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とある本読みさんのレビュー
いいね!された数7
  • 倒錯の死角 201号室の女

    倒錯の死角 201号室の女

    折原一

    講談社文庫

    流石にご都合主義

    いわゆる夢オチに近い作品。終盤まで良い感じで来るのに最後でガッカリ。 トリックの基本形自体はほぼ冒頭で判明するので「おかしいなぁ」と読み続けることになる。 いわゆる「謎解き」「本格」ではないので、そこまで気にしなくても面白ければ良いのではとは思うが、最後にご都合主義のパーツがどんどん出てきて「流石にこれは無いだろう」となるのが残念。それでも矛盾が残る始末。 ネタバレしないために詳細書きませんが、ホントに夢オチで終わらせた方が作品として良かったのではと思える。 終盤自体は星1、そこまでは星4という残念な作品。

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    投稿日: 2019.09.17
  • ここまでわかった! 「古代」謎の4世紀

    ここまでわかった! 「古代」謎の4世紀

    『歴史読本』編集部

    新人物文庫

    結構面白い

    とある雑誌の特集を単行本としたものです。2013年歴史読本、2014年書籍発行。 内容的にはいろいろな著者が発掘物などを基に当時の状況について持説を簡略に解説するものなので、著者間で全く正反対の解説をしていたりでとても「ここまでわかった!」とは言えません。詳しい方なら特に目新しいものでもないかもしれません。 しかし、私のような興味はあるけど深く追ったことは無いくらいの初心者だと面白く読めそうです。昔のまともだったころのNスぺに近い感じでしょうか。各著者の解説も、分量的なものか、妙に詳細にならず的を絞ったようなものが多く、4世紀を多面的に概観するには向いた本だと思います。 後半1/3ほどの各地方編は紙面が少ないのか単なる事実の羅列になっているのが惜しいところです。

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    投稿日: 2019.08.29
  • 放浪の戦士 デルフィニア戦記1

    放浪の戦士 デルフィニア戦記1

    茅田砂胡

    C★NOVELSファンタジア

    ある意味で少女漫画の世界

    栗本薫と茅田砂胡はいわゆるラノベのはしりだと思っています。もっと狭いジャンルというか各作家が特定の読者層を持っていてそれが広がっていかない、一定の年齢層で終わるものであったものが年齢層が広がり、それに伴って「ああ、読んでたなぁ、懐かしいなぁ」と言う人が増えたことで認知が広がってゆく、このジャンルにとって良い循環が始まったのはこの辺からかと。 今読みなおすとやはり「少年誌に掲載された少女漫画」の香りがするのはやはり時代かと思いますが、面白い作品であるとは思いますので、まあ一冊お手にとってみてください。

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    投稿日: 2019.08.22
  • 一気に同時読み!世界史までわかる日本史

    一気に同時読み!世界史までわかる日本史

    島崎晋

    SB新書

    企画趣旨には賛同、でも内容は少々問題あり

    受験時代に山川出版社からでていた世界史地図帳(要するにメルカトル図法で全世界の地図を各地の区切りになるような事件ごとに作成したもの)を使ったことで一気に歴史の成績が上がり頭の中が整理されたことを思い出します。 受験にも、教養としての歴史認識にもとても良い手法だと思うので企画趣旨には大賛成です。 とはいえ、年表形式はイメージをつかみにくいので、分量の半分は地図にすべきだったとも思います。特に世界史はどの国がどこを支配していたかが結構重要な情報です。国境を接していた国との間には交流と緊張があり、そして隣国の興亡は自国の歴史に大きく影響します。 また、記載内容としては前後の記事に矛盾があったり、根拠のない推測をあたかも史実のように述べている部分などが散見されるため、そのまま鵜呑みにするには無理があります。史実をもう少し上手な文章で書くだけで読める本になると思うのですが。。。 もう少し練っていたら良書になったと思うのですが残念です。

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    投稿日: 2019.08.15
  • 21世紀の貨幣論

