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rossoさんのレビュー
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  • 高杉さん家のおべんとう メモリアル

    高杉さん家のおべんとう メモリアル

    柳原望

    KADOKAWA

    ファン必読 珠玉のエピローグ短編

    10巻のレビューで「是非メモリアルも配信を」と書いたら早速配信されて驚喜。 10巻のレビューにも書いたが久留里の○○○○姿も見れるし、もし「○○と○○が結婚してたら?」もみれるし、オールカラーのポストカード集も付いているとても「おトク」な一冊である。 「高杉さん」ファンは必読の1冊

    6
    投稿日: 2015.08.28
  • 高杉さん家のおべんとう 10

    高杉さん家のおべんとう 10

    柳原望

    MFコミックス フラッパーシリーズ

    メモリアルも配信して欲しい

    まあ、落ち着くところに落ち着いたなぁと言う最終巻。最後の久留里の職業選択だけはちょっとぶっ飛びましたがw で、是非「高杉さん家のおべんとう メモリアル」も配信して欲しい。中に入っている3本の短編がまた絶品なのだ。 さて、このあとは「理不尽のみかた」か「まるいち」の続編を是非書いて欲しいものです。

    4
    投稿日: 2015.08.22
  • ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

    ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

    塩野七生

    新潮社

    シリーズ中の白眉

     このシリーズはどれを読んでも面白いが、その中でも特に面白いのは本作と「ユリウス・カエサル」「パックス・ロマーナ」「悪名高き皇帝たち」「賢帝の世紀」じゃないかと思う。これはこの時代のローマ史自体がダイナミズムに富んでいること、またこの頃の話は高校の世界史などで親しみのある時代であることによるが、なかでも本作はローマ自体もそうだがカルタゴの栄枯盛衰まで描ききっている点で、シリーズ中もっとも面白い作品となっている。  このシリーズはどの本から読み始めても面白く読めるので手始めに本作、あるいはユリウス・カエサルから読んでみても良いと思う(ユリウス・カエサルのみは2冊に分冊されているので最初の巻から読む必要があるが)。実際、私はたまたま入った本屋でその時1~3巻が売り切れていたため、ユリウス・カエサルから読み始めているが十分楽しめた。  そういえば、私が本作を読み始めたのはやや遅く2003年頃からだが、それでも当時はまだハードカバー版しかなく、出張に重たいハードカバーを3冊も抱えて行って合間に読んでいた。今はタブレット一つで15巻全てを持ち歩ける。電子書籍版の1巻目に作者が触れていたが、良い時代になったものだと思う

    4
    投稿日: 2015.06.02
  • ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

    ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

    塩野七生

    新潮社

    歴史書ではなく小説だが

    本シリーズのタイトルは"Res gestae populi Romani"で直酌すれば「ローマの人々の諸々の行動」である。本シリーズはまさにローマ人が建国に当たって、危機にあって、滅亡に当たってどう行動したかを淡々と綴った記録のような小説である。 作者の塩野七生ははっきり言えば「文章を書くのがあまり上手では無い小説家」だと思う。本作を含め、文章は極めて説明調であり、一般的な小説、それも歴史小説と比べても、例えば司馬遼太郎のような生き生きとした人物描写では無い。これは本作だけの話ではなく例えば著者のデビュー作である「ルネサンスの女たち」でもその後に書かれた「チェーザレ・ボルジア、あるいは優雅なる冷酷:や「ロードス島攻防記」でも同じである。 逆にこの淡々と感情をほとんど交えず史実の流れを追っている部分が、本書をいかにもローマ正史であるかのように感じさせ、また人物描写が淡々としているが故に「リアルな歴史上の人物」として感じさせているところが本シリーズの極めて優れたところであり、小説として成功している部分であると思う。 実のところ、正史としてとらえれば「あれ?」と首をかしげる部分も存在している。だが、あくまで本書は歴史小説であり、その意味では極めて成功している作品だと思う。

