
道化の華
太宰治
青空文庫
ツイッターの文面の差し込まれた小説!? 新しすぎです先生…。
パンドラの匣を思い出しました。 時期的にはこちらの方が古いのかな? こちらは、女性と心中を試みて自分だけ生き残ってしまった主人公の、運び込まれた病院で交わす友人や家族との会話を通じて、作者の思いを読者に伝えようとした…という物語。 作者ならではの題材です。 当然その解釈は僕個人のものではありますが、この物語に関して言えば三分の一くらいは作者自身の物語へのつぶやきで占められていますので、これほど作者の考えや執筆中の感情が伝わる作品はないでしょう。 ツイッターの文面の差し込まれた小説という所。 新しすぎです太宰先生…。
2投稿日: 2014.12.27
きじかくしの庭
桜井美奈
メディアワークス文庫
整っていて綺麗な物語でしたが、没入するに至らず。
男性教師と恋や友情に悩む女子校生との交流を描いた物語、とよく聞く感じの展開でしたが、主軸となっているのが教師自身の恋愛という所が珍しい感じでした。 描写が良かったのか、登場人物たちの行動や心の動きが手に取るようでしたし、特に私生活で揺れ動く主人公の動揺や焦燥などもよく伝わってきて、ドラマとしても色々と見所があったのですが。 何でしょう、あまり読後が名残惜しくないというか、さらっと終わってしまったというか。 主人公の動きが少なかったからか余り没頭する感じになれませんでした。 気になると言えば続編の題名の方ですかね。
2投稿日: 2014.12.25
ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~
三上延
メディアワークス文庫
先々の広がりが非常に楽しみになる一冊
所謂ライトミステリと呼ばれているものでは某Qと骨に相当がっかりさせられていましたので、こちらも最初は恐る恐るという感じで頁を捲っていました。 がこちらは面白い! まぁ素材が古書ということで興味があったからかもしれませんが、薀蓄は控えめでしたし、主人公の設定が突飛では無かったですし、主人公以外のキャラクターにも親しみが持てましたので、読んでいて気持ちが良かったです。 これから先事件で関わったキャラが増え、ビブリア古書堂の常連になるにつれ物語に深みが増していきそうな所にも期待してしまいますね。 さて続きを買わねば。
4投稿日: 2014.12.21
C.S.T. 情報通信保安庁警備部
十三湊
メディアワークス文庫
中盤までは大変良い雰囲気だっただけに
中盤位までは非常に良かった。 警察もののテイストにサイバーな感じが混ざっていて良い雰囲気ですし、キャラも生き生きと動いていました。 しかし兎にも角にもオチが…。 いくら大人向けラノベとはいえ、オチを盛り上げなくても良いとはならんでしょう。 それほど消化不良な結末が非常に残念でした。 あと図書館戦争にも通じる恋愛至上主義的な流れにも食傷気味かな。 強面の武闘派男性上司までこんなにも恋愛の事でキャーキャー騒がないでしょ。 それと恋愛に関してはリアルを追求したのでしょうが、主人公ちょっと勃起気にし過ぎ。 こんなに反応するもの?
