
ニューズウィーク日本版 (2017年3/28号)
CCCメディアハウス
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魂のこもったロヒンギャ特集がほぼ全て
ロヒンギャの現状を扱った特集は読み応え十分。欧米的なバイアスが感じられなくはないのですが、胸が重くなるくらい迫って来るものがありました。 韓国の記事は、なんとも言いようがありません。前号の記事では、中国とここまで鋭く対立している以上、韓国が反日化するリスクを負うわけがないと結論づけられていましたが、ここまで混乱が続くとリスク度外視の感情カードを切ってきそうだと不安に思うのは僕だけでしょうか…。
2投稿日: 2017.03.26水滸伝 九 嵐翠の章
北方謙三
集英社文庫
生と死の狭間で
これまで軍団同士の戦略的な話が多かったので、個人中心の描写の多いこの巻はやや中休みのように読めました。それでも展開は激しいのですが(笑)。 索超と呂方の話は、序盤の水滸伝を思い起こさせるところがあり、呂方に叫びながら走り回らせて、びっくりして巣穴から出てきたウサギを捕まえる下りとか、なんか好きです。生身の人間の息遣いが聞こえるようで。 前半の目玉は、やはり林冲ですね。人質をとって武器を捨てろと言う暗殺者に対して吐き出される言葉は、しびれます。さすが梁山泊屈指の勇将。索超と李立に加え、安道全と白勝も登場し、さらには皮肉っぽいあの男まで登場します。林冲の戦いはいかに。 後半は、流花塞の建設が中心。それと関連して秦明の求婚のくだりは、微笑ましかったです。不器用すぎ(笑)。
1投稿日: 2017.03.22ニューズウィーク日本版 (2017年3/21号)
CCCメディアハウス
CCCメディアハウス
もはや挑発行動を超えた現実の脅威
北朝鮮特集。主にミサイル技術の進展に伴う、地域安全保障についてです。 金正恩の代になってからミサイル実験の回数は飛躍的に増え、在韓と在日米軍基地などの戦略要地を、ピンポイント攻撃できる能力は備えたようです。この段階まで来ると、反撃を受けずに攻撃能力を削ぐことは困難なわけで…。先制攻撃論は過激だと思いつつ、現実性の高さにゾッとしました。もはや挑発行為ではないというところも。 THAADで日本を守れるか?という記事はなかなか興味深かったです。現在のMDは、イージスシステムによる第一陣、迎撃ミサイルであるPACによる第二陣の二段構え。そこにTHAADを加えると…?という分析記事。配備費用の高さと、中国の反発がネックになるでしょうが、このままミサイルの脅威が高まりづづけたら、配備もひょっとしたらあるかもしれませんね。 北朝鮮特集は、いつも買ってしまいます。楽しい記事ではないのですが…。
2投稿日: 2017.03.22ニューズウィーク日本版 (2017年3/14号)
CCCメディアハウス
CCCメディアハウス
ニューズウィーク流ポピュリズム講座
ポピュリズムについての記事は、良くも悪くもないというのが正直なところです。ポピュリズムは、レッテルでもあるし、そう簡単に定義できないところがあって、あくまでニューズウィーク流のポピュリズム講座って感じです。 社会が成熟して大きな変化が望めず、右肩上がりの成長も望めず、頭打ちになった閉塞感と、それを揺り動かす要素。各国の事情は違えど、この辺は共通してる気がします。 一番面白かったのは、水洗いではなくビーズを使った洗濯機の記事かな!1ヶ月のメンテ費用が1,500ドルってのは高いですが、コストダウンに成功したら…と期待に胸を膨らませてしまいました。 サイエンスの記事で、ナイトライダーの車が現実に登場するかも?ってのには笑いました(笑)。どこからともなく、「了解です、マイケル。」って声が聞こえた気がしましたね!いつ観たのか忘れたけど懐かしい! 日系人収容所の記事も含めて、それなりに読み応えのある号でした。
2投稿日: 2017.03.14水滸伝 八 青龍の章
北方謙三
集英社文庫
死すものあれば、来るものあり
官軍が祝家荘を軍事拠点化し、梁山泊の支配地域にくさびを打ち込む。それは、梁山泊本隊を野戦に引きずり出す策略であったが、梁山泊は祝家荘を放置するわけにいかず、要害と化した祝家荘を攻める。すでに準備されていた、北京大名府、南京応天府、その他の地方軍、さらには開封府の禁軍までもが動き、総力戦の様相を呈する。宋江率いる梁山泊本隊は、官軍の大軍が押し寄せてくる前に祝家荘を落とすことができるのだろうか・・? というのが、この巻の大略です。個人的には、死にゆく者たちの死に様が強く心に刻まれました。百八星そろう前にバンバン死んでいきます。それくらい激しい戦いの連続で、無限とも思える回復力を持つ官軍と志を持つものの自主参加が基本である梁山泊の力の差が如実にあらわれています。小説的には、常に死と隣り合わせという緊迫感を漂わせることに成功していると感じます。 いきなり自分語りをしだすのは、すごーく死亡フラグっぽいのですが、ただ単に死んでいくのではないところに、北方さんの登場人物への愛情と美学を感じます。例えば、鄭天寿が秦明に「自分は3年の間、女だった」と突然語ります。そこには、鄭天寿の闇と憤りが込められているようで、なぜ彼がやたらと荒っぽい生活を送っていたのか、もしくは追いやられていたのか、を想像する余地が与えられます。それが、鄭天寿という男の記憶となって残ります。ほかの戦死者たちも、物語というより読者の心にツメ跡を残していくのが、なんともいえない寂寥感をもたらします。その一方で、祝朝奉みたいな人はさくっと死にます(笑)。 新たに、解珍、解宝をはじめとした独竜岡の面々が加わり、登場人物を替えつつ物語は進みます。次の巻は、林冲を中心に回りそう。
1投稿日: 2017.03.14この素晴らしい世界に祝福を! 9 紅の宿命【電子特別版】
暁なつめ,三嶋くろね
角川スニーカー文庫
爆裂魔法vs爆裂魔法
表紙絵とタイトルのとおり、めぐみんが前面に押し出されている巻です。スピンオフの爆炎シリーズも読んでおくと、より感情移入できるかもしれません。 お祭り巻だった前巻と打って変わり、めぐみんが爆裂魔法に憧れるきっかけとなったウォルバクと対決するという、シリアス要素多目の内容です。 ウォルバクとの対決は、共に一撃必殺の爆裂魔法を持っていることもあり、あっけなく感じるところもあるかと思いますが、主にめぐみんの心の動きに焦点を当てた構成になっているため、バトルというより心理戦のような読み味でした。魔王の謎もまた一つ増えましたね。 戦いの後は、甘い(?)展開になりますが、ここ最近続いていたこういった展開に区切りをつける意味合いもあったと感じました。このくらいの距離感の方が、コメディの入る余地があると思いますし(笑)。 魔王軍の幹部を連破し続け、いよいよ大きく物語が動くのでしょうか?次が楽しみです。巻末の人気投票結果発表は、かなり予想どおりな結果でした!
