ヒロインは推しの相馬について、いろいろ情報収集するストーカーだという自覚があるが、実は相馬は伝説のホワイトハッカーという裏の顔があり、好きなヒロインのこともそのテクニックで調べていた、という一捻りした二重ストーカー構造のストーリー。

同期の男性に惹かれ、世間をうまく渡れないタイプの野田。同棲していた彼と破局し家を飛び出し、見ず知らずの野田の家に居候する有加利。野田とは真逆のタイプで、さんざん罵倒される有加利が、他の人が気づかない野田のよさを見いだし認めるのがいい。

「蔵のある家」では家を受け継いだ主人公が、大叔父の生きている頃に住みついた猫が猫又となったものまで受け継ぐ。やってくる人によって猫又の姿が変わるのが面白い。そして、主人公が無意識に抑えていた亡き妻への気持ちをお見通しで、彼に思い起こさせる。いったん否定したものの、寄り添う優しい存在になる。

相思相愛の俊と麗奈。もう策略は必要なく、ただ甘さがあふれる。番外編で描かれるこれまで俊と麗奈を見守ってきた、クールビューティーこと俊の妹・杏子と先輩の前田医師のお話もよい。

初めてのデートで行ったジュエリーショップで、麗奈が気に入り見ていた指輪をこっそり買ってプレゼントする俊の優しさ。一方、幼い頃家を出た母に捨てられたと信じ、俊には心に傷があった。普段は見せない哀しげな顔を見せる俊だが、麗奈をとおし母と再会し、父から真相を聞き傷が癒される。

俊と元恋人が気になり、後をつける麗奈。結局俊にバレてしまうが、麗奈もいよいよ俊への恋心を自分で認める。プロポーズする俊の性急さにとまどうものの、ホステスのアルバイトをしていた時セクハラされた男に再び狙われ、危機一髪で救ってくれた俊に対し想いがあふれる、進展のある巻。

俊は麗奈の弟もすっかり味方にし、周囲を固めていく。麗奈も俊に惹かれていることを自覚するが、まだ素直に認められずにいるうちに、会社の同僚からの嫉妬による嫌がらせなどから、すれ違いが生じてしまう。俊の妹が麗奈の親友で、俊に的確な助言をして麗奈を助けてくれるのがいい。

麗奈の抵抗を何ともせず、俊は彼女を自分の専属秘書にし、着々と彼女を自分のものにする計画を進める。強情な麗奈は彼に惹かれ始めつつも、それを認めようとしないが、俊は父の死に際しても複雑な心境の麗奈を支える。

冷めた瞳のクールな専務・俊が、麗奈に異常なほど執着していくところがみどころ。弁護士を目指す弟を支援するため、自分のことは考えずに今まで生きてきた麗奈が揺さぶられ始める。

停電のリンクで、一己といっしょに滑る時間を持つ雪野。暗いだけに他の感覚が研ぎ澄まされ、2人の一体感が感じられるシーン。一己の病気に気づいたなつきから、これまでの敵対心が消え昔の友人としての思いが戻ってきたのがよい。ロマンの母国での冷たい態度、さらに肋骨骨折と困難が尽きない状況の中での、緊迫のオリンピックが始まる。