一声が、真昼の人柄を表しているかのようで好きなシーンです。 真昼が銀河に相談を持ち掛ける場面もいいです。嫌われてしまうかも・・と思い悩む真昼に、そんなの普通だ、と返します。好きな人のことをついつい考えて考えて不安になってしまうのは当たり前だ、と。銀河が恋してる姿が思い浮かばないのですが、すばらしいアドバイス(笑)。守谷さんにも背中を押されつつ、真昼は少しずつ前に進んでいきます。 全体的にとても穏やかな展開で、1巻でにおわせていた伏線をさらりと回収しつつ、もっと深い意味があるんじゃないの?とさらに気になるようにしむけられた感じもします。次の巻が待ち遠しい・・。この先には、やっかいなできごとが二人を待ち構えていると思いますが、この穏やかさのままで進んでほしいです。
2投稿日: 2016.09.20
四月は君の嘘Coda
新川直司
月刊少年マガジン
あっという間に読み終わってしまった・・
この本は、完全に四月は君の嘘本編のファン向けです。だからこそ、ファンにはたまらない内容になっています。4コマ漫画はオマケ的な位置づけかもしれませんが、こちらも楽しめました。 どの話も軽やかな展開の中にキャラへの愛情がつまっているかのようで、本編を読み返したくなりますね!一番の見どころは、やはりナギと三池が中3になったお話でしょうか。本編の公生たちと同じ年齢になった二人がどうなったのか。本編を読んだ人ならとてもとても気になるんじゃないでしょうか(笑)。 ラストは、かをりのお話。先に出てきた話と軽くリンクしているのが素敵です。やっぱり、四月は君の嘘は面白い!と再確認させられた一冊でした。
3投稿日: 2016.09.09
水滸伝 四 道蛇の章
北方謙三
集英社文庫
宋江は武松と共に旅をはじめ、まずは南へ!
書籍説明では、青蓮寺が馬桂を騙して・・となっていますが、作中の流れはもう少し複雑(?)です。林沖を投獄したり、青蓮寺のキレ者としてたびたび登場してきた李富の内面もからめて描かれていて、敵方にも人間味を感じるようになりました。 宋江は武松と共に旅をはじめ、まずは南へ。掲陽鎮を経て、情報伝達網をつかさどる戴宋のいる江州へ。長江の南岸の街です。宋江はのんびりしてるつもりのようですが、けっこう物騒な旅です(笑)。後々に大きな存在となりそうな人物も巻き込みつつ、目的地に到着。しかし、すでに青蓮寺の手のものが先回りしていて・・!? すごく地味なんですけど、鍛冶師の湯隆がいい味出してると思います。こういう黙々と梁山泊を支え続ける人たちにもスポットライトを当てるのがいい。ほかの人物も再登場のさせ方がうまくて、ああ・・あいつかあ、と読み進むことができるのもすごくいい。108星の名前と特徴がすらすらと出てくるほど覚えてませんからね(笑)。 次巻も楽しみです。
3投稿日: 2016.09.04
ワールドトリガー 16
葦原大介
週刊少年ジャンプ
ワールドトリガーらしさは健在!
前半はガロプラ侵攻編完、後半はランク戦に移ります。 前半は、やっぱり陽太郎とヒュースのシーンが良かったです!二人のつながりがやり取りの中に詰まっていて、何度読んでも良いシーン。 後半は、主人公たち玉狛の新戦術がどう機能するか?が最大の見どころだと思いますが、僕は柿崎の回想シーンが好きです。才能にあふれていないかもしれませんが、隊員への想い、自分のスタンスへの迷い、そういったものをうまく読ませるのもワールドトリガーの魅力の一つだと思います! 香取さんについては、次の巻ですかね(笑)。
4投稿日: 2016.09.03
初恋
トゥルゲーネフ,沼野恭子
光文社古典新訳文庫
古典とは思えないみずみずしい一冊
初恋という題名のとおり、直球な内容でありながら、直球であるがゆえに古典を読むという肩ひじ張った気分なしに読むことができます。物語は、主人公のウラジーミルが、隣家に引っ越してきたジナイーダに一目惚れするところからはじまります。彼女を見かけた瞬間から、周りの風景が輝きだす始末。わかりやすいぞ、ウラジーミル少年(笑)。 ジナイーダの一挙手一投足というより存在そのものに、心を躍らせ、気をもみ、落ち込み、不安に駆られ、幸せの絶頂を味わい、時には絶望し・・と、さんざん振り回されなからも、この説明をつけられない気持ちに名前を付けるならばそれはジナイーダだ、とおっしゃるウラジーミル君。彼の気持ちに同調したならば、一気に読み終えてしまうはずです。 終盤の、鞭でぴしっと叩かれた跡にキスをするシーンなんかは、理屈を越えたものを感じて、いまでも背筋がぞくっとします。あー、私のこと好きならそこから飛び降りてごらんなさいと言われて、ほんとに飛び降りてしまうところも好きだなあ。ジナイーダもびっくりしたことでしょう(笑)。 もし、ウラジーミルが16歳でジナイーダが21歳と、歳の差がなければどうだっただろうと考えてしまったり。いろんな楽しみ方のできる、古典とは思えないみずみずしい一冊だと思います。新約も、ですます調と女性訳者ならではのやわらかさがあり、読みやすいです。
2投稿日: 2016.08.28