2投稿日: 2017.03.11ひとりぼっちの地球侵略(3)
小川麻衣子
ゲッサン
その人は私の片割れなの。
表紙絵が、今まで暗かった(希ひとりだった)のが、明るく!なんだかジブリっぽいきもしますが(笑)。この巻から中扉がカラーになったのが嬉しい。こちらも、希と岬一の背中合わせの絵になっています。 内容は、二巻からの流れを継続しながら、文化祭を交えたお話になっています。新キャラであるアイラと古賀さんを交えつつ、ドタバタしつつ、それでいてコメディにはなりきらない雰囲気があります。希の行動や感情の流れが、地球人離れ(?)してる部分がそうさせるのかな? タイトルは希のセリフから。二巻では、岬一のことを暇つぶしだと言った希ですが、どちらが本心からの言葉か、深読みする必要もないですね! 好きなシーンは、アイラが岬一の背中をげしっとけっとばすところ。回を重ねるごとに人情味が増してくるいいキャラだと思います。
3投稿日: 2017.03.10この素晴らしい世界に祝福を! 8 アクシズ教団VSエリス教団【電子特別版】
暁なつめ,三嶋くろね
角川スニーカー文庫
エリス様づくしのお祭り巻です。
表紙絵のエリスがメインの一巻です。表でも裏(?)でも、大活躍。エリスは、何にもない部屋に一人でポツンといた姿ばかりだったので、こうして賑やかな中で感情豊かに過ごしてる姿が見れて、シリーズファンとしても嬉しかったです。 エリスに絡めて、アクアも前面に出てくるかと思いきや、いつものアクアさんでした(笑)。おバカキャラとして賑やかし要員なのはわかるのですが、意外と母性的なところとか、個人的にはもう少しクローズアップしてほしいです。 聖鎧には笑いました(笑)。後のお話でも出てきそう。今回はシリアスな戦闘シーンもなく、キャラ同士の掛け合いが楽しい一冊でした。おまけ小説は、まあまあ…かな(笑)。
3投稿日: 2017.03.08ひとりぼっちの地球侵略(2)
小川麻衣子
ゲッサン
バトルもありますが、根底は変わりません。
一巻の展開を深化するかと思いきや、物語世界を広げてきたのが、この二巻です。岬一の双子の兄である凪と、宇宙人リコが登場します。 普通にバトル展開が目を引きますが、この漫画ならでは(?)の展開があります。岬一との時間がこれからもたくさんあると楽しみにする希。しかし、彼を好きな人は他にもいるわけで…。邪魔され続けることに業を煮やした希は、岬一を連れて宇宙人探索に出かけますが…? また、一人ぼっちになってしまった…とセリフはないですが、ポツンとたたずむ希の姿が印象的でした。好きなシーンは、凪がガラス越しにパン屋さんをのぞいてるシーン。店主さんが好意を見せるのですが、岬一の料理が楽しみで帰路を急ぐ凪がいいですね。自由気ままを気取りつつも、家族の暖かさをより求めている、そんなところが。 おじいさんの焙煎作業をじっと見学する岬一のシーンも好き。このなんでもなさそうなシーンだけで7ページも使ってるんですよ。こういったところが雰囲気を作っているのかなあと感じつつ、三巻に続きます。
1投稿日: 2017.03.04恋する日本語
小山薫堂
幻冬舎文庫
タイトルがすてきです。
タイトルに惹かれて購入してみました。「正しい」や「綺麗な」だとなんか教科書っぽいので、センスが香るネーミングだと思います。 内容は、ほぼ恋愛関係に絞ったもので、女性向きかもしれません。彼の家に泊まる楽しみの一つが彼のシャンプーをこっそり使うことというのは、微笑ましいなと思いますが、男がやってたらドン引きでしょ…(笑)。 reader端末でも読めますが、iPadで読む方が、より本の雰囲気を楽しめるのではないかと思います。難点は、値段に比して内容が薄いことでしょうか。軽い散文詩のような形態で、おおきなイラストが入っているとはいえ、文章量は少な目です。50編くらい入っててちょうどいいかな?と個人的には感じました。
5投稿日: 2017.02.28