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rossoさんのレビュー
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  • 大奥 1巻

    大奥 1巻

    よしながふみ

    メロディ

    幕末とどう整合させるかが楽しみ

    言わずと知れた名作なので詳細は避けるが、三代将軍家光の頃に起きた伝染病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」により男性の数が女性の1/4にまで激減、治世を行うのが女性に、そして大奥が男性に代わってと言う話。 話は現在11代将軍の代まで進んでいるが、今後幕末とどう整合させていくかが楽しみ。 鎖国の理由も『「男性極少社会」になっているのを隠すため』とされているので、明治維新のきっかけとなったペリー来航以降とはこのままでは話が合わなくなる。10巻目当りからそこへの解決に向けた話になっているっぽいので、今後の展開が楽しみ。 「沖田総司とかはやっぱ女性にするんだろうなぁ」、とか「西郷隆盛子なんかは見たくないなぁ」とか想像するだけで楽しい。

    2
    投稿日: 2014.11.15
  • お伽もよう綾にしき 1巻

    お伽もよう綾にしき 1巻

    ひかわきょうこ

    LaLa

    戦国初期を舞台にした伝奇ファンタジー

    柳原望の「とりかえ風花伝」と同様、戦国初期を舞台にした話。 あらすじは、、、  幼い頃両親を亡くした「すず」。すずは小さな頃から意図せずにもののけを呼び寄せる不思議な力を持っていた。すずは7歳の頃に修験道を修めた侍「新九郎」と出会い「ととさま」と慕うが、8歳の頃に新九郎は妖術師「現八郎」と戦い命を落としたと知らされる。  時代は移りその9年後。すずは山道で出会った伊摩の国守の跡継ぎ一行とともに蛇の姿のもののけに襲われるが、新九郎の形見の笛から出てきた公家姿のもののけ(新九郎にうり二つ)に救われ、、、 という話。  修験道をメインとした伝奇ファンタジーなのだが、登場人物が実にけなげで良いのだ。ひかわきょうこ作品のすべてに共通するのだが、困難な状況におかれてもメインキャラたちは決してただの他力本願にはならない。それは「彼方から」ののりこもそうだし、学園ものの「千津美」もそうだし、ちょっと方向性は違うが「荒野の天使ども」のミリアムもそうだ。  話の内容そのものは王道ファンタジーで特にひねりも無いが、キャラの個性描写で上手に主人公たちに好感を持たせている点が圧倒的に上手いのだ。また、「荒野の天使ども」にもかいたがマスコットキャラが実に良い。狐のもののけ「五郎太」もいいし、合丸が国守の跡継ぎを守ろうとする時の目つきも笑っちゃうほど良い。  続編は本作では描かれていなかった裏側の事情を描いているので、是非これも配信して欲しい。  

    3
    投稿日: 2014.11.13
  • 限界集落株式会社

    限界集落株式会社

    黒野伸一

    小学館

    もう半ひねり欲しい

    歴史物では信頼しているレヴュアーのjulia-Kさんが★5を付けていたので購入。 うん。まあそこそこ読ませるし面白いと思う。買って損は無いレベル。 ただ、ストーリーがシンプルで分かりやすいのは良いのだが、もう半ひねりぐらい出来ないのかなぁと。 王道、テンプレはテンプレだからこそ美しい、が持論ではあるのだが、予想される展開に行く過程に半ひねりあるともっと面白くなると思うのだ。 半沢直樹シリーズ(特に1~3)はそこが上手く出来ていた。司馬遼太郎や塩野七生なんか結論わかりきっているのに面白いのは結果までの過程を描くのが上手いからだろう。 その部分で若干物足りないので★一つ減

