とある本読みさんのレビュー
参考にされた数
6
このユーザーのレビュー
-
薬屋のひとりごと
日向夏, しのとうこ / ヒーロー文庫
好みはあるだろうけど、万人向けとおもう
2
WEB、コミック、書籍と全巻所有してます。読み返せるほどおもしろい。特にミステリー的なトリックがあるわけではなく、キャラクターで読ませるタイプなので好みはあると思うけれど、ほぼ万人向けと思う。(トリッ…ク方面を期待するとがっかりしますよ)
WEBがひっかかりひっかかりつつ書いているのがはっきりわかるのに対して、書籍は「きれいに清書しました」という感触になっていて、WEBの味が少々薄れているのもあるのでWEBもお勧めです。
この作者さんは書籍化するとWEBは削除するようですが、今のところ連載中として残っています。 続きを読む投稿日:2018.07.21
-
21世紀の貨幣論
フェリックス・マーティン, 遠藤真美 / 東洋経済新報社
ものすごく迂遠
1
著者の経歴を見ても経済官僚であり、学者ではないのでそのつもりで読む必要がある。2008年を受けて2013年に書かれた本であることも留意が必要。
前半の基本的な態度は「現在の不兌換紙幣の貨幣論で過…去の通貨をかたる」なので、内容的には相当の不備がある。が、学説ではなくエッセイのようなものなので気にしてはいけない。
この経歴の人がこんなことを書くのかと言うのが随所に出てきて本当に衝撃を受ける。まあ、専門外はみんなこんなもんだよね、と言うところ。
不兌換通貨を前提に語るので、なぜ「悪貨は良貨を駆逐する」のか、江戸期前の日本のような通貨非発行国はどうなるのか、中国や日本のような計るタイプの通貨の定義、「お金が存在しない」とするメソポタミアの諸国でどのように産物を分配していたのか、とかご意見を伺ってみたいものが次々出てきます。「マネー」と「通貨」が混在して語られているのも原因と思うのですが我田引水。引用も「19世紀の経済学者の何とかさんが言うように」とかです。で、論証は無しと。
また、西洋人だからか東洋や東南アジアについての貨幣史は知識が無い様で、その面からも「あれれ」と。
まあ、褒められたものじゃないなと。鵜呑みにせずチャンと消化できればそれなりに面白いですけどね。
後半はおそらく筆者の信念や体感に近い部分でできている。正直後半だけで良いのでは。別に古い貨幣論を否定しなくても経済学の素養があれば読者も不兌換通貨の概念や信用の概念から逸脱しないと思う。
で、本当に著者が否定したいのは現在の経済運営そのもので、その運営の下敷きになっているのが営々と組まれてきた経済理論でその一部として貨幣論があると。すごく迂遠な構成になっている。
ただ、中央銀行を含む銀行制度を否定しつつ、信用創造制度を社会的に維持する必要があるといわれると、新しい用語はともかく、対策は無いんだなぁとよくわかる。
最終的には新たな公平で豊かな社会を生み出す経済運営を実現するには、一人一人の日常生活が大事だよとなって腰砕けする締め。
何か身になるものと言うことなら、金貨銀貨から兌換通貨へのパラダイムシフト、兌換通貨から不兌換通貨へのパラダイムシフトに気をつけつつ後半だけ読めばいいんじゃ無いかな。ただ、自分だけが納得しているような文章です。せめて抽象概念についてはもう少し説明がほしい。前半要らないから。 続きを読む投稿日:2019.07.16
-
楽園とは探偵の不在なり
斜線堂有紀 / ハヤカワ文庫JA
-
地形で読み解く 古代史
関裕二 / ワニの本
古代史の本として読むと理解できないと思う
1
積ん読が多いのでうっかりこの著者を2冊買ってしまった。もう一冊の方も同じ傾向なので多分どれも同じなのだろう。(もう一冊は15年前の出版)