0投稿日: 2014.12.19
僕が七不思議になったわけ
小川晴央
メディアワークス文庫
外部からの情報を遮断してお求めになることをお勧めします
面白かったです。 結構使い古されたギミックだったとは思うのですが、使い方が良かったのだと思います。 予備知識なしで読んでいたらかなり驚いたのではないかと(そういう意味では、読み返したくなるって煽り文句もネタバレでしたよね…)。 それと、案外コメディ部分が気の利いた感じで笑えました。 ラノベの良い部分が出ていた作品ではないでしょうか。 ただ主人公の動機が唐突というか、心配性というキャラクターとこの結末を結びつけるには無理があった様な気も。 結末に繋がる主人公の過去でも差し込まれていれば…と残念。 あとテンコの扱いもね…。
1投稿日: 2014.12.19
キノの旅 the Beautiful World
時雨沢恵一,黒星紅白
電撃文庫
物語の傍観者である主人公を傍観する読者のための物語
物語の傍観者である主人公を傍観する読者。 殆ど何の感情も湧かずに終わってしまいました。 作者の設定資料というか、舞台背景のアイディア帳を読ませられた様な。 短編なのですが、何も印象に残らずに読んだそばから忘れていってしまうという様な。 どんな感情でもいいから激しく揺さぶられるものが好みである自分としては全く対極にある一冊。 そこに輪をかけて主人公にも好感が持てませんでしたので、かなり好みとは遠い作品でした。 ただ文章は丁寧で、独特の世界観を壊すことなく読み進められるのは良かったかと。 とにかく狙いの分かり辛い本でした。
2投稿日: 2014.12.16
善蔵を思う
太宰治
青空文庫
この短い作品によくこれだけの物語を入れられるものです。
この短い作品によくこれだけの物語を入れられるものです。 自虐から入るのはいつもの事で、今回は花売りから騙されてバラを買わされたとか何とか軽いネタから入り、一転して地元芸術家のパーティに招待されるエピソードに移ってからはアクセル全開。 出席するのしないのと小さなことで煩悶し右往左往する内面描写や、出席してからのお決まりの泥酔状態での失態の数々には、よくもこんなに自身を貶める語彙が湧いて出てくるものと感心しながらもゲタゲタと笑わせて貰っていました。 しかも最後には意外なラストが待っていて自分的に大満足。 お勧めです。
3投稿日: 2014.12.14
銃口 下
三浦綾子
角川文庫
時代に翻弄される主人公に、作者の怒りを見た気が
作者の怒りが透けて見える様でした。 教師を一生の仕事と志す主人公は、しかし戦時中の言論統制に巻き込まれて職を失い、失意の中で唯一の希望だった結婚もその直前に召集令状を受けたために叶わなくなります。 思想教育と言論弾圧の愚かさ、一人の人間が国家に自由を奪われることの理不尽さに翻弄される主人公は、それでも人として誠実であることを貫き通そうとしますが、その姿勢こそが、どこか間違った世の中に対する精一杯の抗議と抵抗だったようにも。 非常に真に迫る物語でした。 作中「恩を返したと思うことが最大の忘恩だ」という言葉が印象的。
4投稿日: 2014.12.14
銃口 上
三浦綾子
角川文庫
フラグが立ちまくりで嫌な予感しかしません
予備知識なしで読んでます。 これがどんな物語なのか、氏がどういう作風を持っているのか、全く手さぐりで恐る恐るページを捲っていました。 なので上巻の前半は何を期待して読むべきかも分からず、取り敢えず文字を消化するだけという体になっていましたが、竜太が成人になってからは俄然面白くなってきましたね。 というか所謂フラグが立ちまくっていて、徐々に嫌な予感しかしないという感じに。 長年想いを寄せていた娘と婚約し、3年後に一人前になったら結婚しましょうなんて、とんでもないフラグを立ててくれたものです。 下巻は一気読みの予感が。
5投稿日: 2014.12.11
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
大森藤ノ,ヤスダスズヒト
GA文庫
ダンジョンに物語のギミックを求めたのは間違っていたのだろうか。
ダンジョンに物語のギミックを求めたのは間違っていたのだろうか。 というかこの作者は読者に何を感じて貰いたいと求めたのだろうか。 ダンジョン、ステータス、ファミリアと特徴的な要素が複数あったのはいいとして、それが互いにかみ合ってないものだから、何かちぐはぐというか、一本筋の通ってない物語という印象を受けました。 後これは『モンハン』にも感じた事なのですが、取り立てて人間に害を及ばしてない異種族を"モンスター"と呼称して一方的に無駄に殺戮し、生活費や成長の糧にするってどうなんでしょう。 ちょっと嫌悪感が先行しました。
0投稿日: 2014.12.07