    1
    投稿日: 2014.11.12
  • OZ 完全収録版 1巻

    OZ 完全収録版 1巻

    樹なつみ

    LaLa

    一面の麦畑

    「マルチェロ物語」「朱鷺色三角」「八雲立つ」などの樹なつみが描いた近未来SF。 簡単なあらすじは、、、 偶発的に起こった核戦争の30年後。世界は小国家に分裂し、互いに紛争を繰り返していた。叔父を訪ねてきた天才少女フェリシアの護衛を依頼された傭兵ムトーは既に死んでいたフェリシアの叔父の手紙とそこに残されていたサイバノイド1019の存在から伝説とされていた科学実験施設OZの実在を知る。覚醒した1019はフェリシアの兄リオンからOZへ招待するメッセージを伝え、ムトーはそれに巻き込まれてOZまで護衛することになったが、、、  作品を最後まで繋ぐキーワードは「一面の麦畑」である。ネタバレになるので詳細は避けるが、最後まで読んだ人はその意味が分かると思う。  本作は言うまでも無いが「オズの魔法使い」を題材に取っている。フェリシアがドロシー、臆病なライオンがムトー、心のないブリキの木こりが1019と役どころが振り分けられるが、脳みそのない案山子のパートがいない。  著者の後書きには番外編に出てくるイリョーシュカにその役を振るはずだったが、ストーリー構成の都合でついに本編には登場していない、、、が、むしろこの役はOZへの道をともにする傭兵ネイト、またはバイオノイドの1024に与えられるべきでは無いかと思う。  特にラストに絡む部分なので詳細は避けるがまだ脳を得ていないかかしが1024とするとすっきり繋がるような気がする。  全体を通してストーリーががっちりしており、骨太のSF作品。著者の作品では「八雲立つ」とならんで是非お薦めしたい漫画である。

    3
    投稿日: 2014.11.04
  • So What? 1巻

    So What? 1巻

    わかつきめぐみ

    LaLa

    どう説明してよいか分からないが、「なんか良い」

    今回の白泉社旧作大量配信でどうレビューして良いか一番困ったのがわかつきめぐみの一連の作品。 代表作である本作は比較的長いストーリー漫画ではあるので簡単にあらすじを書くと、、、 高校生の阿梨は唯一の肉親である秋津島教授危篤の報を受け、秋津島家へ帰省する。そこにいたのはタイムマシン実験の失敗で異世界からきたライムと幽霊になってしまった秋津島教授だった。そこに秋津島の弟子の海堂、元同級生の桃太郎が同居してライムを元の世界に戻そうとするが、、、 、、、あれ?全然説明になってない。梅3匹もたけちゃんも所長も出てこないし、梅もどきも出てこない。笑いキノコも出てこなければ、巨大猫も出てこない。だいたいそもそもこんな深刻なストーリーじゃないぞ。  わかつきめぐみの作品世界はストーリーでは説明しようがないのだ。ストーリーは単なる流れであって、それに付随する「どーでもいいこと」こそがメインなのである。  だから「『SO WHAT?』ってどんな作品?」と問われても答えようが無いのである。  でも「その、どーでもいいこと」がなんか良い。ライムの料理教室も良いし、笑いキノコが「ふっふっふ」と笑うのも良い。梅3匹がばたばた走ってるのも良いし、別の作品だが家を包むぐらいに生えてくる貧乏蔓やもののけ君、ササニシキ、コシヒカリ、コシジワセ(なんてマニアックな名前の付け方)も良い。  読んでみて「なんか良い」と思える人はこの世界には入れる、そういう漫画家である。

