理科好きさんのレビュー
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アルジャーノンに花束を〔新版〕
ダニエル キイス, 小尾 芙佐 / ハヤカワ文庫NV
翻弄される人生
4
何が人の幸せなのか,同じ価値観を押しつけるようなまねが許されるのか,が問われている作品。マウスを使った実験をもとに,人体実験(実質的に本人の理解にもとづく同意が得られていない点で)で超天才になったパ…ン屋店員や彼に関係した人々がたどることになった運命は・・・。
この本が新刊で出てすぐに読んだときはかなり衝撃を受けました。たった一瞬でも超天才になれたら,そのリスクを冒してでもやる価値はあるか否か,結構考えました覚えがあります。若かったなぁ。 続きを読む投稿日:2015.05.04
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百年法 上下合本版
山田宗樹 / 角川文庫
生と死を見つめる物語
4
肉体が永遠に老化しない技術が見つかった戦後日本のパラレルワールド。
世の中から(見た目の)老人がいなくなったら・・・
いつまで経っても世代交代が起こらなくなったら・・・
そして
終わりのない毎…日が続いていくとしたら・・・ 。
問題点を抱えた世界・・・。しかし,それを一変するような事実がじわじわと明らかになって・・・。
生と死を顕わにあつかったとても興味深い本でした。
同作家の「代体」もとても面白かったのですが,これはそれ以上でした。
なんとなく取っつきにくい印象をもっていたのですが,そんなことはまったくないですよ。 続きを読む投稿日:2016.12.23
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天使の柩(天使の卵シリーズ)
村山由佳 / 集英社文芸単行本
「天使の」シリーズの総決算
4
「天使の・・」シリーズを読んでぐっときたのなら,絶対にお勧めです.後書きにはこれ単独でも読めると評されていますが,やはり「天使の・・」シリーズを順番に読んでたどり着いて欲しいと思います.
あまりのスト…レートな感情表現とその結末に衝撃を受けた「天使の卵」から13年,歩太が偶然関わることになる14歳の少女が今回の主人公です.不遇な環境で育ちながらも,純粋な心を秘めた少女の心を解き放つと同時に,止まった時が動き出して行きます.
ネタバレはしたくありませんが,棺という不穏なタイトルから感じる最悪な事態は起こりません(私も心配でしたから.でも,大丈夫です).歩太もこれまでさんざんな苦難を超えてきましたからね, 続きを読む投稿日:2014.02.08
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永遠をさがしに
原田マハ / 河出文庫
『新しい母』が良い味をだしている
4
世界的な指揮者とそのオケの主席チェリストの母の間に生まれた主人公。ある日,急に母が家を出てから,お手伝いさんとたまに帰ってくるだけの父との生活だったが・・・。
ここで登場する『新しい母』,訳ありなん…ですが,これがぐっときます。詳細は書けないのですが,ともかく,良くも悪くも魅力的な人物で,これまでこの作家さんのいろいろな作品にでてきた人物の中で,私ランキングではかなり上位に入ります。
ちょっとお話としてできすぎな部分はあるんですが,とにかくぐっときますよ。
という2つの要素で5つをつけてしまいました。
本書の最後に(本屋大賞をとった)宮下奈都さんが解説を書いているんですが,この題材やストーリー展開などは宮下さんの作品なんではないかという気さえしながら読んでいたのでびっくりしました。どちらも今とても好きな作家さんです。
続きを読む投稿日:2016.07.18
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ジャイロスコープ
伊坂幸太郎 / 新潮文庫
世界感満載
4
伊坂さんの作品がお好きなら,ぜったいにおすすめです。
あるある感満載で楽しめるでしょう。
これまで短編として発表されてきた作品を集め,最後にすべてを統合する話をもってきていて,これもいつものパターン…の一つです。
続きを読む投稿日:2015.12.31
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エール!(3)
原田マハ, 日明恩, 森谷明子, 山本幸久, 吉永南央, 伊坂幸太郎 / 実業之日本社文庫
作家さんをみて
4
書き手メンバーを見て即買いしました。いろんな職業に関わる短編集です。
個人的にはなんといっても,原田マハ推しです。美術館で展示する美術品の運搬に関わる人のお話で,以前キュレーターでもあった作者の本領…発揮です。学芸員の資格をとった大学院の同期は国立の美術館で働いているのに,自分は・・・。
この話しもう少し膨らませて続きを書いて欲しいです。 続きを読む投稿日:2015.09.23