理科好きさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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火花
又吉直樹 / 文春文庫
文章は
19
文章は思ったよりずっとうまいと感じられます。あまり奇をてらうわけではなく,でも言葉の選び方は良い,っていう感じで。
今回の中身は芸人の話なんですが,ちょっと共感をもつのは難しいところもありました。
…ある程度売れるまでに何があったのか,が描かれていないし。
(直木賞に比べて)芥川賞の対象になる小説がもともとあまり好きではないからというのもあるのかな。
今回受賞がどうなるのかは正直よく分かりません。
いずれにしても,次回作,芸人の話でないときに真価が問われるのではないかと思います。 続きを読む投稿日:2015.06.30
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残り全部バケーション
伊坂幸太郎 / 集英社文庫
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まぐだら屋のマリア
原田マハ / 幻冬舎文庫
過去の過ちをどうやったら償えるのか
8
キリストを愛した一説には娼婦だったとも言われる「マグダラのマリア」とは直接関係はありません(文庫になって表紙が変わってますます宗教色が強い感じにはなってしまいましたが,まったくキリスト教的な話ではあり…ません.)『尽果』という,海辺の街には,心の傷を抱えた人々を受け入れる風土があり,その定食屋を一人で切り盛りするのがマリアです.ある事件から逃れるようにそこにたどりついた紫紋は,マリアのおかげで生きる希望を取り戻して行くが,マリアもまた過去の罪を償えずにいた・・・.
ともかくぐっとくること間違いなしで是非お薦めします.
ちなみに,新刊にもコメントを書いたのですが,文庫がでるとまったく跡形もなく消えてしまうんですね.自分の読書記録的な面もあるので,ちょっと寂しいなぁ(どこかで参照できるようにしてほしいなぁ). 続きを読む投稿日:2014.02.20
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星がひとつほしいとの祈り
原田マハ / 実業之日本社文庫
短編としてピカイチ
8
いま最も好きな作家の一人ですが,短編も良いなぁと思える作品です。
バラエティに富んだ背景のかき分けからこの作家の力量の高さが感じられるでしょう。
これできっかけを作ってもらって
「まぐだら屋のマリア」…,「楽園のカンヴァス」,「さいはての彼女」などのぐっとくる作品も
読んで欲しいと思います。 続きを読む投稿日:2014.11.09
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どきどきフェノメノン A phenomenon among students
森博嗣 / 角川文庫
理系研究室の日常?!
7
大学の理系の研究室ってどんなとこ?あんなむさ苦しいところで恋愛なんてあるの?
っていうのが一般の人の印象なんでしょうね.リケジョの生活と恋愛が描かれています.
作者は元国立大学工学部にお勤めだったよう…で,理系教員である私には日常あるあるもありながら,
物語が進んできます.リケジョの憧れ,恋の対象として指導教員が描かれているところは(つまり
作者のポジション),それでええんかい,と突っ込みたくなる感じもありますが,良く特徴は捉えられて
います.一方,一般人向けに細部は脚色しすぎとも思えますが,それは同業者目線だからでしょうか. 続きを読む投稿日:2014.04.23
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マリアビートル
伊坂幸太郎 / 角川文庫
生き残るのは誰か
7
そして本当に強いのは意外な人?
伊坂作品はたくさん読んできたものの,「グラスホッパー」はなんとなく食指が動かず見送っていたが,この続編が読んでみたかったので,続けて読むこととなった.たぶんこの読み方は…結果的に正解で,前の話を覚えていないとちょっと雰囲気が掴みづらいと思います.
最後はこの人まで参戦するか,という展開になりますが,前半でそれが分かったらたいした推理力です. 続きを読む投稿日:2013.11.14