    4
    投稿日: 2014.11.03
  • まるいち的風景 1巻

    まるいち的風景 1巻

    柳原望

    LaLa

    本領はこっち。「高杉さんのおべんとう」が好きならおすすめ

    「高杉さんちのおべんとう」で人気の柳原望がLaLaDXに連載していた漫画。 白泉社時代の柳原望は「一清と千紗姫」シリーズや「とりかえ風花伝」のような戦国時代物を多く書いていたが、その後「高杉さん家のおべんとう」で人気を博したことから分かるように、本領は現代物では無いかと思う。また、長編より短い話を繋げていく方が得意な漫画家では無いかと思う。 あらすじは、、、 父親と義絶状態だった大学生・有里幸太は、父の死の際に現れた家電メーカーKAMATAから発売前のロボット「まるいち」のモニターを引き継ぐように頼まれる。ロボット技術者美月に惹かれた有里はモニターを引き受ける。その後起こった試作段階の「まるいち」を利用した窃盗事件をきっかけにKAMATAでアルバイトをするようになるが、、、 と言う話。 まず、「まるいち」がかわいいwww。このデザインを選んだ美月さんはセンスあるよ。 また、本作はロボットと人間の関わり、テクノストレス、ロボットを悪用した犯罪などをたびたび取り上げており、ロボットものSFとしても評価が高い。  これもLaLaDXを打ち切りになっているそうだが、本来はもっと高く評価されてよい作品だと思う。正直この作品を打ち切るセンスってどうよと思う。  「高杉さん」の雰囲気が好きな人なら是非どうぞ。

    4
    投稿日: 2014.11.03
  • とりかえ風花伝 1巻

    とりかえ風花伝 1巻

    柳原望

    LaLa

    「お伽もよう綾にしき」と対比すると面白い

    「高杉さんちのおべんとう」で人気の柳原望が角川移籍前に書いていた作品。 戦国初期を扱った少女漫画は珍しいのではないだろうか? あらすじを書くと、、、  戦国初期、尾張乾山城主の娘・風花は隣の宇留摩との戦に出た父を助けるべく、「戦に味方したものは必ず勝つ」と言われる白鬼丸を探しに出る。噂では「耳まで裂けた口で」などと伝えられていた白鬼丸は白髪赤眼ではあったが若く美しい若者であった。白鬼丸は助けを求めた風花の申し出を断るが、もみ合う拍子に崖から転落すると風花と白鬼丸の体が入れ替わってしまい、、、 と言う話。 時代背景は「お伽もよう綾にしき」に細川政元の名前が出ていることから考えてほぼ同じと考えて良いと思う。 違いは「お伽もよう」が国も人物も戦国初期という以外ほぼ架空で、メインとなっているのも修験道・法力を中心としたファンタジー・アクションであるのに対し、「とりかえ」が史実5割フィクション5割になっている点。2つを対比して読むと面白いと思う。  好き嫌いはあるであろうが、作品の作り方にはやはり「お伽もよう」に一日の長があるように思える。大きく異なる点はおおざっぱに戦国という史実を入れているほかはほぼ自由な設定の「お伽もよう」に対し、史実に引っ張られてやや身動きが取れなくなった部分がある、やや消化し切れていない「とりかえ」という感じがする。  そのせいなのか、本作はLaLaDX連載中に打ち切り(多分)となっている。もっとも作品の出来は「お伽もよう」と比べて「若干落ちるかな、少し読みにくいかな」と思わせるものの、十分楽しめる出来なので買って損は無い。  点数は「お伽もよう」に★5をつけるとやむを得ず、で★4とした(もしあれば4.5としたい)。  本作はLaLaDXで打ち切りの後、同人誌で完結編が書かれている。完結編もReaderで配信されているのでそちらも合せて読むとよい。

    4
    投稿日: 2014.11.03
  • 成田美名子画集 watermark

    成田美名子画集 watermark

    成田美名子

    LaLa

    是非コミックスも配信を

    80年代前半から90年代前半にかけての白泉社系のコミックスには名作が目白押しだと言うことはこれまでさんざん強調してきた。 で、当時の漫画家で誰が一番好きかと問われればLaLaなら成田美名子、花とゆめなら日渡早紀を挙げたい(いや、さんざん迷ったあげくの無理矢理一番で、好きな作品は他にも本当にたくさんあるのだが) また当時の白泉社系作家の中でも一枚絵のカラーイラストを描かせたら、清水玲子とならんで一番上手いのが成田美名子だと思う。その成田美名子のイラスト集が本作。これは是非10インチ以上の大画面タブレットかPCで見て欲しい。 あとコミックスの配信も是非

