
俳優・亀岡拓次
戌井昭人
文春文庫
ただただニヤニヤしながら読んでしまう他人の日記(読んだことはない)
これといって何がどうこうという内容ではないのですが、今日あった面白いことを綴った「人の日記」をみて笑っている感じ。 たしかに面白いです。 内容は本文を読んで欲しいのですが、こんな感じでしょうか・・・。【ハンカチを拾ったら、話すこともできない大好きな彼女のものだった。意を決して届けたらとても感謝されてうれしい気持ちになった。いいことはするものだと自分を褒めたが、それ以来彼女と話していない。おしまい。】 ・・・^^;
10投稿日: 2016.05.25
狩人よ、故郷に帰れ
リチャード・マッケナ,中村融
東京創元社
よい内容には、よいタイトルを。
HUNTER、COME HOMEと直邦訳が素敵でかつ、内容を端的に表す素晴らしいタイトル。 最近(2016年)はやり?のテラフォーミングにまつわる倫理と解説にはあるけれど、愛の在り方や人のプライド、生き方とは?といった内容がわずか100ページに詰まったスゴイヤツ。 話は飛躍し過ぎかもしれませんが、「宇宙戦艦ヤマト」を思い出しました。>>ガミラスは地球をガミラス人向きに変えようと遊星爆弾で攻撃し、放射能のだらけの星にした。ヤマトの反撃により逆にガミラスが滅びてしまった・・・ 古代艦長代理は叫ぶ。「戦うべきではなかった・・・愛し合うべきだった」と。 その通り!
13投稿日: 2016.05.25
土漠の花
月村了衛
幻冬舎文庫
リアルとアクションが50/50
ソマリアの内線に巻き込まれる海賊対処活動の自衛隊。ただし自衛隊が隊として対処するのではなく、いきなり武装解除された後、一部族の要人を保護しながらのサバイバル行。日本の国際平和へのスタンスや私たちの”戦争に対する意識”に触れるシビアな設定であるものの、ストーリー展開はサバイバルアクション小説そのもの。 上記二つを一つにしてしまっているので、戦争に真摯に向き合うのも、アクションを堪能するのも中途半端に(私は)なってしまいました・・。どちらかに目をつぶることができればよい作品だと思うのですが・・・。ましてやロマンス?が必要かな?
13投稿日: 2016.05.06
巨鯨の海
伊東 潤
光文社文庫
心に銛を刺す
江戸末期~明治初期にかけての古式捕鯨の村、太地(和歌山県)の男たちの生き様。それはまさしくハードボイルド。緻密な古式捕鯨の描写を描きつつ(これだけでも十分読む価値あり)の6話構成。成長、情、冒険(スタンドバイミー?)、サスペンス、家族、そして・・・。鯨と太地は変わらず、時代と人を巧みに変えて男たちの話が綴られます。 戦闘や合戦シーンがなくても、「生きる」という営みの中に本当の闘いはあるのだと、心震えます。 捕鯨用語や方言が多少取っつきにくいかもしれませんが、それもまた必要十分なリアルさを増します。お勧めです。
14投稿日: 2016.04.30
ホームズの冒険
コナン・ドイル,鈴木幸夫
グーテンベルク21
相棒はバランスが大事
ホームズを読むのは、小学生のときに小学生向けのものを読んで以来かもしれない・・・。 これだけ読むとホームズはあまりいいヤツには思えない。ずけずけ相手の状況を言い当てるし、コカインをやっているようだし・・・時代の問題かな。 でもなるほど、その時代の中に自分自身が入っていけば、颯爽と事件を解決していく展開はとても面白い。またワトソン君の存在って本当に素晴らしい。彼がいてこそホームズの才気はイヤミではなくなるのだなぁ。 古い翻訳が苦手な方でも、この短編集であれば気持ちよく読めるのではないかと思います。
14投稿日: 2016.04.25
沖で待つ
絲山秋子
文春文庫
安心して・・・待っているから
バブル入社頃の女性総合職の方の想いの2編+ひらがな文体で元都知事のパロディ1編、合計3編の短編集。 バブルは華やかなイメージが強いですが、当時そこそこのクラスでないと、仕事が過酷なだけでつらい事も多いのも事実な「勤労感謝の日」。なるほどな一遍 表題作「沖で待つ」の語感とこの本のカバーイラストをみると、「死」についてのハードな内容と思いきや、やさしく、愛にあふれた想いの結果「沖で待」っている話でした。私は誰かに「安心して、待っているから・・」って言える(書ける)かなぁ。よい作品でした。 >>もと とちじのはなしは、こんなかんじでかかれています。
12投稿日: 2016.04.25
星やどりの声
朝井リョウ
角川文庫
それに気付くのはパトロールさん
家族をつなぐ6人兄妹の物語。6兄妹それぞれの視点で同じ時期を語ります。もちろんお父さんとお母さんも入れた家族なのですが、お父さんの「想い」を中心に、まとまり、離れ、そして「継いで」いく流れがとても美しい。悪意のある人は登場しないのですが、兄妹だけではなく周りの人物たちも、それぞれの立場や思いを乗せて生きていることが伝わって、まとまりのよいお話でした。素直に感動。 若い登場人物の「若者言葉」も無理なく自然に収まっています。作者の力量がうかがえます。すばらしい。
11投稿日: 2016.04.25
マルドゥック・フラグメンツ
冲方丁
ハヤカワ文庫JA
期待膨らむ一冊でした
スクランブル/ヴェロシティを読んでいないとさっぱり?なのでは・・・。前2シリーズを読んでいると、ノスタルジックな気持ちにもなりますし、新たなシリーズへの期待も膨らむのでファンの方は是非読みましょう。 個人的にはボイルド&ウフコックコンビがよいなぁ。09メンバーも初期がよいのだけど・・・今度のメンバーは何処から?? ドラ○ン○ール状態(次から次へと強い敵が出てくる状態!?)にならなきゃいいけど。 ウブカタ様のインタビューは当シリーズの動向を知るには必読かもしれません。
11投稿日: 2016.04.07
千恵ねえちゃん
城唯士
幻冬舎メディアコンサルティング
人は良心でできている
情緒的なお話がつづられます。交通事故で両親を失うのはかなりのレアケースですが、他のエピソードは比較的多くの人が体験する(またはした)話。部活、受験、肉親の死、衰え、恋愛、アルバイト、そして震災体験と話は盛りだくさん。 中高校生がリアルタイムに読むと感情移入できるかも。 全体的に作者の書きたい事を全部ぶつけたのではないかと思います。登場人物は良心的な人ばかりなだけに、少し食傷気味。人の悪意も物語としては捨てがたい。 各エピソードを分けて、短編で書き込んだ方がよかったのではとも思います。
11投稿日: 2016.03.14
武士道エイティーン
誉田哲也
文春文庫
武士道にも大人の階段アリ
基本は二人の主人公、香織と早苗の一人称語りで話がすすみますが、18才になって、お姉さん、道場の先生、学校の先生、後輩と語り部が増えてきます。青春時代の二人から、どんどん世界は広がって行く・・・いい意味でも悪い意味でも、いろいろな係わりが加速する18才。納得の一冊。 単なる高校剣道部活青春ストーリーではあればこの巻の中盤までで十分なのですが、そこは”武士道”。まだ道は続くのです。
10投稿日: 2016.02.29
