最近では終活をする人も増え、どのように死を迎えるかという意識は高まってはいるが、終末期病棟での死への対面となると自分で体験する人は少ない。この作品で老いから病気までさまざまなケースが描かれるので、貴重な擬似体験となる。

執事が使えるのは「お嬢様」というマンガが多いが、この作品では坊ちゃん。しかも執事の仕事を大きく超え事件の捜査に乗り出し、アクションがすごい、いわゆる執事ものとは一線を画する。ダークな雰囲気がイギリスっぽい。

レシピの紹介があったり料理の描写が細やかというわけでなく、何をつくるか、食べるかに意識が向いている。いくら作るのが好きとはいえ、どういう人かもよくわからずに、いっしょに食事をと誘うのはかなり大胆な行動。食と同じで本能的な部分でこの人とは合う、というアンテナが働いたのかも。

本来であれば夫を殺した憎い仇である殿が、心も身体も傷ついた水松女を救い癒してくれる物語。周囲の偏見にとらわれず、自分の目で水松女を見て判断した聡明な殿がすばらしい。

けいと金四郎は武家出身でありながら、身分やしきたりにとらわれず自分の頭で考える似た者同士。行動力にあふれる2人が事件に取り組みながら、どのような生き方を選択するかが楽しみな江戸物語。

名前で呼び合うこと、妻という呼ばれ方への恥じらいなど、2人の距離の縮まり方がゆったりで心温まる。一方で突然任務のため詳しいことは言わずに家を離れるという、当時の軍人のあり方も描かれ、ほのぼのしたなかに現代とは違う厳しさも感じられる。

妻に先立たれた子持ちと、愛人の子であるため家庭で疎まれるイケメン御曹司という、まったく違うタイプの男性2人との三角関係。大人の分別が愛されたい気持ちの邪魔をするという、微妙な心理がよく描かれている。

離婚の申し出が実際に初めて出会う機会という、逆説的スタートが恋の始まりとなり、高嶺が莉央に夢中になる様子が微笑ましい。同時に莉央が絵を描くことを応援していく、理解あるパートナーへと成長するのがよい。

天然おっとりで敵のいない百々子と、住んでいるのはタワーマンションではなく昔ながらの一軒家で、私生児、母を早くに亡くしたという、ひと味違うハイスペックの長谷氏のカップルを堪能できる。小姑のような深見をはじめ、会長、相良ら2人をとりまくキャラクターも魅力的。

他人には言えない好みや性癖をコミカルに描き、「なるほど」と納得させるストーリー。そういうこともあり、という優しい視点がよい。個人的には可愛いもの好きの堺部長と葵のエピソードが好き。