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roke40さんのレビュー
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  • 蟻の菜園 ‐アントガーデン‐

    蟻の菜園 ‐アントガーデン‐

    柚月裕子

    角川文庫

    真相に迫る過程の緻密さは作者の真骨頂

    不幸な境遇の中で歯を食いしばって生きる姉妹と、それを取り巻く善良な人達の触れ合いが時間を行き来しながら明らかになる。 事件が解明される過程で、幾つかのサプライズが有り、翻弄されながらも納得の終結へと誘われる。真相に迫る過程の緻密さは作者の真骨頂。

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    投稿日: 2019.07.19
  • 検事の死命

    検事の死命

    柚月裕子

    角川文庫

    次回作が楽しみです。

    柚月さんの作品は『孤狼の血』『凶犬の眼』など警察官に纏わるシリーズを読んでいますが、 今回は検察官のシリーズでした。 共通して貫かれるのは正義。戦う相手は権力。粘り強く戦い大逆転へと誘う、その爽快感がたまりません。最後は正義が勝つというシンプルな構図ですが、証拠を地道に集め容疑を固めていく緻密な捜査の過程が描かれ、雪崩れ込むように裁判への向かう。次の展開が待ち遠しくなりページを捲ってしまいます。次回作が楽しみです。

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    投稿日: 2019.05.14
  • 贖罪の街(上)

    贖罪の街(上)

    マイクル・コナリー,古沢嘉通

    講談社文庫

    次回作以降も楽しみです

    ボッシュとリンカーン弁護士の競演。それだけでも読む価値がありますが、物語も読者を飽きさせない展開の速さで読みごたえ十分です。 ボッシュは刑事を引退。今回は探偵としての登場ですが、緻密な捜査で犯人を追い込む手腕は相変わらず。ただ刑事の印籠であるバッチは使えず窮屈な思いをします。 悩みながらも前に果敢に進む探偵ボッシュも悪くない。次回作以降も楽しみです。

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    投稿日: 2019.03.19
  • カササギ殺人事件 上

    カササギ殺人事件 上

    アンソニー・ホロヴィッツ,山田蘭

    創元推理文庫

    読みごたえあり、楽しめます。

    新聞で紹介され、満を持して手に取りました。 最初は普通の探偵小説ですが、下巻で急転直下の事件が勃発。 大作ですが、翻訳者の技量も十分で読みやすく一気に読めます。 英国の田舎の鬱々とした感じや、古い屋敷の佇まいが精緻に描かれ、人間関係も皮肉たっぷり。思わす感情移入しています。 途中、この物語はどういう方向に飛んで行くのか不安になりますが、鮮やかに着陸。 読みごたえあり、楽しめます。

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    投稿日: 2019.02.27
  • 応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱

    応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱

    呉座勇一

    中公新書

    勉強になりました

    ようやく電子化されたので読んでみることにしました。まさに群雄割拠の混乱の時代を当時興福寺の僧侶だった経覚と尋尊の目と耳を通じて語られるます。 登場人物が多くて辟易しますが、互いの遺恨や利益を巡って繰り返される小競り合いがやがては東西に分かれて戦う大戦へとつながる経緯が丁寧に描かれています。 面白かったし、何よりも勉強になりました。

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    投稿日: 2018.12.07
  • サヴァイヴ(新潮文庫)

    サヴァイヴ(新潮文庫)

    近藤史恵

    新潮文庫

    自転車レースの見方が変わります

    自転車レーサーの葛藤を描いた短編小説。『サクリファイス』に出会ってから 全て読んでいる私にとっては、登場人物の1人1人が懐かしい人に再開したような 感慨を覚えます。白石誓を主人公としたメインストリームの中で脇役として登場していた人物のスピンオフストーリー。 巧な心理描写と臨場感で自分があたかもレースに出場しているかの様な気になります。 自転車レースの見方が変わります。

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    投稿日: 2018.11.16
  • 確率思考 不確かな未来から利益を生みだす

    確率思考 不確かな未来から利益を生みだす

    アニー・デューク,長尾 莉紗

    日経BP

    勝負や賭けに挑もうとしている人には勇気を与えてくれる一冊

    ポーカープレーヤーとして活躍してきた筆者は極限状態の中で何度も究極の選択 を迫られてきました。その経験の成功と失敗からベストプラクテスを導き出す方法を例題を上げながら語られます。 意志決定の為の非常に参考になる本でした。中でも正確な判断の為には運の要素を見極めること、間違えを指摘してくれる人を仲間に入れたグループ討議が重要なことが強調され、共感しました。 勝負や賭けに挑もうとしている人には勇気を与えてくれる一冊だと思います。

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    投稿日: 2018.11.07
  • 湖底のまつり

    湖底のまつり

    泡坂妻夫

    東京創元社

    最後まで展開がよめない

    独特な文体と研ぎ澄まされた表現力に文学作品の匂いを漂わせる。ただ中身は手の込んだミステリーです。 現在から過去へと時間が交錯して、最初に提示された謎が次第に明らかになります。 最終的に提示されたトリックはやや無理筋な感じはしますが、プロットがしっかりしていて最後まで展開がよめない。 読んでいて楽しかったです。

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    投稿日: 2018.10.23
  • 錆びた滑車

    錆びた滑車

    若竹七海

    文春文庫

    葉村晶シリーズの最新刊

    葉村晶シリーズの最新刊。 相変わらずの不運続きの晶ですがその快刀乱麻ぶりは健在。 今回は身も心も傷つき満身創痍ですが、毒をまき散らしながらも真実へと近づきます。 作者はユーモア溢れるメタファーの達人で思わず笑ってしまうことも。しかし、この作者は短編の方が上手いと感じました。長編は登場人物が多くなって人間関係が複雑で混乱しました、この人誰だっけ?なんてことも。私の読解力の問題でしょうが。 と言うことで少しだけ割引です。

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    投稿日: 2018.09.27
  • 死線のサハラ 上

    死線のサハラ 上

    ダニエル・シルヴァ,山本やよい

    ハーパーBOOKS

    幸せな時間を頂きました

    ダニエル・シルバはスパイ小説の最高峰。UPI通信の記者を経て小説家へと転身したとあって世界情勢への知識の深さが垣間見えます。 イスラエルのオフィスの敏腕エージェントであるガブリエルは遂に長官へと昇りつめる。でも心配いりません。バリバリの現役プレーヤーとして活躍します。 宿敵サラディンとガブリエルの攻防。英国、アメリカ、フランスのエージェントのトップとの絆がおりなす共同作戦で巨悪をあぶり出す。 ダニエル・シルバはメタファーの使い手で、その技巧にうならせられることしばし、プロットの素晴らしさと相まって幸せな時間を頂きました。

    0
    投稿日: 2018.09.11