    6
    投稿日: 2015.05.29
  • アルスラーン戦記1王都炎上

    アルスラーン戦記1王都炎上

    田中芳樹

    らいとすたっふ文庫

    まず完結させて欲しい

     出世作である「銀河英雄伝説」以降、田中芳樹が希代のストーリーテラーである点は疑いようが無いと思う。  また、どこかで作者が書いていたことであるが、「今の出版業界では書きたいものを書きたいというのはおかしい」というのもまあ分からなくも無い。 それは良い。そこまでは良いんだが、 だったら、作品ちゃんと完結させろよ、と。 「創竜伝」は既に完結不可能な領域に達しているだろう。 「銀河英雄伝説」「マヴァール年代記」は完結したが、それ以外のシリーズ作品で完結したものが原案のみの「野望円舞曲」「KLAN」だけというのは(まあKLANは1話目のみ田中芳樹作ではあるが)あんまりではないか? 本作の他にも「タイタニア」「七都市物語」「灼熱の竜騎兵」「自転地球儀世界」などが未完成のまま残されているのである。 「書きたいものを書きたいようにかけない」と言うのは良い。だが、シリーズである以上完結させるつもりで書くというのも作者の責任では無いだろうか?

    9
    投稿日: 2015.01.11
  • 新々上ってなンボ!! ~太一よ泣くな~12

    新々上ってなンボ!! ~太一よ泣くな~12

    叶精作,小池一夫

    マンガの金字塔

    これ、ありか?

    前作から読んでいたのだが、、、 ネタバレになるので改行 この話の基本はとにかくちびで非力なゴルファーがどうにかしてプロになり、プロとして活躍していく話だったと思う。少なくとも前作及び本作の9巻目ぐらいまではそういう話だった。 が、、、、 この終わり方はなんだ?結局飛ばせば良いのか?飛ばなくて非力な太一が飛距離を求めるのは分かる。だが、これまで苦労して習得した羅陵もブレーキボールもカリフォルニアターンも全部捨てて飛距離が伸びれば良いのかよ。 これじゃタイトルに偽りありだろ。「上がってなんボ」じゃなく「飛ばしてなんボ」じゃないか。 この終わり方はいくら何でもあんまりでないか?

    0
    投稿日: 2015.01.11
  • 研修医 なな子 1

    研修医 なな子 1

    森本梢子

    YOU

    外科医あるある大事典

    と言って良いぐらい超リアルなコメディ。 良くここまで踏み込んで取材したものだと感心させられる。 20年前の漫画なので今から見るとやや古いかなと思われる部分もあるが、総じてこんなもんと思えばだいたい間違いがない(現時点では)。 本作のモデルとなった医局は当時の熊本大医学部第2外科だというのも割と有名なトリビア(現在熊本大の外科講座はナンバー外科ではなく心臓血管外科、消化器外科などに分かれている) 医者の実態がどんなものかを知るにはこの本が一番正確な知識を得られると思う。

    2
    投稿日: 2015.01.01
  • ローマ五賢帝 「輝ける世紀」の虚像と実像

    ローマ五賢帝 「輝ける世紀」の虚像と実像

    南川高志

    講談社学術文庫

    書籍説明が微妙だが、、、

     Julia-Kさんのレビューから「新・ローマ帝国衰亡史」を買おうとしたら、同じ著者の本作が出ていることに気づいたので購入。やっぱ、ローマ史で(素人的に)面白いのはポエニ戦争の時期とカエサル~アウグストゥス(個人的にはティベリウスも)と五賢帝時代でしょ。  で、読み進めたがこれが本当に面白い。プロローグで「いきなりハドリアヌス?」とちょっと違和感があったが、それにもちゃんと理由付けがされている。  ただ、このサイトの書籍説明は微妙、、、  「養子皇帝制」は「権力闘争を生じさせていた」と書かれているが、「『養子皇帝制』とは実態があるものでは無く、あくまで現実の力関係や政治行動によって決められた「結果」に過ぎない」、と言うのが著者の主張しているところであろう。  ハドリアヌスも「同時代の人に非常に憎まれた暴君だった」と書かれているが、著者の評価自体は「暴君」では無いだろう。  いずれにせよ「ローマ人の物語」や「テルマエ・ロマエ」でローマ史に興味を持った人にはお勧め。特に五賢帝時代に関して「ローマ人の物語」とはかなり違った評価を下しているので興味深いと思う。

