
六枚のとんかつ
蘇部健一
講談社文庫
「謎を解かない」前半の方が俄然面白かったなぁ…
所謂バカミス。 ただトリックやギミックが突拍子もないものという類のでは無く、単にキャラクターがおまぬけというタイプのバカミスでした。 すると納得できないのが、後半の「普通に謎解きをする展開」です。 前半はまだ、謎を解いた!と思ったら全然違った!とか作風にあった展開が面白かったのですが、謎解き自体は驚きのないものなので後半は一転して面白みに欠ける展開に。 中盤に読者への挑戦が出たときは、おおと思ったんですけどね。 これを出してきて、実はトリックを見破れませんでしたなんて最高の展開になると期待したのですが… 何とも残念。
5投稿日: 2014.12.03
灼眼のシャナ
高橋弥七郎,いとうのいぢ
電撃文庫
盛り上がりに欠いた「ぅゎょぅι゛ょっょぃ」でした
ぅゎょぅι゛ょっょぃの話でした。 なので一番の勘所は最後の戦闘シーンだったと思うのですが、そこが一番微妙で消化不良でした。 そもそもこの戦闘で起きたことを正しく読み取れた方っていたのでしょうか? それとも僕の読解力が貧弱すぎるの?? いずれにせよ何が書いてあるかよく分からず終わってしまった感じでした。 あと敵が余り憎らしくないのも盛り上がりに欠いた要素の一つかと。 ところで、トーチが人の「記憶」から消えていくのはいいとして「記録」はどうなるの? PC上のデータまで全て消えちゃうの? そういう事考える奴は無粋なの?
1投稿日: 2014.12.01
銀河英雄伝説2 野望篇
田中芳樹
らいとすたっふ文庫
焦らしの美学に身悶えします
「先が気になる」という状態がリーダビリティの一つだとすれば、このシリーズ程それが優れている小説はないでしょう。 前巻で二人の主人公の僅かな邂逅を描いた事で、この先二人が再び戦場で相対する所が一つの到達点となっていくのでしょうが、本巻では正にその焦らしの美学というか、熱を溜めこむのが巧いというか、とにかく両者別の舞台での華々しい活躍により否が応でも期待が高まってしまいます。 見事の一言。 今の所互いに敵なし状態でしたので、今後脇役達に活躍の場が与えられた時の愉しみというのもありますね。 個人的にはメルカッツ押しで。
1投稿日: 2014.11.29
ミスマルカ興国物語 I
林トモアキ,ともぞ
月刊少年エース
物語の持つ大望やよし。しかしその1巻目がこれでは…
口先だけで世界を支配せんとするその大望やよし。 しかしその肝心の1巻目くらいは先々を期待させるだけの、読者をあっと言わせる智謀策略を見せつけておくべきだったのでは? 初巻から主人公は行き当たりばったりのノープランの連続で、常勝無敗とは名ばかりの戦の基本も知らないような素人将校が率いる敵側の失策のお蔭で勝つことはできましたけど、とても作者がアイディアを持ってシリーズを組み立てているとは思えず。 加えて人の欲望や憎悪が渦巻くべき戦争という状況を如何にも軽く見ている感じが物語をより薄っぺらくしている感じです。 残念。
1投稿日: 2014.11.22
甘城ブリリアントパーク1
賀東招二,なかじまゆか
富士見ファンタジア文庫
後半、一体作者に何が起きたのか
前作からの贔屓の作家さんです。 実際安心感のある文章力や、特に前半あたりの気の利いた笑いのポイント等、やはりベテランと感心させられました。 しかし…一体作者に何が起きたのか。 肝心の後半から勢いが急に失速し、キャラは目立たない、話は盛り上がらない、伏線は弱い…と一気に「何もない」話に急降下してしまいました。 そもそも、遊園地の復興というラノベにしては高すぎるハードルを設定した時点で嫌な予感がしていたのですが、案の定経済小説としても中途半端になるという。 実験的とはいえ、2巻を買って貰えなければ意味なくないですか…?
