莉央と啓太の友人関係は、他の人には話せないことを話せる間柄にまでなる。そして、啓太は愛果と自分には血のつながりがないこと、彼女を愛していたことを打ち明ける。そして莉央の言葉に癒され、それまで流せなかった涙を見せる。それぞれが前向きに一歩を踏み出せるように。同僚のほんわかした雰囲気の飯森が、大野のことも莉央のことも鋭く見ぬいているところが面白い。

自分のせいで殺された愛果を想い続け、他の女性は好きになるなという、啓太の言葉に従って生きてきた大野。そんな大野に近い場所にいる莉央を、啓太は嫌悪するのかと思われたがそうではなく、2人の間に奇妙な友情が生まれるのが意外だった。

莉央は掃除中に部長の机の上に飾ってある女性の写真を見て、彼女だと思う。それは事実だったが、約束の時間に遅れた大野を待っている間に、彼女の愛果は乱暴され殺されたという衝撃的な事件があったことが、大野と愛果の弟、啓太の話からわかる。大野がプライベートがほとんどない仕事人間である理由は、このためだろう。

付き合っていた男に騙され・・・という話は多いが、そのための借金を返すために風俗でのバイトまでするのは、かなり堕ちた状態。見かねた上司が、家政婦として同居することでその借金を肩代わりする、というのはずいぶん面倒見がよい。この同居が今後どうなっていくのか。

徐々にスキンシップに慣れていこうとする初々しい律と実椿。そんななか、スズが律に現れ話をする。過去世とのつながりが続くが、以前よりより先に進んでいくためのものという感じがある。

律と実椿が気持ちを伝えあったことを知り、喜ぶフクの反応がいつもどおり面白い。実椿が過去世のことを語っても訝しげに思うことなく聞き入れてくれる、フクの存在は大きい。

律が好きだと告白したものの、その気持ちが先祖のものだと思い素直に受け取れない実椿。ここでは律は引き下がらず、実椿も過去の呪縛から解かれ2人はようやく気持ちを通わせる。

実椿との仲を先に勧めたいと願う律は、淳に相談する。人づきあいが苦手な律にとっては大きな変化。そこで淳は独特の雰囲気のある灯篭上げの機会に、実椿と話してみることを提案する。願いをかけながら2人で灯篭を上げるのは、確かに幻想的。

過去世をよりよく知ったものの、今度は自分の律への想いが、自分のものではなく過去世のスズのものなのでは、と思い悩み始めた実椿。また停滞気味になるが、実椿の打ち明け話を聞いた純からの助け舟がありそう。

律の祖先、渉が書き綴った彼と女中スズの悲恋の物語を、書庫で見つけ読む実椿。湧きあがる苦しさは、2人の悲恋に対するものだけでなく、自分の中に生きているスズの想いを感じるからで、律との出会いが宿命であることが確信となる。