    5
    投稿日: 2014.12.05
  • ウィンブルドン

    ウィンブルドン

    ラッセル・ブラッドン,池央耿

    東京創元社

    最高のスポーツ小説であり、最高のサスペンス小説

     今回の配信で「うぉっ!」と声が出た。実は再版のアナウンスは知っていて電子書籍が出るかどうか分からなかったので文庫版で買ってしまったのだ。それでも改めて電子版でも買ってしまうぐらい、本作はすごい。  私が初めて出会ったのは今を去ること20数年前。当時コバルト御三家の一人と呼ばれていた久美沙織の書いた書評からだった。当時はテニスをやっていたので「面白そうだな」と何気なく買ったのだが、一気に作品世界に引き込まれたのを良く覚えている。そして、一度でも本作を読んだことがある人は今回の再版に関して私と同じ感想を持ったであろう。 「やっと返ってきた」 と。 実際、http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20141112/E1415724218274.htmlにも熱い思いが語られているし、他のサイトでも再版を喜ぶ声がいくつも上がっているのだ。 あらすじは、、、 テニス世界ランク2位のオーストラリア人ゲイリー・キングは全豪オープンの前哨戦で17歳のソ連(本作の出版時は冷戦期だったのだ)の天才プレーヤー、ツァラプキンと出会う。言葉も通じない二人だがテニスを通じて心を通わせる。 だが、そこは冷戦期。キングと仲が良くなったこと自体がソ連幹部の不興を買い、その後のわずかな誤解からツァラプキンはオーストラリアに亡命することになる。 やがて2人はウィンブルドンの決勝を戦うことになるが、その舞台の裏では卑劣な犯罪が計画されていて、、、 と言う話。 とにかく、あらゆるシーンが圧巻。ランキング1位のアメリカ人プレーヤーの罠により怪我をさせられたキングの復讐をツァラプキンがもくろむシーンなんか、最後の犯罪とは全く関係ないのにすごい迫力があるし(これだけでひとつの小説にして良いぐらい)、もちろん最後の決勝戦やそれに絡む犯罪も恐ろしいほどの迫力がある。ツァラプキンは今日のプレーヤーで言えばロジャー・フェデラーを彷彿とさせる美しいテニスを展開させるし、キングはキングで片手打ちのバックハンドから豪球を叩き出してくる。 錦織圭の活躍でテニスに興味を持った人はもちろん、スポーツ好き、サスペンス好きのあらゆる人にお勧め出来る最高の小説である。

    7
    投稿日: 2014.11.20
  • 理不尽のみかた 1巻

    理不尽のみかた 1巻

    柳原望

    Silky

    もっと続けて欲しかった

    50年も続いているのに「裁判員」と比べると無名な「検察審査会」。そこに務める事務員「縁(えん)」は日々訪れる人の「理不尽」と向き合っている。ある日、日本オタクのイギリス人が縁のアパートに越してきて、、、 と言う話。 これまた柳原望の作品ほとんどと同様、打ち切りになっている様子(あるいはマニアックすぎてネタ切れしたのかも知れないが)。例えば「モーニング」だったらこう言うのってもっと続いていたんじゃないかな、と思わせる点ですごくもったいない。星四つなのはその不完全燃焼感からの評価で、星5つつけても良いぐらい。

    6
    投稿日: 2014.11.15