
誰かが足りない
宮下奈都
双葉文庫
「ハライ」の予約のお客さま、皆さまご来店されることを願って!
作品情報にある、ビデオを撮っていないと部屋の外に出られない青年。 青年にある自分の心の置き所を、何度もぐるぐる逡巡するさまは、この青年にとって、とても大切な意味のある証となって行くと思います。 青年と妹、妹の友達の3者の会話。少ない短い会話の中にも、あとあとまで残る『心の温かさ』を感じる事ができました。とても繊細だけど、壊れない強さのある表現でした。
0投稿日: 2018.05.15
羊と鋼の森
宮下奈都
文春文庫
『羊と鋼の森』そこには大きな世界が。
たまに行くコンサート、音楽会、ライブでただの一度も景色や気配、匂いなんて感じたことはない。これは手ごわい、根本から何かが違うな。 なので外村青年の感じているイメージを通しての、景色や感覚を想像してみる。 例えば、いくつもの美しいものを発見した時の、静謐であり温かく強さもある表現がいくつも現れて、それはもう。
0投稿日: 2018.05.02
神さまたちの遊ぶ庭
宮下奈都
光文社文庫
チャンスの神さまには髪がふさふさあるんですね!
宮下家のお子たちの、スコーンと気持ちのいい思考に(発想力・想像力・好奇心など)たまらなく癒されました。その子供たちの魅力のカギが分かりました。それは宮下家の母にありました。本当に皆さまに読んで頂きたいのですが、すでに冒頭の新住所のくだりに見えました。ふつう親が横で聞いていたら絶対・・・。が宮下家の母は・・・。 そんな日常がいっぱい垣間見れて、あっという間に一年がめぐってしまいました。
0投稿日: 2018.04.21
切れない糸
坂木司
東京創元社
『全部入り』いっつも美味しくいただいてます!
シゲさんと沢田くんの感じている事、それ、分かるような気がします。 だって『町の生物委員』がそのまま成長してきたような、そんな存在の親子だから。 寒さに耐えながら?!少しずつだけど、経験を自分のものにしていく頼もしさと、ほんわかとした家族団らん、それからあまり経験することのない商店街の風情がとても気に入りました。 次作を楽しみに待っていていいんですよね。
0投稿日: 2018.04.11
鳥類学者のファンタジア
奥泉光
集英社文庫
LP育ちのジャズ好きには堪りません!ありとあらゆる臨場感が!
みなさんどの方も、いいキャラしていてユニークで魅力全開!ここは全力でほめちぎりたい! 進めば進むほど謎が深まって、実は誰が何者なのか。そもそもいつの時代に始まったことなの?などなど。 知りたくてうずうず、最後まで一気に!(長い旅路だったのにもかかわらず、もう終わりだなんて・・・)と思いました。 怒涛のように数列やら天体、音階などが次から次へと押し寄せる。さてどう対処するのかがお楽しみですね!
0投稿日: 2018.03.31
遺跡発掘師は笑わない 君の街の宝物
桑原水菜
角川文庫
何作かに一回は、こういう短編集出してほしいです!
幼少期の激震のエピソード、“こんなことがあったのかぁ”と無量くんと忍さんの関係性を再認識しました。ほんと衝撃! そして、最新情報。カメケンでの重要なイベントが。もう萌絵ちゃんったら、さらに男前に。 とてもハートウォーミングな宝探しと、笑いで受けとめる夢と。
0投稿日: 2018.03.17
One World
喜多川泰
サンマーク出版
花束のおじいさんのことば その言葉で前に進めそう。
ほんに、どこから読み始めてもつながっているのです。 読み終えてから、もう一度読み返すのがお勧めです。より魅力的な人物として広がります。 その物語の中の、わき役であるはずの人物が、主役として存在しているのです。 すれ違いの出会いであっても、それが大きな意味を持って!
0投稿日: 2018.03.09
明日の記憶
荻原浩
光文社文庫
まるまるとふくらんだスーツのポケットのメモ、それが現実。
その内に自分も?という恐れがずっと占めていて、この上なくしんどかったです。 でも、最後まで読み切って本当に良かった! もし自分に何かあった時、もう一度読み返す事になるだろう。 そして、きっと温かい勇気をもらえると思うのです。
0投稿日: 2018.02.16
妖奇庵夜話 花闇の来訪者
榎田ユウリ,中村明日美子
角川ホラー文庫
桜餅・胴吹き桜・啓翁桜・桜の花びら。
何事もなく過ぎて行く毎日の向こうに、どこかにいるであろう青目の存在がずっと気にはなるけど。いつ? 今まで、悪い人、良い人の位置付けで見ていたけれど、そんなこと自体何の意味もないことだと気づく。怖い! たぶん青目と洗足さんて、会ってはいけない人たちだと思う。なのに。 脇坂くんと甲藤くんのコンビは、よく分からないけど、分かる様な気もする。 この世の中、言葉では言い表せないようなあいまいな事だらけだけど、 そこらへんのところを、いい感じに伝えてくれて、少しあたたかい気持ちにしてくれる。
0投稿日: 2018.02.01
ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~
三上延
メディアワークス文庫
この母親にしてこの子あり。でしょうか!
終盤。緊張の連続に加えて、何とも言えない不安感がしばしの間続いて、更なる驚きと、やがて・・・が。 あの人からも、この人からも見守られながらも、存分に鍛えられてきたんだから、何かとんでもない事しでかしてくれるんじゃないかと期待してました。 シェイクピアというあまり馴染みのない題材ではありましたが、辛うじて観劇での『十二夜』を例にふむふむ成程と、栞子さんの説明が分かりやすく、この時代のことが新鮮で斬新でした。 いろんな形でまた出会える日を楽しみに待ってます。後日譚がいいなあ。
0投稿日: 2018.01.24
