KKさんのレビュー
参考にされた数
130
このユーザーのレビュー
-
太陽の棘
原田マハ / 文春文庫
沖縄の絵
3
第二次大戦直後の沖縄での,米軍軍医と現地の画家たちとの物語。
実のところ,沖縄自体行ったことがない。なので,沖縄のこと,歴史のこと,ともに学校や本などから得た知識でしかない。それであっても,戦争で破壊…され,米軍占領下にあった沖縄というのは生きることすら大変だったろう。
そんな環境下であっても,画家たちは絵を描いていた。画材の入手も簡単ではないが,芸術村をつくり寄り添って生きていた。
いつも繰り返すが,原田マハさんの書く「絵」のストーリーはすばらしい。この本の中で「絵」といえば,表紙だけなのに,ストーリーの中で描かれる「絵」たちが頭の中に浮かび上がる。まあ,私自身が絵の才能が皆無なので,ディテールのまったくない,ぼやっとしたイメージなのだけど。 続きを読む投稿日:2016.12.01
-
まつもとゆきひろ 言語のしくみ
まつもとゆきひろ / 日経BP
プログラミング言語設計者の思考
3
Rubyのパパ,まつもとゆきひろさんが新しいプログラム言語を設計していく過程が書籍化されている。
プログラミング言語を設計するといっても,いったい何から始めればいいの?というのが普通の感覚だと思うけど…,これを読めば言語設計者の感覚が少しはわかるかも。
自分もプログラムを書くが,あくまでも既存のプログラム言語を使って書いているだけ。もちろん,自分で言語を作ってみたいと思わないわけじゃないが,まあ,ちょっとそこまでの勇気はない。というか,Rubyをはじめとして,世の中には素晴らしい言語がたくさんあるし。
続きを読む投稿日:2017.02.25
-
ロードス島攻防記
塩野七生 / 新潮文庫
騎士の時代の最後
3
キリスト教世界とイスラム教世界の最前線だったロードス島をめぐる聖ヨハネ騎士団とトルコのスレイマン一世の争いが描かれている。塩野さんのストーリーらしく,人を深く描いていて,非常に臨場感がある小説になって…いる。
前作の「コンスタンティノープルの陥落」に続き,このロードス島をめぐる戦いでも,大砲が活躍し,城の扱いも変わってきた。西洋の騎士が活躍する最後の時代だったのだろう。 続きを読む投稿日:2017.02.25
-
コンスタンティノープルの陥落
塩野七生 / 新潮文庫
世界史の中の登場人物の気分で
2
1453年 東ローマ帝国(ビザンツ帝国)滅亡
学校での世界史の学習の中では,この1行で終わってしまう。その1行をさまざまな立場・視点で,あたかもその時代にいるかのように感じながら読むことができる。
コ…ンスタンティノープルという街は,単に東ローマ帝国の首都だったというだけでなく,ヴェネツィアやジェノヴァといった北イタリアの都市とも深いつながりがあり,このコンスタンティノープルの陥落自体にもこれら西欧の都市国家がからんでいたというのは知らなかった。これらの登場人物の一人称視点で読めるというのも,塩野七生さんのストーリーの特色だろう。
今まで,イスタンブール(コンスタンティノープル)という街自体,それほど興味は無かったのだが,これを読むと,東ローマ帝国からトルコに続く歴史の中心となった街だということに気づき,一度行ってみたいと思わされる。 続きを読む投稿日:2017.02.05
-
新装版 魔女の宅急便
角野栄子 / 角川文庫
魔女のひとり立ち
2
娘のために買った本だけど,実は自分も読みたかった。
一応,児童書だと思うけど,大人でも十分面白い。映画ももちろん見ているけど,話としては原作の方が面白いかな。続きも読まないと。投稿日:2015.07.04
-
西の善き魔女1 セラフィールドの少女
荻原規子 / 角川文庫
没頭できるファンタジー
2
荻原規子さんのファンタジックな世界観は素晴らしい。
空色勾玉シリーズ,RDGシリーズなど,日本風ファンタジーもいいけど,この「西の善き魔女」では,いわゆる西洋風なファンタジー。
子どもが大きくなったら…読ませたいなあ。 続きを読む投稿日:2015.07.12