    21世紀の貨幣論

    フェリックス・マーティン,遠藤真美

    東洋経済新報社

    ものすごく迂遠

    著者の経歴を見ても経済官僚であり、学者ではないのでそのつもりで読む必要がある。2008年を受けて2013年に書かれた本であることも留意が必要。 前半の基本的な態度は「現在の不兌換紙幣の貨幣論で過去の通貨をかたる」なので、内容的には相当の不備がある。が、学説ではなくエッセイのようなものなので気にしてはいけない。 この経歴の人がこんなことを書くのかと言うのが随所に出てきて本当に衝撃を受ける。まあ、専門外はみんなこんなもんだよね、と言うところ。 不兌換通貨を前提に語るので、なぜ「悪貨は良貨を駆逐する」のか、江戸期前の日本のような通貨非発行国はどうなるのか、中国や日本のような計るタイプの通貨の定義、「お金が存在しない」とするメソポタミアの諸国でどのように産物を分配していたのか、とかご意見を伺ってみたいものが次々出てきます。「マネー」と「通貨」が混在して語られているのも原因と思うのですが我田引水。引用も「19世紀の経済学者の何とかさんが言うように」とかです。で、論証は無しと。 また、西洋人だからか東洋や東南アジアについての貨幣史は知識が無い様で、その面からも「あれれ」と。 まあ、褒められたものじゃないなと。鵜呑みにせずチャンと消化できればそれなりに面白いですけどね。 後半はおそらく筆者の信念や体感に近い部分でできている。正直後半だけで良いのでは。別に古い貨幣論を否定しなくても経済学の素養があれば読者も不兌換通貨の概念や信用の概念から逸脱しないと思う。 で、本当に著者が否定したいのは現在の経済運営そのもので、その運営の下敷きになっているのが営々と組まれてきた経済理論でその一部として貨幣論があると。すごく迂遠な構成になっている。 ただ、中央銀行を含む銀行制度を否定しつつ、信用創造制度を社会的に維持する必要があるといわれると、新しい用語はともかく、対策は無いんだなぁとよくわかる。 最終的には新たな公平で豊かな社会を生み出す経済運営を実現するには、一人一人の日常生活が大事だよとなって腰砕けする締め。 何か身になるものと言うことなら、金貨銀貨から兌換通貨へのパラダイムシフト、兌換通貨から不兌換通貨へのパラダイムシフトに気をつけつつ後半だけ読めばいいんじゃ無いかな。ただ、自分だけが納得しているような文章です。せめて抽象概念についてはもう少し説明がほしい。前半要らないから。

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    投稿日: 2019.07.16
  • 虚構推理(1)

    虚構推理(1)

    城平京,片瀬茶柴

    月刊少年マガジンR

    おもしろいけど。。。

    この作品って漫画の連載のノベライズとみるか、小説のコミカライズとみるかによって評価が変わるような気がする。ほぼ平行するのでどっちともとれる。それでいてキッチリ書籍とコミックとが対応するのでもなくと。 どうしても漫画の方がインパクトが強くて、種明かしをされたものを小説で再読できるかと言うと。。。 なので、コミックは小説版を読んでからをお勧めします。故にコミックは10巻を買わずに先に小説を読みましょう。

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    投稿日: 2019.07.05
  • 虚構推理 スリーピング・マーダー

    虚構推理 スリーピング・マーダー

    城平京,片瀬茶柴

    講談社タイガ

    おもしろいけど。。。

    この作品って漫画の連載のノベライズとみるか、小説のコミカライズとみるかによって評価が変わるような気がする。ほぼ平行するのでどっちともとれる。それでいてキッチリ書籍とコミックとが対応するのでもなくと。 どうしても漫画の方がインパクトが強くて、種明かしをされたものを小説で再読できるかと言うと。。。 なので、コミックは小説版を読んでからをお勧めします。故にコミックは10巻を買わずに先に小説を読みましょう。

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    投稿日: 2019.07.05
  • 七つの棺

    七つの棺

    折原一

    東京創元社

    ドタバタコメディー

    著者は叙述トリックの名手だそうです。デビュー作と言うことなのでしょうが、単なるドタバタコメディーにしか感じられませんでした。 早い段階でオチも分かるし、展開に無理もある。この黒星警部とその周辺って肌に合わないんだろうなぁと思いながら途中でギブアップ。 ミステリーのつもりでドタバタ劇読まされたので低評価です。

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    投稿日: 2019.06.26
  • 後宮の烏

    後宮の烏

    白川紺子,香魚子

    集英社オレンジ文庫

    中華風後宮を舞台にしたファンタジーの佳作

    設定としては中国の後宮を下敷きにした架空の国の物語で、短編をつなぎながら全体のストーリーが流れていく形式。 言葉使いなども後宮を舞台にしたドラマなどを思い浮かべればスッと頭に入る。 (「若儀」や「諍い女」あたり。形式的にはもう少し古い時代が舞台のようですけど) 第一巻は舞台となる国の隠された歴史を明らかにしてゆくとともに登場人物の肉付けをしてゆき、続く巻では舞台装置の揃った中で物語が進み始める。 文体が少々淡々としていることもあり、感情移入するというよりも登場人物たちを横で眺めているように感じつつ読んでいっていました。 「おもしろい!!」って感じの物語ではないけれど、破綻のない世界観と血の通った登場人物たちの織り成す佳作です。

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    投稿日: 2019.06.22
  • こんな街に「家」を買ってはいけない

    こんな街に「家」を買ってはいけない

    牧野知弘

    角川新書

    今となっては古い内容

    2016年出版の本ですが、今となってはかなり古い内容になっています。 老いたニュータウン、限界ニュータウンにたいする処方的なものは何もなく、単に「バブルのころ家を買った人は、、、」「親の家を相続することは、、、」という内容です。 「これから空き家問題が発生するよ」という趣旨なので書かれた時点でも少々古い内容で、すでに現実的な処方が試され失敗している現在では改めて読み返すほどの価値は無いかと思います。 書店ならば店頭に並ぶことは無いような本ですが、こういった本が並んでしまうのは電子書籍の悪いところであり、古くても探せるという意味では良いところでもありと悩ましいところですね。

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    投稿日: 2019.06.07