KKさんのレビュー
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有頂天家族
森見登美彦 / 幻冬舎文庫
狸と天狗のファンタジー
7
京都の町を闊歩(?)する,狸と天狗。
日々,毛玉として楽しく暮らしていきたい狸たちにも,派閥があったり,諍いがあったり,狸鍋にされて,食べられてしまう危機があったり。
狸鍋となって食べられてしまった父…親から「阿呆の血」を継いだ4匹のユーモラスな狸たちが描かれている。 続きを読む投稿日:2013.11.10
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ハーモニー
伊藤計劃 / 早川書房
意思とは何だろう
6
すべての人々が管理され,「健康的に生きること」が最優先されるようになった世界。
最善の生き方,最善の生活を外部から指示されながら生きていく,人々がそのような道を選び,調和していくとどうなっていくのだろ…うか。
人とは,意思とは何だろうか。
このようなすばらしいSFを書かれた伊藤 計劃さんだが,若くして亡くなられてしまったというのは非常に残念。 続きを読む投稿日:2014.04.23
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ご冗談でしょう,ファインマンさん 下
R.P.ファインマン, 大貫昌子 / 岩波現代文庫
科学を志す人必読の本
6
ノーベル賞物理学者,ファインマン教授のエピソードが続く。中でも,最後に収録されている「カーゴ・カルト・サイエンス(カリフォルニア工科大学1974年卒業式式辞)」というのが個人的には素晴らしいと感じた。…というか,「これだけは読め」と思わせる。
科学者とはどうあるべきか,科学というものに対して,どう向き合えばいいのか。また,科学者ではない一般の人たちに向かって,どのような態度をとるべきか。科学者としての良心とは何か,大学を卒業し,これから科学の道に進んでいく学生たちへの言葉として,これ以上のものはないのではないか。
また,この式辞から,ファインマン教授が,単に研究者として優れていただけでなく,後進を育てていく教育者としても素晴らしい人だったのだろうと思う。 続きを読む投稿日:2015.11.03
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人工知能は人間を超えるか
松尾豊 / 角川EPUB選書
人工知能に興味があるのなら読んでみよう
5
人工知能。ディープラーニング。最近ちょくちょく耳にする。大学入試を受ける人工知能なども,話題になっている。
でも,一体どういうものなのかというと,説明は上手くできない。また,人工知能の研究が進むと,人…間の仕事を奪ってしまう,人間に危害を与えるという危惧も聞かれる。
この本は,人工知能の最先端の研究者が,こういった疑問に対する答えを与えてくれる。人工知能は,これまでどのような研究がなされ,今どういったことができるようになってきたのか。そして,これからどのようなことができるようになるのだろうか。 続きを読む投稿日:2015.11.28
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ふわふわの泉
野尻抱介 / ハヤカワ文庫JA
なんとなく実現してしまいそうなSF
5
野尻さんのSFって,なんか,こうちょっとがんばると実現してしまいそうな,絶妙な設定がすばらしい。あと,このゆる~いタイトル。
女子高校生が発見した,ダイヤモンドより硬くて,空気より軽い新素材「ふわふわ…」。そんな夢の素材があれば…。 続きを読む投稿日:2013.10.21
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ヴェイスの盲点
野尻抱介 / ハヤカワ文庫JA
楽しいスペースオペラの時間です
4
宇宙船と有能なパイロット,悪役との対決と,SFの王道的な作品。でも,あまり「戦い」に重点が置かれていないので,気持ちよく読んでいけます。
また,野尻抱介さんのデビュー作ながら,野尻さんらしい科学的な描…写が楽しめます。
SFだってサイエンス「フィクション」なんだから,科学的・工学的じゃないところがあってもいいじゃないというのもわかるのですが,やっぱり,宇宙空間で手足のついた人型ロボットで戦闘したり,大気中のように宇宙戦闘機が飛んだりというのはちょっと心の中で引っかかってしまう。
続きを読む投稿日:2014.05.14