    3
    投稿日: 2014.10.30
  • 荒野の天使ども 1巻

    荒野の天使ども 1巻

    ひかわきょうこ

    LaLa

    史上初めて成功した西部劇少女漫画

    開拓時代のアメリカ西部を舞台にした少女漫画は本作以前にいがらしゆみこの「メイミー・エンジェル」があるが、前作(キャンディ・キャンディ)の影に隠れてか、一般的評価としてはあまり成功した作品とは言えないようである。 本作はおそらく史上初めて連載当初から圧倒的な人気で迎えられた西部劇少女漫画であろう。 簡単なあらすじを書くと、  不良少年同士ででつるんで旅をしていたダグラス、カード、ジョエルの3人は駅馬車強盗騒動から8歳の小生意気な少女ミリアムと出会い、ミリアムの圧倒的なパワーに巻き込まれてミリアムとともに住むグレースの牧場で働くようになる。その後、グレースを狙う町の有力者ハレンバーグや旅先でダグラスたちと賭博をきっかけにトラブルになったブライなどとの対立を経て、町の黒幕Mr.ブルーの強盗計画を知ることになり・・・ と言う話。 ひかわきょうこの作品はすべてに共通して「ストーリー漫画でありながらじわじわくる遅発信管性のギャグ」「メインキャラのけなげさ」がある。本作以降の作品はファンタジー・アクションだが、本作以前の学園恋愛ものでも以後の作品でもこの点が共通しており、そこが作品の好感度を高めていると思う。 また、小物キャラ(マスコットキャラ)の扱いが抜群に上手いのも本作以降の特徴で、本作の子豚のウィリー、続編の馬のジェシー、「お伽もよう綾にしき」の狐の五郎太や角丸などのもののけ、ちょっとかわいそうな扱いだが「彼方から」のチモなどが実に良いタイミングで良い味で出てくるのである。  1980年代前半から1990年代前半までの白泉社系コミックスは以前のレビューにも書いたが名作が目白押しであった。この頃の白泉社に特徴的なのは「花とゆめ」「LaLa」ともに少女漫画誌でありながら男性読者も多く掴んでいたことで、本作もその一つである。  アシスタントを使わずにすべて自分で書いていたこと、病気がちであることなどのため寡作ではあるが、漫画史に残る作家の一人だと思う。

    9
    投稿日: 2014.10.27
  • バーバーハーバー(1)

    バーバーハーバー(1)

    小池田マヤ

    モーニング

    四コマの名手が書いた四コマのような四コマで無いような「めるへん」

    作者の小池田マヤは4コマ専門誌でデビューした四コマの名手。 4コマ漫画を従来の4コマの枠に収まらないストーリー漫画に仕上げる技法(ストーリー4コマ)を確立した一人でもある。(ストーリー4コマは「けいおん」等が有名であろう) 本作は体裁上は4コマとは離れるのだが、よくよく見ると「ページの上下で4コマ」の形になっており、その中で起承転結も取っているが時折それを逸脱するという構成になっている。 話としては単純でたまたま入った理容室の「マスター」にいつの間にか惹かれていったヒロインが紆余曲折を経て結婚するまでの話。ところどころ「黒い」部分もあるけど、全体としてはほのぼの調の読者に負担をかけない話である。 実は私は小池田マヤを読んだのは本作が初めてで、その後「僕のかわいい上司さま」に行ったものだから、その後「すぎなレボリューション」「聖☆高校生」「CGH」を読んで違和感がものすごかった。その後、現在刊行されている作品をほぼ全部読んだが、本作や「ぼくの、、、」より「すぎな、、」のような話の方が作者の本領なのだろう。 本作の合い言葉は「めるへん」。読めば分かりますw

    2
    投稿日: 2014.10.23