1投稿日: 2014.11.19
Re:ゼロから始める異世界生活 1
長月達平,大塚真一郎
MF文庫J
面白かった。それだけに残念。
面白かった。それだけに残念。 やはりつい比べてしまうのが「AllYouNeedIsKill」ですが、同じネタでもこちらはこちらで良いものがあったと思います。 ありふれた世界設定が背景の説明を省略する事を可能にしていましたし、これ系の重要なファクターである「命を失うこと」への恐怖は比較的リアリティがあったかと。 残念なのは物語を完結させなかった事、この一言に尽きます。 期待させた分尻切れトンボですし、このネタを次巻以降引っ張るのは無粋もいいとこ。 ちょっと長くなってでも終わらせるべきだったと思うのは僕だけでしょうか。
3投稿日: 2014.11.17
機巧少女は傷つかない
海冬レイジ,るろお
MF文庫J
続きが気になる展開です。ただしハーレムはご容赦を
久々に続きを読んでみようか、と思ったラノベです。 先々を期待させるシチュエーションが良かったでしょうか。 武闘大会的な中で強敵を打倒していくという流れになるようですが、肝心な戦闘シーンが「読ませてくれる」ものでしたので、だったらこのシチュも先々生きてくるかと期待出来た訳です。 ただ、稚拙な文章が目につくのと、興味の湧かない機械人形との甘々なやり取りがしつこくて食あたり気味になってしまうのが難かと。 個人的には折角良さげなヒロイン設定のシャルとの関係を積み上げていって貰いたいところ。 この先ハーレムな展開はご勘弁で。
3投稿日: 2014.11.16
ゼロから始める魔法の書
虎走かける,しずまよしのり
電撃文庫
物語に辻褄合わせが大切なのは分かりますが……
物語に辻褄合わせが大切なのは分かりますが、展開そっちのけでその解説に腐心しており、結局読者置いてけぼりの自己完結物という体に。 それでも序盤は期待が持ててました。 市民から嫌われる魔女、人外として恐れられる傭兵、共に大きな力を持つも寂しさを抱えた二人が出会い、初めは利用し合う為に契約をするのだが…けどここからがどうも。 この場合だと敵は差別や迫害等、謂わば力を持たない側の悪意だったと思うんですよね。 そこを避けて単純な悪者を仕立て、後は興味の湧かない理屈をこね回して勝手に終わらせたという感じがどうにも。 残念です。
2投稿日: 2014.11.12
博多豚骨ラーメンズ
木崎ちあき
メディアワークス文庫
勧善懲悪ともノワールともつかないどっちつかずな博多でした
どっちつかずの展開という感じでした。 殺し屋ばかりの街・博多で一人気を吐く正義の味方モノかと思いきや自身も殺し屋ですし、殺し殺されの世界の殺伐としたノワールかと言えば、負のエネルギーを背負ったキャラが一人も居ないぬるま湯の様な物語ですし…。 頁数が少ないのにキャラが多過ぎで、誰にも焦点が当たらないまま次々と話が跳んでしまうのもどっちつかずで消化不良でした。 ただ僕の知らない博多という街を、森見氏や万城目氏の描く京都の様にミステリアスに想像を膨らませてくれる筆力は素晴らしかったと思います。 ところでこれラノベなの?
3投稿日: 2014.11.05
Self-Reference ENGINE
円城塔
ハヤカワ文庫JA
本作を正しく理解できる方を僕は巨大知性体と呼ばせていただきます
この物語を正しく理解できる方を、僕は巨大知性体と呼ばせていただくことにします。 少なくとも、SF初心者の僕には早すぎる作品でした。 再読必至どころではない…正直五回読んだって正しく理解できる自信がありません。 とにかく難解でした。 とはいえ、決して読みにくかったという訳ではありません。 むしろ軽妙でユーモラス、ちょっと古風な匂いさえする文章は、むしろ親しみすら湧くほど。 だからこそ、自分は何を読み落としたのか、何を理解できなかったのか、ホトホト頭を悩ませてくれます。 仕方ないのでこの世界のイベント後にもう一度読みます。
3投稿日: 2014.11.03