この著者の本はいわゆる「トンデモ本」もしくは「叙述トリック」…だと思って読めば楽しく読めると思う。
個別にその小題だけを読むとそれなりに納得感のある主張なのだけど、全般を眺めなおすと何を言っているのかさっぱりわからなくなる。全体を統一するテーマがないこと、前半と後半での矛盾、史実・通説・持説を区別せずすべてを対等に記述すること、多方面への脱線が多すぎることと手抜き地図のせいだろうと思う。
特に地図は酷く「地形で読み解く古代史」のはずが古代の地図を掲載しない有様。時として他所から引用してくる地図が、当著書の意図と違うものを載せるのでそれ自体が誤解のもとになりかねない。
持説のおかしさを指摘されないようわざとやっているんじゃないかとも邪推している。
少なくともこの本を真面目に読むには、まず準備としてインターネットで古墳時代の海岸線と主要河川の当時の流れを確認する必要がある。
また、持説には明確な論拠もない。
例えば、神功皇后は九州で邪馬台国を偽称して王国を建てヤマト政権と戦って死亡したそうだが、「記紀」との整合性は放置したまま。
仁徳陵など巨大古墳は水利のためだそうだが、どう水利につながっているのかは記載なし。
テーマの例では、序章で書かれている「東西の対立」は持説の一つであるはずがほとんど出てこない。あるのは畿外の物部氏、蘇我氏と畿内の藤原氏の対立だけ。
など、それ自体は「オモシロい説」であってもそれだけ。でも、文章は下手なので目が滑ります。
したがい、お金が余っていて暇を持て余している考古学・史学に興味のない方にお勧めします。暇つぶし本です。 続きを読む投稿日:2019.09.18
-
戦国小町苦労譚1 邂逅の刻
夾竹桃, 平沢下戸 / アース・スターノベル
典型的な崩壊型
0
基本的に現代知識チート物で、農業関係あるのはほぼ最初だけ。農業縛りで展開すればそれなりに読めるものになったのではないかと思いますが、途中からセメント、製鉄、精密加工と何でもありになり、「農業科の学生っ…てナニ?」状態になります。
しかも、その知識が間違いだらけ。良くわかってないものを表面上だけ使うもんだから中世と現代が混在してたり、1+1=1だったり。
ファンタジーだし、楽しみ方はいろいろなので、こういった「崩壊ハチャメチャ型」の作品を面白がるのもありとは思いますが、万人にお薦めはできないかなぁ。まずは「なろう」でオリジナルをそれなりに読んで、楽しめそうならお布施かねて買うのが良いのでは。
私はついてゆけませんでした。 続きを読む投稿日:2019.02.15
-
日本の「老後」の正体
髙橋洋一 / 幻冬舎新書
経済原論の副教材としても良し
0
本書は消費税10%への増税直前の作品ですので、どっちかと言うとそれへの反論として読んだ方がわかりやすいかなと思います。
老後はほぼ関係ありません。ボリューム的にも260Pほどの内80Pほどです。…
メインになるのは「なぜバブルは崩壊したのか」「金融政策とは」です。
この辺の論旨展開は明快ですが、高校生に聞かせてそれに回答するという形式なので少々あざといです。
また、本当に著者が内容を確認したのか疑問になるくらい矛盾点、疑問点があったりします。多分高校生部分や言い回しなどは著者が直接書かずゴーストライターか編集者がそれらしくリライトしているので、その部分でおかしくなっているのではと推測しています。「先生」の発言部分だけ目を通したのでしょう。
バブル崩壊以降の金融緩和が必要な部分で緩和しなかった日銀の罪は重いというのは常々感じていたことで、こんな簡単なことを日銀の行員が理解していないわけがなく「なぜなのか」。
また、消費税増税をいつも最悪のタイミングで行う財務省の「なぜなのか」。
ここが書かれていれば星5つですが残念ながら高望みなのでしょう。 続きを読む投稿日:2021.12.12